不貞慰謝料の請求を無視・放置した場合のリスクと対処法|横浜の弁護士が解説
不貞慰謝料の請求を無視・放置した場合のリスクと対処法|横浜の弁護士が解説
配偶者の不貞行為が発覚し、相手方に内容証明郵便で慰謝料を請求したものの、返答がない——。あるいは逆に、不貞慰謝料の請求を受けてしまったが、金額に納得できず、とりあえず無視しようと考えている——。こうした状況に置かれたとき、「放置したらどうなるのか」という疑問は切実です。
本記事では、不貞慰謝料の請求を無視・放置した場合に生じるリスクを「請求する側」「請求される側」の双方の立場から整理し、それぞれが取るべき対処法を横浜の弁護士がわかりやすく解説します。慰謝料問題は放置すればするほど状況が悪化することが多く、早期の対応が極めて重要です。
不貞慰謝料の請求書・内容証明とは何か
不貞慰謝料の請求は、多くの場合まず「内容証明郵便」という形式で行われます。内容証明郵便とは、郵便局が「誰が・いつ・どのような内容の文書を送ったか」を証明してくれる郵便の一種です。法的な強制力——つまり相手に支払いを強制する効力——は持ちません。あくまで「請求した事実」を証明するための手続きです。
ただし、内容証明には非常に重要な法的効果が一つあります。それが「時効の完成猶予」です。民法第150条により、内容証明による催告を行うと、その時点から6か月間、時効の完成が猶予されます。この効果を活かして訴訟など強力な手続きに移行することが、実務上の標準的な流れとなっています。
請求される側|無視・放置するとどうなるか
慰謝料の請求書や内容証明を受け取ったにもかかわらず、これを無視・放置した場合、段階的に深刻な事態へと発展していきます。
①交渉の機会を失う
内容証明郵便の段階は、まだ「交渉による解決」が十分に可能な段階です。この時点で誠実に対応し、弁護士に依頼するなどして減額交渉を進めれば、双方が納得できる金額で示談が成立する可能性があります。無視を続けると、請求する側は「話し合いが通じない」と判断し、直接訴訟に踏み切るケースが増えます。交渉の余地が失われれば、裁判所が金額を決定することになり、自分に有利な事情を主張する機会が狭まる傾向があります。
②訴訟(裁判)を提起される
交渉が決裂した場合や、そもそも返答すらない場合、相手方は地方裁判所または簡易裁判所に訴訟を提起することができます。訴状が裁判所から届いた時点で、無視という選択肢はほぼ消えます。訴状には「答弁書の提出期限」と「第一回口頭弁論期日」が記載されており、これを無視すると「欠席裁判」となります。
③欠席判決が下される
欠席裁判では、被告(請求された側)が反論の機会をみずから放棄した状態となり、裁判所は基本的に原告(請求する側)の主張を認める判決を下す傾向があります。減額を求める事情——たとえば婚姻関係が既に破綻していた事実、不貞行為への関与度が低かったこと、生活困窮の状況など——は一切考慮されません。結果として、請求どおりあるいはそれに近い高額の慰謝料支払い命令が確定するリスクがあります。
④強制執行による財産差押え
判決が確定すると、相手方はその判決文を「債務名義」として強制執行手続きに移行できます。具体的には、銀行口座の預金の差押え、給与の差押え(原則として手取りの4分の1まで)、不動産・自動車等の財産の差押えといった措置が取られる場合があります。こうした強制執行は、本人の同意なしに行われるため、気づいたときには口座が凍結されているという事態も起こりえます。
請求する側|無視された場合の対処法
逆に、内容証明を送ったにもかかわらず相手方から何の返答もない、という場合も少なくありません。この場合に取るべき手順を解説します。
①再度の催告・弁護士名義での通知
まず、弁護士に依頼して弁護士名義での催告書を送付する方法があります。弁護士名義の通知が届くと、相手方が問題の深刻さを認識して対応を始めるケースがあります。また、内容証明による催告は時効の完成を6か月間猶予しますが、その6か月以内に訴訟などの手続きを取らないと猶予効果が消えてしまう点に注意が必要です。
②民事調停の申立て
家庭裁判所に「民事調停」(当事者双方が合意できれば裁判手続きが不要で解決する制度)を申し立てることも選択肢の一つです。ただし、相手方が調停に出席しない場合は調停不成立となるため、最終的には訴訟に移行せざるを得ないことがあります。
③訴訟の提起
交渉・調停で解決できなければ、最終手段として通常訴訟を提起します。訴訟では、不貞行為の事実・損害・因果関係を証拠によって立証する必要があります。裁判所が認容した判決が確定すれば、前述のとおり強制執行が可能となります。
④時効の管理を怠らない
慰謝料請求権には時効があります。民法第724条により、「損害および加害者を知った時から3年」または「不貞行為時から20年」のいずれか早い時点で時効が完成します。内容証明による催告を行っても、6か月以内に訴訟等の手続きを取らなければ、時効の完成が猶予されるだけで時効が更新(リセット)されるわけではありません。放置し続けることで請求権を失うリスクがあるため、時効管理には十分な注意が必要です。
無視・放置が招くリスク一覧表
| 立場 | 放置した場合のリスク |
|---|---|
| 請求された側 | 交渉機会の喪失・欠席判決・高額慰謝料の確定・強制執行(預金・給与差押え) |
| 請求する側 | 時効完成による請求権消滅・証拠散逸・請求困難化 |
裁判所からの書類が届いた場合の注意点
突然、裁判所から「訴状」や「支払督促」が届いたという相談は横浜の弁護士のもとにも多く寄せられます。こうした書類には必ず「期限」が設定されており、期限を過ぎると取り返しのつかない結果を招く場合があります。
訴状が届いた場合、「答弁書」を定められた期限内に提出しないと、第一回口頭弁論期日において欠席したものとみなされる可能性があります。一方、「支払督促」が届いた場合は、受取から2週間以内に「異議申立て」を行わないと仮執行宣言が付与され、強制執行の対象となってしまいます。いずれも時間的余裕はほとんどなく、書類を受け取ったらすぐに弁護士に相談することが重要です。
慰謝料問題を「放置」してしまう心理と注意点
不貞慰謝料の請求を受けた方が無視・放置してしまう背景には、「請求額が不当に高く、認める気になれない」「対応するのが怖い・面倒だ」「時間が経てば忘れてもらえるかもしれない」といった心理が働くことがあります。これは自然な心情ですが、法律の世界では放置はほぼ例外なく不利な結果を招きます。
請求された慰謝料の金額が実際に高すぎる場合でも、弁護士に依頼して適切に交渉・反論することで減額できる余地は十分にあります。重要なのは、「認めたくない」という気持ちと「法的に対応する」という行動を切り離して考えることです。無視は問題を消滅させるのではなく、むしろ深刻化させます。
まとめ|早期の弁護士相談が解決への近道
不貞慰謝料の問題は、請求する側・される側のいずれにとっても、放置・無視という選択がリスクを増大させます。請求する側は時効や証拠散逸のリスクがあり、請求された側は欠席判決や強制執行という取り返しのつかない事態に発展する可能性があります。
早い段階で弁護士に相談することで、請求する側は適切な法的手続きを選択して確実に権利を守ることができます。請求された側も、適切な減額事由を主張しながら交渉・訴訟対応ができます。横浜をはじめとする各地で、不貞慰謝料問題の早期解決に向けた取り組みが弁護士によって行われています。「どうすればよいかわからない」という段階でも、気軽に法律相談を活用してください。
不貞慰謝料の請求・対応でお困りの方へ
タングラム法律事務所では、不貞慰謝料請求の事案について豊富な実績を有しております。請求を無視されてお困りの方、請求を受けて対応に迷われている方、いずれのケースでも横浜の弁護士が丁寧にご対応いたします。まずはお気軽にご相談ください。
法律相談の予約はこちら※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。