タングラム法律事務所

ECサイト(ネットショップ)の特定商取引法に基づく表示義務とは?違反リスクと実務対応

ECサイト(ネットショップ)の特定商取引法に基づく表示義務とは?違反リスクと実務対応

ECサイト(ネットショップ)の特定商取引法に基づく表示義務とは?違反リスクと実務対応

ECサイト(ネットショップ)の特定商取引法に基づく表示義務とは?違反リスクと実務対応を横浜の弁護士が解説

インターネットで商品・サービスを販売するECサイト(ネットショップ)を運営する際、「特定商取引に関する法律」(以下「特定商取引法」といいます)の遵守は事業者の法的義務です。しかし、「特定商取引法に基づく表示」ページを設けていても必要な記載が不足しているケース、あるいは2022年の法改正に対応できていないケースは少なくありません。

表示義務違反は、消費者庁や都道府県による行政指導・業務停止命令の対象となるだけでなく、消費者からの申込取消しや返金請求を招く可能性があります。本記事では、横浜のタングラム法律事務所の弁護士が、中小企業・個人事業主向けに特定商取引法上の通信販売規制の要点を解説します。

1. 特定商取引法とECサイトの関係

特定商取引法は、消費者トラブルが生じやすい7種類の取引類型(訪問販売・通信販売・電話勧誘販売・連鎖販売取引・特定継続的役務提供・業務提供誘引販売取引・訪問購入)を規制する法律です。ECサイトによる販売は「通信販売」(同法第2条第2項)に該当し、広告への必要事項の明示義務(同法第11条)、誇大広告の禁止(同法第12条)、返品特約の明示義務(同法第15条の3)などが適用されます。

同法を所管するのは消費者庁であり、都道府県知事も執行権限を有します。違反に対しては、指示(同法第14条)・業務停止命令(同法第15条・最長2年)・業務禁止命令(同法第15条の2)・罰則(同法第72条等)が段階的に科される可能性があります。

2. ECサイトで義務づけられている表示事項

特定商取引法第11条および同法施行規則第8条・第9条に基づき、通信販売業者が広告(ECサイト)に明示しなければならない主な事項は次のとおりです。

表示項目 記載上の注意点
事業者の氏名・名称 法人は正式商号、個人は本名(屋号のみは不十分とされる場合があります)
住所 文書を実際に受け取れる住所。私書箱のみや架空住所は違法とみなされる可能性があります
電話番号 着信可能な番号(フリーダイヤル・転送電話でも可)
販売価格(税込)・送料 消費税込みの最終金額。「別途消費税」表示は認められていません
代金の支払方法・時期 クレジット・銀行振込等の方法と、前払い・後払いの区別も明記
商品の引渡時期 「注文後3〜5営業日以内に発送」など具体的に記載
返品・交換に関する条件(返品特約) 特約がない場合は法定の返品権が消費者に付与されます(後述)
許認可番号(必要な業種) 医薬品・食品・化粧品等で許可・届出が必要な場合はその番号

実務上は「特定商取引法に基づく表示」という専用ページを設けて一覧記載するのが一般的です。ただし、ページを作るだけでなく、消費者が申込手続きを完了する前に合理的にアクセスできる状態である必要があります。フッターへのリンクや購入フロー途中での表示が有効です。

3. 違反になりやすい代表的なケース

消費者庁の処分事例から、ECサイトで問題になりやすいパターンを確認しておきましょう。

(1)住所の虚偽・不記載

実態のない住所や私書箱のみを記載するケースは、事業者の特定を困難にするとして重大な違反と判断される可能性があります。移転後に表示を更新し忘れているケースも見受けられます。

(2)返品条件の不明確な表示

「返品不可」と定めても消費者に明確に伝わる形で掲載されていない場合、商品受領後8日以内は法律上返品できる扱いとなる可能性があります(同法第15条の3第1項)。

(3)定期購入条件の不十分な表示

「初回500円」などと目立つ価格だけを前面に出し、定期購入の回数・総額・解約条件を申込画面や最終確認画面に明示していないケースは、2022年改正以降に特に厳しく取り締まられています。消費者が1回限りの購入と誤認して申し込んだ場合、申込みの取消しが認められる可能性があります(同法第15条の4)。

(4)誇大広告・虚偽表示

効果・効能に関する根拠のない断言的表示(「確実に痩せる」「医師推奨」など)は同法第12条の誇大広告禁止規定の問題となります。食品に医薬品的な効能を標榜すると薬機法違反にも重なる場合があります。

⚠️ 注意:業務停止命令(最長2年)が下されると、その期間中は通信販売業務を行えなくなります。事業継続に重大な影響を及ぼすため、早期の法的確認が重要です。

4. 返品特約と消費者の法定返品権

通信販売にはクーリングオフ(無条件の解除権)は適用されません。ただし、事業者が返品特約を広告に明示していない場合、消費者は商品受領後8日以内であれば返品できると定められています(同法第15条の3)。返品特約を明示することで「開封後は返品不可」「食品のため返品不可」などの独自ルールを設けることが可能です。

ただし、消費者に一方的に不利な特約は消費者契約法第10条に違反する可能性があるため、返品特約の内容については弁護士によるレビューを受けておくことが望ましいと考えられます。

5. 2022年改正の重要ポイント——定期購入規制の強化

2022年6月1日施行の改正では、定期購入商法に対する規制が大幅に強化されました。サプリメント・化粧品・食品等のサブスクリプション型ECサイトを運営している場合は特に注意が必要です。

① 申込画面での義務表示の拡充(同法第11条の2)
定期購入の回数・契約期間、各回の代金・支払総額、引渡時期、解約条件を申込画面に明示することが義務化されました。
② 最終確認画面での表示義務
「購入する」ボタンを押す直前の画面でも、上記事項を視認しやすい形で表示しなければなりません。
③ 取消権の新設(同法第15条の4)
最終確認画面への表示が不十分で消費者が誤認して申し込んだ場合、消費者はその申込みを取り消せます。時効は、誤認に気づいた時から1年または申込みから5年です。
④ 業務禁止命令の新設(同法第15条の2)
業務停止命令に加え、法人の代表者等の役員個人への業務禁止命令も可能となりました。個人事業主として再開することによる脱法行為への対応措置です。

6. 実務チェックリスト——表示ページ確認ポイント

自社ECサイトが特定商取引法上の義務を満たしているか、以下の項目で確認してください。

  • 事業者の正式名称・代表者名が表示されているか
  • 実際に文書を受け取れる住所が表示されているか
  • 着信可能な電話番号が記載されているか
  • 販売価格(税込)・送料が明示されているか
  • 支払方法・支払時期が記載されているか
  • 商品の引渡時期(発送目安)が具体的に記載されているか
  • 返品・交換に関する条件(返品特約)が明確に記載されているか
  • 定期購入の場合、回数・総額・解約条件が申込画面と最終確認画面に表示されているか
  • 必要な許認可番号が記載されているか
  • 商品の効能・効果について根拠のない断定的な表現がないか
  • フッターや購入フロー内に「特定商取引法に基づく表示」ページへのリンクがあるか

7. 弁護士に相談すべき場面

ECサイトの運営に関しては、特定商取引法のほか、景品表示法・個人情報保護法・消費者契約法・著作権法など複数の法律が絡み合います。以下のような場面では、横浜の弁護士に早期にご相談されることをお勧めします。

  • 特定商取引法表示ページや利用規約を専門家にレビューしてほしい場合
  • 消費者から「誤認させられた」「誇大広告だ」とクレームが入った場合
  • 消費者庁・都道府県から調査・行政指導の連絡を受けた場合
  • 定期購入サービスを新たに開始するにあたり申込フローの適法性を確認したい場合
  • 返品・返金の要求を拒否したところ消費者から法的手段をちらつかせられた場合

タングラム法律事務所(横浜)では、ECサイト・ネット通販の法務に関するご相談を承っております。「表示内容が適切か確認してほしい」「消費者から返金を求められて困っている」など、お気軽にお問い合わせください。横浜・神奈川の中小企業・個人事業主はもちろん、遠方の方もオンラインでご相談いただけます。

ECサイトの特定商取引法対応や法的リスクについてご不安な方は、
タングラム法律事務所(横浜)へお気軽にご相談ください。

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本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。具体的な案件については弁護士にご相談ください。本記事の内容は2026年5月時点の法令等に基づいており、その後の法改正等により内容が変更となる場合があります。

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