タングラム法律事務所

不貞慰謝料の示談書における口外禁止条項・秘密保持条項の法的効力と注意点|横浜の弁護士が解説

不貞慰謝料の示談書における口外禁止条項・秘密保持条項の法的効力と注意点|横浜の弁護士が解説

不貞慰謝料の示談書における口外禁止条項・秘密保持条項の法的効力と注意点|横浜の弁護士が解説

不貞慰謝料の示談書における口外禁止条項・秘密保持条項の法的効力と注意点|横浜の弁護士が解説

不貞慰謝料の示談書における口外禁止条項・秘密保持条項の法的効力と注意点|横浜の弁護士が解説

不貞慰謝料の示談が成立する場面では、当事者のどちらもが「不倫の事実を周囲に知られたくない」という強い思いを抱えていることがほとんどです。不倫をされた側は職場や親族への体裁を守りたいと考え、不倫をした側はさらなる社会的制裁を恐れます。こうした双方の利害が一致する形で、示談書には「口外禁止条項」や「秘密保持条項」が設けられることが多くあります。

しかし、この条項を漠然と盛り込んだだけでは、いざ違反が起きたときに十分な法的対応ができないケースも少なくありません。本記事では、口外禁止条項・秘密保持条項の法的性質・効力、違反した場合のリスク、違約金条項の設定方法、SNS時代における注意点まで、横浜の弁護士の視点から詳しく解説します。

口外禁止条項・秘密保持条項とは何か

口外禁止条項(秘密保持条項)とは、示談書において「本件不貞行為の事実および本合意の内容を第三者に口外しない」旨を定める条項です。不貞慰謝料の示談書では、次のような場面でこの条項が機能します。

  • 慰謝料を受け取った側が、不貞行為の詳細や不倫相手の氏名を親族・友人・職場の同僚などに話すこと
  • 慰謝料を支払った側が、示談の存在や金額を第三者に漏らすこと
  • SNS(X、Instagram、Facebook、TikTokなど)への投稿や、匿名掲示板・ブログへの書き込みによる情報拡散
  • 配偶者・パートナー以外の家族(親、きょうだいなど)への口外

口外禁止条項は示談書の中心的な義務(慰謝料の支払い)に対して付随的な義務として位置づけられますが、当事者の名誉やプライバシー保護の観点から、実務上は非常に重要な条項です。

口外禁止条項の法的効力

民法上の根拠と効力の限界

口外禁止条項は、民法上の「契約自由の原則」(民法521条)に基づいて有効に成立します。ただし、主たる債務(慰謝料支払い義務)に対して付随的な性格を持つため、口外禁止条項に違反があったとしても、示談全体が自動的に無効となったり解除されたりするわけではありません。あくまで違反した当事者が損害賠償責任を負うという効果が中心となります。

違反した場合の法的責任

口外禁止条項に違反した場合、違反者は次の法的責任を負う可能性があります。

  • 債務不履行に基づく損害賠償請求(民法415条):口外したことによって相手方に実際に生じた損害(名誉毀損・精神的苦痛・職場への影響など)を賠償する義務
  • 不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条):口外の内容が名誉毀損やプライバシー侵害に該当する場合
  • 違約金の支払い義務:示談書に違約金条項が定められていれば、実損害の立証がなくても違約金の請求が可能
【ポイント】口外禁止条項だけを設けて違約金の定めがない場合、違反による実際の損害を立証する必要があります。損害の立証は難しいことも多いため、実務上は違約金条項をセットで盛り込むことが重要です。

違約金条項の設定方法と相場感

違約金の法的根拠

民法420条は「当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる」と定めており、示談書に違約金条項を設けることは適法です。違約金は「賠償額の予定」と解されるため、違反があれば実際の損害額を個別に立証しなくても、定めた額を請求することが原則として認められます。また、裁判所も当事者が合意した違約金額に拘束されるのが原則です。

違約金の金額設定の目安

実務上、口外禁止条項に関する違約金の金額は一律に決まっているわけではなく、事案の重大性・当事者の経済状況・慰謝料の額などを踏まえて個別に定めます。目安として、慰謝料の50万円〜300万円相当の範囲で設定されることが多い傾向があります。ただし、当事者の収入や資産状況と著しく乖離した高額の違約金は、公序良俗違反(民法90条)として一部または全部が無効と判断される場合があります。

違約金の設定水準 裁判所の判断傾向
慰謝料と同額程度(50〜300万円) 多くの場合で有効と判断される傾向
慰謝料の数倍以上の高額設定 公序良俗違反として減額・無効となる可能性がある
違反1回ごとに加算する累積型 合理的な設定であれば有効とされる傾向

口外禁止条項の対象範囲を明確にする

口外禁止条項が抽象的な表現にとどまると、「どの範囲まで話してよいのか」をめぐるトラブルが生じることがあります。示談書には可能な限り対象範囲を具体的に定めることが重要です。

口外禁止の対象として明記すべき事項の例

  • 本件不貞行為(不倫)の事実
  • 相手方の氏名・住所・連絡先などの個人情報
  • 本示談書の存在・内容(慰謝料の金額を含む)
  • 本件に関するやり取り(メール・LINEのスクリーンショットなど)

「第三者」の範囲と除外規定

口外禁止条項の「第三者」は原則として当事者以外のすべての人を指しますが、実務上は「本件に直接関係のない者」とする場合もあります。弁護士に開示する場合(弁護士への相談)や、訴訟で証拠として提出する場合など、正当な法的手続きに必要な開示は口外禁止の対象外と定めておくのが合理的です。示談書の文言でこの点を明記しておかないと、後々トラブルになることがあります。

SNS・インターネットへの投稿への対処

近年、不貞行為に関する情報がSNSや匿名掲示板に投稿される事例が増えています。口外禁止条項はSNSへの投稿にも適用されますが、対応には次のような特徴があります。

違反の立証がしやすい

口頭での口外と異なり、SNSへの投稿は記録として残るため、口外禁止条項違反の立証が比較的容易な傾向があります。スクリーンショットや魚拓ツールを活用した証拠保全も有効です。

名誉毀損・プライバシー侵害との競合

SNSで相手方の実名や不倫の詳細を公開した場合、口外禁止条項違反にとどまらず、名誉毀損罪(刑法230条)や不法行為(民法709条)が成立する可能性があります。これにより、口外禁止違反による損害賠償と名誉毀損による損害賠償が重複して請求される場合もあります。

削除請求の活用

投稿が削除されないまま拡散し続ける場合は、プロバイダ責任制限法に基づくプロバイダへの削除申請や、発信者情報開示請求(令和4年10月施行の改正プロバイダ責任制限法による新制度)を活用することも選択肢の一つです。

【注意】示談書に口外禁止条項が定められているにもかかわらず、SNSで不倫の詳細を投稿した場合、投稿した側が逆に損害賠償請求を受けるリスクがあります。不貞慰謝料を受け取った側も慎重な対応が求められます。

口外禁止条項の文例と記載上のポイント

示談書に口外禁止条項を盛り込む際は、以下のような文例を参考にしつつ、個別の事情に応じて文言を調整することが重要です。

基本的な文例

「甲および乙は、本合意の成立後、本件不貞行為の事実、相手方の個人情報ならびに本合意の内容(慰謝料の金額を含む)について、正当な法的手続きに必要な場合を除き、第三者(弁護士等の専門家を除く)に対して口外しないものとする。」

違約金条項を追加した文例

「甲または乙が前項の口外禁止義務に違反した場合、違反した者は相手方に対し、違約金として金○○万円を支払う義務を負うものとする。なお、相手方に前項の違反行為により現実の損害が生じた場合には、上記違約金のほか、当該損害の全額を賠償する。」

記載上の主なポイント

  • 「正当な法的手続きに必要な場合を除く」旨の除外規定を入れる
  • 違約金は「○○万円」と金額を明記する(「相当額」等の曖昧な表現は避ける)
  • 違約金と実損害の関係(上乗せ請求の可否)を明確にする
  • 口外の媒体・方法(口頭・SNS・メール等)を例示しておくとより明確

口外禁止条項違反を発見した場合の対処法

相手方が口外禁止条項に違反したと思われる行為(SNS投稿・職場への告知等)を発見した場合、次の手順で対応することが考えられます。

まず、違反の証拠を保全することが最優先です。SNS投稿であればスクリーンショット・URL・投稿日時を保存します。次に、弁護士に相談のうえ、相手方に対して違約金の支払いや投稿の削除を求める内容証明郵便を送付することが有効です。相手方が応じない場合は、違約金請求の訴訟提起を検討することになります。なお、証拠として弁護士と協議する段階でさらなる口外が生じないよう、自身も慎重に行動することが重要です。

まとめ:口外禁止条項は弁護士と連携して設計を

不貞慰謝料の示談書に口外禁止条項を盛り込むことは、当事者双方のプライバシーと名誉を守るうえで非常に重要です。しかし、その効力を十分に発揮させるためには、違約金条項とのセット設計・対象範囲の明確化・除外規定の設置など、細部にわたる検討が欠かせません。

横浜をはじめ全国各地で不貞慰謝料の示談交渉を手がける弁護士は、口外禁止条項の適切な設計によって、示談後のトラブルを最小限に抑えることができます。口外禁止条項を含む示談書の作成・交渉は、専門家への相談を強くお勧めします。示談書の文言ひとつで将来の法的対応が大きく変わることがあるため、独力での作成にはリスクが伴う場合があります。

不貞慰謝料の示談書に口外禁止条項を入れたい方へ

タングラム法律事務所では、不貞慰謝料請求の事案について豊富な実績を有しております。口外禁止条項・秘密保持条項を含む示談書の設計・交渉から、示談後のトラブル対応まで、横浜の弁護士が丁寧にサポートします。

法律相談の予約はこちら

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

横浜で不貞慰謝料のご相談に対応

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。