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個人情報を晒された(ドックス被害)ときの法的対処法|削除申請・発信者情報開示・損害賠償を弁護士が解説

個人情報を晒された(ドックス被害)ときの法的対処法|削除申請・発信者情報開示・損害賠償を弁護士が解説

個人情報を晒された(ドックス被害)ときの法的対処法|削除申請・発信者情報開示・損害賠償を弁護士が解説

2026/05/01

個人情報を晒された(ドックス被害)ときの法的対処法|削除申請・発信者情報開示・損害賠償を弁護士が解説

ある日突然、ネット上に自分の氏名・住所・電話番号・勤務先などの個人情報が投稿されていた——そのような被害に遭った方から、「どうすれば削除できるのか」「相手を訴えることはできるのか」というご相談を多くいただきます。

インターネット上で他人の個人情報を無断公開する行為は、「ドックス(doxing)」と呼ばれ、国内外で深刻な問題となっています。被害が放置されれば、ストーカー行為や嫌がらせ電話、さらには実際の来訪といった二次被害につながるおそれもあります。

本記事では、個人情報晒し(ドックス)被害の法的な問題点と、被害者が取るべき対処法を弁護士の視点からわかりやすく解説します。

個人情報晒し(ドックス)とはどのような行為か

ドックス(doxing)とは、特定の人物に関する個人情報をインターネット上に本人の同意なく公開し、嫌がらせや脅し、誹謗中傷の道具として使う行為です。「documents(文書)」を略した「dox」に由来するとも言われています。

晒される情報としては、氏名・住所・電話番号・メールアドレス・勤務先・出身校のような基本情報のほか、家族構成・顔写真・SNSのアカウント情報・過去の発言記録なども対象となります。断片的な情報を組み合わせて本人を特定する手口も多く、攻撃の起点となることが少なくありません。

被害の舞台はSNS(X・Instagram・Facebook等)、匿名掲示板(5ちゃんねる・爆サイ等)、まとめサイト、ブログなど多岐にわたります。一度拡散すると完全な情報の消去は困難になるため、早期対応が非常に重要です。

個人情報晒しに適用される法律

民事上の責任——プライバシー権侵害・名誉毀損

個人情報の無断公開は、民法上の不法行為(民法第709条)として、損害賠償請求の対象となります。具体的には、プライバシー権の侵害と名誉毀損という二つの観点から法的責任を問えるケースが多くあります。

プライバシー権とは、私生活上の事柄を公開されない権利をいいます。住所・電話番号・家族構成など、本来ならば非公開であるべき情報をネット上に晒す行為は、プライバシー権の侵害として損害賠償の対象となりえます。裁判例では、プライバシー侵害による慰謝料として10万円から50万円前後が認められることが多く、被害の悪質性や拡散規模によってはこれを上回る場合もあります。

また、個人情報の公開に加えて、虚偽の内容や侮辱的な記述が伴う場合には、名誉毀損(民法上の不法行為および刑法第230条)が成立し、損害賠償請求や刑事告訴が可能となります。

刑事上の責任——名誉毀損罪・脅迫罪・ストーカー規制法

プライバシー侵害それ自体を直接処罰する刑事規定は現行法上存在しませんが、ドックス行為に付随する行為によって刑事責任を問えるケースがあります。

まず、個人情報の公開によって社会的評価を低下させる事実を摘示した場合、名誉毀損罪(刑法第230条:3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)が成立する可能性があります。公然と事実を摘示した場合は、その内容が真実であっても、公益性が認められない限り名誉毀損罪となりえます。

さらに、住所等を晒した上で「行ってやる」「ただでは済まさない」などと脅す行為は脅迫罪(刑法第222条)に当たる可能性があり、繰り返しの嫌がらせ的なつきまとい行為はストーカー規制法上の「ストーカー行為」として規制されます。ストーカー規制法違反は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される可能性があります(禁止命令違反は2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金)。

【参考】2025年4月施行の情プラ法(情報流通プラットフォーム対処法)について
2025年4月に施行された「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」(通称:情プラ法)により、X・Meta・Google・TikTok等の大規模プラットフォーム事業者は、削除申請への対応期間の短縮・削除基準の策定・公表が義務付けられました。これにより、個人情報晒しの投稿に対しても、従来より迅速な削除対応が期待できます。

個人情報を晒された場合の対処法

ステップ1:証拠を保全する

最初に行うべきことは、被害投稿の証拠保全です。スクリーンショットを撮影し、投稿のURL・投稿日時・投稿内容を記録してください。後から削除された場合でも証拠として使用できるよう、できるだけ速やかに保全することが重要です。スクリーンショットには日時が確認できるよう、ブラウザのURL欄・端末の日付・時刻表示が映り込むようにするとよいでしょう。

ステップ2:プラットフォームへの削除申請

次に、投稿が掲載されているSNSや掲示板の運営者に対して削除申請を行います。X(旧Twitter)やInstagram、5ちゃんねる、爆サイなど、各プラットフォームにはプライバシー侵害や個人情報の無断公開を理由とする削除申請フォームが設けられています。

2025年4月施行の情プラ法により、大規模プラットフォーム事業者は削除申請を受けた場合に一定期間内(おおむね7日以内)に対応することが義務付けられており、従来に比べて削除対応が迅速化しています。ただし、プラットフォームの判断で申請が却下されることもあるため、状況によっては法的手続きの活用が必要となります。

ステップ3:発信者情報開示請求で投稿者を特定する

削除だけでなく、投稿者に対して損害賠償請求や刑事告訴を行いたい場合には、発信者情報開示請求を通じて投稿者の特定が必要です。

情プラ法に基づく新手続では、裁判所に「開示命令」「提供命令」を申し立てることで、SNS事業者からIPアドレス等を取得し、さらにアクセスプロバイダから氏名・住所等の契約者情報を開示させることができます。この非訟手続は従来の仮処分に比べて手続期間の短縮が図られており、証拠保全の観点からも早期申立てが重要です。

なお、ログの保存期間はプロバイダによって異なりますが、おおむね3か月から6か月程度とされています。時間が経つほど証拠が消失するリスクが高まるため、被害を認識したら速やかに弁護士に相談することを強くお勧めします。

ステップ4:損害賠償請求・刑事告訴

投稿者が特定された後は、民事上の損害賠償請求と刑事告訴の両方を検討することになります。

民事請求では、プライバシー侵害・名誉毀損を理由とする慰謝料請求のほか、弁護士費用相当額の損害賠償や、被害の拡大により営業損害等が生じた場合にはその賠償も求めることが可能です。内容証明郵便による示談交渉から始めるケースも多く、早期に解決が図られる場合もあります。

刑事告訴については、名誉毀損罪や脅迫罪、ストーカー規制法違反等の構成要件を満たす場合に警察への告訴状の提出が可能です。告訴が受理されれば捜査が開始され、刑事処分(起訴・略式起訴等)につながる可能性があります。

個人情報晒しの被害対応で弁護士に相談すべき理由

個人情報晒し(ドックス)被害への対応は、証拠保全・削除申請・発信者情報開示請求・損害賠償請求・刑事告訴と、多くの手続きが複雑に絡み合います。弁護士に相談することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 削除申請の拒否に対して仮処分や裁判所への申立てを迅速に行える
  • ログ保存期間内に発信者情報開示請求を適切なタイミングで申し立てられる
  • 投稿者特定後の損害賠償交渉・訴訟を一括して依頼できる
  • 刑事告訴状の作成・提出をサポートしてもらえる
  • 二次被害・拡散防止のための法的戦略を相談できる

個人情報の拡散は時間とともに被害が広がります。「どこに相談すればよいかわからない」「費用が心配」という方も、まずは弁護士への初回相談から始めることをお勧めします。

個人情報晒し・ドックス被害でお困りの方へ

タングラム法律事務所では、ネット誹謗中傷に関する発信者情報開示請求・削除請求・損害賠償請求について、豊富な実績を有しております。個人情報の無断公開(ドックス被害)についても、証拠保全から投稿者特定・損害賠償請求まで、一貫してサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な対応については、弁護士等の専門家にご相談ください。

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