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YouTubeの誹謗中傷動画・コメントを削除する方法|削除申請・発信者情報開示・法的対処を弁護士が解説

YouTubeの誹謗中傷動画・コメントを削除する方法|削除申請・発信者情報開示・法的対処を弁護士が解説

YouTubeの誹謗中傷動画・コメントを削除する方法|削除申請・発信者情報開示・法的対処を弁護士が解説

2026/04/10

YouTubeの誹謗中傷動画・コメントを削除する方法|削除申請・発信者情報開示・法的対処を弁護士が解説

ある日突然、自分の悪口を言う動画がYouTubeにアップされていた、心ない中傷コメントが大量についていた——そのような被害に気づいたとき、多くの方が「どこに相談すればいいのか」「本当に削除できるのか」と途方に暮れます。YouTubeは世界最大の動画プラットフォームであり、一度拡散した動画やコメントが一人歩きして精神的・社会的ダメージを広げる前に、迅速な対応が不可欠です。

本記事では、YouTubeにおける誹謗中傷動画・コメントへの対処法として、①YouTube内の削除申請手順、②2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)による新制度の活用、③法的手段(仮処分・発信者情報開示請求・損害賠償請求)の流れを、弁護士の視点からわかりやすく解説します。

YouTubeの誹謗中傷にはどのような種類があるか

YouTubeで問題になる誹謗中傷のパターンは大きく次の3種類に分けられます。

  • 誹謗中傷動画:特定の個人・企業を標的にした悪口・侮辱・デマを含む動画。顔写真や実名を晒す「特定動画」や、切り抜き・加工によって事実とは異なる印象を与える動画も含まれます。
  • 誹謗中傷コメント:他のユーザーの動画のコメント欄に投稿された侮辱的・差別的な書き込み。短文でも名誉毀損や侮辱罪の対象になり得ます。
  • なりすまし・プライバシー侵害:他人の写真や個人情報(住所・電話番号など)を無断で使用する動画。2025年以降はAIで生成した偽音声・偽映像を使った事例も増加しています。

いずれの場合も、早期の証拠保全が後の法的手続を有利に進めるうえで極めて重要です。

まず行うべきこと:証拠の保全

削除申請や法的手続を進める前に、必ず問題のコンテンツの証拠を保全してください。削除申請が受理されると当該動画やコメントが消えてしまい、後から「何が投稿されていたか」を証明することが困難になります。

具体的な保全方法として、動画のURLをメモしたうえで画面全体のスクリーンショットを撮影し、可能であればWebArchive等のキャッシュに保存します。動画そのものはダウンロードツールを使ってローカルに保存しておくとより確実です。コメントについても、コメントが確認できる画面を日時情報(OSの時計など)が映り込む状態で複数枚撮影しておきましょう。証拠保全は弁護士に依頼した時点で改めて専門的な方法(確定日付付き保全など)を行ってもらうことが望ましいです。

【ポイント】スクリーンショットは「日時・URL・投稿内容」の3点がすべて確認できるように撮影することが重要です。スマートフォンで撮影する場合も、ブラウザのアドレスバーが表示された状態で撮影してください。

YouTube内の削除申請方法

まずはYouTubeが用意している公式の申請窓口から削除を試みましょう。費用はかかりませんが、YouTubeの内部ポリシーに基づく審査となるため、必ずしも迅速に対応されるとは限りません。

1. 「報告」機能(通報)

最も手軽な方法が動画やコメントの「報告(通報)」機能です。動画であれば動画下部の「…(その他)」メニューから「報告」を選択し、「嫌がらせ・いじめ」「ヘイトまたは差別的なコンテンツ」など該当する理由を選択して送信します。コメントについても同様に、コメント右側の「…」から「報告」を選択できます。ただし通報はYouTubeのコミュニティガイドライン違反の申告であり、特定の個人に向けた名誉毀損案件では削除されないことも多いです。

2. 名誉毀損の申し立てフォーム

自分の名誉を傷つける内容が含まれる場合は、YouTubeが設けている「名誉毀損の申し立て」専用フォームを利用します。このフォームでは申立人の連絡先情報、問題のコンテンツのURL、名誉毀損であると考える理由などを詳細に記載します。法律上の主張を明確に記載することで審査が通りやすくなります。

3. プライバシー侵害の申し立て

自分が写っている動画が無断投稿されている、住所や電話番号などの個人情報が晒されているといった場合は、「プライバシー侵害の申し立て」フォームを使用します。個人の顔・氏名の無断掲載はプライバシー権侵害として削除されやすい傾向があります。

情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)による新制度(2025年4月施行)

2025年4月1日、プロバイダ責任制限法が大幅に改正・改題された「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)」が施行されました。YouTubeの運営会社であるGoogle LLCは同法が定める「大規模特定電気通信役務提供者(大規模プラットフォーム事業者)」として指定されており、同社は以下の義務を負います。

  • 削除申出窓口の設置・公表義務:被害者がオンラインで削除を申し出られる専用窓口を設置し、その所在を分かりやすく公表しなければなりません。
  • 迅速な調査・判断義務:申出を受けてから遅滞なく調査を行い、削除の要否を判断する義務があります。
  • 14日以内の通知義務:申出受理から14日以内に、削除または不削除の判断とその理由を申出者に通知しなければなりません。
  • 削除基準の公表義務:どのような投稿を削除するかの基準を公表し、年1回以上の事例集作成(努力義務)が求められます。

情プラ法施行前は、Googleからの回答が数週間待っても来ないといったケースも珍しくありませんでした。同法の施行により、事業者の対応が制度上義務化されたことは被害者にとって大きな前進です。ただし「14日以内の通知義務」はあくまで通知であり、削除そのものが14日以内に行われることを保証するものではありません。

【注意】情プラ法上の削除申出はYouTubeの公式ヘルプ・サポートページから行います。従来の「報告」機能とは別に、権利侵害・名誉毀損の申し立てフォームを通じた申出が情プラ法上の申出として扱われます。申出の際には具体的な被害内容・根拠法令を明記すると審査が円滑に進みます。

YouTube内の手続だけでは削除できない場合の法的手段

YouTubeへの申請が不受理・不削除に終わった場合、あるいは迅速な対応が必要な場合は、法的手段を検討することになります。

削除の仮処分(民事保全手続)

裁判所に対して「削除の仮処分命令申立て」を行うことで、本訴提起を待たずに暫定的な削除を求めることができます。名誉毀損・プライバシー侵害が一応認められると裁判所が判断した場合、通常数週間〜2か月程度で仮処分命令が発令され、YouTubeはこれに従って当該コンテンツを削除します。弁護士費用に加え、裁判所への予納金(担保金)として数十万円程度が必要になることがあります。

削除命令(情プラ法に基づく非訟手続)

情報流通プラットフォーム対処法および改正プロバイダ責任制限法の下では、裁判所への「削除命令申立て」(非訟手続)を通じて削除を命じてもらう手続も用意されています。仮処分と比べると手続が簡易で収入印紙代が低廉(申立1件につき1,000円)ですが、仮処分と違って即時の執行力が生じるわけではなく、相手方が従わない場合には強制執行の手続が別途必要となります。

投稿者を特定する方法——発信者情報開示請求

削除だけでなく「誰が投稿したのかを特定して損害賠償を請求したい」という場合は、発信者情報開示請求を行います。情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)第5条以下に基づく手続です。

開示請求の流れ

ステップ 内容 期間の目安
①証拠保全 問題の動画・コメントのURL・スクリーンショットを保全する 即日
②Googleへの開示請求 裁判所への申立(非訟手続または仮処分)によりGoogleにIPアドレス・タイムスタンプ等の開示を求める 2〜4か月程度
③プロバイダへの開示請求 取得したIPアドレスをもとに接続プロバイダに対して契約者情報(氏名・住所)の開示を求める 1〜2か月程度
④投稿者の特定 判明した氏名・住所をもとに損害賠償請求や刑事告訴を行う

以前は①Googleへの仮処分→②プロバイダへの訴訟という2段階の手続が必要でしたが、2022年10月の法改正(発信者情報開示命令制度の創設)により、1つの非訟手続でGoogle・プロバイダの両方に対して開示を求めることができるようになりました。これにより手続期間の短縮と費用の低減が実現しています。ただしGoogleが米国法人であるため、開示を認める判断が出ても米国側の法手続が入り、実際の開示まで時間がかかる場合があることは念頭に置いておく必要があります。

【重要】ログの保存期間に注意してください。プロバイダが保持するIPアドレスの接続ログは、一般に3〜6か月程度で削除されることが多いです。「しばらく様子を見よう」と時間を置いてしまうと、ログが消えて投稿者の特定が不可能になる場合があります。誹謗中傷に気づいたら早期に弁護士に相談することを強くおすすめします。

発信者情報開示請求が認められるための要件

開示請求が認容されるには、大まかに次の2要件を満たす必要があります。①侵害情報の流通によって開示請求者の権利(名誉権・プライバシー権など)が侵害されたことが明らかであること、②開示を受けるべき正当な理由(損害賠償請求等)があること、です。単なる批判・意見の表明では権利侵害が明らかとは認められないため、事案の具体的な事実関係をもとに弁護士が法的評価を行う必要があります。

投稿者特定後の対応——損害賠償請求と刑事告訴

投稿者が特定できた後は、民事と刑事の両面で対応することが可能です。

民事上の損害賠償請求

名誉毀損(民法709条・710条)やプライバシー権侵害を理由に、投稿者に対して損害賠償を請求できます。YouTubeの誹謗中傷に関する裁判例では、精神的苦痛(慰謝料)に加え、弁護士費用・削除請求費用も損害として認められるケースがあります。まずは弁護士を通じた内容証明郵便による示談交渉を試みることが多く、話し合いで解決しない場合は民事訴訟(損害賠償請求訴訟)を提起します。

刑事告訴(名誉毀損罪・侮辱罪)

悪質性が高い場合は刑事告訴も検討に値します。「事実を摘示して人の名誉を毀損」した場合は刑法230条の名誉毀損罪(3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)、「事実の摘示なく侮辱」した場合は刑法231条の侮辱罪(1年以下の拘禁刑・30万円以下の罰金・拘留・科料)の対象となります。侮辱罪については2022年の法改正で厳罰化されており、SNS上の悪質な投稿に対して積極的に立件する事例が増加しています。告訴は親告罪であるため、告訴期間(犯人を知った日から6か月以内)に注意が必要です。

YouTube誹謗中傷対応における注意点と弁護士に依頼するメリット

YouTubeへの削除申請は自分でも行えますが、実際には次のような壁にぶつかるケースが多く見受けられます。

  • 申請フォームの英語対応・専門的な記載が求められる場面がある
  • 不受理・不削除になった際に異議申し立ての手続が複雑
  • 法的手続(仮処分・非訟手続)は裁判所への申立書類の作成が必要
  • Google(米国法人)への開示請求には国際的な手続の知識が求められる
  • ログの保存期間内に迅速に対応しなければならない

弁護士に依頼することで、削除申請の適切な理由付けから法的手続の選択、投稿者の特定・損害賠償請求まで、一貫したサポートを受けることができます。特に発信者情報開示請求は手続の期間が長く、途中でログが消えるリスクもあるため、早期に専門家の手に委ねることが解決への近道となります。

YouTubeの誹謗中傷動画・コメントでお困りの方へ

タングラム法律事務所では、ネット誹謗中傷に関する発信者情報開示請求・削除請求・損害賠償請求について、豊富な実績を有しております。YouTubeへの削除申請から投稿者の特定・損害賠償請求まで、お客様の状況に合わせて最適な対応をご提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。

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まとめ

YouTubeの誹謗中傷動画・コメントへの対処法をまとめると次のとおりです。

  • まず証拠保全を行い、URL・スクリーンショットを確保する
  • YouTubeの名誉毀損申し立てフォーム等から削除申請を行う
  • 2025年4月施行の情プラ法により、14日以内に削除の可否が通知される義務が生じた
  • 申請で削除されない場合は仮処分や非訟手続(削除命令)などの法的手段を検討する
  • 投稿者を特定したい場合は発信者情報開示請求を早急に行う(ログ保存期間に注意)
  • 特定後は損害賠償請求・刑事告訴も選択肢となる

「どうすればよいかわからない」という状況であっても、弁護士に早めに相談することで選択肢が広がります。被害が拡大する前に、ぜひ一度専門家へご相談ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な対応については、弁護士等の専門家にご相談ください。

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