タングラム法律事務所

ロゴ・社名が他社の商標と似ていたら?中小企業が知るべきリスクと対処法|横浜の弁護士が解説

ロゴ・社名が他社の商標と似ていたら?中小企業が知るべきリスクと対処法|横浜の弁護士が解説

ロゴ・社名が他社の商標と似ていたら?中小企業が知るべきリスクと対処法|横浜の弁護士が解説

2026/04/15

ロゴ・社名が他社の商標と似ていたら?中小企業が知るべきリスクと対処法|横浜の弁護士が解説

新しいビジネスを立ち上げたり、ブランドイメージを刷新したりする際に、社名やロゴを新たに考案することは珍しくありません。しかし、デザイン会社に依頼したり自社で考案したりした社名・ロゴが、実は他社によって商標登録されていたという事態は、中小企業・個人事業主の間でたびたび起こっています。

商標権侵害が認定されると、使用の差止めや損害賠償請求を受ける可能性があります。特に、社名やロゴは名刺・ウェブサイト・看板・包装など事業のあらゆる場面で使用されているため、使用中止を余儀なくされた場合の影響は非常に深刻です。横浜を拠点とするタングラム法律事務所の弁護士が、商標トラブルの法的リスクと実践的な対処法をわかりやすく解説します。

1. 商標権とは?——中小企業が知っておきたい基本の仕組み

商標とは、自社の商品やサービスを他社のものと区別するために使用する標識をいいます。文字・図形・記号・立体的形状・色彩・音などが商標として認められており(商標法第2条)、特許庁に出願・登録することで「商標権」として法的に保護されます。

商標権者は、登録した商標を指定した商品・役務(サービス)の区分において独占的に使用できる権利を持ちます(商標法第25条)。登録商標と同一または類似の商標を、指定区分と同一または類似の商品・サービスに無断で使用した場合には、商標権の侵害にあたると解されています(商標法第37条)。

日本の商標制度は「先登録主義」を採用しており、実際に先に使用していたかどうかよりも、先に特許庁に登録申請した者が権利者となるのが原則です。そのため、「以前から自分が使っていた」という主張は、原則として商標権に対抗できません(ただし一定の要件を満たす「先使用権」については後述します)。

ポイント:商号(会社名)を法務局に登記しているだけでは商標権は発生しません。商号登記と商標登録は全く別の制度であり、登記済みの社名であっても、他社の商標権を侵害する可能性があります。

2. ロゴ・社名が他社商標に類似している場合に生じる主なリスク

他社が登録している商標に類似したロゴや社名を使用していると判明した場合、以下のような法的リスクが生じる可能性があります。

リスクの種類 内容 根拠法令
使用差止請求 ロゴ・社名の使用停止を求められる 商標法第36条
損害賠償請求 故意・過失による侵害に対して賠償を求められる 民法第709条、商標法第38条
信用毀損・混同 消費者が両社を混同し、ブランド価値が低下する 不正競争防止法第2条
変更コストの発生 社名・ロゴの変更に伴う各種媒体の更新費用
刑事責任 悪質な場合は商標法違反として刑事罰の対象になり得る 商標法第78条(10年以下の懲役等)

特に損害賠償については、商標法第38条に損害額の推定規定が設けられており、商標権者が損害額を立証しやすい構造となっています。「知らなかった」という事情は、過失の認定を左右することはあっても、賠償責任そのものを免れる理由にはならないと解されています。

3. 「類似」の判断基準——どこまでが商標権侵害となるのか

「うちのロゴはあの会社のとは全然違う」と感じていても、法的には類似と判断されることがあります。商標の類否は、以下の3つの観点から総合的に判断されるとされています。

(1)外観の類似

文字の形状・配色・デザインなど視覚的な印象が似ているかどうかです。図形商標については、全体のイメージや構成要素の配置が重視されます。文字の一部が異なっていても外観が似ていれば類似と判断されることがあります。

(2)称呼(読み方)の類似

商標を声に出して読んだときの音や語調が似ているかどうかです。漢字・カタカナ・アルファベットが異なっていても、読み方が同一または酷似している場合には類似と判断される可能性があります。例えば「ナチュラル」と「ナチュール」のように一音違いでも類似と認定されたケースがあります。

(3)観念(意味合い)の類似

商標が持つ意味・概念が近似しているかどうかです。例えば「太陽」と「Sun」は表記が全く異なりますが、同一の概念を表すため類似と判断されることがあります。

これらのうち一つでも強い類似性が認められれば、類似商標と判断される可能性があります。また、指定する商品・サービスの区分が異なる場合は侵害にならないケースもありますが、著名な商標については区分を越えて保護が及ぶこともあります(いわゆる「周知・著名商標の保護」)。

「先使用権」について:他社が商標登録をする前から継続して日本国内でその商標を使用していた場合、一定の要件を満たせば「先使用権」(商標法第32条)が認められることがあります。ただし、先使用権は要件が厳しく、立証も困難なため、安易に頼ることは避けた方がよいと解されています。

4. 商標権侵害を指摘された場合の対処ステップ

商標権侵害を主張する内容証明郵便が届いた場合や、口頭で警告を受けた場合には、焦らず冷静に対応することが重要です。横浜の弁護士をはじめ知的財産問題を扱う弁護士への相談を早期に行うことをお勧めします。

STEP 1:相手方の主張内容を正確に確認する

どの商標登録番号に基づき、どの使用態様について侵害を主張しているのかを把握します。曖昧な警告の場合は、具体的な根拠を書面で求めることも一つの対応です。

STEP 2:相手方の登録商標の内容をJ-PlatPatで確認する

特許庁の無料データベース「J-PlatPat」(https://j-platpat.inpit.go.jp/)を利用して、相手方が主張する登録商標の内容(登録番号・指定区分・権利者・権利の有効期限など)を確認します。

STEP 3:弁護士・弁理士と類否・対応方針を検討する

自社の使用実態と相手方の登録商標を比較し、本当に侵害に該当するかどうかを専門家と一緒に検討します。侵害が認められない場合は反論、認められる可能性が高い場合は使用中止・ライセンス交渉・和解などの選択肢を検討します。

STEP 4:相手方への回答・交渉を行う

弁護士を通じて相手方に回答します。侵害が認められる場合は早期に誠実な対応をとることで、損害賠償額の縮小や友好的な解決につながることがあります。

注意:相手方からの警告書を受け取っても無視したり、回答を引き延ばしたりすることは、紛争を長期化・深刻化させる可能性があります。受け取った時点でできるだけ早く専門家に相談することが大切です。

5. 商標調査(サーチ)の方法と実施のすすめ

商標トラブルを未然に防ぐ最善の方法は、新しい社名・ロゴ・ブランド名を使用する前に、商標調査を実施することです。

一次調査としては、特許庁の「J-PlatPat」を利用した自社調査が有効です。文字検索・称呼検索・図形分類検索など複数の方法で調べることができ、無料で利用できます。ただし、類否の最終判断は高度な専門知識を要するため、事業上の重要な意思決定(社名の確定・大規模な広告投資など)の前には弁護士や弁理士による専門的な商標サーチを依頼することをお勧めします。

また、出願から登録まで一定の審査期間があるため、出願中(審査待ち)の商標も確認対象に含めることが望ましいといえます。さらに、登録商標の範囲外であっても、著名性の高い商標を使用すると不正競争防止法(第2条第1項第1号・第2号)に基づく差止請求を受けることがある点にも留意が必要です。

6. 自社のロゴ・社名を守るための商標登録のすすめ

商標トラブルへの守りの対策として、自社のロゴ・社名・ブランド名を積極的に商標登録することをお勧めします。登録により、第三者が類似商標を使用した場合に差止請求や損害賠償請求が可能となり、自社ブランドを法的に守ることができます。

商標登録の主な流れは以下のとおりです。特許庁への出願後、方式審査・実体審査を経て(通常出願から登録まで1年程度かかることがあります)、登録が認められれば商標権が発生します。権利の存続期間は登録から10年間で、更新することで継続的な保護を受けることが可能です。

出願の際は、自社が現在および将来にわたって使用する可能性のある商品・サービスの区分を適切に指定することが重要です。区分の選定を誤ると、保護したい範囲をカバーできない事態が生じるため、弁護士・弁理士のサポートを受けながら進めることをお勧めします。

出願費用は区分数によって異なりますが、1区分あたりの特許庁への出願料は3,400円(電子出願の場合)で、これに専門家への依頼費用が加わります。将来的な商標トラブルの回避コストと比較すれば、商標登録は費用対効果の高いリスク管理策と考えられます。

社名・ロゴの商標問題でお困りの中小企業・個人事業主の方、商標調査・登録のご相談は横浜のタングラム法律事務所へ。初回相談でご状況を丁寧にお伺いします。

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本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。具体的な案件については弁護士にご相談ください。掲載情報は執筆時点の法令に基づいており、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。

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