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不貞慰謝料と離婚の関係|離婚しない場合の請求額と注意点を横浜の弁護士が解説

不貞慰謝料と離婚の関係|離婚しない場合の請求額と注意点を横浜の弁護士が解説

不貞慰謝料と離婚の関係|離婚しない場合の請求額と注意点を横浜の弁護士が解説

2026/03/30

不貞慰謝料と離婚の関係|離婚しない場合の請求額と注意点を横浜の弁護士が解説

配偶者の不貞行為が発覚したとき、「離婚はしたくないけれど、傷つけられた気持ちにきちんと向き合ってほしい」「慰謝料を請求したいが、離婚しないと請求できないのでは?」と悩む方は少なくありません。夫婦関係を続けることを選んだとしても、不貞行為によって受けた精神的苦痛は本物であり、その補償を求めることは正当な権利です。

本記事では、不貞慰謝料と離婚の関係について、離婚する場合・しない場合の相場の違い、誰に対して請求できるか、注意すべき「求償権」の問題、時効などを実務の観点から詳しく解説します。

離婚しなくても不貞慰謝料は請求できる

まず大前提として、離婚をしなくても不貞慰謝料を請求することは可能です。不貞行為は民法第709条(不法行為による損害賠償)に定める不法行為にあたり、配偶者に不貞をされた側は精神的損害(慰謝料)を請求できます。これは、最終的に離婚するかどうかとは無関係です。

不貞行為は、婚姻共同生活の平和という法的に保護された利益を侵害する行為と評価されます。そのため、たとえ夫婦関係を継続することを選んだとしても、不法行為が成立している以上、損害賠償請求権は発生します。「離婚しないと慰謝料は請求できない」というのは誤解ですので、正確に理解しておくことが大切です。

ポイント:不貞慰謝料の請求根拠は民法第709条(不法行為)です。離婚の有無は請求の可否に影響しませんが、慰謝料の金額には大きく影響します。

離婚する場合と離婚しない場合で慰謝料の相場はどう変わる?

不貞慰謝料の金額を決める際、裁判所が重視する要素のひとつが「婚姻関係への影響の大きさ」です。不貞行為によって夫婦関係が破綻し離婚に至ったケースは、婚姻関係を維持できているケースよりも精神的損害が大きいと評価される傾向があります。その結果、以下のように相場に差が生まれます。

状況 慰謝料の目安(裁判基準)
不貞が原因で離婚する場合 150万円〜300万円程度
不貞が原因で別居している場合 100万円〜200万円程度
不貞はあったが離婚しない場合 50万円〜150万円程度

上記はあくまで目安であり、個別の事情によって金額は大きく上下します。たとえば、婚姻期間が長い、不貞期間が長期にわたる、子どもがいるといった事情があれば増額される傾向があります。一方、不貞相手が既婚者と知らなかった事情がある場合や、婚姻関係がすでに実質的に破綻していた場合には減額される傾向があります。

慰謝料増額に影響する主な事情

  • 不貞行為の期間が長い(半年以上、1年以上など)
  • 婚姻期間が長い
  • 子どもがいる(特に子どもが幼い場合)
  • 不貞相手が既婚者であることを知った上で交際を継続していた
  • 不貞行為の発覚後も反省や謝罪がない
  • 精神的苦痛により医療機関を受診した(うつ病・適応障害の診断など)

慰謝料減額に影響する主な事情

  • 不貞行為の期間が短い
  • 不貞相手が配偶者の既婚事実を知らなかった
  • 不貞発覚前から夫婦関係が悪化・形骸化していた
  • 配偶者側が主導的に不貞を誘導した側面がある
  • ダブル不倫(双方が既婚者)だった

離婚しない場合、誰に慰謝料を請求するか

不貞慰謝料の請求先は、不貞行為をした配偶者と不貞の相手方(不倫相手)の両方が対象となり得ます。両者は不貞行為における共同不法行為者として、連帯して損害賠償責任を負うとされています(民法第719条)。ただし、離婚しない場合は実務上の事情から、請求先の選択が重要な意味を持ちます。

配偶者への請求が実益を持ちにくいケース

離婚しない場合、配偶者と生計を共にしている状況が続きます。そのため、配偶者に慰謝料を支払ってもらっても、夫婦共有の財産から支出されることになり、経済的な実益が薄くなりがちです。婚姻費用や家計を考えると、配偶者への請求は「感情的な落とし前」にはなっても、実質的な経済補償としての意味が薄れるケースが多く見られます。

不倫相手への請求が現実的な選択肢

こうした事情から、離婚しない場合には不倫相手(第三者)だけを対象として慰謝料を請求するケースが多い傾向があります。不倫相手は婚姻関係の外部にいるため、慰謝料を受け取ることが純粋な経済的補償になります。ただし、この場合には後述する「求償権」の問題が発生します。

注意:配偶者に全く請求しないことにした場合でも、不倫相手は配偶者の「責任分」に相当する金額について求償権を行使できる可能性があります。示談の際にこの点を手当しておくことが重要です。

不倫相手に請求する際に必ず確認すべき「求償権」の問題

不倫相手に慰謝料を支払わせる際に見落としがちな問題が「求償権」です。求償権とは、共同不法行為者が本来分担すべき以上の賠償を行った場合に、他の共同不法行為者に対して超過分を返還請求できる権利のことです(民法第442条)。

具体的に説明すると、たとえば不倫相手が100万円の慰謝料を支払ったとします。このとき、本来であれば配偶者と不倫相手が共同で負担すべきものですから、不倫相手は配偶者に対して自身の負担分を超えた金額(例:50万円)の返還を求められる可能性があります。配偶者が不倫相手に50万円を支払えば、実質的に夫婦の財産から50万円が流出することになります。

求償権を封じる示談条項が重要

この問題に対処するには、不倫相手との示談書(合意書)の中に「今後、配偶者に対して求償権を一切行使しない」という条項を明記することが有効です。この条項を入れることで、不倫相手が配偶者に対して金銭を請求するルートを法的に封じることができます。横浜の弁護士に依頼する場合、このような実務上のポイントを踏まえた示談書の作成を依頼できます。

なお、求償権の放棄を条件に慰謝料額を少し減額するなどの交渉が行われることもあります。求償権を放棄してもらう代わりに慰謝料を若干低めに設定するという取引的な解決は、実務でもよく見られます。

離婚しない場合の慰謝料請求の流れ

離婚しない場合の不貞慰謝料請求は、一般的に以下の流れで進みます。

1. 証拠の収集・確保

慰謝料請求には不貞行為の証明が必要です。LINEや交際記録、写真、ホテルの領収書、探偵(私立探偵)の調査報告書などが有効な証拠となり得ます。証拠の収集は、相手方に気づかれる前に慎重に行うことが重要です。

2. 請求金額と請求先の検討

配偶者に請求するか、不倫相手に請求するか、あるいは両者に請求するかを判断します。離婚しない場合は、前述のとおり不倫相手のみへの請求が現実的な選択肢となるケースが多いです。

3. 内容証明郵便による請求または交渉

不倫相手に対して内容証明郵便で慰謝料の請求書を送付し、交渉を開始するのが一般的なアプローチです。請求金額、不貞行為の事実、支払期限などを明記します。

4. 示談書(合意書)の作成

交渉が成立した場合、求償権の放棄条項や接触禁止条項を含む示談書を作成します。示談書は後々のトラブルを防ぐためにも、法的に有効な形式で作成することが重要です。

5. 解決しない場合は民事訴訟・調停

交渉が不調に終わった場合、民事調停または不貞行為を原因とする損害賠償請求訴訟(民事訴訟)を起こすことになります。訴訟では証拠の信頼性が厳しく問われますので、証拠収集の段階から弁護士のアドバイスを受けることが望ましいでしょう。

離婚しない場合の慰謝料請求と時効

不貞慰謝料の請求権には時効があります。請求を検討している場合は、時効の期限を意識しておくことが非常に重要です。

時効の種類 期間・起算点
主観的起算点からの時効 不貞行為および不倫相手の存在を知った時から3年(民法第724条第1号)
客観的起算点からの時効 不貞行為が行われた時から20年(民法第724条第2号)
離婚後6か月の特例 離婚と同時または直後に請求する場合、離婚成立から6か月は時効が完成しない(民法第159条準用)

「知った時から3年」の起算点は、不貞行為の事実と不倫相手の氏名・住所などを知った時点とされています。そのため、相手の素性が特定できていない場合には、特定できた時点から3年が原則となります。

また、3年の時効が完成しそうな場合でも、内容証明郵便による請求(催告)を送ることで6か月間の時効の完成猶予(時効の進行を一時的に止める効果)が生じます(民法第150条)。その間に調停申立や訴訟提起を行えば時効の中断(更新)が可能です。時効が迫っている場合は、早急に弁護士に相談することをお勧めします。

まとめ|離婚しない場合の不貞慰謝料、弁護士相談のすすめ

不貞慰謝料は、離婚の有無にかかわらず請求できます。ただし、離婚しない場合には慰謝料の相場が低めになる傾向があること、配偶者への請求が実益を持ちにくい場面があること、不倫相手への請求では求償権の問題が絡むことなど、一般の方が見落としやすい複雑な法律的論点が多く存在します。

特に求償権の問題は、適切に対処しなければ後から予期しないかたちで夫婦の財産が流出するリスクがあります。示談書の内容をどう組み立てるか、証拠の評価、請求額の妥当性など、専門的な判断が求められる局面が多いため、早い段階で弁護士に相談することが解決への近道です。

離婚しないで不貞慰謝料を請求したい方へ

タングラム法律事務所では、不貞慰謝料請求の事案について豊富な実績を有しております。離婚しない場合の慰謝料請求、求償権対策を含む示談書作成、不倫相手への交渉など、横浜を拠点に丁寧にサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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