発信者情報開示請求とは?手続きの流れ・費用・期間をわかりやすく解説
2026/03/22
発信者情報開示請求とは?手続きの流れ・費用・期間をわかりやすく解説
インターネット上で誹謗中傷の被害に遭ったとき、「相手が誰なのかわからない」という壁にぶつかる方は多くいらっしゃいます。匿名の書き込みをした相手を突き止めるための法的手続きが、発信者情報開示請求です。
本記事では、発信者情報開示請求の仕組みと手続きの流れ、かかる費用や期間について、一般の方にもわかりやすくご説明します。
発信者情報開示請求とは
発信者情報開示請求とは、プロバイダ責任制限法(正式名称:特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)に基づいて、掲示板やSNSなどに誹謗中傷を書き込んだ人物(発信者)の情報を開示するよう求める手続きです。
開示を求める情報は、主に次のようなものです。
- 氏名・住所
- メールアドレス
- IPアドレス・タイムスタンプ
- 電話番号(SMS認証を行った場合)
これらの情報を組み合わせることで、書き込みをした人物を特定し、損害賠償請求や刑事告訴へとつなげることができます。
2022年改正で何が変わったか
2022年10月、改正プロバイダ責任制限法が施行され、発信者情報開示請求の手続きが大きく改善されました。
改正前は、①サイト運営者への仮処分(IPアドレス等の保全)→②プロバイダへの訴訟という「2段階」の手続きが必要で、費用も時間もかかっていました。
改正後は、新しい非訟手続(発信者情報開示命令申立て)が創設され、一つの裁判所で一連の手続きを完結できるようになりました。これにより、手続きの迅速化とコスト削減が実現しています。
手続きの流れ
1 証拠の保全
まず、問題の投稿のスクリーンショットや、投稿のURL・日時など、証拠を保全します。この段階をしっかり行うことが、その後の手続きをスムーズに進めるうえで非常に重要です。投稿が削除されてしまうと証拠が失われるため、早めの対応が肝心です。
2 サイト運営者・プロバイダの特定
書き込みが行われたプラットフォーム(X/Twitter、5ちゃんねる、爆サイ、Googleマップなど)を運営する事業者を特定します。海外の事業者が運営するサービスも多く、法的手続きの方法が異なる場合があります。
3 コンテンツプロバイダへの開示請求
SNSや掲示板などのサービス事業者(コンテンツプロバイダ)に対して、書き込みに使われたIPアドレスやタイムスタンプの開示を求めます。
任意の開示請求に応じてもらえない場合は、発信者情報開示命令の申立て(非訟手続)を裁判所に行うか、従来どおりの仮処分申立てを行います。
4 アクセスプロバイダへの開示請求
IPアドレスをもとに、実際にそのIPアドレスを割り当てたインターネット接続業者(アクセスプロバイダ:NTT、au、ソフトバンクなど)を特定し、契約者情報(氏名・住所)の開示を求めます。アクセスプロバイダが任意に応じない場合も、裁判所を通じた手続きが必要です。
5 発信者の特定と法的措置
開示された情報をもとに、誹謗中傷の発信者を特定します。特定後は、次のような法的措置を検討できます。
- 民事上の損害賠償請求(慰謝料・弁護士費用など)
- 刑事告訴(名誉毀損罪、侮辱罪など)
- 謝罪・削除要求
手続きにかかる費用の目安
発信者情報開示請求にかかる費用は、事案の複雑さや依頼する弁護士によって異なりますが、一般的な目安は次のとおりです。
| 費用の種類 | 目安 |
|---|---|
| 弁護士費用(着手金+報酬) | 30万円〜80万円程度 |
| 裁判所費用(印紙・予納金) | 数万円〜10万円程度 |
| その他実費(交通費・通信費など) | 数万円程度 |
改正法による新手続を利用することで、従来の2段階手続に比べて費用を抑えられるケースが増えています。また、相手方が特定できた後に損害賠償が認められれば、弁護士費用の一部を相手方に請求できる場合もあります。
手続きにかかる期間の目安
手続きにかかる期間は、サービスの種類や相手方の対応状況によって大きく異なります。
- 任意開示に応じる場合:数週間〜2か月程度
- 仮処分手続を利用した場合:2か月〜4か月程度(コンテンツプロバイダ段階)+2か月〜4か月程度(アクセスプロバイダ段階)
- 新しい非訟手続を利用した場合:3か月〜6か月程度(一連の手続きを通じて)
こんな書き込みが対象になります
発信者情報開示請求は、すべての書き込みに対して認められるわけではありません。開示が認められるには、その書き込みが「権利を侵害することが明らかな場合」(プロバイダ責任制限法第5条)である必要があります。
具体的には、次のようなケースで認められやすいです。
- 事実無根の内容で名誉を傷つける投稿(名誉毀損)
- 侮辱的な言葉による人格攻撃(侮辱)
- 住所・職場・家族など個人情報の暴露(プライバシー侵害)
- 根拠のない悪評・低評価の口コミ(信用毀損・業務妨害)
一方、批判・意見・感想の範囲内とみなされる投稿は、開示が認められないこともあります。
まとめ
発信者情報開示請求は、ネット上の誹謗中傷に立ち向かうための強力な法的手段です。ただし、手続きは複数のステップにわたり、専門的な知識と迅速な対応が求められます。
特にログの保存期間という時間的制約があるため、「誰が書いたのか突き止めたい」「損害賠償を請求したい」とお考えの方は、できるだけ早期に弁護士へご相談されることをお勧めします。
削除請求と発信者情報開示請求を同時進行で進めることも多く、被害の拡大防止と犯人特定を両立させることが重要です。削除請求の方法については別記事で詳しく解説しています。
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