リベンジポルノ(性的画像の無断拡散)被害への法的対処法|削除申請・発信者情報開示・損害賠償
リベンジポルノ(性的画像の無断拡散)被害への法的対処法|削除申請・発信者情報開示・損害賠償を弁護士が解説
かつて交際していた相手が、別れた腹いせに性的な画像や動画をインターネットに拡散した——。こうした「リベンジポルノ」被害は、被害者の名誉・プライバシーを深く傷つけるだけでなく、職場や家族に知られることで日常生活が根底から崩れてしまうこともあります。「恥ずかしくて誰にも言えない」「どこに相談すればいいかわからない」と一人で抱え込んでいる方も少なくありません。
しかし、リベンジポルノは明確な犯罪行為であり、法律によって被害者の保護と加害者の処罰が定められています。投稿を削除させること、投稿者を特定して刑事告訴や損害賠償請求を行うこと、いずれも法的手続きによって実現できる可能性があります。本記事では、リベンジポルノ被害に遭ったときに取るべき行動を、最新の法律知識とあわせて弁護士がわかりやすく解説します。
リベンジポルノとは何か——被害の実態と特徴
リベンジポルノとは、主に元交際相手などが「復讐(リベンジ)」を目的として、性的な画像や動画をインターネット上に無断で公開・拡散する行為を指します。交際中に相互の合意で撮影されたものが多いですが、中には盗撮・盗撮アプリを用いて撮影されたケースもあります。
インターネット上に一度拡散された性的画像は、削除しても他のサイトや個人のデバイスにダウンロード・転載されるリスクがあり、完全な除去には迅速な対応が不可欠です。また、被害者の氏名・住所・職場などの個人情報と紐付けて公開される「ドックス」が行われるケースも多く、二次的な被害が深刻化することがあります。
リベンジポルノに関連する主な法律
リベンジポルノに対応する法律は複数あります。被害の態様によって適用される法律が異なるため、状況に応じた対処が重要です。
①私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(リベンジポルノ防止法)
2014年(平成26年)に制定されたいわゆる「リベンジポルノ防止法」は、交際中などに撮影・提供された性的な画像(本人が撮影に同意していたもの)を、本人の意思に反してインターネットなどに公表する行為を処罰対象としています。
| 行為 | 罰則(2025年6月1日以降) |
|---|---|
| 不特定または多数の者への公表 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 公表目的での第三者への提供 | 1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
2025年(令和7年)6月1日より刑法改正が施行され、従来の「懲役刑」が「拘禁刑」に一本化されました。リベンジポルノ防止法の罰則もこれに伴い「拘禁刑」へと改められています。
②性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(撮影罪・2023年施行)
2023年(令和5年)7月13日に施行されたこの法律(令和5年法律第67号)は、盗撮などの「同意なき撮影行為」自体とその画像の拡散を厳しく処罰します。リベンジポルノ防止法が「同意のある撮影→同意なき公表」を対象とするのに対し、撮影罪は「同意なき撮影→拡散」という被害類型に対応しています。
| 行為 | 罰則 |
|---|---|
| 不正撮影(盗撮など) | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 |
| 不正撮影画像の記録・保管 | 2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金 |
| 不正撮影画像の提供・公表(ネット公開等) | 5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金 |
撮影罪の方がリベンジポルノ防止法よりも罰則が重く、被害者にとってより強力な法的根拠となります。盗撮が疑われる場合は、撮影罪による告訴も視野に入れてください。
③その他の関連法規
リベンジポルノに関連して、名誉毀損罪(刑法第230条)、プライバシー侵害(民法上の不法行為)、ストーカー規制法、不正アクセス禁止法なども適用される場合があります。被害の全体像を把握したうえで、適切な法律構成を組み立てることが重要です。
リベンジポルノ被害への対処法:ステップごとに解説
ステップ1:証拠を保全する
まず、被害の証拠を保全することが最優先です。削除申請によって投稿が消えると、後から証拠が取れなくなる場合があります。スクリーンショットを撮る際は、URL・日時・投稿者のIDが確認できるよう全体を捉え、できれば第三者(弁護士)立会いのもとで行うか、Webページ保存ツールを利用することも有効です。また、証拠は複数のデバイス・クラウドに保存し、原本の確保を徹底してください。
ステップ2:削除申請を行う
証拠保全ができたら、速やかに投稿の削除申請を行います。主な方法は以下の3つです。
(1)プラットフォームへの直接申請
X(旧Twitter)・Instagram・Google等の大手プラットフォームには、性的な画像に関する専用の削除申請フォームが用意されています。リベンジポルノの被害は多くのプラットフォームのポリシーで明確に禁止されており、申請が受理されれば比較的早期に削除される可能性があります。情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法、2025年4月施行)により、対象となる大規模プラットフォームは申請受付後7日以内の対応が義務付けられています。
(2)送信防止措置依頼(プロバイダ責任制限法に基づく手続き)
サイト運営者やプロバイダに対して、プロバイダ責任制限法に基づく「送信防止措置依頼」を行う方法です。リベンジポルノの場合は、依頼を受けた事業者が発信者に通知し、2日以内に反論がなければ削除措置を取ることができます(通常の誹謗中傷案件より短縮されています)。専用の申請書式を使って手続きします。
(3)裁判所への仮処分申立て
プラットフォームへの申請で削除が認められない場合や、匿名掲示板・海外サイトへの対応が必要な場合は、裁判所に「投稿削除の仮処分」を申立てる方法があります。担保金の納付などが必要ですが、認められれば数週間程度で削除命令が出る場合があります。
ステップ3:投稿者を特定する——発信者情報開示請求
投稿者が匿名の場合、損害賠償請求や刑事告訴を行うためには、まず投稿者を特定する必要があります。そのための手続きが「発信者情報開示請求」です。
具体的な流れは以下のとおりです。
- コンテンツプロバイダ(投稿先のサービス)に対し、発信者のIPアドレス等の開示を求める(情プラ法・プロバイダ責任制限法に基づく開示命令申立て)
- 取得したIPアドレスをもとに、アクセスプロバイダ(インターネット接続会社)に対して氏名・住所等の開示を求める
- 開示された情報をもとに投稿者を特定する
2021年の改正プロバイダ責任制限法(情プラ法の前身)により「非訟手続」が整備され、従来より迅速に開示請求が行えるようになりました。ただし、ログの保存期間は一般に3〜6か月程度と短く、時間が経つと開示が不可能になる場合があります。被害に気づいたら速やかに弁護士に相談することを強くお勧めします。
ステップ4:刑事告訴を行う
投稿者が特定できた場合、警察に被害届や告訴状を提出することができます。リベンジポルノ防止法違反、撮影罪違反のほか、名誉毀損罪・侮辱罪・ストーカー規制法違反などが成立しうる場合もあります。
リベンジポルノ防止法は非親告罪であるため、被害者の告訴がなくても捜査・起訴される可能性はありますが、実務上は被害者から積極的に申告した方が捜査が進みやすい傾向があります。告訴状の作成・提出は弁護士に依頼することが確実です。
ステップ5:損害賠償請求を行う
投稿者が特定できた場合、民事上の損害賠償請求を行うことができます。プライバシー侵害や名誉毀損を理由とする不法行為(民法第709条・第710条)に基づく慰謝料請求が主な内容となります。請求できる主な損害は以下のとおりです。
- 精神的苦痛に対する慰謝料
- 削除費用・弁護士費用
- 職を失うなどした場合の逸失利益
慰謝料の相場は事案の悪質性・拡散の範囲・被害者の社会的影響などによって大きく異なりますが、数十万円から数百万円が認められた事例もあります。示談交渉による解決が早期かつ確実な場合も多く、状況に応じた戦略が必要です。
相談先と支援窓口
リベンジポルノ被害の相談先には、弁護士のほかに以下のような公的窓口があります。
| 相談先 | 概要 |
|---|---|
| 警察(サイバー犯罪相談窓口) | 各都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口に被害を届け出ることができます。緊急性が高い場合は最寄りの警察署へ |
| セーフライン(違法有害情報相談センター) | ネット上の性的画像に関する削除要請の通報・相談を受け付けています |
| 法テラス(日本司法支援センター) | 経済的に困難な場合に弁護士費用の立替援助制度(審査あり)を利用できます |
| 配偶者暴力相談支援センター・DV相談窓口 | 元交際相手によるDVと関連している場合に利用できます |
ただし、公的窓口での相談はあくまでも初期対応の入口であり、迅速かつ総合的な解決のためには弁護士への相談が最も有効です。
まとめ——リベンジポルノ被害は一人で抱え込まないことが大切
リベンジポルノ被害は、加害者による明確な違法行為です。「自分にも責任がある」と自分を責める必要はありません。法律は被害者を守るために存在しており、削除・特定・制裁・賠償という一連の手続きを通じて、被害回復を図ることができます。
特に「ログ保存期間」の問題があるため、被害に気づいたら時間を置かずに行動することが何より重要です。弁護士に相談することで、証拠保全から削除申請、発信者情報開示、刑事告訴、損害賠償請求まで、一括してサポートを受けることができます。まず一歩を踏み出してください。
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