食べログの悪い口コミは削除できる?飲食店ができる対処法を弁護士が解説
食べログの悪い口コミは削除できる?飲食店ができる対処法を弁護士が解説
「事実と違う内容を書き込まれた」「来店したこともない人から星1つを付けられた」——食べログの口コミは集客に直結するだけに、悪質な投稿を放置すれば売上や信用に深刻な影響が及びます。お店を守るために何とかしたいと考えるのは当然のことです。一方で、口コミサイトの投稿には表現の自由や利用者の率直な感想という側面もあり、「気に入らない口コミをすべて消せる」わけではありません。どこまでが正当な批判で、どこからが削除・法的対応の対象になるのか、線引きに悩む飲食店の方は少なくありません。
この記事では、食べログの悪い口コミについて、削除できるのかという法的な考え方、運営(株式会社カカクコム)への削除依頼の手順、応じない場合の送信防止措置依頼や削除の仮処分、投稿者を特定する発信者情報開示請求、2025年4月施行の情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)との関係までを、横浜の弁護士が順を追って解説します。
食べログの口コミはそもそも削除できるのか
結論から言えば、「削除できる口コミ」と「削除が難しい口コミ」があります。判断の分かれ目は、その投稿が単なる主観的な評価・感想にとどまるのか、それとも虚偽の事実の摘示やガイドライン違反にあたるのか、という点です。
裁判実務では、投稿によって店舗の社会的評価が低下し、かつそれが真実でない場合に、名誉毀損として削除や損害賠償が認められる傾向にあります。事業者については、経済的な信用を害する投稿が信用毀損・業務妨害の問題となることもあります。逆に、「味が好みではなかった」「接客が残念だった」といった感想・評価は、店にとって不利益でも、意見の表明として保護される範囲が広く、削除は容易ではありません。
食べログのガイドラインに違反する口コミの類型
食べログは「口コミガイドライン」を公表しており、これに反する投稿は運営の判断で削除・非表示の対象となります。自店への口コミが削除対象にあたるかを見極める第一歩として、代表的な違反類型を確認しておきましょう。
- 宣伝・広告・勧誘・営業などビジネス目的の投稿
- 特定の個人への誹謗中傷、断定的な批判、不適切な表現を含む投稿
- 店舗の法律違反・契約違反を断定するなど、事実に基づかない中傷
- 実際に来店・飲食していないにもかかわらず投稿された口コミ
- 第三者の権利を侵害する内容や、公序良俗に反する内容
自店への口コミがこれらに該当する場合は、まず運営への通報による削除を求めるのが有効です。一方で、事実に基づく率直な感想は原則として削除の対象になりにくい点は、あらかじめ理解しておく必要があります。
【手順】食べログ運営に削除を依頼する方法
食べログの各口コミには、運営へ連絡するための窓口が投稿ごとに用意されています。弁護士に依頼する前に、まずご自身で試せる手続です。基本的な流れは次のとおりです。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①対象を特定 | 削除を求めたい口コミを開き、投稿下部にある「問題のある口コミを連絡する」を選ぶ |
| ②違反内容を整理 | その口コミがガイドラインのどの類型(虚偽・誹謗中傷・宣伝・未来店など)に反するかを明確にする |
| ③フォーム送信 | 問い合わせフォームにメールアドレスと具体的な問題点を記入して送信する |
| ④運営の判断を待つ | 運営がガイドラインに照らして削除の可否を判断する。応じない場合は次の法的手続を検討する |
運営が削除に応じないとき——送信防止措置依頼・削除仮処分
通報しても削除されない場合、次の段階として法的な削除手続に進みます。
送信防止措置依頼(テレサ書式)
プロバイダ責任制限法を引き継いだ情プラ法の枠組みに基づき、権利侵害を理由に運営者へ投稿の削除(送信防止措置)を求める書面を送る方法です。書式に沿って侵害の事実を主張しますが、運営者側の任意の対応を促すものであり、必ず削除されるわけではありません。自分で送る場合の手順は「送信防止措置依頼書の書き方」の記事で詳しく解説しています。
削除の仮処分申立て
任意の対応で削除されないときは、裁判所に対して投稿削除の仮処分を申し立てるのが現実的な手段です。裁判所が権利侵害の存在を認めれば、運営者に削除を命じる決定が出されます。仮処分では、権利が侵害されていること(被保全権利)と、判決を待てない緊急性(保全の必要性)を疎明する必要があり、担保金の供託を求められることもあります。専門的な主張・立証が必要になるため、弁護士に依頼して進めるのが一般的です。
悪質な投稿者を特定するには——発信者情報開示請求
悪質な投稿者に損害賠償を求めたい場合には、発信者情報開示請求によって投稿者を特定します。食べログは匿名で投稿できるため、次の二段階で特定を進めるのが基本です。
- 第1段階:運営者である株式会社カカクコムに対し、投稿時のIPアドレス・タイムスタンプ等の開示を求める(発信者情報開示命令や仮処分を利用)
- 第2段階:判明したIPアドレスから投稿者が契約するアクセスプロバイダを割り出し、契約者の氏名・住所の開示を求める
ここで注意したいのが、プロバイダに残る通信ログの保存期間には限りがあり、時間の経過とともに特定が困難になるという点です。開示によってどこまで判明するのかについては「発信者情報開示でどこまでわかる?」の記事もご参照ください。投稿者を特定できれば、損害賠償請求や、投稿の停止を求める交渉・訴訟へと進むことができます。
情プラ法(2025年4月施行)と口コミ削除の関係
2025年4月1日、従来のプロバイダ責任制限法が改正・改称され、「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)」が施行されました。正式名称は「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」です。
この法律では、一定規模以上のプラットフォーム事業者を「大規模特定電気通信役務提供者」に指定し、削除申出への迅速な対応(原則として申出から7日以内の判断結果の通知)や、削除基準の策定・公表などを義務付けています。総務省は2025年4月にGoogle・LINEヤフー・Meta・TikTok・Xの5社を、同年5月にドワンゴなどを追加で指定しました。
もっとも、食べログを運営する株式会社カカクコムは、現時点でこの大規模事業者の指定を受けていません。そのため、7日以内の対応といった迅速化義務が食べログに直接及ぶわけではない点には注意が必要です。ただし、権利侵害を理由とする送信防止措置依頼や削除仮処分、発信者情報開示請求といった手続は、情プラ法の枠組みのもとで従来どおり利用できます。
よくある質問
低評価(星の数が低いだけ)の口コミも削除できますか?
評価点やごく短い感想のように、投稿者の主観的な意見・評価にとどまるものは、それだけでは削除が難しいのが実情です。削除が認められやすいのは、虚偽の事実を書かれて社会的評価が下がっている場合や、ガイドラインが禁じる誹謗中傷・不適切表現・宣伝目的の投稿などです。星の数だけの口コミへの対応については個別の検討が必要になります。
食べログに削除を依頼してから、どのくらいで結果が出ますか?
運営(株式会社カカクコム)への通報は投稿ごとの「問題のある口コミを連絡する」から行えますが、削除の可否や回答までの期間は事案により異なり、必ず削除される保証はありません。運営が応じない場合は、送信防止措置依頼や、裁判所への削除の仮処分申立てといった法的手続を検討することになります。
口コミを書いた人を特定して損害賠償を請求できますか?
名誉毀損や信用毀損にあたる違法な投稿であれば、発信者情報開示請求により投稿者を特定し、損害賠償を請求できる可能性があります。まず運営者にIPアドレス等の開示を求め、次にアクセスプロバイダに契約者情報の開示を求める二段階の手続が基本です。ログの保存期間には限りがあるため、早めの着手が重要です。
弁護士に依頼せず、自分で削除依頼だけ試すことはできますか?
運営への通報フォームからの削除依頼はご自身でも可能です。ただし、運営が応じない場合の送信防止措置依頼や削除仮処分、投稿者特定のための発信者情報開示請求は、法的な主張・立証が必要となり、専門的な対応が求められます。まず自分で通報し、解決しなければ弁護士に相談するという進め方も選択肢です。
まとめ
食べログの悪い口コミへの対応は、「削除できるかどうか」を投稿の性質で見極めるところから始まります。虚偽の事実やガイドライン違反にあたる口コミは、まず運営への通報で削除を求め、応じない場合は送信防止措置依頼や削除の仮処分へ進みます。悪質な投稿者に責任を追及したい場合は、発信者情報開示請求による特定が必要です。いずれも通信ログの保存期間という時間的な制約があるため、被害に気づいたら早めに証拠を保全し、対応方針を決めることが大切です。
もっとも、正当な批判との線引きや、削除・開示が認められる見込みの判断は専門的な検討を要します。削除の可否や進め方に迷ったときは、ネット誹謗中傷に注力する弁護士に相談することで、事案に応じた最適な手続を選ぶことができます。
食べログの悪質な口コミ・低評価にお困りの飲食店の方へ
タングラム法律事務所では、ネット誹謗中傷に関する発信者情報開示請求・削除請求・損害賠償請求について、豊富な実績を有しております。食べログをはじめとする口コミサイトの削除依頼から投稿者の特定まで、横浜の弁護士が事案に応じて対応いたします。まずはお気軽にご相談ください。
法律相談の予約はこちら※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。