タングラム法律事務所

相続が発生したらまず何をすべき?期限付き手続きの全体像をわかりやすく解説

相続が発生したらまず何をすべき?期限付き手続きの全体像をわかりやすく解説

相続が発生したらまず何をすべき?期限付き手続きの全体像をわかりやすく解説

2026/03/24

相続が発生したらまず何をすべき?期限付き手続きの全体像をわかりやすく解説

相続が発生したらまず何をすべき?期限付き手続きの全体像をわかりやすく解説

家族が亡くなり、葬儀や諸々の手続きに追われている中で、「相続のことも何かしなければ」と焦りを感じている方は多いのではないでしょうか。しかし、いつまでに何をすればよいのかが分からず、そのまま時間が経ってしまうケースは少なくありません。相続手続きには法律で定められた期限があり、それを過ぎてしまうと大きな不利益を受けることがあります。

本記事では、相続が発生した後に必要となる主要な手続きを、期限の短い順にわかりやすく整理してご説明します。「何から手をつければいいのか分からない」という方に向けて、全体の流れを把握していただけるよう構成しました。個別の事情によって対応が変わる部分もありますので、最終的には弁護士や専門家への相談を検討してください。

まず最初にすること:相続人と遺産の概要を把握する

相続が発生したら、最初に行うべきことは「誰が相続人なのか」と「どのような財産があるのか」の大まかな把握です。これらが明らかでないと、その後のすべての手続きが前に進みません。

相続人の調査

誰が相続人になるかは民法の規定に従って決まります。配偶者は常に相続人となり、子・親・兄弟姉妹の順に相続権が与えられます。ただし、前婚の子や認知した子が存在するケースもあるため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を一通り取り寄せて確認することが必要です。見落としがあると、後から相続人間のトラブルに発展することがあります。

財産の調査

預貯金、不動産、有価証券、生命保険、借金(負債)など、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も含めて全体像を把握します。被相続人が残した通帳・権利証・証券会社の書類・保険証券などを集めましょう。特に「借金がある可能性がある」と感じる場合は、早急に確認することが重要です(後述の相続放棄の検討に影響します)。

【3ヶ月以内】相続放棄・限定承認の検討

相続放棄と限定承認は、自己のために相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません(民法第915条)。この期間を「熟慮期間」といいます。

相続放棄とは

相続放棄をすると、最初から相続人でなかったものとみなされます(民法第939条)。被相続人に多額の借金があるケースや、遺産分割トラブルに巻き込まれたくない場合に検討されます。放棄は各相続人が単独で行うことができますが、一度申述が受理されると原則として撤回できません。

限定承認とは

限定承認は、相続によって得た財産の範囲内でのみ被相続人の債務を引き継ぐという方法です(民法第922条)。プラスとマイナスのどちらが大きいか判断がつかない場合に有効ですが、相続人全員で共同して申述しなければならないため、実務上はあまり利用されません。

注意:3ヶ月の期限は、正当な理由がある場合に家庭裁判所に申立てることで延長できる場合があります。期限が迫っているが財産の調査が終わっていない場合は、早めに専門家にご相談ください。

【4ヶ月以内】準確定申告

被相続人が生前に給与所得や事業所得、不動産賃貸収入などを得ていた場合、相続人は被相続人に代わって所得税の確定申告(「準確定申告」)を行う必要があります。期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内です(所得税法第124条・第125条)。

たとえば、被相続人が個人事業主であった場合や、不動産を賃貸していた場合、あるいは前年分の確定申告が未了の場合などに申告義務が生じます。期限を過ぎると加算税や延滞税が発生する場合があるため、早めに税理士に確認することをお勧めします。

【10ヶ月以内】遺産分割の協議と相続税の申告・納付

相続税の申告と納付の期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内です(相続税法第27条)。相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合には申告が必要になります。

遺産分割協議との関係

相続税の申告には、誰がどの財産を取得するかを決める「遺産分割協議」が必要です。10ヶ月という期限は一見長いように感じますが、相続人調査・財産調査・遺産分割協議・申告書の作成という一連の作業を考えると、決して余裕がある期間とはいえません。特に相続人が多い場合や、不動産の評価などに手間がかかる場合は早めに動き始めることが重要です。

期限内に分割が整わない場合

10ヶ月以内に遺産分割協議が整わない場合でも、いったん法定相続分で申告・納付することができます。その後、分割が確定した日の翌日から4ヶ月以内に修正申告や更正の請求を行うことになります。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などは、原則として申告期限までに分割されていることが適用要件となっている場合があるため、注意が必要です。

【3年以内】相続登記の義務化(2024年4月〜)

2024年(令和6年)4月1日から、不動産の相続登記が義務化されました(改正不動産登記法第76条の2)。相続によって不動産を取得した相続人は、不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しなければなりません。遺産分割協議によって取得した場合は、協議が成立した日から3年以内です。

正当な理由なく期限内に登記を申請しなかった場合、10万円以下の過料の対象となる場合があります。なお、2024年4月1日以前に発生した過去の相続についても義務化の対象となり、猶予期間として2027年3月31日までに申請することが求められています。

ポイント:遺産分割協議が整わず3年以内に登記できない場合は、「相続人申告登記」という簡易な手続きを利用することで、ひとまず申請義務を果たしたとみなされる場合があります。ただしこれは暫定的な措置であり、最終的な登記は別途必要です。

見落としやすい期限:遺留分請求と「10年ルール」

遺留分侵害額請求の時効(1年)

遺言によって法定相続分を大きく下回る財産しか相続できない場合、遺留分を侵害された相続人は「遺留分侵害額請求」を行うことができます。この請求権は、遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年で時効によって消滅します(民法第1048条)。相続開始から気づかずに1年が経過すると権利が失われる場合があるため、遺言書の内容に疑問を感じたら早急に確認することが重要です。

遺産分割の「10年ルール」(2023年4月施行)

2023年(令和5年)4月1日に施行された改正民法(第904条の3)により、相続開始から10年が経過すると、原則として「具体的相続分」(特別受益や寄与分を加味した相続分)ではなく、「法定相続分」または「指定相続分」によって遺産分割を行うこととされました。

これは、「生前に多額の贈与を受けていた相続人がいる」「介護をした相続人が貢献に見合った相続分を主張したい」といったケースで、10年を経過すると主張が制限される可能性があることを意味します。心当たりのある方は横浜をはじめ各地の弁護士に相談し、早めに対策を検討することをお勧めします。

手続き別・期限一覧表

手続き 期限の起算点 期限 根拠法令
相続放棄・限定承認 相続開始を知った日 3ヶ月以内 民法第915条
準確定申告 相続開始を知った日の翌日 4ヶ月以内 所得税法第124条・第125条
相続税の申告・納付 死亡を知った日の翌日 10ヶ月以内 相続税法第27条
相続登記(義務化) 不動産取得を知った日 3年以内 不動産登記法第76条の2
遺留分侵害額請求 侵害の事実を知った時 1年以内 民法第1048条
具体的相続分の主張 相続開始時 10年以内 民法第904条の3

まとめ:期限管理と早期相談が相続トラブルを防ぐ

相続には、短いものでは3ヶ月・4ヶ月という期限がある手続きが存在します。これらを見落とすと、相続放棄の権利を失ったり、税務上のペナルティが発生したり、主張できる権利が制限されたりする可能性があります。特に相続人が複数いてトラブルになりそうな場合、あるいは遺言書の内容に不満がある場合は、できるだけ早期に専門家に相談することが大切です。

弁護士は、法律的な問題の整理だけでなく、相続人間の調整や、遺産分割調停・訴訟のサポートも行うことができます。「何から手をつければいいか分からない」という段階でも相談に応じていますので、一人で抱え込まずに専門家の力を借りることを検討してください。

相続発生後の手続き、どこに相談すれば良いか迷っていませんか?

タングラム法律事務所では、相続や遺留分侵害額請求の事案について豊富な実績を有しております。横浜を拠点に、相続発生直後の初動対応から遺産分割協議、調停・訴訟まで幅広くサポートいたします。「まず何をすべきか」という段階からお気軽にご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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