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Xの接続先IPアドレスは何個か|2026年の検証結果と疎明資料

Xの接続先IPアドレス|2026年の検証結果と疎明資料

Xの接続先IPアドレス|2026年の検証結果と疎明資料

Xの接続先IPアドレス|2026年の検証結果と疎明資料

X(旧Twitter)に対する発信者情報開示の手続では、Xは発信者情報として接続先IPアドレスを開示してくれません。接続先IPアドレスに関するログを保有していないためです。そのため、アクセスプロバイダへの申立ての際には、申立人自身が接続先IPアドレス(の候補)を調査したうえで、目録へ記載する必要があります。

この調査結果として、従来、Xの接続先IPアドレスは162.159.140.229と172.66.0.227の2個であると説明されることが多く、この2個のみを記載した目録が広く用いられてきました。

しかし当事務所が2026年7月31日から8月2日にかけて実施した検証では、これ以外にも接続先IPアドレスが存在することが確認されました。他方で、その全てが日本国内からの通信に妥当するわけではないことも判明しています。本記事では、候補の個数が4個・5個・6個のいずれとも整理し得る理由を、実測の手順と結果に沿って説明します。

接続先IPアドレスを目録に記載する理由

接続先IPアドレスとは、投稿者の端末が接続した相手側、すなわちサイト側サーバーのIPアドレスであり、投稿者自身のIPアドレス(接続元IPアドレス)とは別のものです。

アクセスプロバイダは開示請求を受けると通信ログを検索して契約者を絞り込みます。かつては接続元IPアドレスと接続日時の2つで足りましたが、IPv4アドレスの枯渇に伴い複数の契約者が短時間で同一のIPアドレスを共有する運用が広がり、この2つでは通信が一意に定まらなくなりました。そこで検索条件をもう1つ加えるべく用いられるのが接続先IPアドレスです。

東京地方裁判所が公表する「発信者情報目録記載例集」にも、次の2方式が併記されています。

方式 特定に用いる情報
AP2点方式(記載例⑦) 接続元IPアドレス+接続日時
AP3点方式(記載例⑧) 接続元IPアドレス+接続日時+接続先IPアドレス

3点方式を採る場合、接続先IPアドレスをどう疎明するかが問題になります。開示請求で得られる情報の全体像はこちらの記事もご覧ください。

従来「2個」とされてきた根拠

接続先IPアドレスは、接続先URLのホスト名(FQDN)をDNSで正引きした値であり、nslookupコマンドで確認できます。「x.com」を正引きすると、通常は162.159.140.229と172.66.0.227の2個が表示されます。いずれもCloudflare社の帯域です。旧twitter.com時代は104.244.42で始まる4個でしたが、2025年3月のドメイン移行に伴い上記2個へ変わりました。

検証方法——3つの角度から

この2個で網羅されているかを確認するため、x.com・api.x.com・twitter.com・upload.twitter.com・t.coほか計40余のホスト名を対象に、次の3手法で調査しました。

手法① 公開キャッシュDNSサーバーへの反復照会

1.1.1.1(Cloudflare社)、8.8.8.8(Google社)、9.9.9.9(Quad9)など、広く利用されている公開DNSサーバー計20か所に対し、各ホスト名を反復して照会しました。

手法② 権威DNSサーバーへの直接照会

キャッシュの影響を排除するため、x.comのゾーンを管理する権威DNSサーバー(a.r10.twtrdns.netほか計8台)へ直接照会しました。1つのホスト名につき数十回から300回以上を実施しています。

手法③ 日本国内のリゾルバへの照会

日本の利用者が実際に受け取る応答を確認するため、日本国内で運営されているキャッシュDNSサーバー計8か所(IIJ・OCN・ソフトバンク・Freebit・Interlink等)に対し、各ホスト名を反復して照会しました。

EDNS Client Subnetは有効でない点にご注意ください
DNSには、照会元の所在地をサーバーに伝えるEDNS Client Subnet(RFC7871)という仕組みがあります。当初、この仕組みで日本のISPのアドレスを指定して照会する方法も試みましたが、応答を解析したところ、x.comの権威DNSサーバーは所在地の情報を無視していました(応答のscope値が0)。つまり、この方法では「日本から見た応答」を再現できません。日本国内の応答を調べるには、手法③のように日本国内のリゾルバへ実際に照会する必要があります。

検証結果1——全体で確認できた5個

3手法を通じて応答として実際に返されたIPアドレスは、次の5個でした。

IPアドレス 応答が確認されたホスト名(例) 割当先
162.159.140.229 x.com、api.x.com、twitter.com、t.co ほか全ホスト Cloudflare, Inc.
172.66.0.227 同上 Cloudflare, Inc.
151.101.2.146 twitter.com、x.com Fastly, Inc.
151.101.66.146 x.com、www.x.com、upload.twitter.com、ton.twitter.com Fastly, Inc.
151.101.194.146 ton.twitter.com、t.co Fastly, Inc.

従来の2個はCloudflare社の帯域ですが、新たに確認された3個は151.101.0.0/16、すなわちFastly社の帯域に属します。

なぜ1回の照会では2個しか出ないのか

XはCloudflare社とFastly社の2つのCDN事業者を併用し、DNSの応答段階でいずれかに振り分ける構成(マルチCDN構成)を採用しています。どちらが返されるかは照会ごとに変動するため、1回の実行では応答に含まれなかった側は目に見えません。

実際、権威DNSに300回以上照会してなおx.comからはCloudflare社の2個しか返らない場面もありました。「nslookupで2個しか出なかったから2個である」という推論は成り立ちません。

検証結果2——日本から実際に観測されるFastly社のIPアドレスは2個のみ

ここからが実務上重要な点です。日本国内のリゾルバ8か所に照会したところ、Fastly社のIPアドレスが返されたのは、次の2個に限られました。

ホスト名 応答回数 Fastly社が返された割合 該当したアドレス
x.com 176 約18% 151.101.66.146
www.x.com 64 約5% 151.101.66.146
twitter.com 64 約14% 151.101.2.146
api.x.com 176 0%
mobile.x.com 64 0%
api.twitter.com 64 0%
upload.twitter.com 64 0%
t.co 64 0%

この結果から、次の3点が読み取れます。

第一に、Fastly社のIPアドレスになる可能性は無視できません。 x.comの正引きは、日本のリゾルバ経由でも約5回に1回はFastly社のアドレスを返します。「実際にはほぼCloudflare社だろう」という見込みは成り立ちません。逆にいえば、目録を2個で作成していた場合、Web経由の投稿のうち相当割合がアクセスプロバイダの検索から漏れていたおそれがあります。

第二に、日本から現れるのは151.101.66.146と151.101.2.146の2個だけです。 151.101.194.146は、国外経由の照会でのみ観測され、日本国内のリゾルバからは一度も返されませんでした。

第三に、スマートフォンアプリからの投稿であれば、Fastly社になる可能性は低いと考えられます。 アプリが用いるapi.x.comとmobile.x.comは、合計240回の照会で1件もFastly社のアドレスを返しませんでした。他方、ブラウザからの投稿はx.comが接続先となるため、上記の約18%が効いてきます。

Fastly社の割当規則——残る候補を導く

ここまでで観測できたFastly社のアドレスは151.101.2.146・151.101.66.146・151.101.194.146の3個です。では、これで全部なのでしょうか。この点は、Fastly社がIPアドレスをどう割り当てているかを調べることで検討できます。

そこで、Fastly社のCDNを利用していることが確認できる他の18のホスト名について正引きを行いました。主要なものは次のとおりです。

ホスト名 第4オクテット 第3オクテット(4個で1組)
www.bbc.com 81 0 / 64 / 128 / 192
pypi.org 223 0 / 64 / 128 / 192
www.pinterest.com 84 0 / 64 / 128 / 192
www.reddit.com 140 1 / 65 / 129 / 193
www.nytimes.com 164 1 / 65 / 129 / 193
www.theguardian.com 111 1 / 65 / 129 / 193
www.ted.com 133 2 / 66 / 130 / 194
www.twitch.tv 214 2 / 66 / 130 / 194
www.buzzfeed.com 114 2 / 66 / 130 / 194
www.etsy.com 42 3 / 67 / 131 / 195
www.spotify.com 42 3 / 67 / 131 / 195

調査した18のホスト名のいずれにおいても、割り当てられたアドレスは例外なく4個であり、第4オクテットが同一で、第3オクテットが「n」「n+64」「n+128」「n+192」の4つの値をとっていました。Fastly社は、1つのサービスに対し、第3オクテットを64ずつ隔てた4個のアドレスを1組として割り当てているものと認められます。

151.101.130.146は候補になり得る

Xについて観測された3個は、いずれも第4オクテットが146で共通し、第3オクテットは2・66・194です。上記の規則に照らせば、Xに割り当てられた1組は「2」「66」「130」「194」の4個ということになります。

本調査で151.101.130.146が観測されなかったのは、返される頻度が低いことによるものと考えられます。したがって、151.101.130.146も接続先IPアドレスの候補に加えるのが相当です。

151.101.110.146については根拠が見当たらない

なお、151.101.110.146もXの接続先IPアドレスに含まれるという説があります。しかし、当事務所の検証では、いかなる経路からも一度も観測されませんでした。

また、上記のFastly社の割当規則からも導くことができません。第3オクテットの110は64を法として46に合同であり、Xの基準値である2とは合同ではないからです。すなわち110は「2」「66」「130」「194」の組ではなく、「46」「110」「174」「238」という別のサービスの組に属する値です。1組が4個である以上、第4オクテットが146のサービスに110が含まれる余地はありません。

したがって、現時点で151.101.110.146を候補とすべき根拠は見出せません。もっとも、これを列挙したからといって申立人に不利益が生じるわけではないため、裁判所や相手方から具体的に指摘されている場合には、あえて争わず含めておくという判断もありえます。

候補は4個か、5個か、6個か

以上を整理すると、候補の個数は次の3通りに整理できます。

個数 内容 位置づけ
6個 5個+151.101.130.146 Fastly社の割当規則から根拠を示せる最大限の候補
5個 Cloudflare社2個+Fastly社3個 当事務所の検証で実際に応答が確認された範囲(国外経由を含む)
4個 Cloudflare社2個+151.101.2.146+151.101.66.146 日本国内のリゾルバから実際に観測された範囲

原則——申立人としては6個すべてを記載することが望ましい

申立人の立場からは、根拠を示せる6個をすべて記載しておくことが望ましいといえます。

理由は2つあります。第一に、候補を増やしても申立人に不利益は生じません。列挙する候補が増えれば、それだけアクセスプロバイダの検索の網が広がるにすぎず、記載しなかったIPアドレスへの接続だけが検索から漏れる、という一方向のリスクしかないためです。第二に、日本国内のリゾルバから観測されなかったことは、その経路が存在しないことの証明にはなりません。検証はあくまで特定の日時における有限回の測定であり、DNSの応答内容は事業者側の設定変更によって随時変わり得ます。投稿時点で別の候補が返されていた可能性を完全には否定できない以上、広めに記載しておくのが安全です。

例外——アクセスプロバイダから絞り込みを求められた場合

もっとも、アクセスプロバイダから「候補が多く検索の負担が大きいため絞ってほしい」という趣旨の要望が出ることがあります。接続先IPアドレスを検索条件に加えるということは、その個数だけログ検索を繰り返すことを意味するためです。

このような場合には、4個に絞るという選択肢もありえます。 発信者が日本国内から接続している事案であれば、日本のリゾルバが返さないIPアドレスへ接続する事態は通常想定しがたく、日本国内から実際に観測された4個で必要十分と整理することが可能だからです。

実務的には、この判断を申立人限りで行うのではなく、日本国内のリゾルバへの照会結果を示した報告書を提出し、絞り込みの根拠を明らかにしたうえで対応するのが望ましいといえます。単に候補を減らすのではなく、なぜその4個で足りるのかを説明できる状態にしておくことが、後の紛争を避けることにつながります。

数値の読み方について
前掲の約18%という数値は、あくまでDNSの正引き結果の割合です。ブラウザやアプリは一度取得した結果を一定時間再利用するため、この割合がそのまま「投稿の何%がFastly社経由か」を意味するものではありません。もっとも、Fastly社への接続が相当割合で生じ得ることを示す資料としては十分な意味を持ちます。

疎明資料としてどう提出するか

記載方法について、東京地判平成28年3月9日は「次の接続先IPアドレスのいずれかに接続した者に関する情報」という択一的な記載のまま開示を認容しました。1つに特定する必要はないと考えられます。

立証の方法については、相手方から不知と認否された事案につき、東京地判令和元年10月24日が代理人による正引きの結果を弁論の全趣旨により認定しています。また東京地判平成30年3月8日は、他の通信が混入する可能性の指摘について、一般的・抽象的な可能性を述べるにとどまり合理的な疑いを生じさせる事情とはいえないと判断しました。

これらを踏まえると、報告書は次の要素を備えるのが適切です。

  • 調査日を明記する
  • 照会先のDNSサーバー・照会方法・試行回数を具体的に記載する
  • 単一の照会では網羅できない理由(マルチCDN構成)を説明する
  • 日本国内のリゾルバへの照会結果を含める(国外からの測定のみでは、日本の発信者に妥当するのかという反論を受け得るため)
  • 応答が確認された値と確認されなかった値を区別する
  • 各帯域の割当先を示すwhois検索結果を添付する

nslookupの画面を1枚添付するだけでは複数の候補を再現できず、網羅性の疎明として不十分と評価されるおそれがあります。開示請求が奏功しない要因は、発信者情報開示請求が失敗・棄却されるケースとは?でも解説しています。

よくある質問

nslookupを1回実行した画面を疎明資料にしてよいですか。

Xについては十分でない可能性があります。1回の照会ではCloudflare社の2個しか表示されないことが多く、候補の不足を指摘されるおそれがあります。複数のDNSサーバーに反復して照会した記録を残すことをおすすめします。

候補が複数ある場合、1つに絞る必要がありますか。

1つに絞る必要はないと考えられます。東京地判平成28年3月9日は択一的な記載のまま開示を認容しています。サイト運営者が記録していない限り事後的に1つを特定することは技術的に不可能であり、複数を列挙する記載が実務上用いられています。

日本国内で観測されない候補まで列挙する必要がありますか。

申立人としては、根拠を示せる6個をすべて記載しておくのが望ましいといえます。候補を広く列挙しても申立人に不利益はなく、記載しなかったIPアドレスへの接続だけが検索から漏れるという一方向のリスクしかないためです。もっとも、アクセスプロバイダから検索負担を理由に絞り込みを求められた場合には、日本国内から観測された4個に絞るという選択肢もありえます。

151.101.110.146も含めるべきだという話を聞きましたが、どうですか。

当事務所の検証では一度も観測されず、Fastly社の割当規則からも導くことができませんでした。第3オクテットの110は、Xに割り当てられた「2」「66」「130」「194」の組には属さないためです。もっとも、列挙しても申立人に不利益はないため、裁判所や相手方から具体的に指摘されている場合は、あえて争わず含めるという判断もありえます。

投稿から時間が経っていますが、当時の接続先IPアドレスを調べられますか。

事後的な正引きで再現できるのは調査時点の応答であり、投稿時点の応答そのものではありません。もっとも代理人による正引きの結果を認定した裁判例もあり、調査日を明示した報告書の形で提出するのが一般的です。

まとめ

  • Xの接続先IPアドレスは、従来説明されてきた2個にとどまらない
  • 1回のnslookupで2個しか出ないのは、XがCloudflare社とFastly社を併用するマルチCDN構成を採用しているためである
  • 2026年8月時点で応答が確認されたのは、Cloudflare社2個とFastly社3個の計5個
  • Fastly社は1サービスに4個を1組として割り当てており、この規則から151.101.130.146を加えた計6個が、根拠を示せる最大限の候補となる
  • 151.101.110.146も含まれるという説があるが、観測できず、割当規則からも導けない
  • 申立人としては6個すべてを記載しておくのが望ましいが、アクセスプロバイダから絞り込みを求められた場合には、日本国内で観測された4個(Cloudflare社2個+151.101.2.146+151.101.66.146)に絞る選択肢もありえる
  • 報告書は、調査方法と試行回数を明示し、日本国内のリゾルバへの照会結果を含め、確認できた値とできなかった値を書き分ける

候補が不足していると、通信の特定が不十分であると争われ、あるいは該当する通信が検索から漏れることになりかねません。アクセスプロバイダのログ保存期間は数か月程度にとどまるため、補正のやり直しが致命的な遅れにつながることもあります。ご自身での申立てを検討されている場合の全体像は、発信者情報開示請求は弁護士なしで自分でできる?でも整理しています。手続の設計や疎明資料に不安がある場合は、この分野を扱う弁護士への相談をご検討ください。当事務所も横浜で、インターネット上の権利侵害に関するご相談をお受けしています。

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タングラム法律事務所では、IT業界出身の弁護士が、X・Googleマップ・匿名掲示板等の発信者情報開示請求と削除請求を数多く取り扱っています。横浜を拠点に、技術的な争点を含む案件にも対応いたします。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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