Instagramの誹謗中傷で投稿者を特定する方法を弁護士が解説
Instagramの誹謗中傷で投稿者を特定する方法を弁護士が解説
Instagram(インスタグラム)で身に覚えのない中傷を投稿されたり、悪質なコメントやなりすましアカウントに悩まされたりしていませんか。相手が匿名である以上、「誰が書いているのか分からず、どうにもできない」と感じてしまう方は少なくありません。しかし、匿名の投稿であっても、法的な手続を通じて投稿者を特定し、削除や損害賠償を求められる可能性があります。
この記事では、Instagramの誹謗中傷で投稿者を特定する「発信者情報開示」の仕組みと流れ、Meta社への請求で開示される情報、削除の方法、そして期間や費用の目安まで、横浜の弁護士がわかりやすく解説します。まず何から動けばよいのかを知り、被害の拡大を防ぐための一歩を踏み出しましょう。
Instagramの誹謗中傷で投稿者を特定する全体像
Instagramの投稿者を特定するには、原則として二つの段階を踏む必要があります。Instagramを運営しているのは米国法人であるMeta Platforms, Inc.(以下「Meta社」)です。まずMeta社に対して、投稿に用いられたIPアドレスやアカウント情報の開示を求め、次に、そのIPアドレスから判明したアクセスプロバイダ(携帯電話会社やインターネット回線事業者)に対して、契約者の氏名・住所の開示を求めます。
この二段階の手続を、それぞれ「コンテンツプロバイダ(サイト運営者)に対する開示」「アクセスプロバイダに対する開示」と呼びます。Instagramの場合、Meta社がコンテンツプロバイダにあたります。なお、Meta社は2022年に日本で外国会社の登記を行っているため、日本の裁判所に対して手続を進めることが可能です。
| 段階 | 請求の相手方 | 主に開示を求める情報 |
|---|---|---|
| 第1段階 | Meta社(Instagram運営者) | IPアドレス・タイムスタンプ、登録された電話番号・メールアドレス等 |
| 第2段階 | アクセスプロバイダ | 契約者の氏名・住所 |
この二段階を経て、はじめて投稿者本人の氏名・住所にたどり着くことができます。仕組みは、X(旧Twitter)など他のSNSと基本的に共通しています。X(旧Twitter)における特定の手続については、X(旧Twitter)の誹謗中傷で投稿者を特定する方法の記事もあわせてご覧ください。
Instagramは「ログイン型」——特定発信者情報の開示が鍵
Instagramのように、利用者がログインして投稿するタイプのSNSは「ログイン型サービス」と呼ばれます。ログイン型サービスでは、投稿そのものに紐づくIPアドレスが記録・保存されていないことが多く、代わりにログイン時のIPアドレスをたどって投稿者を特定する必要があります。
このログイン時の通信に関する情報は「特定発信者情報」と呼ばれ、通常の発信者情報よりも開示の要件が加重されています。特定発信者情報は、情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法。旧・プロバイダ責任制限法)に基づき、一定の要件を満たす場合に開示が認められます。ログイン型サービスと特定発信者情報の詳しい仕組みについては、ログイン型SNSの投稿者を特定する「特定発信者情報」開示請求とは?の記事で詳しく解説しています。
Meta社への請求で開示される情報の範囲
Meta社に対する発信者情報開示の裁判手続では、投稿やログインに用いられたIPアドレスとタイムスタンプに加え、アカウントに登録された電話番号やメールアドレスの開示を求めることができます。開示され得る情報を整理すると、次のとおりです。
- 投稿・ログイン時のIPアドレスおよびタイムスタンプ
- アカウント作成時のIPアドレスおよびタイムスタンプ
- アカウントに登録された電話番号
- アカウントに登録されたメールアドレス
これらの情報のうち、電話番号やメールアドレスが判明すれば、それ自体から相手方に心当たりが得られる場合もあります。もっとも、多くのケースではIPアドレスを手がかりにアクセスプロバイダへ第2段階の開示請求を行い、契約者の氏名・住所を特定していくことになります。開示される情報の全体像については、発信者情報開示でどこまでわかる?開示される情報の範囲もご参照ください。
投稿者特定までの具体的な流れ
1. 証拠の保全(スクリーンショットの取得)
まず、問題の投稿・コメント・プロフィール等を、URL・投稿日時・アカウント名が分かる形でスクリーンショットとして保存します。投稿は相手にいつ削除されるか分かりません。証拠が失われると手続そのものが困難になるため、気づいた時点でできる限り早く保全することが大切です。
2. Meta社への発信者情報開示(第1段階)
次に、Meta社を相手方として、IPアドレス等の開示を求めます。発信者情報開示命令の申立て、または仮処分の申立てにより手続を進めます。権利侵害の明白性(名誉毀損やプライバシー侵害等が認められること)を、投稿内容に即して裁判所に説明していくことになります。
3. アクセスプロバイダの特定とログの保全
Meta社から開示されたIPアドレスをもとに、投稿者が利用したアクセスプロバイダを割り出します。アクセスプロバイダが保有する通信ログには保存期間があり、これを過ぎると特定は事実上困難になります。そこで、必要に応じてログの消去禁止を求める手続をあわせて行い、証拠を確保します。
4. アクセスプロバイダへの発信者情報開示(第2段階)
最後に、アクセスプロバイダに対して契約者の氏名・住所の開示を求めます。ここで投稿者本人が判明すれば、削除にとどまらず、損害賠償請求などの次の対応に進むことができます。
投稿の削除も並行して検討する
投稿者の特定と並行して、あるいはそれに先立って、問題の投稿そのものの削除を求めることも重要です。削除の方法としては、Instagramのアプリ内の報告機能を利用する方法のほか、Meta社に対して送信防止措置(削除)を求める方法、裁判所に削除の仮処分を申し立てる方法があります。
2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法では、一定規模以上のプラットフォーム事業者(大規模特定電気通信役務提供者)に対し、削除申出への対応の迅速化や、削除の判断基準の公表といった義務が課されました。これにより、被害者からの削除申出に対する運用の透明性が高まることが期待されています。情プラ法が誹謗中傷被害者に与える実務的な影響については、情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)とは?で解説しています。
期間・費用の目安と注意点
Instagramの投稿者特定は、Meta社への請求とアクセスプロバイダへの請求という二段階を経るため、特定までにおおむね半年から1年程度を要することが多いといえます。特にMeta社は米国法人であり、書類の送達等に一定の時間を要するため、国内事業者が運営するサービスよりも長期化しやすい傾向があります。開示手続にかかる期間の一般的な考え方については、発信者情報開示で投稿者特定までどれくらいかかる?もあわせてご覧ください。
費用は、手続の種類(開示命令か仮処分か)や相手方の対応、アクセスプロバイダの数などによって変動します。弁護士に依頼する場合の費用は事務所ごとに異なるため、依頼前に見積りを確認しておくと安心です。SNSでのなりすまし・誹謗中傷への対応については、SNSなりすまし・誹謗中傷への対応ページでも解説していますので、あわせてご参照ください。
いずれの手続でも共通して重要なのは「スピード」です。通信ログの保存期間が過ぎてしまうと、たとえ権利侵害が明らかであっても投稿者にたどり着けなくなります。被害に気づいたら、できるだけ早く弁護士に相談し、証拠保全と手続の準備を進めることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Instagramの誹謗中傷は匿名アカウントでも投稿者を特定できますか?
匿名やニックネームのアカウントであっても、発信者情報開示の手続を通じて投稿者を特定できる可能性があります。まずMeta社からIPアドレスやアカウント登録時の電話番号・メールアドレス等の開示を受け、次にIPアドレスからアクセスプロバイダを特定し、契約者情報の開示を受ける二段階の手続を経るのが一般的です。ただし投稿内容が権利侵害にあたることが明白であるかなど、事案ごとに見込みは異なります。
捨てアカウントや非公開アカウントからの誹謗中傷でも開示請求できますか?
いわゆる捨てアカウントであっても、登録時やログイン時のIPアドレス・タイムスタンプが記録されていれば、そこから投稿者にたどり着ける可能性があります。非公開アカウントからの投稿であっても、被害者本人が閲覧できる状態にあり権利侵害が認められれば、開示請求の対象となり得ます。もっとも、記録の保存期間には限りがあるため、早期の対応が重要です。
Instagramのダイレクトメッセージ(DM)での誹謗中傷も開示請求できますか?
1対1のDMは「不特定多数が閲覧できる状態」とはいえないため、名誉毀損の要件である公然性が認められにくく、発信者情報開示の対象になりにくい傾向があります。もっとも、脅迫的な内容であれば脅迫罪等として刑事上の問題となり得ますし、複数人が参加するグループでのやり取りであれば公然性が認められる余地もあります。具体的な内容に応じた判断が必要です。
Instagramの投稿者特定にはどれくらいの期間・費用がかかりますか?
Meta社への開示とアクセスプロバイダへの開示の二段階を経るため、投稿者の特定までにはおおむね半年から1年程度を要することが多いといえます。Meta社は米国法人であり書類の送達等に時間がかかるため、他のSNSより長期化しやすい傾向があります。弁護士費用は事務所や手続の内容によって異なるため、依頼を検討する際には見積りを確認することをおすすめします。
まとめ
Instagramの誹謗中傷は、相手が匿名であっても、Meta社とアクセスプロバイダへの二段階の発信者情報開示によって投稿者を特定できる可能性があります。Instagramはログイン型サービスであるため特定発信者情報の開示が鍵となること、Meta社が米国法人であるため期間が長期化しやすいこと、そして通信ログの保存期間との関係でスピードが極めて重要であることが、対応上のポイントです。
手続は専門的で、権利侵害の明白性の主張や、削除・証拠保全との調整など、判断に迷う場面も少なくありません。見通しを立て、限られた時間を有効に使うためにも、早い段階で弁護士に相談することが解決への近道です。横浜のタングラム法律事務所でも、InstagramをはじめとするSNSの投稿者特定・削除のご相談を承っています。
Instagramの誹謗中傷・投稿者特定でお困りの方へ
タングラム法律事務所では、ネット誹謗中傷に関する発信者情報開示請求・削除請求・損害賠償請求について、豊富な実績を有しております。Instagramの匿名アカウントによる中傷やなりすましについて、証拠保全から投稿者特定・その後の対応まで、横浜の弁護士が一貫してサポートいたします。
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