タングラム法律事務所

ネットの誹謗中傷は何罪になる?成立しうる犯罪と刑罰を弁護士が解説

ネットの誹謗中傷は何罪になる?成立しうる犯罪と刑罰を弁護士が解説

ネットの誹謗中傷は何罪になる?成立しうる犯罪と刑罰を弁護士が解説

ネットの誹謗中傷は何罪になる?成立しうる犯罪と刑罰を弁護士が解説

ネットの誹謗中傷は何罪になる?成立しうる犯罪と刑罰を弁護士が解説

SNSや掲示板に自分や会社への悪意ある書き込みを見つけたとき、「これは犯罪ではないのか」「加害者を処罰できないのか」と考える方は少なくありません。一方で、投稿する側も「匿名だから大丈夫」と軽い気持ちで書き込んだ結果、思わぬ刑事責任を問われることがあります。ネット上の誹謗中傷は、その内容によって成立する犯罪が異なり、名誉毀損罪だけがすべてではありません。

この記事では、ネットの誹謗中傷が「何罪」に問われうるのかを、名誉毀損罪・侮辱罪・脅迫罪・信用毀損罪・業務妨害罪などの条文と法定刑に沿って整理します。あわせて、被害者側が加害者を処罰してもらうための手続や、刑事責任と民事責任の関係についても横浜の弁護士が解説します。

ネットの誹謗中傷が「犯罪」になる仕組み

ネット上の書き込みが犯罪に当たるかどうかは、「どんな内容を」「どのような形で」投稿したかで判断されます。ポイントとなるのは、多くの犯罪が「公然性」、すなわち不特定または多数の人がその投稿を見られる状態を要件としている点です。誰でも閲覧できるSNSの投稿や掲示板の書き込みは、この公然性が認められやすい典型例といえます。

一つの投稿が複数の罪に触れることもあります。たとえば「あの店は食中毒を隠している。店主は前科者だ」といった書き込みは、名誉毀損罪と信用毀損罪の双方が問題となり得ます。以下では、ネットの誹謗中傷で特に問題になりやすい犯罪を順に見ていきます。なお、法定刑については2022年改正法および刑罰を「拘禁刑」に一本化する2025年6月1日施行の改正を反映しています。

名誉毀損罪(刑法230条)

名誉毀損罪は、公然と具体的な事実を摘示して人の社会的評価を低下させた場合に成立します。法定刑は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。ここでいう「事実の摘示」とは、真偽を検証できる具体的な事柄を示すことを指します。「Aさんは不倫をしている」「あの会社は脱税している」といった投稿がこれに当たります。

注意すべきなのは、書かれた内容が真実であっても名誉毀損罪は成立し得るという点です。もっとも刑法230条の2は、摘示した事実が公共の利害に関するもので、その目的が専ら公益を図ることにあり、かつ真実であると証明されたときなどは処罰しないと定めています。この違法性阻却の要件をどう見るかは実務でも争点になりやすく、詳しくは名誉毀損が成立しない場合を解説した記事もあわせてご覧ください。名誉毀損罪は親告罪であり、原則として被害者などの告訴がなければ起訴できません。

侮辱罪(刑法231条)——2022年改正で厳罰化

具体的な事実を示さずに、公然と人を侮辱した場合には侮辱罪が成立します。「バカ」「気持ち悪い」「無能」といった、事実の摘示を伴わない軽蔑的な表現がこれに当たります。事実を示すか否かが、名誉毀損罪との主な分かれ目です。

侮辱罪はかつて「拘留または科料」という軽い法定刑にとどまっていましたが、ネット上の誹謗中傷の深刻化を背景に、2022年(令和4年)の刑法改正で厳罰化されました。改正後の法定刑は、1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料です。あわせて公訴時効も1年から3年に延長されました。侮辱罪も名誉毀損罪と同じく親告罪です。名誉毀損罪との違いは名誉毀損の「公然性」を解説した記事もご参照ください。

脅迫罪(刑法222条)

「殺す」「家に火をつける」「家族に危害を加える」など、生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加える旨を告知して相手を畏怖させた場合には、脅迫罪が成立し得ます。法定刑は2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。ダイレクトメッセージやリプライで直接送りつけられた場合のように、必ずしも公然性は要件とされません。

脅迫罪は名誉毀損罪・侮辱罪と異なり親告罪ではないため、告訴がなくても捜査・起訴が可能です。危害の告知が具体的で切迫している場合には、警察が比較的動きやすい類型でもあります。身の危険を感じる書き込みを受けたときは、証拠を保全したうえで早期に警察へ相談することが大切です。

信用毀損罪・業務妨害罪(刑法233条・234条)

店舗や企業に対する誹謗中傷では、名誉毀損罪に加えて信用毀損罪や業務妨害罪が問題となります。刑法233条は、虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の信用を毀損し、またはその業務を妨害した者を、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処すると定めています。「あの店の料理には異物が入っていた」といった虚偽の投稿で店の経済的信用や集客を害する行為が典型です。

また、威力を用いて業務を妨害した場合には威力業務妨害罪(刑法234条)が成立し、法定刑は前条と同じく3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。ネット上では、大量の予約を虚偽で入れる、爆破予告を書き込むといった行為がこれに当たり得ます。これらの罪は非親告罪です。加害者が刑事事件として立件される条件については加害者が逮捕される条件を解説した記事でも触れています。

その他に成立しうる罪と、各罪の一覧

上記のほかにも、私事性的画像記録の提供等(いわゆるリベンジポルノ防止法)、つきまとい等を規制するストーカー規制法違反、児童ポルノ禁止法違反など、投稿の内容によってはさまざまな法律に触れる可能性があります。誹謗中傷が単発ではなく執拗に繰り返される場合には、複数の法令が重なって適用されることもあります。

罪名主な行為法定刑親告罪か
名誉毀損罪(刑法230条)公然と事実を摘示し社会的評価を低下3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金親告罪
侮辱罪(刑法231条)公然と事実を示さず侮辱1年以下の拘禁刑・30万円以下の罰金・拘留・科料のいずれか親告罪
脅迫罪(刑法222条)害を加える旨を告知し畏怖させる2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金非親告罪
信用毀損罪・偽計業務妨害罪(刑法233条)虚偽の風説・偽計で信用や業務を害する3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金非親告罪
威力業務妨害罪(刑法234条)威力で業務を妨害する3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金非親告罪

どの罪が成立するかは、投稿の文言・文脈・拡散状況などを総合して個別に判断されます。上記はあくまで一般的な整理であり、具体的な事案での成否は弁護士にご相談ください。

加害者を処罰してもらうには

匿名の投稿で加害者を処罰してもらいたい場合、まず投稿者が誰であるかを特定する必要があります。実務では、証拠を保全したうえで発信者情報開示請求を行い、投稿者を特定してから、告訴状を作成して警察・検察に提出するという流れが一般的です。名誉毀損罪・侮辱罪は親告罪であるため、告訴は不可欠です。信用毀損罪・業務妨害罪・脅迫罪は非親告罪ですが、被害届や告訴が捜査の端緒になる点は変わりません。

証拠は時間の経過とともに失われやすく、投稿の削除やプロバイダのログ保存期間の経過によって特定が難しくなることもあります。初動でどのように動くべきかについては、ネット誹謗中傷の初動対応を解説した記事も参考になります。刑事責任とは別に、民法709条に基づく損害賠償請求も可能であり、目的や被害状況に応じて刑事・民事の方針を選ぶことになります。

よくある質問(FAQ)

「バカ」「気持ち悪い」などの一言でも犯罪になりますか?

具体的な事実を示さずに人を軽蔑する表現は、名誉毀損罪ではなく侮辱罪(刑法231条)の対象になり得ます。侮辱罪は2022年の改正で法定刑が引き上げられ、1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留・科料が定められています。ただし成立には投稿が不特定または多数の人が見られる状態であること(公然性)などが必要で、一言であれば必ず成立するわけではありません。

書かれた内容が事実であれば名誉毀損罪にはなりませんか?

名誉毀損罪は、摘示した事実が真実かどうかにかかわらず、人の社会的評価を低下させれば成立し得ます。もっとも、その事実が公共の利害に関し、目的が専ら公益を図ることにあり、かつ真実であると証明された場合などには、刑法230条の2により処罰されないことがあります。事実だからといって当然に免責されるわけではありません。

会社の悪い口コミを書かれた場合は何罪になりますか?

虚偽の内容で会社の経済的な信用を低下させた場合は信用毀損罪、偽計や威力で業務を妨害した場合は業務妨害罪(刑法233条・234条、いずれも3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)に当たり得ます。個人・法人の社会的評価を害する内容であれば名誉毀損罪が問題となることもあります。

加害者を処罰してもらうにはどうすればよいですか?

名誉毀損罪・侮辱罪は親告罪で、被害者などの告訴がなければ起訴できません。匿名の投稿では、まず発信者情報開示請求で投稿者を特定し、証拠を保全したうえで告訴状を作成して警察・検察に提出する流れが一般的です。信用毀損罪・業務妨害罪・脅迫罪は非親告罪ですが、実務上は被害届や告訴が捜査のきっかけになります。

刑事事件にしなくても損害賠償は請求できますか?

できます。犯罪の成否とは別に、民法709条の不法行為として慰謝料などの損害賠償を請求することが可能です。刑事責任を問わず民事での解決を選ぶ、あるいは両方を並行して進めるなど、被害の状況や目的に応じて方針を選ぶことになります。

まとめ

ネットの誹謗中傷は、事実を示して評価を下げれば名誉毀損罪、事実を示さず侮辱すれば侮辱罪、害悪を告知すれば脅迫罪、虚偽で信用や業務を害すれば信用毀損罪・業務妨害罪と、内容によって成立しうる罪が変わります。侮辱罪の厳罰化に見られるように、匿名の書き込みであっても法的責任を免れるわけではありません。

もっとも、どの罪が成立するか、告訴や発信者情報開示をどう進めるかは、投稿の文言や証拠の状況によって大きく変わります。被害を受けた方も、意見照会書や開示請求を受け取った方も、早い段階で弁護士に相談することで、証拠の散逸を防ぎ、刑事・民事の両面から適切な選択肢を検討できます。横浜のタングラム法律事務所でも、ネット誹謗中傷に関するご相談を承っています。

ネットの誹謗中傷でお悩みの方へ

タングラム法律事務所では、ネット誹謗中傷に関する発信者情報開示請求・削除請求・損害賠償請求について、豊富な実績を有しております。加害者の刑事責任・民事責任のいずれを追及すべきか、証拠の保全から特定・請求まで、被害の状況に応じて弁護士がサポートいたします。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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