タングラム法律事務所

不貞慰謝料における求償権とは?知っておくべき基礎知識を横浜の弁護士が解説

不貞慰謝料における求償権とは?知っておくべき基礎知識を横浜の弁護士が解説

不貞慰謝料における求償権とは?知っておくべき基礎知識を横浜の弁護士が解説

2026/04/02

不貞慰謝料における求償権とは?知っておくべき基礎知識を横浜の弁護士が解説

配偶者が不倫をして、その不倫相手に慰謝料を請求した——そのようなケースで、意外な落とし穴になりうるのが「求償権」です。「慰謝料を受け取ったと思ったら、後から配偶者が不倫相手から求償権を行使されて家庭内でトラブルになった」「不倫相手として慰謝料を支払ったが、不倫した配偶者にも負担分を請求したい」——こうした相談は、横浜の弁護士事務所にも多く寄せられます。

本記事では、不貞慰謝料における求償権の基本的な仕組みから、負担割合の目安、放棄の方法、よくあるトラブルまでを丁寧に解説します。慰謝料請求を検討している方も、すでに請求を受けている方も、ぜひ参考にしてください。

求償権とは何か?不貞慰謝料における法的位置づけ

求償権(きゅうしょうけん)とは、複数の人が連帯して損害賠償義務を負っている場合に、そのうちの一人が被害者に全額(または自己の負担を超える分)を支払ったとき、他の義務者に対してその超過分を取り戻せる権利のことです。民法第442条に規定されています。

不貞行為(いわゆる不倫)の場合、不倫をした配偶者と不倫相手は、被害を受けた配偶者に対して「共同不法行為」(民法第719条第1項)として損害賠償責任を負います。つまり、不倫をした配偶者と不倫相手は連帯して慰謝料を支払う義務を負うため、被害者はどちらか一方、または両方に対して慰謝料の全額を請求することが認められています。

このような構造から、「不倫相手だけに慰謝料を全額支払わせた場合、不倫相手は不倫した配偶者に対して自分の負担分を超えた金額を求償できる」という関係が生じるのです。これが不貞慰謝料問題で求償権が注目される理由です。

【ポイント】被害者は不倫した配偶者・不倫相手のいずれか、または両者に慰謝料の全額を請求できます。ただし、二重取り(合計が損害額を超える請求)は認められません。

求償権が問題になる典型的なケース

求償権が実際に問題となる場面は、主に次のような状況です。

ケース① 不倫相手だけに慰謝料を請求した場合

離婚をしないまま不倫相手だけに慰謝料を請求する場合、不倫した配偶者にも本来責任の一部があるため、不倫相手から配偶者に対して求償権が行使される可能性があります。被害者としては「自分が受け取った慰謝料の一部が、配偶者のもとに戻ってしまう」という不満を感じるケースも少なくありません。

ケース② 不倫相手として慰謝料を支払った後、配偶者への求償を検討する場合

自分が不倫相手として全額または多額の慰謝料を支払った後、不倫した配偶者に対して負担分の一部を求償したいと考えるケースです。この場合、示談書に求償権の放棄条項が記載されているかどうかが重要なポイントになります。

ケース③ 離婚後に不倫相手から求償権を行使されるケース

離婚が成立した後でも、慰謝料に関する求償権は消滅しないため、不倫した元配偶者が不倫相手から求償権を行使されることがあります。「離婚が終わったのにまたトラブルが起きた」という事態を避けるためにも、示談書の内容を慎重に設計することが重要です。

求償権の負担割合(責任割合)はどう決まるのか

求償権を行使する場合、不倫した配偶者と不倫相手がそれぞれ「いくら負担すべきか」を決める必要があります。これを「負担割合(責任割合)」といいます。

一般的には、負担割合は5割ずつ(50対50)を基準としつつ、様々な事情を考慮して変動するとされています。裁判例では、不倫した配偶者側の責任をより重く見る傾向があり、東京地裁平成16年9月3日判決では「配偶者70対不倫相手30」の割合での求償を認め、東京地裁令和3年1月12日判決でも「配偶者60対不倫相手40」の割合が認定されています。

負担割合の判断に影響する主な要素は以下のとおりです。

  • 不倫関係を主導・誘導したのはどちらか
  • 相手が既婚者であることを知っていたかどうか
  • 当事者の年齢・社会的地位・職場上の上下関係の有無
  • 不倫の期間・頻度・深刻さ
  • 一方が相手を誘惑・騙したとする事情の有無

たとえば、既婚の上司が部下を誘い込んだ場合は上司(配偶者)側の責任が重くなる傾向があります。逆に、部下が積極的に働きかけていたと認定されるケースでは、部下(不倫相手)の負担割合が高くなる場合もあります。

具体的な計算例を見てみましょう。慰謝料総額が300万円で、配偶者の負担割合が60%・不倫相手が40%と認定された場合、不倫相手が被害者に300万円全額を支払ったとすると、不倫相手は自分の負担分120万円を超えた180万円を配偶者に対して求償できることになります。

慰謝料総額 配偶者の負担割合 不倫相手の負担割合 不倫相手が全額支払った場合の求償額(目安)
200万円 50%(100万円) 50%(100万円) 100万円
300万円 60%(180万円) 40%(120万円) 180万円
300万円 70%(210万円) 30%(90万円) 210万円
【注意】上記の数字はあくまで計算上の目安です。実際の負担割合は個別の事情によって大きく異なる場合があります。

求償権の放棄とは?示談書への記載方法と注意点

「求償権の放棄」とは、本来行使できる求償権を、示談(和解)の条件として行使しないと約束することです。

慰謝料を請求する被害者の立場から見れば、不倫相手から慰謝料を受け取っても、後から不倫した配偶者に求償権が行使されてその分のお金が配偶者の元に戻ってしまうのは避けたいところです。そのため、示談交渉の場面では、不倫相手に「求償権を放棄する」旨を示談書に記載させることが一般的に行われています。

一方、慰謝料を支払う不倫相手の立場からすると、「求償権を放棄するかわりに慰謝料の金額を減額してほしい」という交渉が成立することもあります。求償権の放棄は、互いにとってバランスのとれた落としどころになりうる重要な交渉材料といえます。

ただし、ここに大きな注意点があります。二者間(被害者と不倫相手)だけの示談書に求償権の放棄条項を入れても、不倫した配偶者(示談の当事者ではない第三者)には基本的に直接の効力が及びません。確実に求償権の問題を解決するためには、三者間(被害者・不倫した配偶者・不倫相手)で合意書を作成するか、不倫した配偶者にも求償権放棄の条項への同意を取り付けることが必要になる場合があります。

求償権に関するよくあるトラブルと注意点

① 示談書に求償権の放棄条項がなかった場合

示談書に求償権の放棄条項が記載されていない場合、後から求償権を行使されてトラブルに発展することがあります。特に、不倫相手だけに慰謝料を全額支払わせた後に、その不倫相手から配偶者に求償権が行使されるケースは実務上も見受けられます。示談書の作成にあたっては、求償権に関する条項を明確に盛り込むことが重要です。

② 求償権にも時効がある

求償権にも消滅時効があります。民法第166条第1項の規定に基づき、権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年で消滅するとされています。ただし、時効の起算点や期間は事案の具体的な事情によって異なる場合があるため、個別の確認が必要です。

③ 求償権の放棄は減額交渉の材料になりうる

慰謝料を請求された不倫相手の立場からすると、「求償権を放棄することを条件に慰謝料を減額してほしい」という交渉は、一定の合理性があります。ただし、適切な減額幅はケースによって大きく異なるため、安易に応じると不利な条件をのまされるリスクもあります。交渉にあたっては、弁護士のサポートを受けながら進めることが望ましいといえます。

④ 求償権行使が家庭内の新たな対立を生むケース

不倫相手から不倫した配偶者に求償権が行使された場合、離婚しないことを選んだ夫婦間で再び金銭的な対立が生じることがあります。「不倫相手に慰謝料を支払わせたつもりが、回りまわって配偶者が支払いを求められた」という事態を防ぐためにも、示談成立の段階で求償権の処理について明確に取り決めておくことが重要です。

まとめ:求償権の問題は弁護士に早期相談を

求償権は、不貞慰謝料の問題を解決する際に見落とされがちながら、後から大きなトラブルに発展する可能性がある重要な権利です。

被害者として慰謝料を受け取る立場であれば、示談書に求償権放棄の条項が適切に盛り込まれているかどうかを必ず確認しましょう。不倫相手として慰謝料を支払う立場であれば、求償権の行使や放棄条件について冷静に交渉することが重要です。いずれの立場でも、示談書の内容が不十分では後のトラブルを招くリスクがあります。

求償権をめぐる問題は、当事者だけで対処しようとすると、気づかぬうちに不利な条件で合意してしまうケースがあります。横浜を中心に不貞慰謝料案件を多く取り扱う弁護士に相談し、示談書の作成・確認から求償権に関する交渉まで、専門家のサポートを得ながら進めることが、問題の早期かつ適切な解決につながるといえるでしょう。

求償権のことも含めて、不貞慰謝料の示談交渉を弁護士に任せませんか?

タングラム法律事務所では、不貞慰謝料請求の事案について豊富な実績を有しております。求償権の放棄条項を含む示談書の作成・確認から、慰謝料減額交渉の対応まで、一括してサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

法律相談の予約はこちら

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

横浜で不貞慰謝料のご相談に対応

横浜で離婚の際の代理交渉に対応

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。