タングラム法律事務所

飲食店がネット誹謗中傷・悪質口コミ被害を受けたときの法的対処法|Google口コミ・食べログの削除から発信者情報開示・損害賠償まで弁護士が解説

飲食店がネット誹謗中傷・悪質口コミ被害を受けたときの法的対処法|Google口コミ・食べログの削除から発信者情報開示・損害賠償まで弁護士が解説

飲食店がネット誹謗中傷・悪質口コミ被害を受けたときの法的対処法|Google口コミ・食べログの削除から発信者情報開示・損害賠償まで弁護士が解説

飲食店がネット誹謗中傷・悪質口コミ被害を受けたときの法的対処法|Google口コミ・食べログの削除から発信者情報開示・損害賠償まで弁護士が解説

飲食店を経営していると、インターネット上の口コミが集客に大きな影響を与えることを日々実感されているのではないでしょうか。Googleマップや食べログ、SNSなどに投稿された悪評や誹謗中傷は、実際に来店した顧客による正直な感想だけでなく、競合他社による嫌がらせ、元従業員による報復投稿、あるいは全く身に覚えのない虚偽の書き込みが含まれることもあります。

低評価や誹謗中傷を放置すれば、集客力の低下や売上の減少につながりかねません。しかし、「どうせ削除してもらえない」「訴えてもコストばかりかかる」と諦めてしまっている事業者の方も多いのが現状です。本記事では、飲食店が受けるネット上の誹謗中傷・悪質口コミに対して取り得る法的手段を、プラットフォーム別の対処法から発信者情報開示請求・損害賠償請求まで、弁護士の視点からわかりやすく解説します。

飲食店に多いネット誹謗中傷・悪質口コミの類型

飲食店が被害を受けるネット上の投稿には、大きく分けていくつかのパターンがあります。まず、事実に基づかない虚偽の情報を断定的に書き込むケースです。「食中毒が出た」「衛生管理がずさん」など、根拠のない断定的な表現は、名誉毀損や信用毀損に当たりうる典型例です。

次に、来店した事実がないにもかかわらず低評価を投稿するケースがあります。いわゆる「なりすまし投稿」「ゴースト口コミ」と呼ばれるもので、Googleマップでは虚偽のコンテンツとしてポリシー違反に該当します。また、競合店が組織的に低評価を行う「口コミ攻撃」も存在します。

さらに、従業員やオーナーの個人名・顔写真を晒したり、「店長が怖い」「○○さんは感じが悪い」などと特定個人を名指しで中傷する書き込みは、その個人に対する名誉毀損や侮辱として、法的責任を問える可能性が高くなります。

ポイント:正当な批評・感想の投稿はたとえ内容が否定的であっても、原則として違法ではありません。法的対処が可能なのは、①虚偽の事実の摘示、②根拠なき侮辱的表現、③来店実績のない投稿者による断定的批判、などの場合です。投稿内容が「事実の摘示」か「意見・論評」かの判断は専門家への相談が有効です。

Googleマップ(Googleビジネスプロフィール)の悪質口コミへの対処法

Googleへの削除申請(フラグ報告)

Googleマップの口コミに問題のある投稿を発見した場合、まずはGoogleビジネスプロフィールの管理画面から当該口コミに対して「フラグを立てる」(報告する)操作を行います。削除が認められる可能性があるのは、Googleのポリシーに違反する投稿です。具体的には、スパムや偽のコンテンツ(来店実績のない口コミ、複数アカウントからの組織的投稿)、不適切なコンテンツ(差別的表現、卑猥な表現)、個人情報が含まれる投稿などが対象となります。

なお、Googleは2025年4月ごろに偽レビュー対策のAI検知を強化しており、ポリシー違反の投稿が自動的に削除されるケースも増えています。しかし、単なる低評価や主観的な批判は削除申請をしても認められないことが多く、フラグ報告だけでは限界もあります。

情プラ法に基づく送信防止措置申請

2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)は、プロバイダ責任制限法を全面改正した法律であり、Google LLCは大規模特定電気通信役務提供者として指定されています。この指定を受けたプラットフォームは、送信防止措置(削除)申請に対し原則7日以内に対応の可否を通知する義務を負います。また、申請に応じない場合はその理由の説明も求められます。

従来より迅速な対応が期待できるようになったため、法律上の権利侵害が明らかな場合は、情プラ法に基づく送信防止措置申請を積極的に活用することが有効です。弁護士が権利侵害を具体的に示した申請書を作成することで、認められる可能性が高まります。

食べログの悪質口コミへの対処法

食べログへの削除依頼

食べログを運営する株式会社カカクコムでは、ガイドラインに違反する口コミについて削除依頼を受け付けています。削除を求める際は、対象口コミのURL、ガイドライン違反の具体的な内容(どの条項に違反するか)を明示した上で申請します。ガイドラインが禁止している主な内容には、個人や店舗への根拠のない断定的批判、差別的・侮辱的表現、来店を伴わない投稿などが含まれます。

ただし、食べログの削除基準は独自のものであり、法的に違法と判断される投稿であっても、プラットフォームが独自判断で削除に応じないケースもあります。食べログは情プラ法の大規模特定電気通信役務提供者の指定を受けていないため(2026年6月時点)、法定の対応義務は生じていませんが、任意での交渉は引き続き有効です。

裁判所を通じた削除仮処分の申立て

食べログが削除申請に応じない場合、裁判所に対して削除を求める仮処分を申し立てることができます。仮処分は本訴に比べて迅速な手続であり、認められた場合はカカクコムに対して口コミの削除が命じられます。ただし、仮処分が認められるには「被保全権利の存在(投稿による権利侵害が一応確認できること)」と「保全の必要性」を疎明する必要があります。申立て時には担保金の供託も求められるのが通常です。

なお、食べログのアルゴリズムによる評価引き下げについては、2024年1月の東京高等裁判所判決でカカクコムの逆転勝訴が確定しており(2022年東京地裁の独占禁止法違反判決を覆したもの)、アルゴリズム自体への対抗は現時点で法的に困難な状況です。個別の口コミ投稿の削除に絞った対応が現実的です。

SNS上の誹謗中傷への対処法

X(旧Twitter)やInstagram、TikTokなど各SNS上での誹謗中傷には、各プラットフォームの違反報告窓口への削除申請を行います。X・Instagram(Meta)・TikTokはいずれも情プラ法の大規模特定電気通信役務提供者に指定されており、原則7日以内の対応通知義務があります。飲食店に関わる誹謗中傷は、食中毒のデマ拡散・店内の無断撮影動画の拡散・店員への人格攻撃など多様な形をとりますが、削除申請の基本的な流れはプラットフォームごとの違反報告フォームを利用することから始まります。

法的手続き①:発信者情報開示請求で投稿者を特定する

プラットフォームへの削除申請と並行して、または削除後であっても損害賠償請求を視野に入れる場合は、投稿者の特定が必要になります。そのための手続きが「発信者情報開示請求」です。情プラ法(改正プロバイダ責任制限法)に基づき、以下の2段階の手続きで投稿者の氏名・住所を特定します。

手続きの段階 申立先 取得できる情報
第1段階:開示命令申立(非訟手続) 裁判所 口コミサイト・SNS運営者からIPアドレス・投稿日時
第2段階:提供命令申立(非訟手続) 裁判所 経由プロバイダから氏名・住所・電話番号

2021年の改正プロバイダ責任制限法(情プラ法の前身)で創設された非訟手続(開示命令・提供命令・消去禁止命令)は、従来の仮処分と本訴という2段階の手続きを一本化し、大幅に迅速化されています。ただし、プロバイダがログ(接続記録)を保存する期間は通常3〜6か月程度であるため、被害を発見したら速やかに手続きを開始することが重要です。開示請求が認められるためには、投稿が権利侵害にあたることが「明らか」であることが条件となります(プロバイダ責任制限法第5条)。

法的手続き②:損害賠償請求と刑事告訴

民事の損害賠償請求

投稿者を特定できた場合、民事上の損害賠償請求が可能です。飲食店が受けた被害には、売上減少などの財産的損害と、風評被害による精神的苦痛(慰謝料)が含まれます。財産的損害については、投稿前後の売上比較など具体的な証拠が必要となりますが、立証が難しい側面もあります。慰謝料の相場は事案によって幅がありますが、数十万円から数百万円の範囲で認定されるケースが多く、悪質性が高い場合や組織的な攻撃が認められる場合はより高額になることもあります。まずは内容証明郵便で示談を求め、応じない場合は民事訴訟(または少額訴訟)に移行するのが一般的な流れです。

刑事告訴

悪質な投稿に対しては刑事告訴も選択肢となります。適用が検討される罪名は主に以下のとおりです。

  • 名誉毀損罪(刑法第230条):公然と事実を摘示して人の名誉を毀損した場合。法人(飲食店)に対する名誉毀損も認められます。法定刑は3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金。
  • 信用毀損罪・偽計業務妨害罪(刑法第233条):虚偽の事実を流布して信用を毀損し、または偽計を用いて業務を妨害した場合。「食中毒が出た」などの虚偽情報の拡散はこれに該当しやすいです。法定刑は3年以下の懲役または50万円以下の罰金。
  • 侮辱罪(刑法第231条):事実を摘示せずに公然と人を侮辱した場合。2022年改正で法定刑が拘禁刑1年以下または30万円以下の罰金等に厳罰化されました。

名誉毀損罪・侮辱罪は親告罪であるため、告訴できる期間(告訴期間)は犯人を知った日から6か月以内となります(刑事訴訟法第235条)。被害を認識したら早期に弁護士へ相談することが重要です。

被害を受けた際の初動対応:証拠保全が最優先

ネット上の誹謗中傷・悪質口コミに気づいたら、まず最初に行うべきは証拠の保全です。問題のある投稿は、削除申請をしたり時間が経過したりすることで消えてしまいます。弁護士に依頼する前に、以下の情報を記録しておきましょう。

  • 投稿のURL(完全なURLをコピーして保存)
  • スクリーンショット(投稿日時・投稿者名・本文が確認できるもの)
  • アドレスバーも含めたキャプチャ(URLが確認できるもの)
  • 可能であればウェブ魚拓(archive.orgや魚拓サービスへの保存)

スクリーンショットは日時情報と投稿全体が見えるよう撮影し、編集せずに保存してください。また、被害が発生した時期の売上データなどの経営情報も合わせて保存しておくと、損害賠償請求の際に具体的な損害を立証する証拠として役立ちます。

まとめ:飲食店のネット誹謗中傷被害は早期対応が鍵

飲食店が受けるネット誹謗中傷・悪質口コミへの対処法をまとめると、以下のステップが基本となります。まず証拠を保全し、次にプラットフォームへの削除申請(情プラ法の活用を含む)を行います。削除に応じない場合や投稿者への責任追及を望む場合は、発信者情報開示請求によって投稿者を特定し、民事上の損害賠償請求や刑事告訴に進みます。

プロバイダのログ保存期間という時間的制約があるため、被害を認識した早い段階での対応が解決の可能性を高めます。自己判断での対応には限界があるため、ネット誹謗中傷案件の経験が豊富な弁護士へ早期に相談することを強かお勧めします。

飲食店のネット誹謗中傷・悪質口コミ被害でお困りの方へ

タングラム法律事務所では、ネット誹謗中傷に関する発信者情報開示請求・削除請求・損害賠償請求について、豊富な実績を有しております。Googleマップ・食べログ・SNSへの悪質な書き込みにお悩みの飲食店・事業者の方は、まずはお気軽にご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的なご事情については、弁護士にご相談ください。

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