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ネットで脅迫・殺害予告を受けたら?法的対処法を弁護士が解説

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ネットで脅迫・殺害予告を受けたら?法的対処法を弁護士が解説

ネットで脅迫・殺害予告を受けたら?法的対処法を弁護士が解説

ネットで脅迫・殺害予告を受けたら?法的対処法を弁護士が解説

「殺すぞ」「家族に危害を加える」「会社に火をつける」——SNSや掲示板、あるいはDM・メールで、こうした脅しや殺害予告を突きつけられたとき、恐怖と不安で頭が真っ白になってしまう方は少なくありません。誹謗中傷とは違い、脅迫や殺害予告は身の安全に直結する問題です。冗談だと思って放置してよいのか、警察に行くべきか、相手を特定できるのか——判断に迷ううちに証拠が消えてしまうこともあります。

この記事では、ネット上の脅迫・殺害予告がどのような犯罪にあたるのか、そして被害者が取り得る法的対処を、横浜の弁護士がわかりやすく整理します。特に、投稿が「公開されたもの」か「1対1のメッセージ」かによって相手を特定できるかどうかが大きく変わるという、見落とされがちな重要ポイントも解説します。

身の危険が差し迫っていると感じる場合は、法的手続きを検討する前に、まず110番通報や最寄りの警察署への相談で安全を確保してください。

ネット上の脅迫・殺害予告は何罪になるのか

ネット上での脅しや予告は、その内容や態様に応じて複数の犯罪が成立し得ます。代表的なものを整理します。なお、令和7年(2025年)6月1日施行の改正刑法により、従来の「懲役」「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されています。

罪名根拠条文主な内容法定刑
脅迫罪刑法222条生命・身体・自由・名誉・財産に害を加える旨を告知して脅す(本人だけでなく親族への加害の告知も含む)2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金
強要罪刑法223条脅迫や暴行によって、義務のないことを行わせたり、権利の行使を妨害したりする(未遂も処罰)3年以下の拘禁刑
威力業務妨害罪刑法234条殺害予告・爆破予告などで店舗や施設に対応を強い、業務を妨害する3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金

ポイントは、加害者に実際に危害を加える意思や能力がなくても、脅迫罪は成立し得るという点です。害悪の告知が相手に伝わり、一般人であれば恐怖を感じる程度の内容であれば足りると考えられており、「冗談のつもりだった」という言い分は原則として成立を左右しません。また、店舗や学校への「爆破する」といった投稿は、脅迫であると同時に施設の業務を妨害するものとして威力業務妨害罪にも問われ得ます。裁判例でも、掲示板への犯行予告について脅迫罪と威力業務妨害罪の双方の成立が認められたものがあります。

個々の投稿がどの罪にあたるかは、名誉毀損罪・侮辱罪などとの区別も含めて慎重な検討が必要です。誹謗中傷が「何罪」になるかについては、ネットの誹謗中傷は何罪になるかを解説した記事もあわせてご覧ください。

「公開の投稿」か「1対1のメッセージ」かで対応が大きく変わる

脅迫・殺害予告への対応を考えるうえで、最も重要な分かれ道が「その脅しがどこで行われたか」です。これは、相手を民事の手続きで特定できるかどうかに直結します。

掲示板・SNSの公開投稿なら発信者情報開示の対象になり得る

誰でも閲覧できる掲示板やSNSのタイムライン、公開のコメント欄などへの書き込みは、「不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信(特定電気通信)」にあたります。この場合、情報流通プラットフォーム対処法(旧・プロバイダ責任制限法。2025年4月1日から現行名称で施行)にもとづく発信者情報開示請求の対象となり得ます。権利侵害が明らかであるなどの要件を満たせば、投稿者のIPアドレスや氏名・住所などの開示を求めることができます。SNSや掲示板での被害への対応は、SNSなりすまし・誹謗中傷への対応ページでも紹介しています。

DM・メール・LINEなど1対1のメッセージは開示請求の対象外

一方、ダイレクトメッセージやメール、LINEなど「1対1」のやりとりで送られてきた脅迫は、原則として発信者情報開示請求の対象になりません。開示制度が対象とするのは不特定多数に向けた通信であり、特定の相手だけに送られる通信は含まれないためです。

この点は、実際の裁判でも争われています。最高裁判所第一小法廷は令和3年3月18日の決定で、匿名の脅迫メールの送信者情報について、通信事業者は通信の秘密に関する守秘義務を負い、民事訴訟の証拠として送信者情報を提示する義務を負わないと判断しました。つまり、現行法のもとでは、1対1の脅迫メールやDMの送信者を民事手続きで特定することは困難だということです。

1対1のメッセージで脅迫を受けた場合は、民事の開示請求ではなく、警察への相談・刑事告訴による捜査を通じた特定を検討することになります。捜査機関は、令状や捜査関係事項照会によって通信事業者から発信者情報を取得できる場合があるためです。

脅迫・殺害予告を受けたらまずすべきこと

感情的に相手に返信したり、投稿を削除させることだけを急いだりすると、かえって特定や立証が難しくなることがあります。落ち着いて次の順序で対応しましょう。

  • 証拠を保全する:投稿やメッセージの画面を、URL・アカウント名・日時・本文がすべて写る形でスクリーンショットに残します。投稿全体が写るように保存し、可能であればページのURLも控えます。相手が削除する前に確保することが重要です。
  • 相手をブロック・返信しない:挑発に反応すると、やりとりがエスカレートしたり、後の交渉で不利に働いたりすることがあります。証拠を確保したうえで距離を取ります。
  • 警察に相談する:殺害予告など身の危険を伴う内容は、警察への相談が有力な選択肢です。証拠を整理して持参すると、事件性の説明がしやすくなります。
  • 削除申請を検討する:公開の投稿については、各プラットフォームの通報・削除フォームから削除を求めることができます。

被害直後に何から手をつけるべきかについては、ネット誹謗中傷の初動対応を解説した記事も参考になります。

刑事手続き——警察への相談と刑事告訴

脅迫・殺害予告は犯罪ですから、刑事手続きによる対応が中心的な選択肢になります。特に1対1のメッセージによる脅迫では、捜査機関による特定が現実的な手段となります。

警察への相談だけでは「事件性が乏しい」として動いてもらえないこともありますが、告訴状を作成して正式に刑事告訴することで、捜査が開始されやすくなる場合があります。脅迫罪・強要罪は親告罪ではないため告訴がなくても捜査は可能ですが、被害者の処罰意思を明確に示す意味があります。加害者が特定され、逮捕や書類送検に至る事例もあります。どのような場合に刑事事件化するのかは、ネット誹謗中傷の加害者は逮捕されるのかを解説した記事で詳しく取り上げています。

民事手続き——投稿者の特定と損害賠償請求

公開の投稿による脅迫であれば、発信者情報開示請求によって投稿者を特定し、民事上の責任を追及する道があります。特定に至れば、脅迫行為によって被った精神的苦痛について、不法行為(民法709条)にもとづく慰謝料などの損害賠償を請求できる可能性があります。脅迫は、被害者が平穏に生活する利益や人格的利益を侵害するものと評価され得るためです。

賠償額は、脅迫の内容の悪質性や回数、被害者が受けた影響などによって左右されます。開示から特定、損害賠償請求までは手続きを段階的に進める必要があり、通信記録(ログ)の保存期間との関係で早期の着手が重要になります。

よくある質問

「殺すぞ」とSNSに書かれただけでも脅迫罪になりますか?

脅迫罪(刑法222条)は、生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加える旨を告知して人を脅迫した場合に成立します。実際に危害を加える意思や能力がなくても、害悪の告知が相手に伝わり、一般人なら恐怖を感じる程度の内容であれば成立し得ます。ただし、文脈や表現によっては単なる暴言と評価されることもあり、投稿内容や前後のやりとりを踏まえた個別の判断が必要です。

脅迫のDMやメールを送ってきた相手を、発信者情報開示請求で特定できますか?

1対1のダイレクトメッセージやメールは、原則として発信者情報開示請求の対象になりません。開示制度は不特定の者が受信することを目的とする通信(特定電気通信)を対象としており、最高裁も令和3年3月18日の決定で、1対1の脅迫メールの送信者情報について民事上の開示を認めませんでした。この場合は、警察への相談・刑事告訴を通じた特定を検討することになります。

警察に相談しても「事件性がない」と言われることはありますか?

抽象的な内容や一過性の書き込みでは、警察がすぐに捜査に着手しないことがあります。もっとも、氏名や住所の特定、危害の具体性、繰り返しの有無などを示す資料をそろえて相談すれば、対応が変わることも少なくありません。告訴状を作成して正式に刑事告訴する方法もあり、弁護士に依頼して事案を整理したうえで相談する方が受理されやすくなる傾向があります。

脅迫を受けた場合、慰謝料などの損害賠償は請求できますか?

脅迫行為は、被害者の平穏に生活する利益や人格的利益を侵害する不法行為(民法709条)にあたり得るため、精神的苦痛に対する慰謝料などを請求できる可能性があります。金額は脅迫の内容・回数・被害者が受けた影響などによって異なります。請求には相手方の特定が前提となるため、まずは証拠保全と特定手続きを検討します。

まとめ

ネット上の脅迫・殺害予告は、脅迫罪・強要罪・威力業務妨害罪などに問われ得る犯罪です。対応を考えるうえでは、その脅しが「公開の投稿」なのか「1対1のメッセージ」なのかを見極めることが出発点になります。公開の投稿であれば発信者情報開示請求による特定と損害賠償請求が視野に入りますが、DM・メールなどの1対1のメッセージは民事の開示対象外であり、警察への相談・刑事告訴による対応が中心となります。

いずれの場合も、まずは証拠を確実に保全し、身の安全を確保することが最優先です。刑事・民事のどちらのルートが適切かは事案によって変わるため、判断に迷う場合は早い段階で弁護士に相談することで、証拠が失われる前に適切な手続きを選ぶことができます。

ネットで脅迫・殺害予告を受けてお困りの方へ

タングラム法律事務所では、ネット誹謗中傷に関する発信者情報開示請求・削除請求・損害賠償請求について、豊富な実績を有しております。脅迫・殺害予告の被害についても、証拠保全から警察への相談・刑事告訴の支援、投稿者の特定まで、状況に応じた対応をご提案します。まずはお気軽にご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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