タングラム法律事務所

発信者情報開示でどこまでわかる?開示される情報の範囲を弁護士が解説

発信者情報開示でどこまでわかる?開示される情報の範囲を弁護士が解説

発信者情報開示でどこまでわかる?開示される情報の範囲を弁護士が解説

発信者情報開示でどこまでわかる?開示される情報の範囲を弁護士が解説

発信者情報開示でどこまでわかる?開示される情報の範囲を弁護士が解説

匿名で書き込まれた誹謗中傷に対して発信者情報開示請求を検討するとき、多くの方が最初に気にされるのが「そもそも、この手続で相手のどこまでがわかるのか」という点です。氏名や住所まで判明するのか、それともIPアドレスのような技術的な記号だけなのか——ここが曖昧なままだと、費用や手間をかける価値があるのかも判断できません。

この記事では、発信者情報開示請求によって実際に開示される情報の範囲を、法令にもとづいて整理します。開示される情報の種類、手続が2段階に分かれる理由、ログイン型SNSでの取り扱い、そして「開示された名義人が投稿者本人とは限らない」という重要な注意点まで、横浜のタングラム法律事務所の弁護士がわかりやすく解説します。

発信者情報開示請求で「開示される情報」とは

発信者情報開示請求は、インターネット上の権利侵害について、その投稿を行った者に関する情報の開示を、サイト運営者や通信事業者に対して求める手続です。根拠となる法律は、2025年4月に施行された「情報流通プラットフォーム対処法」(情プラ法。旧・プロバイダ責任制限法)です。

ここで「開示される情報」として何が対象になるかは、法律の委任を受けた総務省令(施行規則)で類型が定められています。氏名や住所といった契約者を直接特定する情報だけでなく、IPアドレスや通信日時といった技術的な記録も、法令上の「発信者情報」に含まれます。つまり、開示請求で得られる情報は一種類ではなく、複数の項目の集合体だと理解しておくとイメージしやすくなります。

開示される発信者情報の具体的な種類

法令で発信者情報として定められている主な項目を整理すると、次のとおりです。実際にどの項目が開示されるかは、相手方が保有しているか、請求の中で必要性が認められるかによって変わります。

区分主な項目役割
契約者を特定する情報氏名または名称、住所投稿者(契約名義人)を直接特定する中核情報
連絡先情報電話番号、電子メールアドレス名義人への連絡・追加調査の手がかり
通信の技術情報IPアドレス、ポート番号、タイムスタンプ(投稿日時)どのプロバイダを経由したかを辿る手がかり
端末に関する情報端末識別のための符号、SIM識別番号などスマートフォン等の通信を特定する補助情報

重要なのは、これらのうち「氏名・住所」に至るまでには複数の情報を段階的につなぎ合わせる必要があるという点です。最初からいきなり氏名がわかるわけではなく、通常はIPアドレスなどの技術情報を起点に、投稿者の特定へと近づいていきます。

手続は2段階——サイト運営者とアクセスプロバイダ

発信者の特定は、多くのケースで2段階に分かれます。この構造を理解すると、「どこで何が開示されるのか」が明確になります。

第1段階:サイト運営者(コンテンツプロバイダ)

まず、投稿が掲載されているSNSや掲示板の運営者に対して開示を求めます。ここで中心となるのは、投稿に使われたIPアドレスと投稿日時(タイムスタンプ)です。IPアドレスだけでは投稿者の氏名まではわかりませんが、そのIPアドレスがどの通信事業者から割り当てられたものかを判別できます。

第2段階:アクセスプロバイダ(通信事業者)

次に、第1段階で判明した通信事業者に対し、その日時・IPアドレスの通信契約者が誰かを開示するよう求めます。ここで氏名・住所といった契約者情報が開示されるのが一般的で、事案によっては電話番号やメールアドレスの開示が認められることもあります。

なお、2022年10月に施行された改正で「発信者情報開示命令」という新しい制度が導入され、従来別々に行っていた2段階の手続を一体的に進めやすくなりました。手続全体の流れや費用については、発信者情報開示にかかった弁護士費用は加害者に請求できる?の記事もあわせてご参照ください。

ログイン型SNSで開示される「特定発信者情報」

X(旧Twitter)やInstagramのように、投稿そのものの通信記録を運営者が保存していない「ログイン型」のサービスも少なくありません。この場合、投稿時ではなく、アカウントにログインした際の通信記録(ログイン時のIPアドレスやタイムスタンプなど)を手がかりにする必要があります。

こうしたログイン時の情報は「特定発信者情報」と呼ばれ、2022年施行の改正で開示の対象に加わりました。ただし、通常の発信者情報より開示のための要件が一つ加わるため、どの通信を対象に請求するかの設計が実務上のポイントになります。詳しくはログイン型SNSの投稿者を特定する「特定発信者情報」開示請求とは?で解説しています。

開示されても「投稿者本人」とは限らない

見落とされがちですが、開示請求で得られるのはあくまで「通信契約の名義人」の情報です。名義人と、実際にキーボードを打った人物が同一とは限りません。たとえば次のようなケースが考えられます。

  • 家族名義の回線を、同居の別の家族が使って投稿していた
  • 職場や店舗の共用Wi-Fiから、契約者以外の人が投稿していた
  • 契約者本人が知らないうちに、第三者にネットワークを利用されていた

開示された名義人がそのまま賠償請求の相手になるとは限りません。名義人が「自分は投稿していない」と主張する場合、投稿者が誰かをさらに立証していく必要が生じることがあります。この点は、開示を受けた後の見通しを左右する重要な論点です。

開示された情報を使ってできること

投稿者(またはその可能性が高い名義人)が判明したあとは、その情報をもとに次のような対応を検討できます。損害賠償請求では、慰謝料に加えて、開示にかかった弁護士費用の一部を「調査費用」として相手に請求できる場合もあります。

  • 投稿者に対する損害賠償(慰謝料)請求の交渉・訴訟
  • 再発防止の合意(示談書での約束)や謝罪の要求
  • 悪質なケースでの刑事告訴の検討

特定後の損害賠償請求の進め方は、投稿者を特定した後の損害賠償請求・訴訟の流れで詳しく説明しています。

よくある質問(FAQ)

発信者情報開示請求をすると、投稿者の氏名や住所までわかりますか?

アクセスプロバイダに対する開示が認められれば、通信契約者の氏名・住所が開示されるのが一般的です。あわせて電話番号やメールアドレスの開示が求められることもあります。ただし開示されるのは通信契約の名義人の情報であり、実際に投稿した人物と一致するとは限りません。

サイト運営者(コンテンツプロバイダ)からは何が開示されますか?

投稿に使われたIPアドレスと投稿日時(タイムスタンプ)が中心です。これらは投稿者そのものではなく、どのアクセスプロバイダを経由したかを突き止めるための手がかりとなり、次の段階でそのプロバイダに氏名・住所の開示を求めることになります。

投稿者のメールアドレスや電話番号も開示されますか?

電話番号や電子メールアドレスも、法令上開示の対象となる発信者情報に含まれます。ただし、プロバイダがそれらの情報を保有しているか、請求の中で開示が認められるかは事案によって異なり、常に開示されるわけではありません。

X(旧Twitter)やInstagramのようなSNSでも投稿者は特定できますか?

ログイン型のSNSでは、投稿時ではなくログイン時の通信記録(特定発信者情報)の開示を求められる場合があります。2022年施行の改正でこの類型の開示が可能になりましたが、要件が加わるため、手続の設計には専門的な検討が必要です。

開示された情報は投稿から時間が経っても取得できますか?

IPアドレス等の通信記録には保存期間があり、一般に数か月程度で消去されることが多いとされています。記録が消えると投稿者を辿れなくなるため、被害に気づいたらできるだけ早く手続に着手することが重要です。ログの保存期間についてはプロバイダのログ保存期間と消去禁止命令もご参照ください。

まとめ

発信者情報開示請求で開示される情報は、氏名・住所といった契約者情報から、電話番号・メールアドレス、IPアドレスや投稿日時といった技術情報まで幅広く法令で定められています。ただし、いきなり氏名がわかるわけではなく、通常はサイト運営者からIPアドレスを得て、次に通信事業者から契約者情報を得るという2段階を経ます。さらに、開示された名義人が投稿者本人とは限らないため、その後の立証や交渉の見通しまで含めて検討することが大切です。

どの情報がどこまで開示され得るか、そして開示後にどう動くべきかは、投稿されたサービスの種類やログの保存状況によって大きく変わります。SNS・掲示板での被害に関する削除と発信者情報開示については、こちらの特設ページでもご案内しています。判断に迷われたら、証拠が消える前に、早めに横浜のタングラム法律事務所の弁護士へご相談ください。

発信者情報開示請求をお考えの方へ

タングラム法律事務所では、ネット誹謗中傷に関する発信者情報開示請求・削除請求・損害賠償請求について、豊富な実績を有しております。「どこまで開示されるのか」「この投稿で特定まで進められるのか」といった段階からのご相談も承ります。横浜・新横浜の弁護士にお気軽にお問い合わせください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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