不貞慰謝料を支払ってもらえない場合の対処法と強制執行|横浜の弁護士が解説
2026/05/05
不貞慰謝料を支払ってもらえない場合の対処法と強制執行|横浜の弁護士が解説
不貞行為(不倫)による精神的苦痛を受け、勇気を出して慰謝料を請求したにもかかわらず、相手が無視する、または一度合意したのに支払われないという状況は、非常に理不尽で辛いものです。「請求したのに何も進まない」「示談書を交わしたのにお金が振り込まれない」といった悩みを抱えた方は少なくありません。
本記事では、不貞慰謝料を請求したにもかかわらず支払われない場合に取ることができる法的手段を段階ごとに解説します。示談前の無視への対応から、示談後の不払い、さらには強制執行・財産差押えまで、横浜の弁護士がわかりやすく説明します。
不貞慰謝料を無視された場合とは?段階別に状況を整理する
「支払われない」と一口に言っても、その状況は大きく二つに分かれます。
一つ目は、示談(合意)前の段階で請求を無視されているケースです。内容証明郵便で慰謝料請求書を送ったにもかかわらず、相手方から何の返答もなかったり、「そんな義務はない」と拒否されたりしている状態です。
二つ目は、示談後に支払いが滞るケースです。示談書や公正証書を作成し一度は合意したにもかかわらず、約束の期日に支払いが行われない、または途中から分割払いが止まってしまった状態です。
それぞれで取り得る手段が異なりますので、以下で段階別に説明します。
示談前に無視されている場合の対処法
①弁護士名義での催告書の送付
個人名で送付した内容証明が無視されている場合でも、弁護士名義で改めて催告書(通知書)を送ることで、相手方が真剣に対応せざるを得なくなる場合があります。弁護士が代理人となることで、「本格的な法的手続きに移行する意思がある」と伝わり、示談交渉のテーブルに着く相手も少なくありません。
②調停・訴訟への移行
催告を重ねても進展がない場合、裁判所を利用した手続きに移行することを検討します。選択肢としては、家庭裁判所での「調停」か、地方裁判所・簡易裁判所への「訴訟提起」のいずれかが主な方法です。
調停は話し合いを基本とするため強制力はありませんが、費用が低く、合意に至れば調停調書が作成され強制執行の根拠となります。訴訟は費用・時間がかかる一方、相手が無視しても欠席判決(原告の主張通りの判決)が出る可能性が高く、確実性があります。
示談後に支払われない場合の対処法
公正証書がある場合は即時強制執行が可能
「強制執行認諾文言付き公正証書」を作成していた場合、改めて訴訟を起こすことなく、そのまま強制執行の申立てを行うことができます。これは公正証書が判決と同様の効力を持つためであり、不払いが発生した際に最も迅速に対応できる手段です。
たとえば月々の分割払いを3回以上怠った場合に「期限の利益を喪失し、残額全額を直ちに支払わなければならない」と定めた「期限の利益喪失条項」が公正証書に盛り込まれていれば、滞納時点で残額全額を一括請求できます。
通常の示談書のみの場合は訴訟が必要
私的に作成した示談書(合意書)しかない場合は、公正証書のような強制執行力がありません。不払いが生じた場合には、示談書を証拠として訴訟を提起し、判決を得てから強制執行を申立てる手順が必要となります。
強制執行の具体的な方法:何を差し押さえられるか
判決や公正証書を手に入れたら、相手方の財産に強制執行を申立てることができます。主な差押えの対象は以下の通りです。
| 差押えの対象 | 手続き先 | 注意点 |
|---|---|---|
| 預貯金(銀行口座) | 裁判所→金融機関 | 口座のある金融機関と支店名を特定する必要がある |
| 給与(賃金) | 裁判所→勤務先 | 手取り額の4分の1まで差押え可能(民事執行法152条) |
| 不動産(土地・建物) | 裁判所(競売申立て) | 競売手続きは時間がかかる場合がある |
なお、差押えを実行するためには相手方の財産情報(口座番号、勤務先など)を把握している必要があります。情報が不明な場合は、後述の「財産開示手続」「第三者情報取得手続」を活用します。
相手の財産がわからない場合:財産開示手続と第三者情報取得手続
強制執行をしたくても、相手の勤務先や銀行口座が不明という場合があります。そのような場合に有効なのが、2020年4月に施行された改正民事執行法による新制度です。
財産開示手続(民事執行法196条以下)
判決等の債務名義を持つ債権者の申立てにより、裁判所が債務者(支払い義務者)を呼び出し、保有する財産について陳述させる手続きです。改正前は実効性が低い制度でしたが、2020年の改正により、手続きへの不出頭や虚偽陳述に対して6か月以下の懲役または50万円以下の罰金(刑事罰)が科されるようになり、実効性が大幅に向上しました。
第三者情報取得手続(民事執行法204条以下)
債務者からではなく、第三者(金融機関・市区町村・登記所・勤務先)から直接情報を取得できる新しい制度です。具体的には以下の情報を取得できます。
- 預貯金情報:金融機関から口座の有無・残高情報を取得
- 給与情報(勤務先):市区町村・日本年金機構から勤務先情報を取得
- 不動産情報:登記所から不動産の保有状況を取得
これにより、「相手の口座がどこにあるかわからない」「どこに勤めているか不明」という場合でも、法的手続きを通じて調査できるようになりました。横浜をはじめ全国の弁護士がこの制度を活用し、確実な債権回収に向けたサポートを行っています。
時効に注意:判決後の時効期間は10年
判決や公正証書で慰謝料の支払いが確定した後も、強制執行をしないまま放置すると時効が問題になります。確定判決に基づく債権の消滅時効は10年(民法169条)と定められています。ただし、時効が完成する前に強制執行の申立てを行うことで時効は更新(リセット)されます。
また、示談書の段階(判決前)では、不法行為に基づく不貞慰謝料の消滅時効は原則として「損害および加害者を知った時から3年」です。相手が支払いを先延ばしにしている間に時効が完成するリスクもありますので、早期に法的手続きを検討することが重要です。
まとめ:弁護士に早期相談することが最善の対処法
不貞慰謝料を支払ってもらえない場合、状況に応じて取るべき手段は異なります。示談前なら弁護士名義での催告・訴訟提起、示談後なら公正証書があれば即時強制執行、示談書のみであれば訴訟を経て強制執行と、段階的に対応していくことが基本です。
いずれの場面においても、相手方の財産情報の把握、適切な書類の準備、時効管理など、専門的な知識と経験を要します。特に強制執行は手続きが複雑なため、弁護士に依頼することで手続きの正確性が担保され、より確実に慰謝料を回収できる可能性が高まります。横浜の弁護士への早期相談が、解決への最短ルートとなることが多いといえます。
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