タングラム法律事務所

弁護士費用特約でネット誹謗中傷に対応する方法|自動車保険・弁護士保険の活用術を解説

弁護士費用特約でネット誹謗中傷に対応する方法|自動車保険・弁護士保険の活用術を解説

弁護士費用特約でネット誹謗中傷に対応する方法|自動車保険・弁護士保険の活用術を解説

弁護士費用特約でネット誹謗中傷に対応する方法|自動車保険・弁護士保険の活用術を解説

「SNSで誹謗中傷を受けている。弁護士に相談したいけれど、費用が心配で踏み出せない……」

ネット誹謗中傷の被害を受けながら、弁護士への相談をためらってしまう最大の理由のひとつが、弁護士費用の問題です。発信者情報開示請求から損害賠償請求まで、一連の手続きには数十万円から100万円を超えるケースもあり、費用面のハードルが高いと感じる方は少なくありません。

しかし、すでに加入している保険を活用することで、弁護士費用の大部分をカバーできる可能性があることをご存じでしょうか。自動車保険や火災保険に付帯する「弁護士費用特約」、あるいは単独で加入できる「弁護士保険」を利用すれば、ネット誹謗中傷への法的対応を経済的な負担を抑えながら進めることができます。

本記事では、弁護士費用特約・弁護士保険の基本的な仕組みから、ネット誹謗中傷への適用条件、使い方の手順、注意点まで、弁護士がわかりやすく解説します。

1. 弁護士費用特約とは何か——基本的な仕組み

弁護士費用特約とは、自動車保険や火災保険(総合保険)などに付帯できる特約のひとつで、法的トラブルが生じた際の弁護士費用・法律相談費用を保険会社が負担してくれる仕組みです。

従来の弁護士費用特約は、主に交通事故の被害者を対象としていました。交通事故で相手方から十分な補償が得られない場合に、弁護士を立てて交渉・訴訟を行う際の費用を補うものとして広く普及してきました。

ところが近年、各保険会社がこの特約の対象範囲を拡大しており、「日常生活型」や「人格権侵害型」の特約が登場することで、ネットトラブルや誹謗中傷被害にも適用できるケースが増えています。

弁護士費用特約の主な種類

弁護士費用特約はその補償範囲によって、大きく以下の3類型に分けられます。

種類 補償対象 ネット誹謗中傷への適用
自動車事故型 自動車に関わる事故のみ ×(対象外)
日常生活型(自動車事故+日常生活事故) 交通事故+日常の身体・財物損害 △(身体・財物被害が伴わない場合は対象外になることが多い)
人格権侵害型(日常・自動車・人格権型) 上記+名誉・プライバシー・肖像権侵害、いじめ・ストーカー等 ○(要件を満たせば対象)

ネット誹謗中傷への対応を保険でカバーしたい場合、「人格権侵害型」の特約に加入しているかどうかが重要なポイントになります。

2. ネット誹謗中傷に弁護士費用特約が使えるようになった背景

2022年1月以降、東京海上日動など大手損害保険会社が「弁護士費用特約(日常・自動車・人格権型)」の提供を開始し、人格権侵害に関するトラブルを補償対象に含めました。

人格権侵害として補償対象となるのは、おおむね以下のような行為です。

  • 口頭・文書・インターネット等での名誉侵害(名誉毀損・侮辱)
  • プライバシーの侵害(個人情報の無断公開・拡散等)
  • 肖像権の侵害(無断での写真・動画の公開等)
  • 不当な身体の拘束(自由の侵害)
  • 痴漢・ストーカー行為・いじめ・嫌がらせ

つまり、X(旧Twitter)・Instagram・YouTube・5ちゃんねる・爆サイなどのSNSや掲示板での誹謗中傷投稿も、名誉やプライバシーの侵害として対象に含まれ得ます。ただし、後述するように適用には一定の条件が設けられています。

【ポイント】加入中の自動車保険や火災保険に「人格権侵害型」の弁護士費用特約が付帯されているかどうかは、保険証券や契約内容確認書、または保険会社への問い合わせで確認できます。まず手元の契約書類を確認してみましょう。

3. 弁護士費用特約の適用条件と注意点

弁護士費用特約が「人格権侵害型」であっても、すべてのネット誹謗中傷案件に無条件で適用されるわけではありません。保険会社ごとに異なりますが、いくつかの重要な条件・制限があります。

条件①:警察への被害届等による客観的証明が必要な場合がある

東京海上日動の「超保険」に付帯する人格権侵害型特約では、被害の事実について「警察への被害届等によって客観的に証明できること」が適用要件とされています。単にネット上で誹謗中傷を受けたというだけでは不十分で、被害届の提出や、その他の客観的証拠が求められる場合があります。

条件②:職場における嫌がらせは対象外

人格権侵害型特約であっても、「職務遂行に関する精神的苦痛」や「職場における嫌がらせによる精神的苦痛」は対象外とされるのが一般的です。会社内でのパワハラやセクハラに関するトラブルは、別途対応が必要になります。

条件③:特約の種類・保険始期日を確認する

人格権侵害型の特約は比較的新しいもので、2022年より前に契約した保険では、日常生活型(身体・財物被害のみ対象)にとどまっているケースも多くあります。現在の契約内容を保険証券や保険会社への問い合わせで確認することが不可欠です。

条件④:保険会社の事前承認が必要

弁護士費用特約を利用する際は、弁護士への依頼前に保険会社に連絡し、適用可能かどうかの事前確認・承認を得ることが原則です。事後に申請しても認められない場合があるため、弁護士に相談する前、あるいは相談と並行して保険会社への連絡を行うことが重要です。

条件⑤:補償上限額

弁護士費用特約の補償上限は保険会社・プランによって異なりますが、一般的に弁護士費用については300万円まで、法律相談費用については10万円までを限度とするものが多くみられます。ネット誹謗中傷の案件では、発信者情報開示請求から損害賠償請求訴訟まで一連の対応が必要になると、費用が相応の金額に上ることがありますが、多くのケースでこの上限内で対応が可能です。

4. 弁護士費用特約の使い方——5つのステップ

弁護士費用特約を活用してネット誹謗中傷に対応する流れは、おおむね以下の通りです。

ステップ1:保険証券を確認し、特約の有無を把握する

自動車保険・火災保険・生命保険・クレジットカード付帯保険など、加入中のすべての保険を洗い出し、弁護士費用特約(特に人格権侵害型)が付帯されているかを確認します。家族の保険でも、配偶者・同居の親族・別居の未婚の子などが適用対象になる場合があります。

ステップ2:保険会社に連絡し、適用可否を確認する

特約が付帯されていることを確認したら、保険会社のサポートセンターに電話して、今回の誹謗中傷被害が補償対象に該当するかを相談します。この際、被害の概要(どのSNSで、どのような内容の投稿があったか)を説明できるよう、事前に投稿のスクリーンショットなどを準備しておくと円滑です。

ステップ3:弁護士に相談する

保険会社の承認を得たうえで、ネット誹謗中傷を専門とする弁護士に相談します。多くの保険会社では、相談する弁護士に制限はなく、被保険者が自由に選択できます。ただし、保険会社が指定する弁護士への依頼を求められるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。

ステップ4:弁護士が保険会社に費用を請求する

依頼した弁護士が、保険会社に対して委任状・委任契約書・請求書等を提出します。弁護士費用は原則として弁護士から保険会社に直接請求されるため、被保険者が費用を立て替える必要はなく、実質的に自己負担なく弁護士に依頼することができます。

ステップ5:法的手続きを進める

弁護士が中心となり、投稿の削除申請、発信者情報開示請求(情報流通プラットフォーム対処法・改正プロバイダ責任制限法に基づく非訟手続)、投稿者特定後の損害賠償請求交渉または訴訟を順次進めます。被保険者は弁護士の進捗報告を受けながら、対応の方針について相談・決定していきます。

5. 弁護士保険(単独加入型)という選択肢

現在加入中の保険に弁護士費用特約が付いていない場合、単独で加入できる「弁護士保険(権利保護保険)」が有力な選択肢となります。弁護士保険は、月額数千円程度の保険料で、さまざまな法的トラブルに対する弁護士費用を補償する保険商品です。

代表的な弁護士保険の例

保険名 提供会社 月額保険料(目安) ネット誹謗中傷への対応 補償上限(目安)
弁護士保険ミカタ ミカタ少額短期保険 約2,980円〜 ○(一般事件として対象) 1事案200万円(弁護士費用の70%)
ネットトラブル弁護士費用保険 さくら少額短期保険など プランによる ○(ネットトラブル専門型) プランによる
【注意】待機期間に注意:多くの弁護士保険では、加入後一定期間(通常3〜6ヶ月)は保険金の支払いが制限される「待機期間」が設けられています。すでに誹謗中傷被害を受けている状態から加入した場合、その被害については補償対象外となるケースがほとんどです。弁護士保険は、被害を受ける前に備えとして加入しておくことが前提となります。

6. 弁護士費用特約が使えない場合の費用軽減策

弁護士費用特約・弁護士保険のいずれも利用できない場合でも、費用負担を軽減するための方法はあります。

法テラス(日本司法支援センター)の活用

収入・資産が一定の基準以下の方は、法テラスの民事法律扶助制度を利用することで、弁護士費用を立て替えてもらい(審査あり)、月々の分割払いで返済することが可能です。法テラスは最初の法律相談(30分、原則3回まで)を無料で受けられる制度も提供しています。

成功報酬型の費用体系の活用

ネット誹謗中傷を扱う弁護士事務所の中には、損害賠償請求の案件について「着手金を低額に抑え、回収した損害賠償金の一定割合を報酬とする」成功報酬型の費用体系を採用しているところもあります。初期費用を抑えながら弁護士に依頼したい場合は、費用体系についても相談時に確認してみましょう。

7. どのような誹謗中傷被害に弁護士費用特約を使うべきか

弁護士費用特約を利用して弁護士に依頼することが特に有効なのは、以下のようなケースです。

  • X・Instagram・YouTube・5ちゃんねる・爆サイなどに事実と異なる誹謗中傷投稿が継続的に行われている
  • 個人情報(住所・氏名・勤務先等)がネット上に晒されている(ドックス被害)
  • Google口コミや転職会議・食べログなどに根拠のない悪評を書き込まれ、業務や評判に影響が出ている
  • 顔写真・個人を特定できる画像が無断で拡散されている
  • なりすましアカウントを作られ、偽情報を発信されている

いずれのケースも、放置すると被害が拡大する可能性があります。発信者情報開示請求はログの保存期間(投稿から3〜6ヶ月程度が多い)との戦いでもあるため、早期に弁護士へ相談することが重要です。

【重要】ネット誹謗中傷の対応は時間が命:各プラットフォームのログ(IPアドレス等の通信記録)は、一般に投稿から3〜6ヶ月程度で削除されます。投稿者を特定するための発信者情報開示請求は、このログが残っているうちに手続きを開始する必要があります。保険の手続きと並行して、早急に弁護士へ相談することをお勧めします。

8. まとめ——費用の不安を理由に泣き寝入りしないために

ネット誹謗中傷の被害を受けながら「費用が心配だから」と対応を諦める必要はありません。加入中の自動車保険・火災保険に「人格権侵害型」の弁護士費用特約が付帯されていれば、弁護士費用のほとんどをカバーできる可能性があります。また、弁護士保険への加入によって将来のリスクに備えることも有効な選択肢です。

まずは手元の保険証券を確認し、弁護士費用特約の有無・種類を把握することから始めましょう。特約が付帯されている場合は、被害の状況を整理したうえで保険会社に連絡し、適用可否を確認してください。

弁護士への相談は、費用の心配を抱えながら一人で悩み続けるよりも、早期に動き出すことで解決の可能性が大きく広がります。弁護士費用特約の活用も含めて、まずは専門家に相談することをお勧めします。

弁護士費用特約の使い方も含めてご相談ください

タングラム法律事務所では、ネット誹謗中傷に関する発信者情報開示請求・削除請求・損害賠償請求について、豊富な実績を有しております。弁護士費用特約・弁護士保険の適用可否の確認や、費用面のご相談も含めて、まずはお気軽にご連絡ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。弁護士費用特約・弁護士保険の適用可否は、保険の内容・各社の審査基準によって異なります。具体的なご状況については、保険会社および弁護士にご相談ください。

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