学校・職場でのネットいじめへの法的対処法|削除請求・発信者情報開示・損害賠償を弁護士が解説
2026/04/13
学校・職場でのネットいじめへの法的対処法|削除請求・発信者情報開示・損害賠償を弁護士が解説
「クラスのグループLINEで悪口を書き続けられている」「職場の同僚がSNSに匿名で悪評を投稿している」「学校の裏アカウントで写真を晒された」——そのような被害に遭い、どこに相談すればいいかわからず一人で抱え込んでいる方は少なくありません。
ネットいじめはリアルの嫌がらせと異なり、投稿が拡散して大勢の目に触れる・記録が半永久的に残り続ける・加害者が匿名で特定しにくいという深刻な特徴があります。しかし、適切な法的手続きを踏むことで、投稿の削除や加害者の特定・損害賠償請求を実現できるケースは多くあります。
本記事では、学校・職場でのネットいじめに対して講じられる法的対処法を、いじめ防止対策推進法・プロバイダ責任制限法・2025年4月施行の情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)など最新の法的枠組みも踏まえて解説します。
ネットいじめの主な被害類型
学校・職場を問わず、法的に問題となりうるネットいじめの主な態様は以下のとおりです。
- SNS・LINEグループへの悪口・侮辱的コメントの投稿
- 本人の写真・動画・個人情報の無断掲載・拡散(晒し上げ)
- LINEグループからの意図的な除外・集団無視
- 匿名の裏アカウントや掲示板を使った中傷投稿
- なりすましアカウントの作成・偽情報の拡散
- 転職会議・Glassdoor等の口コミサイトへの虚偽・誇張した悪評(職場)
内容によっては民事・刑事の両面から法的責任を追及できる可能性があります。
ネットいじめに適用される主な法律
①いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)
2013年施行のいじめ防止対策推進法は、学校・教育委員会に対してインターネットを通じたいじめへの迅速な対応を義務付けています。同法第19条では、被害児童・生徒またはその保護者が削除申請や発信者情報の開示請求をするにあたり、法務局・地方法務局の協力を求めることができると定めており、学校のネットいじめには特別な保護が設けられています。
②名誉毀損罪・侮辱罪(刑法230条・231条)
公然と事実を示して他人の名誉を傷つける行為は名誉毀損罪(刑法230条、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)に該当しえます。事実の摘示なく侮辱した場合は侮辱罪(刑法231条)の対象で、2022年の刑法改正により1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に厳罰化されました。罵倒・人格否定といった侮辱的投稿に対しても刑事告訴が現実的な選択肢となっています。
③不法行為に基づく損害賠償(民法709条)
ネットいじめが民事上の不法行為を構成する場合、被害者は加害者に損害賠償を請求できます。認められる損害は精神的損害(慰謝料)のほか弁護士費用なども含まれます。加害者が未成年の場合でも、監督義務を怠った親権者への責任追及(民法714条)が可能です。
④プロバイダ責任制限法(令和4年改正・非訟手続)
2022年10月施行の改正プロバイダ責任制限法により、一度の非訟手続きで発信者情報の開示命令を得られるようになりました。従来の「仮処分→本案訴訟」という2段階手続きが不要となり、学校いじめのような緊急性の高いケースでもより迅速な投稿者特定が目指せます。
⑤情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)2025年4月施行
2025年4月1日に施行された情プラ法は、X(旧Twitter)・Instagram・TikTok・YouTube等の大規模プラットフォームに対し、削除申請への原則7日以内の対応・通知、発信者情報の保存、開示申出窓口の設置などを義務付けています。これにより、被害者が削除申請・開示申請をした際の対応が従来よりも迅速・透明になっています。
学校・職場のネットいじめ被害への対処ステップ
ステップ1:まず証拠を保全する
最優先事項は証拠の保全です。投稿内容は削除される前に、投稿日時・URL・アカウント名(スクリーンネームとアイコン画像)が写り込むようスクリーンショットを撮影してください。複数端末で保存し、クラウドにもバックアップしておくと安心です。
ステップ2:プラットフォームへの削除申請
証拠保全後、投稿掲載先のSNS・サイト運営者に削除を申請します。「名誉毀損」「プライバシー侵害」など権利侵害の根拠を明示することで削除が認められやすくなります。情プラ法対象の大規模プラットフォームは7日以内の対応が義務付けられています。学校いじめの場合は学校・教育委員会への報告も並行して行いましょう。
ステップ3:発信者情報開示請求で加害者を特定する
匿名投稿であっても、弁護士を通じた発信者情報開示請求により、投稿のIPアドレス→プロバイダ経由での氏名・住所の特定が可能です。未成年の投稿者であれば保護者の情報が開示され、親権者への損害賠償請求につながります。IPログの保存期限は数か月〜1年程度のため、早期の相談が不可欠です。
ステップ4:損害賠償請求・示談交渉または刑事告訴
加害者が特定できた後は、弁護士を通じた示談交渉(謝罪・慰謝料の支払い)や民事訴訟による損害賠償請求、あるいは名誉毀損罪・侮辱罪での刑事告訴を検討します。職場でのケースでは、会社の就業規則に基づく加害社員への懲戒処分や、会社の安全配慮義務違反を理由とした使用者責任の追及も考えられます。
| 手続き | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| 証拠保全 | スクリーンショット・URL・投稿日時の記録 | すぐに実施 |
| 削除申請(情プラ法対象) | SNS・サイト運営者へ削除申請 | 申請後7日以内に回答 |
| 発信者情報開示命令申立 | 裁判所を通じてIPアドレス等の開示を求める | 数週間〜数か月 |
| プロバイダへの開示申立 | IPアドレスから氏名・住所を特定 | 数週間〜数か月 |
| 損害賠償請求・示談交渉 | 加害者(保護者)への慰謝料・謝罪要求 | 数か月〜1年以上 |
まとめ——一人で抱え込まず、早めに専門家へ
学校・職場でのネットいじめは「大げさにしたくない」「相手が身近だから躊躇する」という心理から対応が遅れがちです。しかし、IPログには保存期限があり、時間の経過は被害者に不利に働きます。被害に気づいた時点でできるだけ早く弁護士に相談することが、問題を最短で解決する近道です。
弁護士への相談により、証拠保全の適切な方法から削除申請・発信者情報開示・損害賠償請求まで一貫したサポートを受けられます。泣き寝入りせず、まず専門家にご状況をお聞かせください。
学校・職場のネットいじめでお困りの方へ
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