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別居中の不貞行為でも慰謝料は請求できる?条件・判例・注意点を横浜の弁護士が解説

別居中の不貞行為でも慰謝料は請求できる?条件・判例・注意点を横浜の弁護士が解説

別居中の不貞行為でも慰謝料は請求できる?条件・判例・注意点を横浜の弁護士が解説

2026/04/17

別居中の不貞行為でも慰謝料は請求できる?条件・判例・注意点を横浜の弁護士が解説

「夫(妻)と別居してから不倫が発覚した。でも、もう別居しているのに慰謝料を請求できるのだろうか…」と悩んでいる方は少なくありません。別居中に配偶者が不貞行為をしていたと知ったとき、「法的に請求できるのか」「証拠はどう集めればよいのか」という疑問が頭をよぎるのは当然のことです。

別居中の不貞行為に対する慰謝料請求は、「婚姻関係が破綻していたかどうか」という点が最大のポイントになります。この記事では、別居中の不貞慰謝料請求が認められる条件・認められないケース・慰謝料の相場・証拠収集の注意点などを詳しく解説します。状況の整理にお役立てください。

別居中の不貞行為と慰謝料請求の基本的な考え方

不貞行為(配偶者以外の異性との性的関係)は、民法第709条の不法行為に該当し、精神的苦痛を受けた配偶者は慰謝料を請求する権利があります(民法第710条)。しかし、別居中の不貞行為については、「そもそも婚姻関係が続いていたといえるのか」という問題が生じます。

最高裁判所は平成8年3月26日の判決において、「夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、故意または過失がある場合は不法行為責任を負うが、婚姻関係がその当時すでに破綻していたときは、特段の事情がない限り、不法行為責任を負わない」との判断を示しています。つまり、別居中であっても「婚姻関係が破綻していなかった」と評価される状況であれば、不貞慰謝料請求が認められる可能性があります。逆に、婚姻関係がすでに実質的に破綻していた場合は、請求が認められないこともあります。

【ポイント】「別居中=婚姻関係が破綻している」とはなりません。別居の理由・期間・当事者の意思などを総合的に判断して、「破綻していたかどうか」が決まります。

別居中の不貞行為で慰謝料請求が認められやすいケース

以下のような状況では、別居中であっても婚姻関係は破綻していないと判断され、不貞慰謝料請求が認められる傾向があります。

単身赴任・看護・里帰りなどやむを得ない事情による別居

仕事の都合による単身赴任や、親族の介護・看護のため一時的に別居している場合は、夫婦の間に婚姻関係を継続する意思があると認められやすく、その間に配偶者が不貞行為をした場合には慰謝料請求が認められる可能性が高いといえます。里帰り出産のための別居も同様に扱われる傾向があります。

冷却期間・関係修復を目的とした一時的な別居

夫婦間でのトラブルや喧嘩をきっかけに、いったん距離を置くために別居したケースです。このような場合、夫婦どちらかまたは双方に関係を修復しようとする意思が残っていることが多く、「婚姻関係が破綻した」とまでは認められないことがあります。別居期間中も連絡を取り合っていた、生活費の援助があったなどの事実があれば、婚姻関係の継続を示す証拠になります。

別居開始から間もない時期の不貞行為

別居してから比較的短期間のうちに不貞行為が始まった場合、まだ婚姻関係が破綻していないと判断される可能性があります。ただし、別居の理由や当事者双方の意思・行動によっては、早期でも「破綻あり」と認定されることもあるため、一概に「期間が短ければ請求できる」とはいえません。

不貞行為の発覚が別居後だった場合

不貞行為が実際には別居前から行われており、その事実が別居後に発覚したというケースも少なくありません。この場合、不貞行為が行われていた時点での婚姻関係の状況が問題となりますが、別居前から関係が継続していたならば、破綻前の行為として慰謝料請求が認められる余地があります。

別居中の不貞行為で慰謝料請求が認められにくいケース

一方、次のような状況では婚姻関係の破綻が認定されやすく、不貞慰謝料請求が困難になる傾向があります。

夫婦双方が離婚に合意して別居している場合

夫婦間で「離婚しよう」という合意ができており、その前提で別居している場合は、別居前から婚姻関係が実質的に破綻していると判断されやすく、別居後の不貞行為についての慰謝料請求は認められにくくなります。

長期にわたる別居で交流が途絶えている場合

別居が数年に及び、連絡もほとんどなく、生活費の援助もなく、夫婦としての実態がまったくない状況では、婚姻関係はすでに破綻していると判断される可能性が高くなります。ただし、「何年別居すれば自動的に破綻する」という明確な基準はなく、総合的な事情で判断されます。

離婚調停・離婚訴訟が進行中の場合

すでに離婚の法的手続きが進んでいる状態であれば、婚姻関係の破綻が認定されやすい状況といえます。この場合、別居中の不貞行為に対する慰謝料請求は認められないと判断される可能性があります。

【注意】「婚姻関係が破綻している」という主張は、慰謝料を請求された側(配偶者や不倫相手)がよく用いる抗弁です。この抗弁が認められると慰謝料は支払われません。そのため、請求する側としては婚姻関係が継続していたことを示す証拠を確保しておくことが重要です。

婚姻関係の破綻を判断する主な事情

裁判所が婚姻関係の破綻を認定するかどうかは、一律の基準があるわけではなく、さまざまな事情を総合的に考慮して判断されます。主な考慮事項を整理すると以下のようになります。

考慮される事情 破綻を否定する方向(慰謝料請求に有利) 破綻を認定する方向(慰謝料請求に不利)
別居の理由 単身赴任・介護・里帰りなど一時的な事情 感情的対立・離婚を前提とした意思
別居期間 短期間(数週間〜数か月程度) 長期間(数年に及ぶ)
連絡・交流の状況 定期的に連絡・面会している 連絡が途絶えている
生活費の援助 婚姻費用を支払っている 生活費の援助がない
離婚協議・手続きの状況 離婚の話し合いをしていない 離婚調停・訴訟が進行中
双方の意思 どちらかに婚姻継続の意思がある 双方が離婚に合意している

このように、「別居中だから慰謝料が請求できない」という単純な話ではなく、個別の事情によって結論が大きく変わります。横浜をはじめ各地の弁護士に相談し、自身の状況がどのように判断されるかを見極めることが重要です。

別居中の不貞慰謝料の相場

別居中の不貞行為に対して慰謝料請求が認められた場合、金額の目安はどのくらいになるのでしょうか。一般的な傾向としては、以下のような範囲で慰謝料が認定されることが多いようです。

ケース 慰謝料の目安
別居中の不貞・離婚に至った場合 150万〜300万円程度
別居中の不貞・離婚しない場合 50万〜150万円程度
不貞期間が長期・子どもへの影響がある場合 200万〜300万円以上になることも

慰謝料の金額に影響する主な要素としては、婚姻期間の長さ、不貞行為の期間・頻度、子どもの有無・年齢、婚姻関係への影響の深刻さ、相手方の経済力などが挙げられます。別居中という事情は、場合によっては「すでに夫婦関係が冷え切っていた」として減額方向に作用することもありますが、あくまでも個別の事情によります。

別居中の不貞行為の証拠収集における注意点

別居中の不貞慰謝料請求においては、「不貞行為の証拠」に加えて、「婚姻関係が破綻していなかったことを示す証拠」も重要になります。以下の点を意識しながら証拠を確保することが大切です。

不貞行為の証拠

LINEやSNSのメッセージ記録、ホテルや旅行の領収書・予約確認メール、ふたりで写った写真や動画、探偵(私立探偵)の調査報告書などが有効な証拠として機能しやすい傾向があります。ただし、証拠の取得方法によっては違法性が問われることもあるため、収集方法には注意が必要です。

婚姻関係継続を示す証拠

婚姻費用(生活費)の振込記録、別居中のLINEや電話の記録、年賀状・誕生日などの節目での交流記録、子どもの学校行事等への共同参加記録などがあると、「婚姻関係が破綻していなかった」という主張を裏付ける材料になります。

探偵(興信所)への依頼

別居中は物理的に配偶者の行動を把握しにくい状況です。不貞行為の立証に不安がある場合は、専門の探偵・興信所に調査を依頼することも選択肢のひとつです。探偵による調査報告書は、裁判でも証拠として使われることがあります。ただし、費用がかかるため、依頼前に弁護士に相談して必要性を見極めることをお勧めします。

別居中の不貞行為と時効に関する注意点

不貞慰謝料の請求権には時効があります。民法第724条に基づき、「損害および加害者を知った時から3年」で時効が成立します(民法改正により、不法行為から20年で除斥期間も設けられています)。別居中に不貞行為が行われていたことを後から知った場合でも、知った時から3年以内に請求する必要がありますので、早期に弁護士へ相談することをお勧めします。

また、不倫相手に対しても慰謝料を請求できる場合がありますが、不倫相手への請求と配偶者への請求は同時に進めることも可能です。ただし、二重取りはできず、合計額が損害額の範囲内に収まるよう調整されます。

まとめ:別居中の不貞慰謝料請求は弁護士への相談が重要

別居中の不貞行為に対する慰謝料請求は、「婚姻関係がすでに破綻していたかどうか」という点が請求の可否を左右する重要な問題です。破綻の有無は、別居の理由・期間・双方の行動や意思など多くの事情を総合的に判断して決まるため、「別居しているから請求できない」「別居しているから必ず請求できる」という単純な話ではありません。

自分のケースで慰謝料請求が可能かどうかを正確に判断するためには、弁護士への相談が不可欠です。弁護士であれば、個別の事情をもとに請求の見通しを示し、証拠収集の方法や交渉・訴訟の戦略についてもアドバイスを受けることができます。一人で抱え込まず、まずは専門家に話を聞いてもらうことから始めてみてください。

別居中の不貞慰謝料請求についてお悩みの方へ

タングラム法律事務所では、不貞慰謝料請求の事案について豊富な実績を有しております。別居中の不貞行為に関するご相談にも丁寧に対応しております。「請求できるかどうかわからない」という段階でも、ぜひお気軽にご連絡ください。横浜を中心に全国からのご相談に対応しています。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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