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労働基準監督署の調査(臨検)が入ったら?対応の流れと事前準備を横浜の弁護士が解説

労働基準監督署の調査(臨検)が入ったら?対応の流れと事前準備を横浜の弁護士が解説

労働基準監督署の調査(臨検)が入ったら?対応の流れと事前準備を横浜の弁護士が解説

労働基準監督署の調査(臨検)が入ったら?対応の流れと事前準備を横浜の弁護士が解説

「突然、労働基準監督署の調査が入った」「今後、調査が来るかもしれないが何を準備しておけばよいかわからない」——このような不安を抱えている中小企業・個人事業主の方は少なくありません。労働基準監督署(以下「労基署」)の調査は、多くの事業者にとって緊張を伴う出来事です。しかし、事前の準備と正しい対応の知識があれば、冷静に乗り越えることができます。

本記事では、労基署の調査(臨検監督)の種類や調査のきっかけ、当日の流れ、是正勧告を受けた後の対応手順まで、実務上のポイントを弁護士の視点からわかりやすく解説します。

労働基準監督署の調査(臨検)とは何か

労基署の調査は「臨検監督」と呼ばれ、労働基準法(以下「労基法」)第101条に基づいて労働基準監督官が事業場に立ち入り、帳簿・書類の検査や関係者への質問を行うものです。調査を拒否したり、虚偽の説明をしたりすることは、労基法第120条により30万円以下の罰金の対象となる可能性があります。

臨検の主な種類は以下のとおりです。

種類 概要 事前連絡
定期監督 労基署が計画的・定期的に実施する調査。業種や地域を絞って実施されることが多い 基本的になし(抜き打ち)
申告監督 従業員や元従業員から「賃金未払い」「違法残業」等の申告(通報)があった場合に実施 ある場合も多い
災害時監督 労働災害(労災)が発生した際に原因調査のために実施 基本的になし
再監督 過去の調査で是正勧告を受けた事業場が、適切に改善されているかを確認するために実施 ある場合も多い

中小企業が最も遭遇しやすいのは、定期監督と申告監督です。特に申告監督は、退職した従業員が未払い残業代や解雇問題について申告するケースで起きることが多く、突然の調査通知に驚く経営者も少なくありません。

労基署の調査が入りやすいケースとは

労基署の調査が入りやすい典型的なケースとして、以下が挙げられます。

  • 元従業員や現職従業員からの申告(未払い残業代・不当解雇・ハラスメントなど)
  • 同業他社または同一地域での重点的な監督計画(飲食業・建設業・運送業・小売業など労働問題が発生しやすい業種)
  • 労働災害(業務中のケガや疾病)が発生した場合
  • SNSや口コミサイトへの投稿など、インターネット上の情報から調査の端緒となるケース
  • 複数の従業員が同時期に退職し、労働条件をめぐるトラブルが表面化した場合

厚生労働省のデータによると、労基署が実施する調査のうち約7割の事業場で何らかの法令違反が指摘されているとの報告があります。これは決して一部の悪質な企業だけの話ではなく、中小企業では「知らないうちに法律に違反していた」というケースが多いことを示しています。

調査前に準備しておくべき書類と体制

定期監督には事前通知がないことも多いですが、常日頃から以下の書類を整備しておくことが重要です。申告監督であれば事前に連絡が来ることもあり、その場合は通知から調査日までの間に書類を整えることができます。

必ず準備しておきたい書類

  • 出勤簿・タイムカード等の労働時間記録(労基法第108条に基づく賃金台帳と整合していること)
  • 賃金台帳(各従業員の氏名・賃金計算期間・労働時間・残業代の内訳等を記載したもの)
  • 労働者名簿(氏名・生年月日・住所・従事業務・雇入年月日等)
  • 雇用契約書または労働条件通知書(全従業員分)
  • 就業規則(10人以上の事業場では作成・届出が義務。労基法第89条)
  • 36協定(時間外・休日労働に関する協定届)(残業や休日労働をさせている場合は必須。労基法第36条)
  • 有給休暇管理簿(2019年4月施行の改正で年5日の時季指定義務が生じたため)
  • 健康診断の実施記録(定期健康診断の結果を保存していること)
【ポイント】 書類が存在しない・紛失している場合、調査当日に「準備できていない」という状況は監督官に悪印象を与えます。日頃からデータや紙で整理・保管しておくことが最善の対策です。

36協定の確認が特に重要

残業をさせている事業場にとって、36協定の締結・届出は最重要事項のひとつです。36協定がない状態で残業をさせると、労基法第32条・第36条違反となり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。また、協定の上限時間(原則月45時間・年360時間)を超えた実態がある場合も問題となります。

調査当日の流れと対応のポイント

調査当日は、労働基準監督官が事業場を訪問し、概ね以下の流れで進みます。

①身分証の確認

監督官は来訪時に身分証明書(労働基準監督官の証票)を提示する義務があります。身分証を確認し、必要に応じて名刺をもらっておくと安心です。

②書類の提出・確認

上記で挙げた各種帳簿・書類の提出を求められます。用意した書類を落ち着いて提出してください。その場で不足が判明した場合は、正直に「後日提出します」と伝えることが大切です。

③事業主や従業員への聴き取り

経営者・人事担当者・場合によっては一部の従業員から、労働条件や職場環境についてヒアリングが行われます。聞かれたことに対しては正確かつ誠実に答えてください。わからないことは「確認して回答します」と伝えて構いません。

④現場確認

業種によっては、職場の安全衛生状況(機械設備・作業環境等)の現場確認が行われることもあります。

【注意】 調査を拒否すること、また虚偽の説明をすることは厳禁です。誠実な対応が、その後の監督官との関係においても重要です。

是正勧告・指導票を受けたときの対応手順

調査の結果、法令違反が認められると「是正勧告書」が交付されます。法令違反とまでは言えないが改善が望ましい場合には「指導票」が交付されることもあります。いずれも行政指導であり、それ自体が直ちに刑事罰に結びつくわけではありませんが、適切な対応が求められます。

是正勧告書が交付された場合

是正勧告書には、違反事項・根拠条文・是正期日が記載されています。指定された期日(一般的に2〜4週間程度)までに是正措置を講じ、「是正報告書」を労基署に提出する必要があります。是正報告書には、具体的にいつ・何をしたかを記載し、改善内容が客観的にわかる資料(改訂後の賃金台帳など)を添付することが望ましいといえます。

期日までに対応が難しい場合は、放置するのではなく、速やかに担当監督官に連絡して状況を説明し、期日の延長を相談することが重要です。是正勧告を無視し続けると、強制捜査(司法捜査)や送検(刑事事件化)につながるリスクがあります。

未払い残業代が発覚した場合

調査によって過去の未払い残業代が明らかになった場合、原則として3年分(労基法第115条の消滅時効)の未払い賃金を支払う義務が生じます。対象者が多い場合や金額が大きい場合は、社労士や弁護士に相談しながら計算・支払い手続きを進めることをお勧めします。

調査前に整えておきたい労務管理のポイント

横浜の弁護士として日々企業法務の相談を受ける中で、「調査が来てから慌てる」ケースが非常に多いと感じます。以下のポイントを平時から整備しておくことで、いざ調査が入ったときの対応を格段にスムーズにすることができます。

  • タイムカード・出退勤記録の適切な管理:実際の労働時間と賃金台帳が一致しているか定期的に確認する
  • 36協定の更新管理:36協定は毎年更新・届出が必要。期限切れのまま残業させていないか確認する
  • 雇用契約書の整備:全従業員(正社員・パート・アルバイト含む)に対して労働条件通知書または雇用契約書を交付している状態を維持する
  • 就業規則の見直し:法改正(育児介護休業法・育児休業の取得義務化対応など)のたびに内容を更新し、所轄の労基署へ届け出る
  • 有給休暇の年5日取得義務の管理:2019年4月から年10日以上の有給を持つ従業員への年5日時季指定が義務化。管理簿を整備して記録する

弁護士に相談するメリット

労基署の調査対応は、表面上「書類を出すだけ」に見えて、実は複雑な法律判断が必要な場面が多くあります。たとえば、固定残業代制度の有効性、みなし労働時間制の適用可否、退職した従業員から申告があった場合の対応など、弁護士の判断が必要なケースは少なくありません。

横浜の弁護士に相談することで、是正勧告書の内容を正確に把握し、実際にどこまで対応する義務があるのかを法的観点から明確にすることができます。また、未払い賃金の計算方法や今後の労務体制の整備についても、具体的なアドバイスを受けることが可能です。

「調査が来たが何をすればよいかわからない」「是正勧告書を受けたが内容が難しくて理解できない」「従業員から申告が入ったかもしれない」——このような状況では、できるだけ早めに弁護士に相談することをお勧めします。

まとめ

労働基準監督署の調査(臨検)は、多くの中小企業にとって決して他人事ではありません。定期監督・申告監督・災害時監督など種類はさまざまですが、いずれも誠実な対応が基本です。調査が来てから慌てないよう、出勤簿・賃金台帳・36協定・雇用契約書などの書類を日頃から適切に管理しておくことが最大の事前対策といえます。

是正勧告を受けた場合も、指定期日までに適切な対応をとり、是正報告書を提出することで、その後の問題の拡大を防ぐことができます。対応に不安がある場合や法的な判断が必要な局面では、弁護士に相談することが安心への近道です。

労基署の調査・是正勧告でお困りの事業者様へ

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※本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。具体的な案件については弁護士にご相談ください。

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