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情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)とは?誹謗中傷被害者への実務的影響を弁護士が解説

情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)とは?誹謗中傷被害者への実務的影響を弁護士が解説

情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)とは?誹謗中傷被害者への実務的影響を弁護士が解説

2026/04/03

情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)とは?誹謗中傷被害者への実務的影響を弁護士が解説

SNSや匿名掲示板に書き込まれた誹謗中傷の削除を求めても、なかなか対応してもらえなかった——そのような経験をお持ちの方は少なくないでしょう。インターネット上の権利侵害に対するプラットフォーム事業者の対応が遅い、基準が不透明だという声は長年にわたって問題視されてきました。

こうした状況を改善するために2025年4月1日に施行されたのが、情報流通プラットフォーム対処法(通称「情プラ法」)です。旧「プロバイダ責任制限法」を大幅に改正した本法律は、大規模SNS事業者に対して削除対応の迅速化と透明化を義務付ける画期的な内容を含んでいます。

本記事では、情プラ法の概要と誹謗中傷被害への実務的な影響について、わかりやすく解説します。

情プラ法とは——旧プロバイダ責任制限法からの大転換

情プラ法の正式名称は「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」(令和6年法律第25号)です。2024年5月17日に公布され、2025年4月1日より施行されました。

旧プロバイダ責任制限法(プロ責法)が制定されたのは2001年のこと。当時とはインターネットの利用環境が激変し、X(旧Twitter)・Instagram・YouTube・TikTokといった大規模SNSが日常生活に深く浸透している現代においては、旧法の枠組みでは権利侵害への対処が追いつかないという問題が生じていました。

特に、削除申請を行っても対応が遅い、なぜ削除されなかったのか理由がわからない、といった被害者の不満が積み重なっていました。総務省の「違法・有害情報相談センター」に寄せられる相談件数は増加を続け、2024年度には5,745件に上ったとされています。

情プラ法はこうした状況を打破するために、大規模プラットフォーム事業者に対して具体的な義務を課す仕組みを整備した法律です。

情プラ法の主な改正ポイント

①「大規模特定電気通信役務提供者」への指定制度

情プラ法では、国内の月間アクティブユーザー数が1,000万人を超える事業者を「大規模特定電気通信役務提供者」として総務大臣が指定することとしています。2025年4月30日、総務省は第一陣として以下の事業者を指定しました。

  • Google LLC(Google検索・YouTube)
  • LINEヤフー株式会社(Yahoo!ニュース・Yahoo!知恵袋)
  • Meta Platforms, Inc.(Facebook・Instagram・Threads)
  • TikTok Pte. Ltd.(TikTok)
  • X Corp.(X〔旧Twitter〕)

指定事業者には、以下に述べる各種義務が課されます。指定を受けていない中小規模のプラットフォームについては、従来どおりの任意対応となりますが、情プラ法の精神に沿った対応が推奨されています。

②削除申請への7日以内対応義務

情プラ法の中でも特に注目されるのが、削除申請に対する原則7日以内の対応義務です(法第23条・第26条)。

被害者(権利を侵害されたとする者)が大規模指定事業者に対して削除を申請(送信防止措置申出)した場合、事業者は申出を受理した日から原則として7日以内に調査を実施し、自社が策定・公表した送信防止措置基準(削除基準)に基づいて削除の可否を判断しなければなりません。また、判断結果(削除したかどうか、削除しない場合にはその理由)を申出者に通知することも義務付けられています。

従来は、削除申請を行っても数週間〜数か月以上放置されることや、削除されなかった理由が一切知らされないケースが頻発していました。7日以内という明確な期限の設定は、被害者の迅速な救済という観点から大きな意義を持ちます。

⚠️ 注意:7日以内とは「判断を行い通知する」期限であり、必ずしも7日以内に削除されることを保証するものではありません。削除基準に照らして削除対象外と判断される場合もあります。

③削除基準(送信防止措置基準)の策定・公表義務

大規模指定事業者は、どのような投稿を削除するのかという基準(送信防止措置基準)を自ら策定し、公表することが義務付けられました(法第22条)。

これにより、ユーザー(被害者・発信者双方)は事前に削除基準を確認できるようになります。また、削除申請時に「この基準のどの項目に該当するか」を明確に示すことで、対応の迅速化にもつながります。

④運用状況の透明化——年次報告義務

大規模指定事業者には、削除申請の受付件数・対応件数・対応日数・削除率などを含む運用状況を年次報告書としてまとめ、公表することが義務付けられています(法第33条)。

これにより、各プラットフォームが実際にどれだけ迅速・適切に対応しているのかを客観的に把握できるようになります。対応が不十分な事業者に対しては、総務大臣が勧告・命令を行う仕組みも設けられています。

誹謗中傷被害者の視点から見た実務的変化

削除申請が格段にしやすくなった

情プラ法の施行後、大規模指定事業者は各自の削除基準をウェブサイト上で公表しています。被害者は削除申請の際に、この公表された基準を参照しながら、自分の被害がどの項目に該当するかを整理して申請できるようになりました。

また、申請フォームの整備も進んでいます。指定事業者は被害者からの申出を受け付けるための手続きを整備する義務を負っており、申請経路が明確になることで「どこに申請すればよいかわからない」という問題も解消されつつあります。

削除されなかった場合の理由が明確に

旧法下では、削除申請を行っても「対応しました」「対応できません」という結果だけが通知され、理由が示されないケースが多々ありました。情プラ法のもとでは、削除しない場合にはその理由の通知が義務付けられているため、被害者は次の手段(弁護士を通じた法的申請、裁判所への仮処分申立て等)を検討するうえで重要な情報を得られるようになりました。

発信者情報開示請求への影響

情プラ法では、発信者情報開示請求(開示命令・提供命令・消去禁止命令等の非訟手続)の制度も引き継がれており、2022年の改正で設けられた裁判所を通じた非訟手続が維持・整備されています。

加えて、大規模指定事業者に対しては発信者のIPアドレスやアカウント情報の保存に関する対応も整備が進んでいます。削除申請のタイムラインが明確になることで、証拠保全のタイミングを逃しにくくなるという副次的効果も期待されています。

項目 旧プロバイダ責任制限法(〜2025年3月) 情プラ法(2025年4月〜)
削除対応期限 明確な期限なし(任意対応) 大規模指定事業者は原則7日以内
削除基準の公表 義務なし(任意) 大規模指定事業者に策定・公表義務
対応結果の通知 事業者の裁量に委ねられていた 判断結果と理由の通知義務あり
運用状況の透明化 公表義務なし 年次報告の作成・公表義務
行政による監督 ほぼなし 総務大臣による勧告・命令の仕組みあり

情プラ法の課題と限界——弁護士に相談すべき理由

すべてのプラットフォームが対象ではない

情プラ法の義務が課されるのは、総務大臣が指定した「大規模特定電気通信役務提供者」のみです。月間アクティブユーザーが1,000万人未満の中小規模プラットフォーム——地域密着型の掲示板、特定業界向けのレビューサイト、マニアックなコミュニティなど——は対象外となります。これらについては、従来と同様に任意削除依頼や仮処分申立て等の法的手段を検討する必要があります。

7日以内の対応が「削除」を意味するとは限らない

7日以内という期限はあくまで「調査・判断し通知する」期限であり、必ず削除されるわけではありません。プラットフォームが自社の削除基準に照らして「削除対象に当たらない」と判断すれば、7日以内に「削除しない」旨の通知が届くだけです。この場合、弁護士を通じた仮処分申立て(発信者情報開示命令の申立てや削除の仮処分)へと進むことが有効な選択肢となります。

発信者特定には引き続き専門的サポートが不可欠

情プラ法は削除申請の手続きを整備しましたが、投稿者(発信者)を特定して損害賠償請求を行うためには、依然として法的手続きが必要です。SNS事業者に対する発信者情報の開示請求(コンテンツプロバイダへの開示命令)→ IPアドレス等を把握したうえでインターネット接続事業者(アクセスプロバイダ)への開示命令という二段階のプロセスは変わらず存在します。

ログの保存期間には限りがあるため、被害を受けたらできるだけ早く弁護士に相談することが、発信者特定の可能性を高めるうえで重要です。

法改正に対応した実務経験が求められる

情プラ法は2025年4月に施行されたばかりの新しい法律であり、各事業者の削除基準の運用状況や申請窓口の仕様は今後も変化が予想されます。また、総務省による行政指導や裁判所での判断の積み重ねによって、実務上の解釈も整備されていく段階にあります。情プラ法を踏まえた最新の実務に精通した弁護士への相談が、適切な対処への近道です。

まとめ——情プラ法施行で何が変わり、何が変わらないのか

情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)の施行により、X・Instagram・YouTube・TikTok・Facebookなどの大規模SNSに対する削除申請が格段にしやすくなり、対応の迅速化と透明化が図られるようになりました。削除申請への7日以内対応、削除基準の公表、判断理由の通知という仕組みは、誹謗中傷被害者にとって大きなメリットをもたらします。

一方で、中小プラットフォームへの適用外、削除されない場合の対処、発信者特定・損害賠償請求といった問題は、引き続き弁護士による専門的なサポートを必要とします。

ネット誹謗中傷の被害を受けたら、まず証拠を保全したうえで、情プラ法を踏まえた最新実務に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。

情プラ法を踏まえた誹謗中傷対応はタングラム法律事務所へ

タングラム法律事務所では、ネット誹謗中傷に関する発信者情報開示請求・削除請求・損害賠償請求について、豊富な実績を有しております。2025年4月施行の情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)にも対応した最新の実務経験をもとに、迅速・丁寧にサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的なご事情については、弁護士にご相談ください。

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