元交際相手・元配偶者によるネット誹謗中傷への法的対処法|削除申請・発信者情報開示・ストーカー規制法を弁護士が解説
元交際相手・元配偶者によるネット誹謗中傷への法的対処法|削除申請・発信者情報開示・ストーカー規制法を弁護士が解説
「別れた元彼(元彼女)にSNSで悪口を拡散されている」「離婚した元配偶者が自分の実名・住所・職場をネット上に晒している」——このような相談が弁護士のもとに多く寄せられています。見知らぬ人からの誹謗中傷とは異なり、元パートナーからのケースでは相手がすでに個人情報を握っており、より深刻かつ複合的な被害につながりやすいのが特徴です。
本記事では、元交際相手・元配偶者によるネット誹謗中傷の典型パターンと、削除申請・発信者情報開示請求・損害賠償請求・刑事告訴といった法的対処法を解説します。また、2026年3月に全面施行された改正ストーカー規制法との連携についても詳しく説明します。
元パートナーによるネット誹謗中傷の典型的なパターン
元交際相手・元配偶者によるネット誹謗中傷は、次のようなパターンで行われることが多いです。
(1)SNSへの悪口・中傷投稿
X(旧Twitter)・Instagram・Facebook・TikTokなどに、被害者の実名や顔写真を掲載したうえで、「〇〇は嘘つきだ」「浮気をしていた」「精神病だ」などと投稿するケースです。フォロワーに知人・友人が含まれる場合も多く、社会的評価が著しく低下します。
(2)掲示板・口コミサイトへの書き込み
爆サイ・5ちゃんねる・ホスラブなどの匿名掲示板や、Googleマップのビジネスプロフィールなどのレビューサービスへ、被害者の個人情報や虚偽の事実を投稿するケースです。自分で投稿しているにもかかわらず匿名を装うため、発見が遅れることがあります。
(3)交際中・婚姻中の画像・動画の無断公開
いわゆる「リベンジポルノ」(性的画像の無断拡散)です。「私的な性的画像等の不正提供等の防止に関する法律」(リベンジポルノ防止法)の対象となり、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます。2023年施行の性的姿態等撮影罪(撮影罪)も適用され得ます。
(4)知人・職場・家族への情報拡散
被害者の職場の同僚や共通の友人、さらには被害者の家族に対して、メッセージや電話で誹謗中傷の内容を伝えるケースです。ネット上の投稿と合わせて行われることも多く、社会的ダメージが広範囲に及びます。
元パートナーの投稿が名誉毀損・侮辱罪に当たるケース
元配偶者・元交際相手であって、ネット上の投稿が違法となる場合は同様です。主に以下の犯罪が成立し得ます。
| 罪名 | 成立要件の概要 | 法定刑(2022年改正後) |
|---|---|---|
| 名誉毀損罪(刑法230条) | (公然と事実を摘示して人の名誉を毀損 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 侮辱罪(刑法231条) | 事実を摘示せずに公然と人を侮辱 | 1年以下の拘禁刑・拘留または30万円以下の罰金(2022年厳罰化) |
| 信用毀損・偽計業務妨害(刑法233条) | 虚偽の事実を流布して被害者の信用を毀損 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| プライバシー侵害(民法上の不法行為) | 私生活上の事実を公開して精神的苦痛を与える | 民事損害賠償(慰謝料等)の対象 |
なお、「事実の摘示」がある場合でも、その内容が真実であれば名誉毀損が成立しないように思われる方もいらっしゃいますが、真実性による違法性阻却が認められるのは、「公共の利害に関する事実」について「公益目的」で行った場合に限られます(刑法230条の2)。元パートナーの私生活上の事実をネットに書き込む行為は、この要件を通常満たしません。
元プロ棋士がSNSに元妻・元義父母の実名・住所・顔写真を掲載し、「誘拐一家」「殺人鬼」などと誹謗中傷した事案では、名誉毀損罪が成立し、懲役1年6月・執行猶予4年の有罪判決が言い渡されています。被告側は「故意はなかった」と主張しましたが、裁判所はこれを退けました。このように、知り合いである相手への投稿であっても厳しい刑事処罰が科されることがあります。
2026年改正ストーカー規制法との連携
元交際相手・元配偶者によるネット誹謗中傷は、ストーカー行為と一体化して行われることが少なくありません。2025年に成立した改正ストーカー規制法が2026年3月10日に全面施行され、SNS上の規制が大幅に強化されました。
改正の主なポイント
- 拒まれたにもかかわらずSNSで連続メッセージを送る行為が規制対象に:拒絶意思を示した後もDMや返信を繰り返す行為は、ストーカー規制法上の「つきまとい等」として警告・禁止命令の対象となります。
- 被害者の情報(住所・SNSアカウント等)の第三者への提供禁止:ストーカー行為をするおそれがある者に被害者の個人情報を提供する行為が禁じられ、警察から情報提供者への要請が可能になりました。
- 職権警告の創設(2025年12月30日施行):従来は被害者からの申出が必要でしたが、警察が職権でも警告を行えるようになりました。
SNS上の誹謗中傷がストーカー規制法の要件を満たす場合、警察への申告と連携させることで、より迅速かつ強力な対応が可能になります。誹謗中傷の投稿と並行して連絡・接触が繰り返されているケースでは、弁護士と警察の双方に相談することを強くお勧めします。
情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)による削除申請
2025年4月1日に施行された情報流通プラットフォーム対処法(以下「情プラ法」)により、大規模SNS・掲示板運営事業者は削除申請への7日以内の対応が義務化されました。元パートナーの投稿が名誉毀損・プライバシー侵害に当たると判断される場合、情プラ法に基づいて削除申請を行うことができます。
各プラットフォームには専用の「送信防止措置依頼(削除申請)フォーム」が設置されており、申請には以下の情報が必要です。
- 問題となる投稿のURL
- 権利侵害の内容(名誉毀損・プライバシー侵害など)の具体的な説明
- 申請者本人の氏名・連絡先(匿名申請は不可)
- スクリーンショットなどの証拠資料
削除申請が通らない場合には、仮処分(投稿削除仮処分命令申立)を裁判所に申し立てる方法があります。また、元パートナーが相手の実名・写真を添えて投稿している場合、プライバシー侵害(個人情報晒し)を理由とした削除申請が有効なケースも多いです。
相手が判明している場合の法的手段——損害賠償請求・刑事告訴
元交際相手・元配偶者によるネット誹謗中傷は、相手の身元がわかっています。この点が匿名投稿の事案と大きく異なり、発信者情報開示という迂回路を経ずに直接法的手段を取れる場合があります。
民事上の損害賠償請求
名誉毀損・プライバシー侵害を理由として、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求が可能です。請求できる損害には慰謝料のほか、弁護士費用、投稿削除に要した費用、仕事への影響による逸失利益なども含まれる場合があります。まず内容証明郵便で損害賠償を求め、相手方が応じなければ民事訴訟を提起します。
刑事告訴・被害届
名誉毀損罪・侮辱罪・脅迫罪などが成立し得る場合には、警察への被害届または刑事告訴が有効な手段です。名誉毀損罪は「親告罪」(被害者からの告訴がなければ起訴できない罪)であるため、告訴状の提出が重要な意味を持ちます。告訴期間(告訴できる期間)は犯人を知った日から6か月以内とされています(刑事訴訟法235条)。
接近禁止・ハラスメント禁止の仮処分
ネット上の誹謗中傷と並行して、元パートナーが自宅周辺への出没・電話やメールでの嫌がらせを続けている場合には、ストーカー規制法に基づく禁止命令の申出や、民事上の接近禁止仮処分(人格権に基づく妨害排除・妨害予防請求権を被保全権利とする)を検討します。
DV・ドメスティックバイオレンスとの複合対応
元配偶者によるネット誹謗中傷は、婚姻中のDV(ドメスティックバイオレンス)の延長として行われることがあります。配偶者暴力防止法(DV防止法)に基づく保護命令(接近禁止命令・退去命令)は、身体的暴力だけでなく、生命・身体への脅迫が認められる場合にも発令されます。ネット上で「殺す」「家族に危害を加える」などの脅迫投稿がある場合は、DV防止法の適用も検討してください。
また、離婚協議・離婚訴訟の係属中にネット誹謗中傷が行われるケースでは、当該誹謗中傷の内容が親権・養育費の判断に影響する場合もあります。家事事件を担当している弁護士に速やかに状況を報告することが重要です。
証拠保全——相手が誰であれ、まず記録を残す
元パートナーが投稿者だとわかっていても、削除申請や訴訟のために証拠を確保することは不可欠です。特に次の点に注意してください。
- 投稿URLをメモすか:削除後は投稿の特定が困難になります。
- スクリーンショットにURL・日時が映るよう撮影する:パソコンのブラウザで撮影し、アドレスバーが見えるようにしましょう。
- 全スクロールキャプチャを活用する:長い投稿はブラウザ拡張機能(Full Page Screen Capture等)を使い全文を保存します。
- Webアーカイブサービスを利用する:「Web魚拓」「archive.org」等でアーカイブを作成しておくと、後日削除されても証拠として活用できる場合があります。
- 保存後は自分からの反応を控える:被害者側の返信が問題を複雑にする場合があります。対応はすべて弁護士に委ねることをお勧めします。
元パートナーからの誹謗中傷に対処するステップまとめ
元交際相手・元配偶者によるネット誹謗中傷への対処は、次の順序で進めることが一般的です。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ①証拠保全 | 投稿のスクリーンショット・URL・日時の記録 | 削除前に必ず実施 |
| ②弁護士への相談 | 被害状況の整理と法的手段の検討 | 早期相談が対処の幅を広げる |
| ③削除申請(情プラ法) | 各プラットフォームへの送信防止措置依頼 | 7日以内の対応が義務化 |
| ④仮処分(削除申請不奏功の場合) | 裁判所への投稿削除仮処分命令申立 | 迅速な削除に有効 |
| ⑤損害賠償請求 | 内容証明送付・民事訴訟提起 | 相手が判明済みのため手続きが早い |
| ⑥刑事告訴・被害届 | 警察への告訴状提出または被害届 | 名誉毀損罪は親告罪に注意 |
| ⑦ストーカー規制法の活用 | 警察へのストーカー申告・禁止命令申出 | SNS連続メッセージも2026年改正で対象 |
まとめ——元パートナーからの誹謗中傷は早期の専門家相談が重要
元交際相手・元配偶者によるネット誹謗中傷は、相手がすでに個人情報を知っているという特殊性から、被害が深刻化・長期化しやすぅ`��d$x�c8�`�ࢸ�o��fx� �. 9��x�i�� y��9�b��k�.��a`��c8���b��h��i��a8���g��x� y�n�/�z !y��yh,ze���.��j8�a8�a���f�-��ह�c8�f��j���9��y��y�9�b���xहc��8���j8�a�`m:gh�࠸�`�ࢸ�o��fx� ���������nm��"8�j�aj:gh���z(c8�ex�8�g��.y�h��x��8��8����:)��b-���x�j��8Ӕ�."��k�j�8�c8�x�f��n8�k�+i�k���k�k�o�9�*zfd8�c9o-�c%��ex�8�g��d�� L��ynm 9�"9��z(c8�k���x�����y��x�j��8ࢹi)�)���(x�����x�����8��x�x��8��8�n8�k�bb�fi9�,�)��申請が迅速化されたことは、被害者にとって大きなプラスになっています。
ただし、元パートナーへの対応は感情的な対立を招きやすく、証拠の取り扱いや連絡の方法を誤ると逆効果になることもあります。弁護士に早期に相談し、戦略的に対処することが解決への近道です。
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