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遺留分侵害額請求訴訟を自分で起こす方法|訴状・管轄・費用を弁護士が解説

遺留分侵害額請求訴訟を自分で起こす方法|訴状・管轄・費用を弁護士が解説

遺留分侵害額請求訴訟を自分で起こす方法|訴状・管轄・費用を弁護士が解説

遺留分侵害額請求訴訟を自分で起こす方法|訴状・管轄・費用を弁護士が解説

遺留分侵害額請求訴訟を自分で起こす方法|訴状・管轄・費用を弁護士が解説

「遺言で自分の取り分がほとんど残されていなかった」「相手に何度請求しても支払いに応じてもらえない」——遺留分を侵害された方の中には、弁護士に依頼せず、自分で裁判手続きを進めようと考える方も少なくありません。訴訟という言葉に身構えてしまいがちですが、手続きの大まかな流れと必要書類を押さえれば、本人でも申立て自体は可能です。

この記事では、遺留分侵害額請求を自分で裁判手続きに進める場合の流れを、横浜の弁護士が整理します。前提となる「調停前置主義」、訴状の要点、管轄裁判所の決め方、費用、そして本人で進める場合の限界まで、実務的なポイントを解説します。

遺留分侵害額請求とは|まず金銭請求である点を押さえる

遺留分とは、兄弟姉妹以外の一定の相続人に法律上保障された最低限の取り分です。被相続人が生前贈与や遺贈によって特定の人に財産を集中させ、遺留分を侵害した場合、遺留分権利者は、贈与や遺贈を受けた人に対して、侵害額に相当する金銭の支払を請求できます(民法第1046条)。

2019年(令和元年)7月1日施行の改正民法により、遺留分の権利は「金銭の支払を求める権利」に一本化されました。不動産の持分そのものを取り戻すのではなく、金額を計算して金銭で請求する点が出発点になります。この違いは、後述する管轄裁判所の考え方にも関わります。

※ 被相続人が令和元年7月1日より前に亡くなった場合は、改正前の「遺留分減殺請求」の枠組み(物件返還請求等)によることになり、手続きが異なります。適用される制度を取り違えないよう注意が必要です。

いきなり訴訟は起こせない|調停前置主義に注意

遺留分侵害額請求で最初に押さえておくべきなのが「調停前置主義」です。遺留分侵害額の請求は家庭裁判所の調停手続を利用できる事件であり、家事事件手続法第257条により、訴えを提起しようとする場合は、原則としてまず家庭裁判所に調停を申し立てなければならないとされています。

仮に調停を経ずに地方裁判所へ訴えを起こしても、裁判所は職権で事件を調停に付すことができるとされています。したがって、当事者間の交渉がまとまらない場合、実務上は「内容証明による請求 → 家庭裁判所での調停 → 不成立なら訴訟」という順で進むのが基本的な流れです。

調停の申立先・費用(家庭裁判所)

遺留分侵害額の請求調停は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定めた家庭裁判所に申し立てます。裁判所ウェブサイトによれば、申立てに必要な費用は収入印紙1200円分と連絡用の郵便切手です(郵便料は裁判所ごとに異なります)。戸籍謄本一式や遺言書の写し、遺産に関する資料などの添付書類も必要になります。

※ 重要:家庭裁判所に調停を申し立てただけでは、相手方に対する権利行使の意思表示とはなりません。時効を止めるためには、調停の申立てとは別に、内容証明郵便等で遺留分侵害額請求の意思表示をしておく必要があります。

時効に要注意|1年を過ぎると請求できなくなる場合がある

遺留分侵害額請求権は、相続の開始および遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年間行使しないと、時効によって消滅します。また、相続開始の時から10年を経過したときも消滅します(民法第1048条)。

「調停を申し立てれば安心」と考えていると、意思表示をしないまま1年が経過するおそれがあります。まずは配達証明付きの内容証明郵便で意思表示を行い、権利行使の事実を確保したうえで調停・訴訟へ進むのが安全です。遺留分侵害の原因が遺贈である場合の考え方については、遺贈と遺留分の関係を解説した記事もあわせてご覧ください。

訴訟の管轄|どの裁判所に訴えるかを決める

調停が不成立に終わった場合、遺留分侵害額請求は「訴訟」で決着を図ることになります。ここで最初に決めるのが、どの裁判所に訴えるか(管轄)です。管轄には、事件の種類・金額で決まる「事物管轄」と、地理的に決まる「土地管轄」の2つの視点があります。

区分内容
事物管轄(金額)請求額(訴額)が140万円を超える場合は地方裁判所、140万円以下の場合は簡易裁判所
土地管轄(場所)被告(相手方)の住所地、義務履行地、被相続人の最後の住所地などを管轄する裁判所

遺留分侵害額請求は金銭債権であるため、金銭債権に関する義務履行地を基準とした管轄も問題になり得ます。どこに訴えを起こせるかはケースごとに異なるため、訴状を提出する前に、提出先の裁判所へ管轄について確認しておくと安心です。

訴状の書き方と必要書類

本人訴訟でも、訴状は所定の様式に沿って作成します。裁判所ウェブサイトでは各種書式・記載例が公開されており、これらを参照しながら準備を進めるとよいでしょう。訴状に最低限記載する主な事項は次のとおりです。

  • 当事者の表示(原告・被告の氏名、住所)
  • 請求の趣旨(「被告は原告に対し金○○円および遅延損害金を支払え」など、求める結論)
  • 請求の原因(誰の相続か、遺言・贈与の内容、遺留分の割合、侵害額の計算過程など)
  • 証拠方法(遺言書、戸籍、不動産の評価資料など)

あわせて、被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)、相続人全員の戸籍、遺言書の写し、遺産に関する資料(不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金の残高証明書など)を準備します。とりわけ遺留分侵害額は、遺産や生前贈与を金額で積み上げて計算するため、財産の評価資料を漏れなくそろえることが結論を左右します。

訴訟にかかる費用の目安

訴訟を提起する際には、主に次の費用がかかります。金額は請求額(訴額)や裁判所によって変わるため、正確な額は提出先の裁判所で確認してください。

費目内容
申立手数料(収入印紙)訴額に応じて算出される。訴額が大きくなるほど手数料も増える仕組み
郵便切手(予納郵券)裁判所から書類を郵送するための費用。金額・組合せは裁判所ごとに異なる
その他戸籍・登記事項証明書等の取得費用、不動産鑑定を行う場合の鑑定費用など

訴訟手数料は請求額に連動して増えるため、遺留分侵害額を高く見積もるほど当初の負担も大きくなります。不動産の評価額が争われる事案では、鑑定費用が別途かかることもあります。手数料の具体的な計算は裁判所ウェブサイトの案内で確認できます。

訴訟の流れと勝訴後にすべきこと

訴えを提起すると、第1回口頭弁論期日が指定され、以後は書面(準備書面)と証拠のやり取りを通じて争点を整理していきます。多くの事件では、審理の途中で裁判所から和解が勧められ、和解が成立すれば判決を待たずに解決します。和解に至らなければ、判決によって支払うべき金額が確定します。

もっとも、勝訴判決や和解が成立しても、相手が任意に支払わないケースもあります。その場合は、相手の財産を差し押さえる強制執行を検討することになります。判決後の回収の流れについては、遺留分侵害額請求で相手が支払わない場合の強制執行を解説した記事で詳しく取り上げています。なお、相手が話し合いのテーブルに着かない段階での対応は、協議に応じない相続人への対処法の記事も参考になります。

自分で進める場合の限界と弁護士に依頼した場合の違い

手続きの流れや書式は公開情報から調べられますが、遺留分侵害額請求訴訟の実際の勝敗は、金額の主張・立証の巧拙で大きく左右されます。遺留分の基礎となる財産の範囲、特別受益や過去の生前贈与をどこまで算入するか、不動産の評価額をいくらとみるか——これらは相手方と激しく対立しやすく、裁判例でも判断が分かれる論点です。

本人で進めると、相手方の主張に十分反論できず、本来請求できたはずの金額を得られないまま和解や判決に至るおそれもあります。弁護士に依頼すれば、財産評価の資料収集、法的主張の組み立て、相手方との交渉、期日対応までを一貫して任せられます。争点が複雑な事案や相手に弁護士が就いている事案では、少なくとも一度は弁護士に相談したうえで方針を決めることをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

遺留分侵害額請求は調停をせずにいきなり訴訟を起こせますか?

遺留分侵害額の請求は家庭裁判所で調停ができる事件で、調停前置主義(家事事件手続法第257条)が適用されます。そのため、原則としてまず家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。調停を経ずに訴えを提起した場合、裁判所は職権で事件を調停に付すことができるとされています。

遺留分侵害額請求訴訟はどこの裁判所に起こしますか?

遺留分侵害額請求は金銭の支払を求める請求(民法第1046条)です。請求額(訴額)が140万円を超える場合は地方裁判所、140万円以下の場合は簡易裁判所が事物管轄となります。土地管轄は、被告の住所地、義務履行地、被相続人の最後の住所地などを基準に定まります。

訴訟を起こす前に内容証明を送る必要はありますか?

遺留分侵害額請求権は、相続の開始および遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年で時効消滅します(民法第1048条)。調停の申立てだけでは権利行使の意思表示とは扱われないため、時効を確実に止めるには、別途、内容証明郵便等で遺留分侵害額請求の意思表示を行っておくことが重要です。

自分で訴訟を進めるのは難しいですか?

手続きの流れ自体は公開情報で調べられますが、遺留分侵害額請求訴訟では、遺留分の基礎となる財産の範囲、特別受益や生前贈与の評価、不動産の時価評価などが激しく争われる傾向があります。主張・立証を尽くせないと本来請求できる金額を得られないおそれがあるため、争点が複雑な場合は弁護士への相談を検討することをおすすめします。

まとめ|手続きは可能でも、金額の争いには準備が必要

遺留分侵害額請求を自分で裁判手続きに進めることは可能です。ポイントは、(1)まず内容証明で意思表示をして1年の時効を止めること、(2)調停前置主義により原則として家庭裁判所の調停を先に申し立てること、(3)不成立なら訴額に応じた裁判所へ訴状を提出すること、の3点です。一方で、遺留分の計算や財産評価は激しく争われやすく、準備の巧拙が結果を大きく左右します。

「自分で始めたが相手の反論に対応しきれない」「不動産の評価で折り合わない」といった段階では、無理をせず弁護士に相談することで、結果的に有利な解決につながることがあります。横浜で相続や遺留分の問題にお悩みの方は、早めに専門家の視点を取り入れることをご検討ください。

遺留分侵害額請求でお困りの方へ

タングラム法律事務所では、相続や遺留分侵害額請求の事案について豊富な実績を有しております。自分で手続きを始めたものの争点が複雑で不安な方、相手方との金額の交渉に行き詰まっている方は、方針の見直しも含めてお気軽にご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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