タングラム法律事務所

不貞慰謝料を自分で請求する訴訟の起こし方|訴状・費用・管轄を弁護士が解説

不貞慰謝料を自分で請求する訴訟の起こし方|訴状・費用・管轄を弁護士が解説

不貞慰謝料を自分で請求する訴訟の起こし方|訴状・費用・管轄を弁護士が解説

不貞慰謝料を自分で請求する訴訟の起こし方|訴状・費用・管轄を弁護士が解説

不貞慰謝料を自分で請求する訴訟の起こし方|訴状・費用・管轄を弁護士が解説

配偶者や不倫相手に不貞慰謝料を請求したいけれど、弁護士費用は抑えたい――そう考えて、自分で訴訟を起こす「本人訴訟」を検討する方は少なくありません。示談交渉に応じてもらえなかったり、内容証明を無視されたりすると、最終手段として訴訟が視野に入ってきます。

この記事では、弁護士に依頼せず自分で不貞慰謝料請求訴訟を起こす手順を、訴える裁判所(管轄)の決め方、訴状の書き方、訴訟費用、提起後の流れまで横浜の弁護士が解説します。あわせて、自分で行う場合の限界やリスクにも触れます。

不貞慰謝料は自分で請求できる?本人訴訟という選択肢

結論から言えば、不貞慰謝料の請求訴訟を弁護士に依頼せず自分で進めることは可能です。当事者本人が代理人を立てずに訴訟を追行することを「本人訴訟」といい、法律上認められた進め方で、簡易裁判所の事件を中心に珍しくありません。

不貞慰謝料は、不貞行為という不法行為によって精神的苦痛を受けたことに対する損害賠償です。故意または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者は損害賠償責任を負い(民法709条)、精神的な損害も賠償の対象になります(民法710条)。慰謝料はこの「財産以外の損害」への賠償にあたります。

もっとも本人訴訟では、訴状の作成から証拠の準備、法廷での主張・立証まで、すべてを自分で行うことになります。主張や証拠が不十分だと請求が認められない場合がある点には注意が必要です。

訴訟を起こす前に確認すべきこと(証拠・時効・請求額)

訴状を書き始める前に、次の3点を確認しておくと手続がスムーズです。

1. 不貞行為を裏づける証拠があるか

訴訟では、不貞の事実(性的関係の存在)を原告側が証拠で示す必要があります。ホテルへの出入りが分かる写真、繰り返しの宿泊や親密なやり取りが分かるメッセージ、探偵の調査報告書などが典型的な証拠です。証拠が乏しいまま提訴しても、相手が否認すれば請求が認められない場合があります。

2. 時効が完成していないか

不法行為に基づく損害賠償請求権は、被害者が「損害及び加害者を知った時」から3年間、または不法行為の時から20年間、権利を行使しないと時効によって消滅します(民法724条)。不貞相手の氏名・住所や不貞の事実を知ってから3年が経過していないか、提訴前に必ず確認しましょう。

3. 請求する金額(訴額)をいくらにするか

慰謝料額は、婚姻期間、不貞の期間・回数、離婚や別居に至ったか、相手方の反省の有無などを踏まえて決めます。裁判例の傾向では数十万円から300万円程度の幅で認められることが多いとされますが、事案により大きく異なります。慰謝料額を左右する事情は不貞慰謝料の増額事由まとめもご覧ください。請求額は後述の手数料にも影響するため、証拠から見込める金額とのバランスで決めるのが実務上のコツです。

どの裁判所に訴えるか(管轄と簡易裁判所・地方裁判所の違い)

訴訟を起こすには、「どこの・どの種類の裁判所」に訴状を出すかを決める必要があります。これを管轄といいます。

どこの裁判所か(土地管轄)

不貞慰謝料請求では、次のいずれかを管轄する裁判所に訴えを提起できます。

  • 被告(相手方)の住所地:訴訟の原則的な管轄です(民事訴訟法4条)。
  • 不法行為があった地:不貞行為は不法行為にあたるため、その行為地を管轄する裁判所にも提起できます(同法5条9号)。
  • 義務履行地(原告の住所地となる場合がある):金銭の支払を求める訴えは義務履行地にも提起でき、金銭債務は原則として持参債務のため、債権者である原告の住所地が義務履行地となります(同法5条1号)。この場合、自分の住所地の裁判所に起こせる可能性があります。
相手が遠方に住んでいても、義務履行地の考え方によって自分の住所地に近い裁判所で訴訟を進められる場合があります。どこに提起できるか迷うときは、提訴先の裁判所や専門家に確認すると安心です。

どの種類の裁判所か(事物管轄)

訴える裁判所の種類は、請求額(訴額)で決まります。

請求額(訴額)訴える裁判所
140万円以下簡易裁判所
140万円を超える地方裁判所

簡易裁判所は、訴額が140万円を超えない請求について第一審の裁判権を持ちます(裁判所法33条1項1号)。したがって、請求額が140万円以下なら簡易裁判所、140万円を超えるなら地方裁判所に訴状を提出します。簡易裁判所は手続が比較的簡易で、本人訴訟にも利用しやすい場といえます。

訴状の書き方(記載事項と請求の趣旨・請求の原因)

訴訟は、訴状を裁判所に提出することによって開始します(民事訴訟法134条1項)。訴状には、少なくとも次の事項を記載しなければなりません(同条2項)。

  • 当事者及び法定代理人:原告(あなた)と被告(相手方)の氏名・住所。
  • 請求の趣旨:どのような判決を求めるか、という結論部分。
  • 請求の原因:その請求を基礎づける事実。

請求の趣旨の書き方

請求の趣旨は、求める判決の主文にあたる部分です。不貞慰謝料の請求では、たとえば次のように記載します。

(記載例)「被告は、原告に対し、金○○円及びこれに対する令和○年○月○日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告の負担とする。との判決並びに仮執行の宣言を求める。」

末尾の「年3%」は、支払が遅れた分に付ける遅延損害金の利率です。民法が定める法定利率は年3%とされ(民法404条2項)、この利率は3年ごとに見直される仕組みです。不法行為に基づく損害賠償では、原則として不法行為の時から遅延損害金が発生すると扱われます。詳しくは不貞慰謝料と遅延損害金|利率・起算点・計算方法で解説しています。

請求の原因の書き方

請求の原因では、「いつ・誰と・どのような不貞行為があったのか」「それによってどのような精神的苦痛を受けたのか」を、時系列に沿って具体的に書きます。婚姻していた事実、被告が既婚者と知っていた(または知り得た)こと、不貞の具体的内容、慰謝料額の根拠となる事情(婚姻期間、離婚や別居に至った経緯など)を記載します。裏づけとなる証拠は写しを添付して提出します。

訴訟にかかる費用(手数料・郵便切手・2026年改正の電子申立て)

訴訟を起こすには、裁判所に納める費用がかかります。主なものは、申立手数料(収入印紙)と郵便切手(予納郵券)です。

申立手数料(収入印紙)

申立手数料の額は、請求額(訴額)に応じて民事訴訟費用等に関する法律で定められています。2026年5月21日に施行された改正民事訴訟法により、民事訴訟の申立手数料は「書面申立て」と「電子申立て(オンライン)」で額が分かれました。窓口に書面で提出する場合と、オンラインで申し立てる場合とで金額が異なる点に注意してください。おおまかな目安は次のとおりです。

請求額(訴額)書面申立て電子申立て
100万円12,500円11,400円
140万円14,500円13,400円
200万円17,500円16,400円
300万円22,500円21,400円
500万円32,500円31,400円

正確な金額は、裁判所が公表している「手数料額早見表」で確認できます。金額は改正法の施行前後や申立ての方法によって変わるため、提訴の前に最新の早見表や提訴先の裁判所で確かめておくと安心です。

郵便切手(予納郵券)

訴状の送達などに使う郵便切手を、あらかじめ裁判所に納めます。必要額や切手の内訳は裁判所によって異なり、数千円程度が一般的です。提訴前に、提出先の裁判所に必要額を確認しておきましょう。

訴え提起後の流れ(口頭弁論・和解・判決)

訴状を提出すると、裁判所が受理し、被告に訴状が送達されます。その後の大まかな流れは次のとおりです。

  • 第1回口頭弁論期日の指定:裁判所が期日を指定し、原告・被告に通知します。被告は答弁書を提出して反論します。相手方がどのように争ってくるかは、訴状が届いたときの対応と答弁書の書き方もご覧いただくとイメージしやすいでしょう。
  • 争点整理と証拠調べ:双方が主張書面と証拠を出し合い、争点を整理します。必要に応じて当事者尋問が行われます。
  • 和解の勧試:審理の途中で、裁判所から和解を勧められることがあります。双方が合意すれば和解で解決し、判決を待たずに終了します。
  • 判決:和解に至らない場合は判決が言い渡されます。結果に不服があれば、原則として控訴することができます。

提訴から判決までは、事案によりますが半年から1年程度かかることも珍しくありません。期日には原則として本人が出頭する必要があります。

自分で行う場合の限界と、弁護士に依頼した場合の違い

本人訴訟は費用を抑えられる一方で、次のような負担や限界があります。

  • 手続の負担:訴状や準備書面の作成、証拠の整理、期日への出頭をすべて自分で行う必要があります。平日の日中に裁判所へ足を運ぶ機会も増えます。
  • 主張・立証の難しさ:不貞の事実や慰謝料額の根拠を、法的に意味のある形で主張・立証するには経験が要ります。証拠の出し方や書面の書き方が不十分だと、請求額が認められにくくなる場合があります。
  • 相手に代理人が付いた場合の対応:相手方に弁護士が付くと、法的な反論に一人で対応することになり、心理的な負担も大きくなりがちです。

弁護士に依頼した場合は、これらの手続を代理人が担い、期日への出頭も原則として弁護士が対応します。証拠に基づく見通しの検討、適切な請求額の設定、和解のタイミングの判断など、結果に関わる部分でサポートを受けられる点が本人訴訟との大きな違いです。費用と手間、見込まれる結果を比べて判断するとよいでしょう。横浜の当事務所でも、方針の立て方からご相談を承っています。

よくある質問(FAQ)

不貞慰謝料の訴訟は弁護士なしでも自分で起こせますか?

法律上、当事者本人が訴訟を追行する「本人訴訟」は認められており、弁護士に依頼せず自分で不貞慰謝料請求訴訟を起こすことは可能です。ただし、訴状の作成や証拠の整理、法廷でのやり取りをすべて自分で行う必要があり、主張・立証が不十分だと請求が認められない場合があります。手続の負担や見通しを踏まえて判断することが大切です。

不貞慰謝料の訴訟はどこの裁判所に起こせばよいですか?

原則は被告(相手方)の住所地を管轄する裁判所ですが(民事訴訟法4条)、不貞行為は不法行為にあたるため「不法行為があった地」を管轄する裁判所にも提起できます(同法5条9号)。また金銭の支払を求める訴えは義務履行地にも提起でき、金銭債務は原則として債権者の住所地が義務履行地となるため、原告自身の住所地の裁判所に起こせる場合もあります(同法5条1号)。

自分で訴訟を起こす場合、費用はいくらかかりますか?

裁判所に納める申立手数料は請求額(訴額)に応じて決まります。2026年5月21日施行の改正民事訴訟法により、民事訴訟の手数料は書面申立てと電子申立て(オンライン)で額が分かれました。たとえば請求額100万円なら書面申立て12,500円・電子申立て11,400円、200万円なら書面17,500円・電子16,400円が目安です。このほか郵便切手(予納郵券)が数千円程度必要で、額は裁判所により異なります。

相手が話し合いに応じない場合、いきなり訴訟を起こしてよいですか?

不貞慰謝料などの一般的な民事上の金銭請求は、調停を先に行わなければならない調停前置の対象ではないため、話し合いがまとまらない場合にいきなり訴訟を起こすことも可能です。ただし、訴訟は時間と手間がかかるため、内容証明による請求や示談交渉、民事調停を経てから訴訟に進む選択肢も検討するとよいでしょう。

訴状に書く慰謝料の金額はどう決めればよいですか?

慰謝料額は、婚姻期間、不貞の期間・回数、離婚に至ったかどうか、相手の態度などの事情を踏まえて決めます。裁判例の傾向では数十万円から300万円程度の幅で認められることが多いとされますが、事案によって大きく異なります。請求額を高く設定すると納める手数料も増えるため、証拠から見込める金額とのバランスを考えて決めることが実務上のポイントです。

まとめ

不貞慰謝料の請求訴訟は、弁護士に依頼せず自分で起こす「本人訴訟」も可能です。ポイントは、提訴前に証拠・時効・請求額を確認したうえで、管轄(どこの・どの裁判所か)を正しく選び、訴状に請求の趣旨と請求の原因を的確に記載することです。費用面では、2026年5月21日施行の改正民事訴訟法により手数料が書面申立てと電子申立てで分かれた点をおさえておきましょう。

一方で、主張・立証には経験が必要で、相手に弁護士が付いた場合の対応など、自分で進めることの限界もあります。まずは全体像を理解し、証拠や見通しに不安があるときは、方針だけでも弁護士に相談してみることをおすすめします。横浜の当事務所でも、請求する側・された側の双方についてご相談を承っています。

不貞慰謝料の請求・訴訟でお悩みの方へ

タングラム法律事務所では、不貞慰謝料請求の事案について豊富な実績を有しております。自分で進めるべきか、弁護士に依頼すべきか迷われている方も、まずは方針の立て方からご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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