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合同労組から団体交渉を申し込まれたら?会社の対応を弁護士が解説

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合同労組から団体交渉を申し込まれたら?会社の対応を弁護士が解説

合同労組から団体交渉を申し込まれたら?会社の対応を弁護士が解説

合同労組から団体交渉を申し込まれたら?会社の対応を弁護士が解説

ある日突然、外部の労働組合から「団体交渉申入書」が内容証明郵便で届く——。従業員数十人ほどの中小企業や、個人で店舗を営む事業者にとって、これは大きな驚きと不安を伴う出来事です。「うちには労働組合なんてないはずだ」「辞めた社員のことなのに、なぜ組合が出てくるのか」と戸惑う経営者の方は少なくありません。こうした申し入れの多くは、企業の枠を超えて個人でも加入できる「合同労組(ユニオン)」によるものです。

団体交渉への対応を誤ると、不当労働行為として労働委員会に救済を申し立てられたり、事務所前での街宣活動に発展したりするおそれがあります。一方で、初動を冷静に行えば、多くのケースは交渉によって解決の道が開けます。この記事では、団体交渉を申し込まれた中小企業が押さえておくべき基本の考え方、申入書が届いたときの初動対応、誠実交渉義務の中身、やってはいけない対応と法的リスクを、横浜の弁護士が解説します。

合同労組(ユニオン)とは?なぜ突然申し入れが来るのか

合同労組(ユニオン)とは、特定の企業の内部に組織される「企業別労働組合」とは異なり、地域や職種を単位として、企業の枠を超えて労働者が個人単位で加入できる労働組合をいいます。「地域ユニオン」「合同労働組合」「コミュニティ・ユニオン」などと呼ばれることもあります。

中小企業に社内の労働組合がなくても、従業員が1人で外部のユニオンに加入すれば、そのユニオンが会社に対して団体交渉を申し入れてくることがあります。申し入れのきっかけとして多いのは、解雇や雇止め、未払い残業代、ハラスメント、退職をめぐるトラブルなどです。従業員が在職中に加入するケースだけでなく、退職した元従業員が退職後に加入し、在職中の問題について交渉を求めてくるケースも珍しくありません。

ここで重要なのは、合同労組も労働組合法上の「労働組合」にあたり、憲法第28条が保障する団結権・団体交渉権を有しているという点です。社内の組合でないからといって、あるいは組合員が自社に1人しかいないからといって、団体交渉を軽視してよいわけではありません。

団体交渉は拒否できる?——団交拒否は不当労働行為(労働組合法第7条第2号)

まず押さえるべき大原則は、使用者が正当な理由なく団体交渉を拒否することは、労働組合法第7条第2号が禁止する「不当労働行為」にあたるということです。同号は、使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なく拒むことを禁じています。合同労組が相手であっても、労働組合法上の労働組合である以上、この規律は同じように及ぶと解されています。

ここでいう「拒否」には、交渉のテーブルに一切つかない場合だけでなく、形式的に席には着くものの、誠実に交渉しようとしない態度も含まれます。これを「不誠実団交」といいます。つまり、「とりあえず会うだけ会って、あとは何も答えない」という対応も、団交拒否と同様に不当労働行為と評価されるおそれがあるのです。

会社が交渉に応じるべき「義務的団交事項」とは

使用者が誠実に交渉すべき義務を負う事項を「義務的団交事項」といいます。一般に、賃金・労働時間・解雇・配置転換といった組合員の労働条件に関する事項や、労使関係の運営に関する事項のうち、使用者が処分・決定できるものがこれにあたると解されています。逆に、経営者個人の思想や、使用者の権限が及ばない事項などは、必ずしも義務的団交事項にはあたらないと整理されています。

申入書が届いたら最初にすべきこと(初動対応)

団体交渉申入書が届いたとき、最も避けるべきなのは「無視すること」と「感情的にその場で回答してしまうこと」です。初動での落ち着いた対応が、その後の展開を大きく左右します。以下は、初動で意識したい対応の整理です。

やるべきこと 避けるべきこと
申入書の内容(交渉事項・日時・場所の指定)を正確に確認する 申し入れを無視・放置する
指定された回答期限や交渉日を確認し、無理があれば誠実に日程調整を申し入れる 組合側が一方的に指定した日時・場所を検討せず即拒否する
問題となっている事実関係を社内で早急に把握・整理する 担当者が単独で口頭の約束をしてしまう
早い段階で弁護士に相談し、対応方針を決める 「組合とは交渉しない」と門前払いする

特に、組合が指定してきた交渉の日時・場所については、応じられない事情があれば、頭ごなしに拒否するのではなく、代替日を提案するなど誠実に調整する姿勢が求められます。日程調整の申し入れ自体は不当な拒否にはあたらないと解されていますが、調整を装って引き延ばしを続けると不誠実と評価されるおそれがあるため注意が必要です。

誠実交渉義務の中身と「やってはいけない対応」

使用者は、団体交渉において誠実に交渉する義務(誠実交渉義務)を負うと解されています。これは、単に交渉に応じるだけでなく、組合の要求や主張に対し、必要な資料を示したり根拠を説明したりして、合意達成の可能性を模索する義務をいうと理解されています。もっとも、組合の要求どおりに合意しなければならないわけではありません。使用者に「譲歩義務」や「合意義務」まではないと解されており、十分に議論を尽くした結果として折り合わないこと自体は問題ではなく、誠実に協議したかどうかが問われます。

実務上、不誠実団交と評価されやすい典型的な対応としては、次のようなものが挙げられます。

  • 回答権限のない担当者だけを出席させ、「持ち帰る」ばかりで実質的な回答をしない
  • 組合の質問に対して具体的な根拠や資料を示さず、抽象的な回答に終始する
  • 合理的な理由なく交渉を長期間先延ばしにする、または一方的に打ち切る
  • 組合員であることを理由に不利益な取扱いをほのめかす

これらは、後に労働委員会で不当労働行為と認定される要因になりやすい対応です。一方で、感情的なやり取りに巻き込まれず、事実と法律に基づいて淡々と協議を進めることが、結果的に会社を守ることにつながります。

団体交渉当日の進め方と落としどころ

団体交渉の当日は、あらかじめ社内で事実関係と会社としての立場を整理し、「回答できること」「持ち帰って検討すべきこと」「回答できないこと」を切り分けておくことが大切です。その場の勢いで確約してしまうと、後で撤回できず不利な立場に立たされることがあります。録音の可否、参加人数、開催時間の目安などのルールを冒頭で確認しておくと、交渉が過熱するのを防ぎやすくなります。社長の出席は必須ではありませんが、交渉事項を実質的に判断できる権限のある者が出席する必要があります。弁護士を代理人として同席させることも可能で、論点整理や過熱防止の面で有効に機能することがあります。

多くの事案では、金銭的な和解(解決金の支払い)や、就業環境・労働条件の改善などを内容とする合意によって決着します。合意が成立した場合には、その内容を書面(協定書・合意書)にまとめ、清算条項(当該紛争について他に債権債務がないことの確認)を入れておくことで、蒸し返しを防ぎやすくなります。労働条件の見直しが必要になった場合には、就業規則の作成・変更とあわせて社内体制を整えることも検討に値します。

対応を誤った場合のリスク

団体交渉への対応を誤った場合、会社は複数のリスクにさらされます。第一に、正当な理由のない団交拒否や不誠実団交は不当労働行為にあたり、組合は労働委員会に救済を申し立てることができます。労働委員会の審査で不当労働行為と認められれば、団体交渉に誠実に応じるよう命じる救済命令などが出されることがあります。

第二に、交渉が決裂したり対応がこじれたりすると、会社の事務所や取引先の前でのビラ配布・街宣活動、SNSでの情報発信といった組合活動に発展し、企業の評判(レピュテーション)に影響が及ぶことがあります。第三に、未払い残業代や解雇の有効性といった個別の法的紛争が、労働審判や訴訟へと移行する可能性もあります。ハラスメントが背景にある場合には、会社のハラスメント対応と法的責任の観点からの検討も欠かせません。

不当労働行為の救済制度や罰則の適用は、事案の内容や労働委員会・裁判所の判断によって異なります。個別の対応にあたっては、労働委員会(各都道府県労働委員会)や弁護士など専門家に確認することをおすすめします。

よくある質問

退職した元従業員が加入したユニオンからの団体交渉も応じる必要がありますか?

解雇や未払い賃金など在職中の労働条件に関する事項であれば、退職者が加入したユニオンからの団体交渉であっても、使用者は誠実に応じるべき義務を負うと解されています。退職者であることのみを理由に交渉を拒否すると、団交拒否として不当労働行為に該当する可能性があります。

組合員が社内に1人しかいなくても団体交渉に応じる義務はありますか?

労働組合法上の労働組合であれば、組合員が1人であっても使用者は団体交渉に応じる義務を負うと解されています。合同労組(ユニオン)は企業の枠を超えて個人単位で加入できる組合であり、自社の従業員が1人だけ加入している場合でも、その従業員の労働条件に関する事項は交渉の対象になります。

団体交渉の場に社長が出席しなければなりませんか?

社長本人の出席は法律上必須ではありません。ただし、交渉事項について実質的に判断・回答できる権限のある担当者が出席する必要があります。決定権限のない者だけを出席させ、実質的な回答をしないと、誠実交渉義務違反と評価されるおそれがあります。弁護士を代理人・同席者として立てることも可能です。

団体交渉を続けても合意できない場合、いつまで交渉を続けるのですか?

使用者は合意すること自体を義務づけられているわけではなく、誠実に交渉する義務を負うにとどまります。互いに主張と根拠を出し尽くし、これ以上交渉を重ねても進展する見込みがない状態に至った場合には、交渉を打ち切っても直ちに不当労働行為にはならないと解されています。ただし打ち切りの判断は慎重に行う必要があります。

団体交渉の申し入れを無視するとどうなりますか?

申し入れを無視・放置することは、正当な理由のない団交拒否として不当労働行為に該当する可能性が高いです。組合は労働委員会に救済を申し立てることができ、団体交渉に応じるよう命じる救済命令が出されることがあります。街宣活動やビラ配布などにつながる場合もあり、放置は状況を悪化させるおそれがあります。

まとめ

合同労組(ユニオン)からの団体交渉申し入れは、多くの中小企業にとって初めての経験であり、不安の大きい出来事です。しかし、押さえるべき原則はシンプルです。正当な理由のない団交拒否は不当労働行為にあたること、使用者は誠実に交渉する義務を負うが合意まで強制されるわけではないこと、そして初動での無視や感情的な対応が最も危険であること——この3点です。

団体交渉は、背後に解雇・残業代・ハラスメントといった個別の法的問題を抱えていることが多く、その論点を正確に把握したうえで交渉の落としどころを設計することが、早期解決の鍵になります。弁護士に相談すれば、申入書の受領直後から対応方針を立て、代理人として交渉に同席し、合意書の作成までを一貫してサポートすることができます。事態が大きくなる前に、横浜の弁護士など労働問題に詳しい専門家に早めに相談することをおすすめします。関連して、採用内定取消をめぐる会社の対応など、労務トラブル全般への備えも見直しておくとよいでしょう。

合同労組・団体交渉への対応にお困りではありませんか?

タングラム法律事務所では、企業法務(契約書レビュー・労務・法改正対応等)について、中小企業・個人経営の事業者向けに豊富な実績を有しております。合同労組からの団体交渉申し入れへの初動対応から、交渉への同席、合意書の作成まで、使用者側の立場に立って一貫してサポートいたします。

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※本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。具体的な案件については弁護士にご相談ください。

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