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不貞慰謝料の公正証書を作成するメリットと手続き|横浜の弁護士が解説

不貞慰謝料の公正証書を作成するメリットと手続き|横浜の弁護士が解説

不貞慰謝料の公正証書を作成するメリットと手続き|横浜の弁護士が解説

2026/04/30

不貞慰謝料の公正証書を作成するメリットと手続き|横浜の弁護士が解説

不貞行為(不倫)が発覚し、ようやく相手方との示談がまとまりそう、あるいはすでに示談書を取り交わしたという方は少なくありません。しかし、単に私文書(自分たちで作成した示談書)を交わしただけでは、後日「やはり支払えない」と言われたときに、すぐに回収できないという大きなリスクが残ります。そのリスクを減らす有効な手段のひとつが、公正証書の作成です。

この記事では、不貞慰謝料に関する示談において公正証書を作成することのメリット、具体的な手続きの流れ、費用の目安について、横浜の弁護士の視点からわかりやすく解説します。示談後の安全策を検討されている方、あるいはこれから示談交渉に臨もうとされている方の参考になれば幸いです。

公正証書とは?基本的な仕組みを理解する

公正証書とは、法務大臣に任命された公証人が当事者の間で合意された内容をもとに作成する公的な文書です。公証人は、裁判官や検察官などの経験を持つ法律の専門家であり、各地の公証役場に常駐しています。

公正証書の特徴は、通常の私文書(当事者同士が作成する示談書など)とは異なり、高い証明力と強力な法的効力を持つ点にあります。特に「強制執行認諾文言」を付した公正証書(金銭の支払いを目的とする契約に限ります)は、裁判所の確定判決と同等の「債務名義」として機能します。これにより、相手が約束を破った場合でも、新たな裁判を起こすことなく、直ちに強制執行(財産の差押え等)の手続きに移ることができます。

なお、公正証書の原本は作成された公証役場に原則として20年間保管されます。私文書のように紛失・改ざんされるリスクがなく、必要なときに謄本(写し)の交付を受けることができます。

不貞慰謝料の示談で公正証書を作成するメリット

不貞慰謝料に関する示談において公正証書を作成することには、いくつかの重要なメリットがあります。

メリット1:慰謝料の支払いが滞った場合に裁判なしで強制執行できる

最大のメリットは、支払いが滞ったときの対応の速さです。通常、相手が約束した慰謝料を支払わない場合は、まず調停や訴訟を提起し、確定判決などの「債務名義」を得た上で強制執行を申し立てる必要があります。この手続きには半年〜1年以上の時間と費用がかかる場合があります。

一方、強制執行認諾文言付きの公正証書があれば、訴訟を経ることなく、給与・預貯金・不動産など相手方の財産を直接差し押さえることが可能になります。分割払いを認める内容で示談する場合は特に、公正証書化の実益が大きいといえます。

メリット2:支払意思の確認と心理的抑止力になる

公正証書は公証人という第三者が立ち会い、本人確認を行った上で作成されます。相手が「そんな約束をした覚えはない」「無理やり署名させられた」などと主張しにくくなるという心理的な抑止力があります。また、公正証書の作成に協力すること自体が、相手が誠実に支払う意思を持っていることのひとつの証となります。

メリット3:原本が公証役場で安全に保管される

私文書として作成した示談書は、当事者の手元に保管するしかなく、紛失・破損・改ざんのリスクがあります。公正証書の場合、原本は公証役場で厳重に保管され、当事者はいつでも謄本(正謄本・謄本)の交付申請をすることができます。万が一手元の謄本を紛失しても、公証役場から再交付を受けることが可能です。

メリット4:接触禁止条項や誓約事項も公正証書に盛り込める

慰謝料の支払いに加え、「今後一切配偶者(または相手方)と接触しないこと」「違反した場合は違約金○○万円を支払うこと」といった接触禁止条項を公正証書に盛り込むことが可能です。こうした誓約事項も公正証書として残しておくことで、将来的なトラブルへの対応力が高まります。

【ポイント】なお、公正証書に「強制執行認諾文言」が有効に機能するのは、金銭の支払いを目的とする条項(慰謝料・違約金等)に限られます。「接触しないこと」などの行為義務については強制執行の対象外となる場合があるため、ご注意ください。

強制執行認諾文言とは?その重要性と具体的な効果

公正証書を作成する際に特に重要なのが、「強制執行認諾文言(きょうせいしっこうにんだくもんごん)」です。これは、「債務者が本公正証書に記載された金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する旨認諾する」といった内容の文言で、公正証書にこれが記載されることで初めて当該公正証書が「債務名義」としての効力を持ちます。

強制執行認諾文言がない公正証書(例:当事者間の合意内容を記録しただけのもの)は、証明力は高いものの、それ自体では強制執行の申立てを行うことができません。不貞慰謝料に関する示談書を公正証書化する場合は、必ずこの文言を盛り込むよう、弁護士や公証人に確認することが重要です。

実際に強制執行を行うには、公証役場で「執行文の付与」を受ける必要があります(手数料は1件につき1,700円程度)。その上で、裁判所に強制執行の申立てを行い、相手方の給与・預貯金・不動産等の差押えが可能となります。

公正証書を作成するための手続きと流れ

公正証書の作成手続きは、以下のような流れで進みます。

ステップ1:示談内容の確定

まず前提として、慰謝料の金額・支払方法(一括または分割)・支払期限・接触禁止条項の有無・違約金の定めなど、公正証書に記載すべき示談内容を当事者間で確定させる必要があります。この段階で弁護士に依頼していれば、法的に有効かつ漏れのない内容を確認してもらえます。

ステップ2:公証役場への事前相談・申込み

示談内容が固まったら、最寄りの公証役場に連絡し、公正証書を作成したい旨を伝えます。担当の公証人が割り当てられ、事前に合意内容の案を提出して内容確認や調整を行います。通常、申込日当日に公正証書が作成されるケースはほとんどなく、打ち合わせや書類準備に一定の期間を要します。なお、2025年10月以降は公正証書の手続きのオンライン化が進み、一部の手続きについてはオンラインで対応が可能となっています(詳細は各公証役場にご確認ください)。

ステップ3:必要書類の準備

公正証書作成に際して一般的に必要となる書類は、当事者が個人の場合、おおむね以下のとおりです。

  • 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等の写真付き公的身分証明書、またはパスポートと印鑑登録証明書の組み合わせ等)
  • 実印および印鑑登録証明書(求められる場合)
  • 示談書・合意内容の案(公証人との打ち合わせに使用)
  • 代理人が作成する場合は委任状(当事者本人が作成・署名・捺印したもの)および代理人自身の本人確認書類

必要書類は公証役場や事案によって異なりますので、事前に担当公証人に確認しておくことをおすすめします。

ステップ4:公正証書の作成・署名・捺印

指定された日時に当事者全員(または代理人)が公証役場に出向き、公証人の前で内容を確認の上、署名・捺印を行います。公証人が内容を読み上げ、当事者が合意していることを確認した上で公正証書が完成します。作成後、当事者には「正本」または「謄本」が交付されます。

【注意点】不貞の当事者(配偶者や不倫相手)が公証役場への同行を拒否するケースもあります。その場合は代理人による作成も選択肢となりますが、手続きが複雑になるため、弁護士に相談されることをおすすめします。

公正証書の費用・手数料の目安

公正証書の作成にかかる費用は「公証人手数料令」という政令で定められており、示談書に記載する慰謝料の金額(目的価額)によって異なります。不貞慰謝料に関する示談書の場合、おおむね以下の手数料が目安となります。

目的価額(慰謝料の金額) 公証人手数料
100万円以下 5,000円
100万円超〜200万円以下 7,000円
200万円超〜500万円以下 11,000円
500万円超〜1,000万円以下 17,000円

上記に加えて、正本・謄本の交付手数料(1枚250円程度)や、後日強制執行を申し立てる際の執行文付与手数料(1件1,700円程度)が別途かかります。弁護士に手続きを依頼する場合は、別途弁護士費用が生じますが、弁護士が代理人として同行・交渉することで、より安心して手続きを進めることができます。

公正証書に記載すべき主な内容

不貞慰謝料に関する公正証書には、以下のような事項を明確に記載することが重要です。

  • 当事者の特定:氏名・住所・生年月日など
  • 不貞行為の事実:いつ、誰との間で、どのような行為があったかを明記(後日「そのような事実はない」と争われるリスクを軽減するため)
  • 慰謝料の金額・支払方法・期限:一括払いか分割払いか、支払期日、振込先口座を具体的に記載
  • 遅延損害金:支払が遅れた場合の遅延損害金の利率(民事法定利率は年3%が起算点となる場合がありますが、当事者間で別途定めることも可能です)
  • 期限の利益喪失条項:分割払いの場合に、一定の条件(例:1回でも支払いを怠ったとき)を満たすと残額を一括で請求できる旨
  • 接触禁止条項・誓約事項:今後の接触禁止や秘密保持、違反した場合の違約金
  • 求償権放棄条項(必要な場合):不倫相手が配偶者に対して求償権を行使しないことの合意
  • 清算条項:本件について他に債権・債務はないことを確認する旨
  • 強制執行認諾文言:金銭債務の不履行の場合、直ちに強制執行に服する旨

特に清算条項と強制執行認諾文言は漏れなく盛り込む必要があります。弁護士にチェックを依頼することで、将来的なトラブルを防ぐことができます。

私文書の示談書と公正証書の違いを整理する

最後に、通常の私文書(示談書)と公正証書の主な違いを整理します。

項目 私文書(示談書) 公正証書
作成者 当事者本人 公証人(国家資格者)
証明力 相手が否定した場合は立証が必要 高い証明力(公文書と同等)
強制執行 不可(別途裁判が必要) 強制執行認諾文言があれば可
費用 基本的に無料(弁護士費用は別) 公証人手数料がかかる
保管 当事者が管理(紛失・改ざんリスクあり) 公証役場で20年間保管
作成のハードル 比較的簡単 公証役場への訪問が必要

一定の手間と費用がかかる公正証書ですが、特に分割払いを含む示談では、強制執行認諾文言の存在が回収の確実性を大きく高めます。慰謝料の総額や支払能力、相手方の誠実さなどを総合的に考慮した上で、公正証書化の要否を検討されることをおすすめします。

まとめ:弁護士に依頼することで安心・確実な公正証書を

不貞慰謝料に関する示談書を公正証書として残すことは、将来的な慰謝料の回収を確実にするための重要なリスク管理です。特に分割払いが絡む場合や、相手との信頼関係に不安がある場合には、公正証書の作成を強くおすすめします。

ただし、公正証書に盛り込む内容が不完全であったり、強制執行認諾文言が漏れていたりすると、せっかく作成しても十分な法的効果が得られないことがあります。横浜で不貞慰謝料問題にお悩みの方は、交渉段階から弁護士に依頼することで、示談内容の設計から公正証書の作成まで一貫したサポートを受けることができます。

不貞慰謝料の公正証書作成についてご不安な点はありませんか?

タングラム法律事務所では、不貞慰謝料請求の事案について豊富な実績を有しております。示談交渉の段階から公正証書の作成まで、横浜の弁護士がトータルにサポートいたします。初回のご相談はお気軽にお問い合わせください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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