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副業・兼業を認める場合の就業規則と情報漏洩対策のポイント|横浜の弁護士が解説

副業・兼業を認める場合の就業規則と情報漏洩対策のポイント|横浜の弁護士が解説

副業・兼業を認める場合の就業規則と情報漏洩対策のポイント|横浜の弁護士が解説

副業・兼業を認める場合の就業規則と情報漏洩対策のポイント|横浜の弁護士が解説

政府が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(厚生労働省、2018年策定・2022年改定)を公表し、大企業を中心に副業・兼業を解禁する動きが加速しています。一方で、中小企業・個人経営の事業者にとっては、「従業員に副業を認めると情報が漏れないか」「就業規則をどう変えればいいのかわからない」といった不安の声も少なくありません。

本記事では、副業・兼業を認める際に整備すべき就業規則の記載ポイント、許可制の運用基準、情報漏洩・競業避止義務との関係について、横浜の弁護士が解説します。

1. 副業・兼業をめぐる法的背景と中小企業への影響

まず前提として、労働者が副業・兼業をすることを法律が一律に禁止しているわけではありません。労働基準法上、労働者は就業時間外の時間をどのように使うかについて基本的に自由であるとされています。

従来の就業規則の多くには「会社の許可なく他に就職してはならない」といった包括的な禁止規定が設けられてきました。しかし裁判例では、副業・兼業を一般的・包括的に禁止することは原則として許されず、禁止が認められるのは①会社の業務に支障が生じる場合、②競業関係にある場合、③会社の信用・名誉を損なう場合、④秘密保持義務に反する場合など、具体的な弊害が認められる場合に限られると解されています(東京地判昭和52年1月27日等参照)。

つまり、単に「副業禁止」と就業規則に書いてあるだけでは従業員の副業を有効に制限できない可能性があり、横浜・神奈川エリアの中小企業においても就業規則の見直しが急務となっています。

2. 就業規則への副業・兼業規定の記載方法

副業・兼業を認める方向で就業規則を整備する場合、以下の点を明記することが重要です。

(1)副業・兼業の許可制の採用

「従業員は、会社の許可を得た場合に限り副業・兼業(他の事業者のもとで就労すること)を行うことができる」のように、許可制を明示します。これにより、個別の業務支障・競業・情報漏洩リスクを審査する手続きを制度化できます。

(2)許可を与えない(または取り消す)事由の列挙

就業規則には許可を与えない場合の基準を具体的に列挙することが推奨されます。たとえば以下のような事由が考えられます。

  • 本業(自社業務)の遂行に支障が生じるおそれがある場合
  • 競業他社での就労その他、会社の利益と相反する業務に従事する場合
  • 会社の秘密情報・顧客情報を漏洩するおそれがある場合
  • 会社の名誉・信用を損なうおそれのある業務に従事する場合
  • 長時間労働となり健康障害が懸念される場合

これらを就業規則に明記しておくことで、許可申請を受けた際の判断基準が明確になり、恣意的な運用と誤解されるリスクを低減できます。

(3)申請・届出の手続き規定

副業・兼業を希望する従業員には、副業先の業務内容・就労時間・開始予定日等を記載した「副業・兼業申請書」を事前に提出させ、会社が審査・許可する仕組みを整備します。就業規則に手続きフローを定め、様式を別途規定することが望ましいと考えられます。

【就業規則変更の手続き】
常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則を労働基準監督署に届け出る義務があります(労働基準法第89条)。変更にあたっては、過半数労働組合または過半数代表者からの意見聴取(同法第90条)が必要です。

3. 副業・兼業の許可審査で確認すべきポイント

申請を受けた際、会社は何を基準に審査すればよいのでしょうか。厚生労働省ガイドラインも参考にしながら、以下の観点から検討することが推奨されます。

審査観点 確認事項の例
業務支障リスク 副業の就労時間帯・頻度・体力的負担が本業に影響しないか
競業リスク 副業先が自社と同業・競合関係にないか、顧客の奪取につながらないか
情報漏洩リスク 副業先で自社の技術情報・顧客情報・営業秘密を利用する可能性はないか
名誉・信用リスク 反社会的・公序良俗に反する業務、または自社ブランドに悪影響を与える業務でないか
健康管理 副業も含めた総労働時間が過度にならないか(後述の通算管理を参照)

許可を拒否する場合は、従業員に拒否の理由を説明することが紛争防止の観点から重要です。理由なく不許可とした場合、後のトラブルに発展するおそれがあります。

4. 情報漏洩対策——秘密保持義務と競業避止合意の整備

副業・兼業を解禁する場合に最も注意が必要なのが、自社の営業秘密・顧客情報の漏洩リスクです。副業先が競合業種である場合や、従業員が副業で獲得したスキル・ノウハウの帰属問題も生じ得ます。

(1)秘密保持誓約書の整備・再確認

入社時の秘密保持誓約書(NDA)に加え、副業・兼業許可の際にも「副業先において自社の顧客名簿・技術情報・価格情報等を一切使用・開示しない」旨を明記した誓約書を取得することが有効と考えられます。

(2)競業避止義務条項の活用と限界

競業避止義務を就業規則や誓約書に盛り込む方法も考えられます。ただし、退職後の競業避止義務については、職業選択の自由(憲法第22条)との関係から有効性が厳しく審査されます。裁判例では、①制限の必要性、②従業員の地位・職務内容、③制限の期間・地域・業種の範囲の相当性、④代償措置の有無などを総合的に考慮して有効性が判断されると解されています。横浜の弁護士に相談のうえ、合理的な範囲の条項を設けることが重要です。

(3)不正競争防止法による保護

従業員が副業先に自社の「営業秘密」を持ち出した場合、不正競争防止法(第2条第1項第4号〜第9号)に基づく差止請求・損害賠償請求が可能となる場合があります。営業秘密として保護されるためには、①秘密管理性、②有用性、③非公知性の3要件を満たす必要があります。アクセス権限の設定や「マル秘」表示など、社内の情報管理体制を整えておくことが前提です。

5. 労働時間の「通算管理」——中小企業が見落としがちな義務

副業・兼業を認める場合に、多くの中小企業が見落としがちなのが「労働時間の通算管理」です。

労働基準法第38条第1項は「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と定めています。つまり、従業員がA社(本業)で1日7時間、B社(副業)で2時間働いた場合、合計9時間となり、法定労働時間(1日8時間)を超えた1時間分については割増賃金の支払義務が生じます。どちらの使用者が義務を負うかは「後に労働契約を締結した使用者」が原則として割増賃金の支払義務を負うとされています。

2021年の厚生労働省ガイドライン改定では「管理モデル」が示され、自社の所定労働時間の範囲内で副業を認める場合は割増賃金の問題が生じにくいとされています。副業先の就労実態の把握は現実的に困難なため、副業申請書に就労予定時間を記載させ、定期的な報告義務を課す仕組みを設けることが重要です。

【ポイント】 労働時間の通算義務を無視して副業を認めた場合、後から未払い割増賃金を請求されるリスクがあります。副業先の就労時間の申告制度と、健康確保措置(長時間労働防止の観点からの上限設定等)を就業規則に明記しておくことをお勧めします。

6. 副業・兼業中にトラブルが発生した場合の対応

副業・兼業を認めた後に以下のようなトラブルが発生した場合、会社としての対応を事前に想定しておく必要があります。

(1)情報漏洩が発覚した場合

従業員が副業先に自社の顧客情報等を流出させたことが判明した場合、まず証拠を保全し、就業規則の懲戒規定(懲戒解雇・減給等)に基づく処分を検討します。不正競争防止法に基づく差止請求や損害賠償請求を行う余地もあるため、弁護士への早期相談が重要です。

(2)本業への支障が生じた場合

副業を原因として遅刻・欠勤が増加したり業務パフォーマンスが著しく低下した場合には、許可の取消しや懲戒処分の対象とすることが可能と考えられます。ただし懲戒処分は就業規則上の根拠と適正な手続きが必要であり、処分前に弁護士に確認することをお勧めします。

(3)副業先での業務中にケガをした場合

副業先での業務中の労働災害については、原則として副業先の使用者が労働者災害補償保険法上の責任を負います。2020年9月からは複数事業労働者の給付基礎日額が全事業場の賃金合算額をベースに算出されるよう改正されています(労働者災害補償保険法第8条の2)。自社の責任の有無は個別事情により異なるため、弁護士への相談が推奨されます。

7. まとめ——副業・兼業の制度整備は弁護士への早期相談が近道

副業・兼業の解禁は採用力の向上や従業員のモチベーション維持に資する一方で、情報漏洩リスク・競業リスク・労働時間管理の複雑化など、さまざまな法的課題を伴います。

適切な就業規則の整備、秘密保持誓約書・競業避止合意の設計、副業許可申請書式の作成など、制度の骨格を法的に正確に設計することが重要です。「就業規則に一行追加した」程度の対応では後のトラブルを防ぎきれない可能性があります。

横浜・神奈川エリアの中小企業・個人経営の事業者で、副業・兼業制度の導入・見直しをお考えの方は、まず弁護士にご相談されることをお勧めします。タングラム法律事務所では、就業規則レビューや社内規程整備の相談も承っております。

副業・兼業の就業規則整備・情報漏洩対策に関するご不明な点は、横浜の弁護士にお気軽にご相談ください。
タングラム法律事務所では、中小企業・個人事業主の企業法務を幅広くサポートしています。

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【免責事項】本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。具体的な案件については弁護士にご相談ください。記載の法令・裁判例等は執筆時点の情報に基づいており、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。

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