タングラム法律事務所

YouTubeの誹謗中傷コメントで投稿者を特定する方法を弁護士が解説

YouTubeの誹謗中傷コメントで投稿者を特定する方法を弁護士が解説

YouTubeの誹謗中傷コメントで投稿者を特定する方法を弁護士が解説

YouTubeの誹謗中傷コメントで投稿者を特定する方法を弁護士が解説

YouTubeの誹謗中傷コメントで投稿者を特定する方法を弁護士が解説

YouTubeの動画やコメント欄で、事実無根の中傷や侮辱を書き込まれ、「この投稿者が誰なのか特定したい」「二度と繰り返させないよう責任を追及したい」とお考えの方は少なくありません。匿名のアカウント名しか表示されていないため、どこから手をつければよいのか分からず、被害だけが積み重なっていく——そうした状況で不安を抱えている方も多いはずです。

結論から言えば、YouTubeの誹謗中傷であっても、法的手続を踏むことで投稿者を特定できる可能性があります。ただしYouTubeを運営するのは米国のGoogleであり、独特の注意点も存在します。この記事では、投稿者を特定するための発信者情報開示の全体像、YouTube特有の落とし穴、特定後にできること、費用や期間の目安までを、横浜の弁護士が順を追って解説します。

YouTubeの誹謗中傷で「特定できる相手」と法的根拠

YouTubeで問題となる誹謗中傷は、大きく分けて動画そのものによる中傷と、コメント欄への書き込みによる中傷があります。いずれの場合も、投稿者を特定する法的な入口となるのが「発信者情報開示請求」です。

この手続の根拠となる法律は、2025年4月1日に施行された情報流通プラットフォーム対処法(正式名称「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」。以下「情プラ法」)です。これは従来の「プロバイダ責任制限法」が改正・改称されたもので、被害者が加害者の氏名や住所などの発信者情報の開示を求める権利の枠組みは引き続き維持されています。

開示が認められるためには、名誉毀損やプライバシー侵害など、投稿によって自分の権利が侵害されたことが明らかであること(権利侵害の明白性)などの要件を満たす必要があります。単に「気に入らない」「不愉快だ」というだけでは足りず、投稿内容が法的に違法と評価できるかどうかが第一のハードルになります。

誹謗中傷が名誉毀損に該当するかどうかの判断は、投稿の一つひとつを法的な基準に照らして検討する必要があります。当てはまるかご不安な場合は、投稿のスクリーンショットを保存したうえで弁護士にご相談ください。

YouTube(Google)への発信者情報開示の全体の流れ

YouTubeの投稿者特定は、原則として次の二段階の手続を経て進みます。「投稿者が誰か」という情報を、一度の請求で直接得られるわけではない点がポイントです。

段階相手方求める情報・目的
第1段階Google(YouTube運営者)投稿時等のIPアドレス、アカウント登録情報(メールアドレス・電話番号等)の開示
第2段階経由プロバイダ(インターネット接続業者)第1段階で得たIPアドレスをもとに、契約者の氏名・住所の開示

まずGoogleに対して、対象となるコメントや動画の投稿に用いられたIPアドレスや、アカウント作成時に登録されたメールアドレス・電話番号などの開示を求めます。Googleが任意に応じない場合は、裁判所を通じた手続が必要です。手続には、令和3年のプロバイダ責任制限法改正により2022年(令和4年)10月に創設された発信者情報開示命令(非訟手続)を用いる方法と、従来型の仮処分を用いる方法があります。

次に、開示されたIPアドレスから、その通信に使われた経由プロバイダ(大手通信会社など)を割り出し、当該プロバイダに対して契約者の氏名・住所の開示を求めます。この二段階を経て、はじめて投稿者本人にたどり着けるという流れです。発信者情報開示の一般的な流れについては、投稿者特定までにどれくらいの期間がかかるかを解説した記事もあわせてご覧ください。

YouTube特有の注意点――ログイン型と海外事業者

YouTubeの投稿者特定には、他の掲示板などにはない独特の難しさがあります。手続に着手する前に、次の三点を理解しておくことが大切です。

1. ログイン型サービスであること

YouTubeでコメントを投稿するにはGoogleアカウントへのログインが必要です。こうした「ログイン型」のサービスでは、投稿の瞬間の通信ではなく、ログイン時の通信記録しか残っていないことがあります。この場合、投稿時IPではなくログイン時の通信(いわゆる特定発信者情報・侵害関連通信)の開示を求めることになりますが、その開示には情プラ法上の加重された要件を満たす必要があります。ログイン型SNSの特定については、特定発信者情報の開示請求を解説した記事で詳しく取り上げています。

2. 運営者が海外法人であること

YouTubeを運営するGoogleは米国の法人です。裁判手続を進める際には外国法人を相手とする送達などの対応が必要になり、国内事業者を相手にする場合よりも時間や手間がかかる傾向があります。実務上、海外事業者は開示命令に速やかに応じないことがあり、事案によっては仮処分を用いた方が迅速に開示を得られる場合もあります。

3. ログの保存期間に限りがあること

経由プロバイダが保有する通信ログの保存期間は、一般に3か月から6か月程度とされています。IPアドレスが判明しても、プロバイダがログを消去してしまえば契約者を特定できなくなります。そのため、消去禁止命令などによってログの保全を図りつつ、迅速に手続を進めることが極めて重要です。

投稿者特定のために必要な準備(証拠保全)

手続をスムーズに進めるためには、着手前の証拠保全が欠かせません。投稿は削除されたり編集されたりすることがあるため、被害に気づいた段階でできるだけ早く記録を残しておきましょう。保存しておきたい主なものは次のとおりです。

  • 問題のコメント・動画のスクリーンショット(投稿者のアカウント名が写る形で)
  • 対象コメントや動画のURL(ブラウザのアドレスバー全体)
  • 投稿された日時が分かる画面
  • チャンネル名・チャンネルURLなど投稿者を示す情報
  • 自分がその投稿の対象であると分かる事情(同定可能性を示す資料)

スクリーンショットは、URLと日時が一緒に写るように撮影しておくと証拠価値が高まります。開示によって最終的にどこまでの情報が判明するのかは、発信者情報開示で開示される情報の範囲を解説した記事で確認できます。

投稿者を特定した後にできること

投稿者の氏名・住所が判明すれば、次の段階として法的な責任追及が可能になります。主な選択肢は次のとおりです。

対応内容
損害賠償請求民法709条に基づき、精神的苦痛への慰謝料や、開示手続に要した弁護士費用の一部などを請求します。示談交渉で解決する場合と、訴訟による場合があります。
刑事告訴投稿内容が名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(刑法231条)に該当する場合、告訴を検討できます。侮辱罪は令和4年の刑法改正で法定刑が引き上げられています。
再発防止の合意示談の中で、投稿の削除・謝罪・今後同様の投稿をしないことなどを約束させることができます。

どの手段を選ぶかは、被害の内容や依頼者の希望によって変わります。慰謝料額は投稿の悪質性・拡散の程度・被害の実態などによって幅があり、一律に決まるものではありません。

費用と期間の目安

YouTubeの投稿者特定は二段階の手続を要するため、Googleへの開示手続・経由プロバイダへの開示手続・その後の損害賠償請求と、複数の局面で弁護士費用が生じます。金額は事案の難易度や依頼する事務所によって異なるため、あらかじめ見込みを確認しておくとよいでしょう。

期間についても、外国法人であるGoogleを相手にする手続と経由プロバイダへの手続を積み重ねるため、投稿者の特定までに半年前後、損害賠償請求まで含めると1年前後を要することもあります。プロバイダのログには保存期間の限界があるため、「特定できるかどうか」は着手の早さに大きく左右されます。

なお、X(旧Twitter)など他の主要SNSでの投稿者特定の考え方については、Xの誹謗中傷で投稿者を特定する方法を解説した記事もご参照ください。SNS上のなりすまし・誹謗中傷への対応全般については、こちらのページでも解説しています。

よくある質問

YouTubeのコメント投稿者はハンドルネームしかわからなくても特定できますか?

アカウント名(ハンドルネーム)しかわからない場合でも、発信者情報開示の手続を通じてGoogleからIPアドレスやアカウント登録情報の開示を受け、そこから経由プロバイダをたどって契約者本人を特定できる可能性があります。表示名だけでは本人にたどり着けないため、法的手続によるIPアドレス等の取得が出発点になります。

YouTubeへの開示請求は個人でもできますか?

制度上は本人による申立ても可能ですが、YouTubeを運営するGoogleは米国法人であり、任意開示に応じない場合は裁判所での手続(発信者情報開示命令や仮処分)が必要になります。外国送達や特定発信者情報の要件など専門的な判断を要する場面が多く、実務上は弁護士に依頼して進めるケースが一般的です。

IPアドレスが記録されていないと特定はできませんか?

YouTubeはGoogleアカウントへのログインを前提とするため、投稿時のIPアドレスが残っていない場合があります。その場合はログイン時の通信(特定発信者情報)の開示を求めることが検討されますが、要件が加重されており、開示の可否は事案により異なります。早めに専門家へ相談することが重要です。

投稿者を特定するまでどのくらい時間がかかりますか?

事案によりますが、Googleへの開示と経由プロバイダへの開示という二段階の手続を経るため、投稿者の特定までに半年前後、その後の損害賠償請求まで含めると1年前後を要することも珍しくありません。プロバイダのログ保存期間には限りがあるため、早期の着手が特定の成否を左右します。

まとめ

YouTubeの誹謗中傷であっても、情プラ法に基づく発信者情報開示の手続を踏むことで、匿名の投稿者を特定できる可能性があります。もっとも、ログイン型サービスであり運営者が海外法人であるという特有の事情や、ログの保存期間という時間的制約があるため、被害に気づいたら、まず投稿の証拠を保存し、できるだけ早く動くことが肝心です。

横浜のタングラム法律事務所は、理系・ITエンジニア出身の弁護士が、技術と法律の両面からネット上の権利侵害に対応しています。「特定できる見込みはあるのか」「どの手続を選ぶべきか」といった段階からでも、状況を整理してご説明します。一人で抱え込まず、専門家に相談することが解決への第一歩です。

YouTubeの誹謗中傷でお困りの方へ

タングラム法律事務所では、ネット誹謗中傷に関する発信者情報開示請求・削除請求・損害賠償請求について、豊富な実績を有しております。YouTubeのコメント・動画による被害についても、投稿者特定の見通しから責任追及まで一貫してサポートいたします。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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