まとめサイト・暴露サイトの誹謗中傷を削除する方法|管理者特定・発信者情報開示・損害賠償を弁護士が解説
まとめサイト・暴露サイトの誹謗中傷を削除する方法|管理者特定・発信者情報開示・損害賠償を弁護士が解説
自分の名前や写真が無断で掲載され、身に覚えのない誹謗中傷や虚偽情報が繰り返し拡散されている——まとめサイトや暴露サイトによる被害は、被害者の社会的評価を大きく傷つけ、仕事や人間関係にまで深刻な影響を及ぼします。こうしたサイトは検索エンジンにインデックスされることで長期間にわたって検索上位に表示され続けるため、被害が長期化・広域化しやすいのも特徴です。
本記事では、まとめサイト・暴露サイトによる誹謗中傷への法的対処法として、削除を求める方法、サイト運営者・投稿者の特定手続き、損害賠償請求の流れについて、インターネット誹謗中傷を専門とする弁護士が解説します。
まとめサイト・暴露サイトとはどのようなサイトか
「まとめサイト」とは、インターネット上の複数の情報を収集・編集して掲載するキュレーションサイトの総称ですが、誹謗中傷の文脈では、特定の個人や企業を標的にした批判・攻撃的な投稿を継続的にまとめて拡散するサイトを指すことが多いです。一方、「暴露サイト」とは、個人の過去の言動、プライバシー情報、人間関係などを「暴露」することを目的として作られた、特定人物を標的にした専用サイトです。
こうしたサイトには以下のような特徴があります。
- 特定の個人や企業が継続的・反復的に標的にされる
- SNSや掲示板からの転載・引用が多く、情報が蓄積・拡散されやすい
- Google等の検索エンジンにインデックスされることで長期間にわたり検索上位に表示される
- サイト運営者が匿名であることが多く、削除依頼先を特定しにくい
このような特性から、通常のSNS投稿への対処よりも複合的な手続きが必要になるケースが少なくありません。
掲載された情報が法的問題となる場合
まとめサイト・暴露サイトに掲載された情報のすべてが直ちに違法となるわけではありませんが、以下のような情報が掲載されている場合、法的な問題が生じます。
名誉毀損(刑法第230条・民法第709条)
特定人物の社会的評価を低下させる事実を不特定多数に向けて公表した場合、名誉毀損が成立しえます。掲載された内容が真実であっても、公益目的のない個人攻撃であれば違法になり得ます。また、虚偽の事実を摘示した場合は真実性の抗弁(違法性阻却事由)も認められないため、より強固な法的責任が問われます。
侮辱(刑法第231条)
具体的な事実の摘示なく相手を侮辱する表現も問題になります。2022年の刑法改正により侮辱罪は厳罰化され(拘禁刑1年以下または罰金30万円以下)、告訴期間も3年に延長されました。
プライバシー侵害
住所・電話番号・家族構成・職場・過去の経歴などを本人の同意なく公開することはプライバシー侵害となりえます。本人が公開を望まない私的情報の暴露は、削除請求および損害賠償請求の対象になります。
信用毀損・業務妨害(刑法第233条)
虚偽の事実を流布して取引先や顧客を失わせるなど、業務に支障をきたした場合は信用毀損罪・偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。企業や個人事業主が標的にされるケースでは、経済的損害の賠償も重要な争点となります。
削除を求める方法——3つのアプローチ
まとめサイト・暴露サイトの誹謗中傷に対しては、次の3つの方法で削除を求めることができます。状況に応じて単独または組み合わせて用います。
① 任意削除依頼(送信防止措置の申請)
まず、サイト管理者に対してコンタクトフォームやメールを通じて削除を依頼する方法です。情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)に基づく「送信防止措置申請書」を書面で送付することで、法的根拠のある削除依頼が可能です。弁護士が代理人として申請を行った場合、対応してもらえる確率が高まる傾向があります。なお、依頼に応じるかどうかはサイト管理者の裁量によりますが、応じない場合は次のステップに進みます。
② 情プラ法に基づく大規模プラットフォームへの申請
2025年4月に施行された情プラ法(旧プロバイダ責任制限法の改正法)は、指定された大規模プラットフォーム事業者(Google・X・Meta・TikTok・LINE Yahoo・ドワンゴ等)に対し、削除申請を受けてから原則7日以内の対応を義務付けています。まとめサイト・暴露サイト自体が指定対象でなくても、当該サイトの記事がGoogleの検索結果に表示されている場合はGoogleに対して検索結果からの削除(「忘れられる権利」に基づく申請)が可能です。また、そのサイトへのリンクや転載がX・Meta等の大規模プラットフォームに投稿されていれば、それらのプラットフォームへの削除申請も有効です。
③ 仮処分申立て(裁判手続き)
任意削除に応じないサイトに対しては、民事保全法に基づく「投稿削除仮処分」を裁判所に申し立てることができます。被保全権利(名誉権・プライバシー権等の侵害)と保全の必要性(緊急性)が認められれば、数週間から数か月程度で削除命令が発令され、強制的な削除が可能になります。
サイト運営者・投稿者を特定する方法
誹謗中傷の削除にとどまらず、損害賠償請求や刑事告訴を行うためには、加害者(サイト運営者・投稿者)を特定する必要があります。主な方法は以下の3段階です。
① WHOIS検索でドメイン登録者を調査
まとめサイト・暴露サイトのドメイン情報はWHOIS検索サービスで確認できる場合があります。しかし、プライバシー保護サービス(Whois情報公開代行)を利用して個人情報が非公開になっているケースが多く、この方法だけで特定できることはほとんどありません。あくまでも初期調査の手段として活用します。
② レンタルサーバー会社への発信者情報開示請求
サイトが使用しているサーバー会社(ホスティング事業者)は情プラ法上のコンテンツプロバイダに当たります。この事業者に対して「発信者情報開示命令」を裁判所に申し立てることで、サイト運営者のIPアドレス等の情報の開示を求めることができます。
③ アクセスプロバイダへの発信者情報開示請求
レンタルサーバー会社からIPアドレスが開示されたら、次にそのIPアドレスを管理するアクセスプロバイダ(インターネット回線事業者)に対して、氏名・住所等の発信者情報の開示を請求します。この二段階の手続きを経ることで、最終的に実際の運営者・投稿者にたどり着くことができます。なお、ログの保存期間には限りがあるため、証拠保全と開示請求は早期に着手することが重要です。
海外サーバーや匿名サービスが使われている場合の対応
まとめサイト・暴露サイトの中には、海外のサーバー会社やドメイン登録業者を意図的に利用して追跡を困難にしているケースがあります。こうした場合、情プラ法の直接適用には限界が生じますが、それでも以下のような手段が残ります。
| 手段 | 内容 |
|---|---|
| CDN事業者へのAbuseレポート | Cloudflare等のCDN(コンテンツ配信ネットワーク)事業者に権利侵害の通報を行い、サービス停止を求める |
| Google検索からの削除申請 | 「忘れられる権利」に基づき、Googleの検索結果から当該URLの削除を申請する |
| 国内の拡散者への対応 | 暴露サイトの内容をSNSや掲示板で拡散している国内の発信者を特定し、法的手続きを進める |
| 接続遮断の仮処分 | 深刻な被害の場合、国内のアクセスプロバイダに対してサイトへの接続を遮断する仮処分を申し立てる方法もある(要件は高い) |
困難に見えるケースでも、弁護士が複数の法的手段を組み合わせることで、被害の軽減・解決につながることがあります。諦める前にまず専門家に相談することをお勧めします。
損害賠償請求・刑事告訴の可能性
サイト運営者や投稿者の特定に成功した場合、次の法的措置が可能になります。
民事上の損害賠償請求
名誉毀損・プライバシー侵害・業務妨害等を理由として、精神的損害(慰謝料)および財産的損害(売上の減少、弁護士費用等)の賠償を請求できます。個人への誹謗中傷の場合の慰謝料相場は数十万円から数百万円程度とされていますが、被害の深刻さ・投稿の継続期間・拡散規模によって増額が認められることもあります。
刑事告訴
名誉毀損罪(刑法第230条)・侮辱罪(刑法第231条)・信用毀損罪(刑法第233条)等で警察に告訴することも可能です。侮辱罪には告訴期間(犯人を知った日から3年)があるため、早期に弁護士に相談して告訴状を準備することが重要です。
また、サイト運営者が特定できない場合でも、まずは削除・検索結果からの除外を優先して進め、並行してログ保存の申請を行うことで、後の特定可能性を保全しながら対処することができます。
まとめ——被害を発見したらまずやること
まとめサイト・暴露サイトへの法的対処は、通常のSNS投稿の誹謗中傷対応よりも手順が複雑になることがあります。特に海外サーバーや匿名サービスが使われているケース、複数の投稿者が関与しているケースでは、複合的な法的手続きが必要です。
被害を発見したら、まず次の初動対応を行ってください。
- 証拠保全:問題の投稿のスクリーンショット・URL・投稿日時を記録する(削除・改変前に)
- ログ保存の申請:早期に弁護士に相談し、サーバー・プロバイダに対してログ保存を求める
- 削除依頼の開始:サイト管理者への任意削除依頼と並行して、法的手続きの準備を進める
被害の拡大を防ぐためにも、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが有効です。
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