Bluesky(ブルースカイ)の誹謗中傷への法的対処法|削除申請・発信者情報開示・損害賠償を弁護士が解説
Bluesky(ブルースカイ)の誹謗中傷への法的対処法|削除申請・発信者情報開示・損害賠償を弁護士が解説
「Bluesky(ブルースカイ)に悪口を書かれた」「匿名アカウントから事実無根の投稿をされている」——そうした相談が、弁護士事務所に届くケースが増えています。Blueskyは旧Twitterの共同創業者ジャック・ドーシー氏らが設立した分散型SNSで、日本国内でも利用者が急増しています。2024年末から2025年にかけてユーザーが急激に増加し、国内の推計利用者数は数百万人規模に達するとも言われています。
一方で、利用者の増加に伴いトラブルも多様化しています。Blueskyは「分散型」という独自の仕組みを持ち、X(旧Twitter)や他の国内SNSとは異なる構造をとっているため、削除申請や発信者情報開示請求にあたって独自の課題があります。本記事では、Bluesky上での誹謗中傷被害に遭った場合の法的対処法を、最新の実務動向を踏まえてわかりやすく解説します。
Bluesky(ブルースカイ)とはどのようなSNSか
Bluesky(ブルースカイ)は、米国のBluesky Social, PBC(Bluesky Social公益会社)が運営する分散型ソーシャルネットワークです。ユーザーが短文投稿を行う仕組みはXと似ていますが、「AT Protocol(ATプロトコル)」と呼ばれる分散型の技術基盤を採用している点が大きな特徴です。
日本でも2024年以降、Xのポリシー変更やオーナー交代を背景に移住するユーザーが増え、利用者が急拡大しました。投稿はデフォルトで公開され、不特定多数のユーザーが閲覧できるため、誹謗中傷投稿は「公然性」の要件を満たしやすく、名誉毀損や侮辱に該当する投稿が問題となるケースが生じています。
Bluesky上の誹謗中傷——法的に問題となる投稿の類型
Bluesky上で法的問題となりうる投稿には、主に以下のような類型があります。
- 名誉毀損(刑法230条、民法709条):特定の人物について、具体的な事実(たとえ虚偽であっても)を摘示し、その社会的評価を低下させる投稿。「〇〇さんは過去に横領をした」などの形式が典型です。
- 侮辱(刑法231条):事実の摘示なしに、他人を貶める表現を行う投稿。「あいつは最低のクズだ」といった言い回しが該当し得ます。2022年の刑法改正により、侮辱罪の法定刑は拘留・科料から、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に引き上げられました。
- プライバシー侵害(民法709条):住所・職場・家族関係など、本人が公開していない個人情報の暴露。
- 信用毀損・業務妨害(刑法233条):事業者に対し、根拠のない虚偽情報を流布して信用を傷つけ、業務を妨害する行為。
まずできること——アプリ内報告(コンテンツ報告)の方法
誹謗中傷投稿を発見したら、まず証拠を保全した上で、Blueskyのアプリ内報告機能を使って削除申請を行うことが最初のステップです。
証拠保全を最優先に
削除申請を行う前に、必ず投稿のスクリーンショットを撮影・保存してください。URLも記録しておくことが重要です。削除申請が受理されると投稿が削除され、証拠が消えてしまう場合があります。後述の発信者情報開示請求や損害賠償請求においても、証拠の有無が手続きの成否を左右します。
Blueskyのアプリ内報告手順
Blueskyでは、各投稿やアカウントのメニューから「報告する」を選択し、違反カテゴリを選んで送信する形で報告できます。報告はBlueskyのモデレーションチームに届き、コミュニティガイドラインへの違反が認められた場合、投稿の制限・削除やアカウントの停止措置がとられます。ただし、対応時間や削除の可否は投稿内容やBluesky側の判断によって異なり、必ずしも迅速に対応されるとは限りません。
英語でのサポートが基本となるため、日本語話者にとっては手続きがわかりにくい面もあります。弁護士に依頼することで、適切な法的根拠を示した書面での申請が可能となり、対応の実効性が高まることがあります。
情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)のBlueskyへの適用
2025年4月に施行された「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)」は、大規模なプラットフォーム事業者に対して削除対応の迅速化・透明化を義務付けた法律です。具体的には、削除申請への原則7日以内の回答通知や、対応状況の定期公表などが求められます。
Blueskyが情プラ法上の「特定プラットフォーム事業者」に指定されるかどうかは、国内利用者数など一定の要件に基づきます。現時点では指定の状況が流動的ですが、今後の利用者増加に伴い適用対象となる可能性があります。仮に情プラ法の適用を受ければ、削除申請への対応がより迅速・透明になることが期待されます。
発信者情報開示請求——Bluesky国内初の開示命令事例
投稿者を特定して損害賠償請求や刑事告訴を行うためには、「発信者情報開示請求」という手続きが必要です。これは、プラットフォーム事業者やプロバイダに対して、投稿者のIPアドレス・氏名・住所などの情報開示を求めるものです。
Bluesky初の開示命令(2025年5月)
2025年5月、東京地方裁判所は、Bluesky上の誹謗中傷投稿について権利侵害を認め、発信者情報の開示を命じる決定を出しました。これはBlueskyに対する日本国内初の開示命令とされており、申し立てから命令まで約4カ月を要したとされています。
この事例は、Bluesky上の誹謗中傷に対しても発信者情報開示請求が法的に機能することを示した点で、大きな意義を持ちます。被害者にとって、投稿者の特定が現実の選択肢として存在することが確認されたと言えます。
Bluesky特有の実務上の課題
一方で、Bluesky(Bluesky Social, PBC)は米国法人であり、日本国内に会社法上の外国会社としての登記を行っていません。そのため、開示命令が出たとしても、Bluesky社が実際にどのように対応するかという実務的な問題が残ります。担当弁護士からは「きちんとした窓口もないため、対応らしい対応をしてくれていない状況」「決定に基づいて対応してくれるのか、どうやって従わせるか、これからのほうが問題」との指摘もなされています。
また、Blueskyは分散型の仕組みを採用しているため、投稿データの管理やアクセスログの保存状況が従来の中央集権型SNSとは異なる可能性があります。開示できる情報の範囲や技術的な制約については、今後の事例の積み重ねを通じて明らかになっていくものと考えられます。
発信者情報開示請求の手続きの流れ
現行の手続きでは、2025年4月の情プラ法施行に伴い導入された「発信者情報開示命令事件に関する裁判手続」を活用することが基本となります。手続きの大まかな流れは以下の通りです。
| ステップ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| ①証拠保全 | 投稿のスクリーンショット・URL・日時の記録 | 発見次第すぐに |
| ②弁護士への相談 | 権利侵害の有無の判断・方針決定 | — |
| ③開示命令・提供命令の申立て | 裁判所にBluesky社への開示命令を申立て | 申立て後数週間〜数カ月 |
| ④Bluesky社からIPアドレス等の開示 | 命令に基づきIPアドレス等の情報取得 | 命令後(不確実な場合あり) |
| ⑤プロバイダへの開示請求 | 取得したIPアドレスをもとに氏名・住所等を開示請求 | 数カ月程度 |
| ⑥損害賠償請求・刑事告訴 | 投稿者が判明した後、民事・刑事の手続きへ | — |
損害賠償請求と刑事告訴
発信者情報開示請求によって投稿者の氏名・住所が判明した後は、次の法的手段を検討します。
損害賠償請求(民事)
名誉毀損やプライバシー侵害に該当する投稿に対しては、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求が可能です。慰謝料のほか、弁護士費用・信用回復のための費用なども請求の対象となり得ます。まずは内容証明郵便による請求や示談交渉を行い、合意が得られない場合は訴訟提起を検討します。
刑事告訴(名誉毀損罪・侮辱罪)
悪質な投稿については、名誉毀損罪(刑法230条:3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)や侮辱罪(刑法231条:1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)として刑事告訴することも選択肢となります。名誉毀損罪・侮辱罪はいずれも親告罪(被害者の告訴が必要)であり、告訴期間は「犯人を知った日から6カ月以内」とされています。
被害を受けたときの対処法まとめ
Bluesky上で誹謗中傷被害に遭った場合、以下の手順で対応することをお勧めします。
- STEP 1:すぐに証拠を保全する——スクリーンショットとURL・投稿日時を記録する。削除後では手遅れになる場合がある。
- STEP 2:アプリ内報告を行う——Blueskyの報告機能を使い、コミュニティガイドライン違反として申告する。
- STEP 3:弁護士に相談する——投稿が法的に問題となるかの判断、開示請求・削除仮処分・損害賠償請求の方針を検討する。
- STEP 4:発信者情報開示請求を行う——裁判所を通じた開示命令申立てで投稿者の特定を目指す。Bluesky特有の課題に対応できる弁護士への依頼が重要。
- STEP 5:損害賠償請求・刑事告訴を検討する——投稿者が特定できた段階で、民事・刑事いずれの手段をとるか判断する。
まとめ——Blueskyの誹謗中傷は専門家への相談を
Bluesky(ブルースカイ)は急速に普及する一方、日本国内での法的手続きにおいては、外国会社への対応という特有の困難を抱えています。2025年5月に日本初の発信者情報開示命令が出た事実は、法的対応が可能であることを示していますが、手続きを進める上では専門的な知識と経験が不可欠です。
誹謗中傷の被害は、放置すると被害が拡大し、精神的・経済的な損害が深刻になる場合があります。「これくらいなら我慢すべきか」と思われる場合でも、まずは一度、弁護士に相談することをお勧めします。
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タングラム法律事務所では、ネット誹謗中傷に関する発信者情報開示請求・削除請求・損害賠償請求について、豊富な実績を有しております。Bluesky(ブルースカイ)など新興プラットフォームへの対応も含め、被害の状況に応じた最適な法的手段をご提案いたします。
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