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誹謗中傷の証拠保全|スクリーンショットの正しい撮り方と注意点を弁護士が解説

誹謗中傷の証拠保全|スクリーンショットの正しい撮り方と注意点を弁護士が解説

誹謗中傷の証拠保全|スクリーンショットの正しい撮り方と注意点を弁護士が解説

2026/04/01

誹謗中傷の証拠保全|スクリーンショットの正しい撮り方と注意点を弁護士が解説

ある日、自分の名前や会社名でインターネットを検索したところ、SNSや掲示板サイトに身に覚えのない中傷投稿が書き込まれていた——そんな状況に直面したとき、多くの方が最初に感じるのは「どうしたらいいのか」という途方に暮れる気持ちではないでしょうか。

ネット誹謗中傷の被害を受けたとき、真っ先に取り組むべき行動が「証拠保全」です。投稿の削除申請、発信者情報開示請求、損害賠償請求といった法的手続きは、すべて「問題の投稿が存在した」という証拠を前提として進められます。しかし、ネット上の投稿はいつ削除されるかわかりません。被害者がためらっている間に投稿者自身が証拠を消してしまうケースも珍しくないのです。

本記事では、法的手続きで実際に活用できる証拠の保全方法——特にスクリーンショットの正しい撮り方と注意点を、弁護士の視点からわかりやすく解説します。

なぜ証拠保全がそこまで重要なのか

「投稿のURLを控えておけば大丈夫では?」と考える方もいますが、URLだけでは不十分なケースがほとんどです。投稿が削除されてしまえば、URLにアクセスしても内容は確認できなくなります。また、発信者情報開示請求の手続きでは、「具体的にどの投稿が問題なのか」を裁判所やプラットフォームに対して明確に示す必要があり、画面に表示された投稿内容・日時・投稿者情報などを記録した証拠が不可欠です。

2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)(旧プロバイダ責任制限法)のもとでも、開示請求や削除申請を行う際には「権利侵害の事実を示す資料」の提出が求められます。証拠が不十分であると、手続きが進まないだけでなく、裁判でも不利な立場に置かれることになります。

【ポイント】 ネット投稿はいつ削除されるかわかりません。被害に気づいたら、まず証拠を確保する——これが法的対応の第一歩です。

スクリーンショットで記録すべき5つの要素

スクリーンショットを撮る際に最も重要なのは、法的に有効な「証拠」として通用する情報をすべて1枚の画像(または一連の画像)に収めることです。以下の5つの要素が確認できるように撮影しましょう。

① 投稿の内容

問題となる誹謗中傷の文章全体が読み取れる状態で撮影します。長文の場合は複数枚に分けてスクロールしながら撮影し、内容が連続していることがわかるようにしてください。途中が欠けていると、全体の文脈や悪質性が伝わりにくくなることがあります。

② 投稿の日時

「〇分前」「2日前」といった相対的な表示ではなく、具体的な年月日・時刻が確認できる状態で記録します。相対表示しか出ていない場合は、投稿をクリックして詳細ページに移動すると正確な日時が表示されることがあります。日時は、ログの保存期限や時効との関係でも重要な情報です。

③ ページのURL(アドレスバー全体)

ブラウザのアドレスバーに表示されているURLを、省略なく全体が映るようにしてください。URLは、問題の投稿がどのサービス・どのページに存在するかを特定するための基本情報です。スマートフォンのアプリでは URLが表示されないことが多いため、この点は後述するPCでの撮影を推奨する理由にもなっています。

④ サービス名・プラットフォーム名

X(旧Twitter)、Instagram、5ちゃんねる、爆サイなど、どのサービス上の投稿であるかが画面からわかるようにしましょう。ブラウザのタブに表示されるサイト名も含めて撮影できると、なお確実です。

⑤ 投稿者のアカウント名・ユーザーID

投稿者を特定するための手がかりになるアカウント名やハンドルネーム、プロフィールアイコンなどが確認できる状態で撮影します。匿名であっても、アカウント名・IDは後の発信者情報開示請求の根拠になります。

証拠として有効なスクリーンショット チェックリスト
  • 投稿内容の全文が読み取れる
  • 投稿の具体的な日時(年月日・時刻)が確認できる
  • アドレスバーのURL全体が映っている
  • サービス名・サイト名がわかる
  • 投稿者のアカウント名・IDが確認できる
  • 画像に加工・編集を一切していない

PCでの保全を強く推奨する理由

スマートフォンでもスクリーンショットは撮影できますが、法的手続きで使用するための証拠保全にはPCブラウザでの撮影が最も適しています。その理由を以下に整理します。

手段 URLの表示 証拠としての有効性 推奨度
PCブラウザ フルURLが表示される 高い ◎ 最推奨
スマホブラウザ 省略される場合がある 中程度 ○ 可(URL確認を徹底)
スマホアプリ 表示されないことが多い 低い △ なるべく避ける

スマートフォンのアプリ(XアプリやInstagramアプリなど)では、アドレスバーが画面に表示されないため、スクリーンショットにURLが含まれません。この場合、後から「この画像が本当に当該投稿のものか」という疑義が生じる可能性があります。PCブラウザで同じ投稿を開いて撮影し直すことを強くお勧めします。

また、PCであれば画面全体を一度に記録するツール(ブラウザの印刷機能やスクリーンキャプチャソフト)を利用することで、1枚のファイルに完全な情報を収めやすくなります。

スクリーンショット以外の有効な保全方法

スクリーンショットは手軽で即効性のある方法ですが、それだけでは証拠の信頼性に限界があります。可能であれば、以下の方法も併用することを検討してください。

ウェブページをPDFとして保存する

Chromeなどのブラウザで「印刷」→「PDFに保存」を選ぶと、ウェブページ全体をPDFファイルとして記録できます。多くの場合、PDFのヘッダーやフッターにURLや保存日時が自動で記録されるため、スクリーンショットよりも証拠としての客観性が高まります。

タイムスタンプを活用する

電子データにタイムスタンプを付与することで、「その時点においてその内容のデータが存在していた」という事実と「それ以降データが改ざんされていない」という事実を第三者が証明できるようになります。特に事案の重要性が高い場合や、相手方から証拠の捏造を主張されるリスクが考えられる場合に有効です。タイムスタンプ付与サービスは一般向けにも提供されています。

公証役場での確定日付取得

スクリーンショットや投稿内容を印刷し、公証役場で「確定日付」を付してもらうことで、その日付時点にそのデータが存在したことを公的に証明できます。費用は1件あたり数百円程度であり、証拠の客観性を高める方法として実務上も活用されています。

前後の文脈も合わせて保存する

被害を受けた投稿のみを保存するのではなく、前後のやり取りや関連するスレッド全体も記録しておくことが重要です。投稿の文脈を示すことで、「誹謗中傷であること」の悪質性や意図をより明確に立証できます。また、継続的な投稿が行われている場合は、日付が異なる複数の投稿もすべて記録してください。

証拠保全でやってはいけないNG行動

被害を受けると感情的になるのは当然のことです。しかし、誤った対応が法的手続きを不利にしてしまうことがあります。以下の行為は避けてください。

【NG行動】
  • スクリーンショットを加工・編集する:文字を消したり、矢印を加えたりといった加工は一切NG。証拠の信頼性が失われ、場合によっては証拠として採用されないおそれがあります。
  • 相手に直接連絡・反論する:感情的なやり取りはトラブルを拡大させるだけでなく、自分の発言が後に問題になることもあります。
  • 相手のアカウントをブロック・ミュートする:ブロックすると相手の投稿が見えなくなり、追加の証拠収集が困難になります。証拠を確保してからにしましょう。
  • 相手の個人情報を拡散する:投稿者の個人情報を晒す行為は、プライバシー侵害や名誉毀損として逆に自分が責任を問われる可能性があります。
  • 不正アクセスなど違法な方法で情報を取得しようとする:どれほど腹立たしくても、正当な法的手続きの範囲を超えた行為は厳禁です。

情プラ法(2025年4月施行)と証拠保全の関係

2025年4月1日に施行された情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)は、旧プロバイダ責任制限法を全面的に改正した法律です。この改正により、大規模プラットフォーム事業者(X、Instagram、YouTubeなどの大手SNSサービスが対象となりうる)に対して、一定期間内での削除申出への対応義務や、削除基準の策定・公表義務が課されるようになりました。

この改正は、被害者にとって削除申請が通りやすくなるという意味でプラスの側面があります。一方で、削除申請を行う際には依然として「侵害された権利の内容」と「権利が侵害されたと信じる理由」を提示する必要があります。つまり、削除申請においても証拠が重要であることに変わりはないのです。

また、情プラ法のもとでの発信者情報開示請求(開示命令・提供命令)においても、証拠の充実度が手続きの円滑な進行に直結します。証拠が不十分であると、裁判所が命令を発するための疎明資料が足りないと判断されるリスクがあります。

【補足】 情プラ法の発信者情報開示手続(開示命令申立)では、申立書に投稿のURLや内容を具体的に記載するとともに、問題の投稿を示す証拠(スクリーンショット等)を添付するのが実務上の基本です。

証拠保全後は速やかに弁護士に相談を

証拠の保全は、あくまで法的手続きへの第一歩です。証拠を確保したあとの具体的な手続き——削除申請の方法、開示請求の相手方の選択、損害賠償額の算定、刑事告訴の可否といった判断——は、法律の専門家でなければ適切に行うことが困難です。

弁護士に相談することで、保全した証拠が法的手続きに使えるかどうかの評価を受けられるだけでなく、もし不十分な部分があれば追加で収集すべき証拠についてのアドバイスも得られます。また、投稿のログはプロバイダが一定期間が経過すると削除してしまうことがあります。開示請求は時間との戦いでもありますので、早期の相談が肝要です。

「本当に法的手続きが必要なのか」「自分のケースは請求が認められるのか」といった疑問も、弁護士への相談の中で整理することができます。一人で悩まず、まず専門家に状況を話してみることをおすすめします。

まとめ:証拠保全の3原則

ネット誹謗中傷の被害に遭ったとき、証拠保全を成功させるための基本は次の3点に集約されます。

  • 網羅性:URL・日時・投稿内容・投稿者情報を漏れなく記録する
  • 客観性:スクリーンショットに加工を加えず、PDFやタイムスタンプも活用して信頼性を高める
  • 迅速性:投稿はいつ削除されるかわからない。被害に気づいたらすぐに保全する

証拠が揃っていれば、弁護士も適切な手続きを選択しやすくなります。被害を受けたと感じたら、焦らず、しかし迅速に証拠を確保し、専門家に相談することを心がけてください。

ネット誹謗中傷の証拠保全・法的対応についてお悩みの方へ

タングラム法律事務所では、ネット誹謗中傷に関する発信者情報開示請求・削除請求・損害賠償請求について、豊富な実績を有しております。証拠の保全方法から開示請求の手続き方針まで、初回相談から丁寧にご説明いたします。まずはお気軽にご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な対応については、弁護士等の専門家にご相談ください。

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