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不倫相手だけに不貞慰謝料を請求できる?条件・注意点・求償権を横浜の弁護士が解説

不倫相手だけに不貞慰謝料を請求できる?条件・注意点・求償権を横浜の弁護士が解説

不倫相手だけに不貞慰謝料を請求できる?条件・注意点・求償権を横浜の弁護士が解説

2026/04/01

不倫相手だけに不貞慰謝料を請求できる?条件・注意点・求償権を横浜の弁護士が解説

配偶者の不倫が発覚したとき、「配偶者とはやり直したいが、不倫相手には責任をとらせたい」という気持ちを抱える方は少なくありません。夫婦関係の修復を望む場合、配偶者を訴えることに二の足を踏みつつも、相手方にだけは慰謝料を請求したい、というのは自然な感情です。では、法律上、不倫相手だけに慰謝料を請求することはできるのでしょうか。

結論から言えば、不倫相手だけに慰謝料を請求することは法律上可能です。ただし、請求が認められるためにはいくつかの条件があり、また「求償権」という重要な問題も伴います。本記事では、不倫相手のみへの慰謝料請求の条件、請求できないケース、慰謝料の相場、そして示談の際に必ず押さえておくべき求償権の問題について、わかりやすく解説します。

不倫相手のみへの慰謝料請求は法律上可能か

不倫(不貞行為)は、民法709条・710条に定める不法行為に該当します。配偶者と不倫相手は、被害を受けた配偶者に対して「共同不法行為者」として連帯して損害賠償責任を負います(民法719条)。

連帯責任とは、被害者がどちらか一方に全額を請求することも、両方に分けて請求することも自由に選択できるという意味です。「配偶者には請求せず、不倫相手にだけ慰謝料を請求する」ことは、法律上何ら問題のない適法な行動です。実務上も、婚姻関係の修復を望む場合や配偶者に支払い能力がない場合などに、不倫相手のみへの請求はよく見られます。

ポイント:不倫相手と配偶者は連帯責任を負うため、被害者はどちらか一方のみ、または双方に慰謝料を請求することができます。不倫相手だけへの請求は法律上有効です。

不倫相手に慰謝料を請求するための条件

不倫相手への慰謝料請求が認められるためには、次の条件を満たしている必要があります。

①肉体関係(性的関係)があったこと

不貞行為とは、配偶者以外の者との性的関係を指します。精神的なつながりや食事・旅行の同行、SNSでの親密なやり取りがあったとしても、肉体関係を伴わない場合は原則として不貞行為にはあたらないと判断される傾向があります。慰謝料請求にあたっては、まず肉体関係の存在を立証できる証拠を確保することが重要です。

②不倫相手に故意または過失があったこと

不倫相手が、相手(あなたの配偶者)が結婚していると知っていた場合はもちろん、少し注意を払えば既婚者だとわかったにもかかわらず確認を怠った場合にも、過失があるとして慰謝料請求が認められる場合があります。一方、「独身と偽られていた」「信じるに足る状況があった」など、不倫相手が既婚者だと知ることができなかったと判断されるケースでは、請求が認められないことがあります。

③婚姻関係が継続していたこと(破綻していないこと)

不倫行為が始まった時点で、すでに婚姻関係が実質的に破綻していた場合、慰謝料請求が認められない可能性があります。長期別居や離婚協議が進行していた場合は、破綻が主張されることがあるため注意が必要です。

④時効が完成していないこと

不貞行為による慰謝料請求権には時効があります。被害者が「損害および加害者を知った時」から3年間(民法724条1号)、または不貞行為があった時から20年間(同条2号)で時効が完成します。不倫を知ってから3年が経過してしまうと、原則として慰謝料請求が困難になる点に注意が必要です。

不倫相手に慰謝料を請求できないケース

以下のような状況では、不倫相手への慰謝料請求が認められない、または大幅に減額されることがあります。

  • 肉体関係がなかった場合:プラトニックな交際や食事・旅行の同行のみでは、原則として不貞行為にあたらないと判断される傾向があります。
  • 既婚者であることを知らず、かつ過失もなかった場合:不倫相手が独身と信じたことに相当の理由があると認められるときは、請求が認められない可能性があります。
  • 婚姻関係がすでに破綻していた場合:不倫開始前から長期別居や離婚協議が続いていた場合、婚姻関係の平和を侵害したとは言えないとして請求が退けられることがあります。
  • 時効が完成している場合:不倫を知った日から3年を超えている場合は、原則として請求できなくなります。
  • すでに十分な慰謝料を受け取っている場合:配偶者から既に慰謝料の全額を受け取っていた場合、重ねて不倫相手に請求することはできません(二重取りの禁止)。

慰謝料の相場|不倫相手のみへの請求はいくら?

不倫慰謝料の金額は、不倫の態様・期間・婚姻関係への影響・離婚の有無などを総合考慮して判断されます。あくまで目安として、以下のような傾向があります。

状況 慰謝料の目安
不倫発覚・離婚しない(婚姻継続) 50万〜150万円程度
不倫が原因で離婚に至った 100万〜300万円程度
不倫期間が短く関係も軽微 50万円以下となることも
長期・継続的な不倫 200万〜300万円以上になることも

不倫相手のみへの請求でも、慰謝料の総額は「被害者が受けた精神的苦痛への賠償額」を基準に算定されます。離婚しない場合は離婚慰謝料が発生しない分、金額は低くなる傾向があります。

重要判例|2019年最高裁判決が変えた「離婚慰謝料」の扱い

2019年(平成31年)2月19日、最高裁第3小法廷は、不倫により離婚せざるを得なくなったことで生じた精神的苦痛(「離婚慰謝料」)については、「特段の事情がない限り、不倫相手に請求することはできない」との初判断を示しました。

この判決は「離婚するかどうかは夫婦が決めることであり、不倫相手が直接離婚を強いたわけではない」という考え方に基づきます。「不貞行為そのもの(性的関係)への損害賠償」と「離婚それ自体への損害賠償(離婚慰謝料)」は区別すべきであり、後者は原則として不倫相手への請求が認められないことになります。

注意:「特段の事情」として認められ得るのは、不倫相手が被害配偶者に対して強く離婚を迫ったり、執拗に嫌がらせを行い婚姻関係を壊したと認められる場合などです。通常のケースではこの特段の事情の立証は容易ではありません。

この判決以降、不倫相手への慰謝料請求においては、「不貞慰謝料(肉体関係そのものへの賠償)」と「離婚慰謝料(離婚に伴う損害の賠償)」を明確に区別して主張することが実務上より重要になっています。横浜をはじめ全国の弁護士実務でも、この判例を踏まえた請求戦略が求められます。

求償権とは?不倫相手だけに請求した場合に生じるリスク

不倫相手のみに慰謝料を請求する際に、必ず理解しておかなければならないのが「求償権(きゅうしょうけん)」の問題です。

求償権とは、共同不法行為者の一方が自己の責任割合を超えて損害賠償を行った場合に、他方に対して超過分の負担を求める権利です。例えば、不倫相手が慰謝料100万円を全額支払った場合、配偶者に対して「あなたの責任分を負担してほしい」と求償できる可能性があります。

求償権の負担割合の目安

裁判例では、責任割合は配偶者と不倫相手で50対50とされることが多い一方、配偶者が積極的に主導した場合は配偶者70対不倫相手30と判断された例もあります(東京地判平成16年9月3日等)。不倫相手が全額を支払った場合、配偶者に求償できる可能性があり、これが夫婦関係に新たな亀裂を生じさせるリスクとなります。

求償権放棄の合意と示談のポイント

こうした求償権のリスクを回避するために、不倫相手との示談(合意書)において「求償権の放棄」を明記することが実務上の一般的な対応策です。

求償権放棄とは

不倫相手が慰謝料を支払う代わりに、配偶者に対する求償権を放棄することに合意するものです。これにより、慰謝料の精算が示談の一回で完結し、後日不倫相手が配偶者に金銭を請求してくることを防げます。

示談における三者合意の重要性

最も確実な方法は、被害配偶者・不倫相手・配偶者の三者が当事者となる示談契約を締結することです。三者合意が難しい場合も、二者間の示談書に求償権放棄条項と違約金条項を明記することで、一定のリスクヘッジが可能です。

示談書に記載すべき主な事項

  • 慰謝料の金額・支払い方法・期限
  • 求償権放棄の条項
  • 接触禁止・口外禁止条項
  • 違反した場合の違約金条項
  • 清算条項(以後の請求をしない旨の確認)

まとめ|不倫相手のみへの慰謝料請求は弁護士への相談が不可欠

不倫相手だけに慰謝料を請求することは法律上可能ですが、肉体関係の証拠・不倫相手の故意過失・婚姻破綻の有無・時効など複数の要素が請求の成否に影響します。また2019年の最高裁判決により「離婚慰謝料」の不倫相手への請求は原則認められなくなったこと、求償権の問題など、手続きは複雑です。

示談交渉では求償権放棄の条項の作り方や金額交渉など、弁護士の専門的サポートが不可欠です。自己判断で示談書を作成すると後からトラブルになるリスクがあります。不貞慰謝料の請求をお考えの方は、早めに弁護士へご相談ください。横浜をはじめ神奈川・東京エリアの方は、タングラム法律事務所へお気軽にご連絡ください。

不倫相手への慰謝料請求でお悩みの方へ

タングラム法律事務所では、不貞慰謝料請求の事案について豊富な実績を有しております。「不倫相手だけに請求したい」「求償権のリスクが心配」「示談書の作成を任せたい」など、あなたの状況に合わせて最適な解決策をご提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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