タングラム法律事務所

ネット誹謗中傷に遭ったらまず何をすべき?初動対応の手順と優先順位を弁護士が解説

ネット誹謗中傷に遭ったらまず何をすべき?初動対応の手順と優先順位を弁護士が解説

ネット誹謗中傷に遭ったらまず何をすべき?初動対応の手順と優先順位を弁護士が解説

ネット誹謗中傷に遭ったらまず何をすべき?初動対応の手順と優先順位を弁護士が解説

ネット誹謗中傷に遭ったらまず何をすべき?初動対応の手順と優先順位を弁護士が解説

ある日突然、自分の名前や顔写真がSNSに晒され、根も葉もない悪評が拡散されていることに気づいた——そのような経験をした方は、「まず何をすればいいのか」分からず、パニックに陥ることがほとんどです。削除させたい、相手を特定したい、損害賠償を請求したい……やるべきことは山積みに思えても、何から手をつけるべきかが見えない状態では、かえって対応が遅れ被害が拡大してしまいます。

本記事では、ネット誹謗中傷の被害に遭ったとき「最初にやるべきこと」を、法的対処の優先順位に沿って解説します。2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)による最新の実務動向もあわせてお伝えします。

なぜ「初動」がこれほど重要なのか

ネット誹謗中傷への対応において、初動対応の遅れは取り返しのつかない結果をもたらすことがあります。その最大の理由が「ログの消滅」です。

発信者情報開示請求を行い投稿者を特定するためには、SNSや掲示板の運営会社(コンテンツプロバイダ)が保有するIPアドレス等のログデータと、そのIPアドレスを割り当てたインターネット接続業者(アクセスプロバイダ)が保有するログデータの両方が必要です。ところが、これらのログデータの保存期間は一般に3か月前後とされており、期間が過ぎると自動的に削除されてしまいます。一度ログが消えれば、投稿者の特定は事実上不可能となります。

また、誹謗中傷投稿そのものも、加害者や運営者によっていつ削除されるか分かりません。削除後に「投稿があった事実」を証明することは非常に困難です。

こうした事情から、被害に気づいた時点で「証拠保全→削除申請→弁護士相談」という初動の流れをできる限り早く進めることが、法的対処の成否を左右します。

ネット誹謗中傷の初動対応:4つのステップ

ステップ1:証拠を保全する(最優先・すぐに実行)

削除申請を行う前に、まず投稿の証拠を残してください。これは最優先事項です。削除後では手遅れになります。

スクリーンショットで記録すべき情報

証拠となるスクリーンショットには、以下の情報がすべて含まれるよう撮影してください。

  • 誹謗中傷の投稿内容(文章・画像・動画)
  • 投稿日時(タイムスタンプ)
  • 投稿ページのURL(アドレスバーを含む)
  • サービス名(SNS名・サイト名)
  • 投稿者のアカウント名・ユーザーID・スクリーンネーム
  • フォロワー数・リポスト数など拡散規模が分かる情報

スマートフォンよりも、パソコンのブラウザで画面全体をキャプチャする方が、URLなどの情報が欠落しにくく確実です。スクリーンショット撮影後は、ファイルを一切加工・編集せずにそのまま保存してください。

【ポイント】スクリーンショットが一枚では投稿全体を収めきれない場合は、複数枚に分けて撮影します。また、URL・日時・投稿者情報のいずれかが欠けると、証拠としての信頼性が大きく下がります。

Wayback Machine・ウェブ魚拓も活用する

「Internet Archive(Wayback Machine)」や「ウェブ魚拓」などのウェブアーカイブサービスを利用して、問題のページを記録しておくことも有効です。これらのサービスはURLを入力するだけでページの状態を保存できます。自分のスクリーンショットと第三者サービスの記録の両方があれば、証拠の信頼性がより高まります。

ステップ2:投稿の内容を法的に評価する

証拠が確保できたら、問題の投稿が「法的に対処できる内容か」を確認します。

ネット上の批判的な書き込みがすべて違法というわけではありません。法的対処が可能かどうかは、以下の観点から判断されます。

法的構成 内容 典型例
名誉毀損 公然と事実(虚偽・真実を問わず)を摘示し社会的評価を低下させる 「○○さんは横領をした」などの事実の書き込み
侮辱 事実を摘示せず公然と人格を貶める 「ブス」「ゴミ」などの罵倒
プライバシー侵害 本人が公開を望まない私的情報を公開する 住所・電話番号・過去の経歴などの晒し
信用毀損・業務妨害 虚偽の事実を流布して事業者の信用を損なう 「この店の料理で食中毒になった」などの虚偽投稿

判断が難しい場合は、早期に弁護士へ相談することをおすすめします。法的対処の見通しを立てることで、次のステップに進む優先度が明確になります。

ステップ3:削除申請を行う

証拠保全が済んだら、投稿の削除申請を進めます。情プラ法施行後は手続きが整備され、以前より迅速に対応が得られる可能性が高まっています。

情プラ法(2025年4月施行)で何が変わったか

2025年4月1日に施行された情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)により、大規模SNS・プラットフォーム事業者には以下の義務が課されました。

  • オンラインによる削除申請窓口の設置・公表
  • 「侵害情報調査専門員」の配置
  • 削除申請を受けてから原則7日以内に対応を判断し、申請者に結果を通知すること
  • 年1回の運用状況の公表

現在、総務省はGoogle、LINEヤフー、Meta(Facebook・Instagram)、TikTok、X(旧Twitter)、ドワンゴ(ニコニコ)、サイバーエージェント(アメーバ)、湘南西武ホーム(爆サイ.com)、Pinterestの計9社を対象事業者として指定しています。これらのサービスへの削除申請は、情プラ法上の手続きを利用することで、以前よりも明確な期限・プロセスで対応結果を得られます。

削除申請の主な方法

削除申請には大きく分けて2つの方法があります。

一つ目は、各プラットフォームが設けている「報告機能」や「送信防止措置依頼フォーム」を利用した自主申請です。費用がかからず手軽に行える反面、申請理由が明確でないと却下されることもあります。

二つ目は、弁護士が法的根拠を明示した書面で申請する方法です。専門家の申請は認められやすく、却下された場合でも仮処分申立てなど次のステップに速やかに進むことができます。

ステップ4:弁護士に相談し、投稿者特定・損害賠償請求を進める

削除対応と並行して、投稿者を特定し損害賠償を請求するための法的手続きを検討します。

投稿者を特定するための発信者情報開示請求は、コンテンツプロバイダへのIPアドレス開示と、アクセスプロバイダへの契約者情報開示という2段階の手続きが必要です。ログの保存期間(目安:3か月前後)が迫っているため、弁護士への相談は早ければ早いほど有利です。

投稿者が特定できた後は、内容証明郵便による損害賠償請求や示談交渉、または訴訟提起へと進むことができます。また、悪質なケースでは名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(刑法231条)による刑事告訴も選択肢となります。

ネット誹謗中傷被害者がやってはいけないNG行為

被害に遭った方が、善意ながら逆効果になる行動をとってしまうケースが見受けられます。以下のNG行為は絶対に避けてください。

① 加害者と直接やり取りする

誹謗中傷した相手に直接抗議のメッセージを送ったり、コメント欄で反論したりすることは得策ではありません。やり取りが新たな炎上を招いたり、相手に「証拠隠滅の時間」を与えたりするリスクがあります。対応は弁護士を通じて行うのが原則です。

② スクリーンショットを加工・編集する

文字を消す、矢印を加えるなどの加工は、証拠の信用性を大きく損ないます。加工のないオリジナルデータをそのまま保存してください。また、スマートフォンのカメラでPCの画面を撮影するだけでは、URLや日時が読み取れないことがあるため避けるべきです。

③ 削除申請を先にして証拠を残さない

「とにかく早く消したい」とう気持ちは理解できますが、削除申請前に必ず証拠保全を行ってください。削除後は投稿の存在自体を証明することが難しくなります。

④ 相手の個人情報を拡散する

加害者が特定できた(と思った)際に、相手の個人情報をSNSで拡散する行為は、それ自体がプライバシー侵害や名誉毀損となり、自分が法的責任を問われる可能性があります。特定後の対応は必ず弁護士の指示のもとで行ってください。

⑤ 「時間が経てば消える」と放置する

インターネット上のコンテンツは、プラットフォームが削除しない限り半永久的に残り続けることがあります。また、アーカイブサービスや転載によって拡散が進むと、後から収拾が難しくなります。早期に法的手続きを取ることが被害の最小化につながります。

弁護士への相談のタイミングと費用の目安

多くの方が「弁護士に頼むのはハードルが高い」と感じますが、現在はほとんどの法律事務所でネット誹謗中傷に関する初回無料相談を受け付けています。被害を発見したらまず相談し、専門家の見立てを聞くことをおすすめします。

費用面では、削除申請・発信者情報開示請求・損害賠償請求のそれぞれに着手金と成功報酬がかかるのが一般的です。事務所ごとに料金体系は異なりますが、削除申請であれば着手金は数万円程度から、発信者情報開示請求は着手金15万〜30万円程度が相場とされています。弁護士費用特約(自動車保険や弁護士保険に付帯)が使えられるため、保険内容の確認もあわせて行ってみてください。

まとめ:迷っている時間が被害を拡大させる

ネット誹謗中傷への初動対応をまとめると、次の4ステップになります。

  • 証拠保全(スクリーンショット・URLの記録)を最優先で行う
  • ② 投稿の内容を法的に評価し、対処の方針を立てる
  • ③ 情プラ法の手続きも活用しながら削除申請を行う
  • ④ 弁護士に相談し、発信者情報開示請求・損害賠償請求・刑事告訴の要否を検討する

ログの消滅期限は被害発見から3か月前後です。「どうすればいいか分からない」と感じたら、一人で抱え込まず、早めに専門家へ相談することが最善の初動対応です。

ネット誹謗中傷の被害に遭ったら、まずご相談ください

タングラム法律事務所では、ネット誹謗中傷に関する発信者情報開示請求・削除請求・損害賠償請求について、豊富な実績を有しております。初動対応から投稿者特定・損害賠償請求まで、一貫してサポートいたしますので、被害に気づいた早い段階でお気軽にご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な対応については弁護士にご相談な対応については弁護士にご相談ください。

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