夫婦の再構築(修復)を選ぶ場合の不貞慰謝料請求と誓約書|横浜の弁護士が解説
夫婦の再構築(修復)を選ぶ場合の不貞慰謝料請求と誓約書|横浜の弁護士が解説
配偶者の不貞行為が発覚したとき、必ずしもすべての方が離婚を選ぶわけではありません。「子どものために家庭は続けたい」「もう一度やり直せるなら再構築したい」——そう考える一方で、「このまま何もなかったことにするのは納得できない」「けじめとして慰謝料は受け取りたい」「二度と繰り返してほしくない」という思いを抱える方は少なくありません。相反する感情の間で揺れるのは、ごく自然なことです。
この記事では、離婚せずに夫婦の再構築(修復)を選ぶ場合でも不貞慰謝料を請求できるのか、その際の慰謝料相場の傾向、不倫相手だけに請求するときの注意点、そして再発を防ぐための「誓約書」の作り方と無効にならないためのポイントまで、横浜の弁護士が実務の視点からわかりやすく整理します。
再構築を選んでも不貞慰謝料は請求できる
結論から言えば、離婚せずに夫婦関係を続ける(再構築する)場合でも、不貞慰謝料を請求することは可能です。不貞慰謝料は、配偶者と不倫相手が共同で行った不法行為(民法709条・第710条)によって、あなたが被った精神的苦痛を償うためのものです。離婚するかどうかは、慰謝料請求権が発生するかどうかとは別の問題であり、婚姻を継続したまま請求しても法的に矛盾はありません。
請求の相手方は、原則として「不貞をした配偶者」と「不倫相手」の双方です。両者は共同不法行為者として連帯して賠償責任を負う関係にあると考えられています。再構築を前提とする場合、配偶者本人には慰謝料を求めず、不倫相手だけに請求するという選択をとる方も多くみられます。
再構築の場合の慰謝料相場の傾向
慰謝料の金額は、婚姻期間の長さ、不貞の期間・回数、悪質性、子どもの有無、精神的苦痛の程度など、さまざまな事情を総合して個別に判断されます。そのうえで一般的な傾向として、「離婚に至った場合」よりも「離婚せず再構築する場合」のほうが金額は低めに算定されやすいといわれています。婚姻関係が壊れずに継続していること自体が、損害の程度を左右する一つの要素と評価される傾向があるためです。
| ケース | 慰謝料額の目安(傾向) |
|---|---|
| 不貞が原因で離婚・別居に至った場合 | おおむね100万〜300万円程度 |
| 離婚せず再構築する場合 | おおむね数十万〜100万円程度 |
ここに示した金額はあくまで過去の裁判例などから見た「目安」であり、実際の妥当額は事案ごとに大きく変わります。妊娠・中絶を伴う、不貞が長期にわたる、発覚後も関係が続いたといった事情があれば、再構築の場合でも増額が認められる方向に働くことがあります。逆に、婚姻関係が発覚前から冷え切っていたような事情は、減額の材料として主張される場合があります。
不倫相手だけに請求する場合の注意点
再構築を選ぶ方の多くは、配偶者ではなく不倫相手だけに慰謝料を請求します。この場合、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
「二重取り」はできない
配偶者と不倫相手は連帯して賠償責任を負う関係にあるため、精神的苦痛に対する慰謝料は全体として一つです。不倫相手から満額を受け取れば、原則として配偶者に対して別途同じ損害を請求することはできません。両者から重ねて満額を得る(二重取り)ことはできない点に注意が必要です。
求償権への配慮
不倫相手が慰謝料を全額支払った場合、不倫相手は本来の負担部分を超えて支払った分について、配偶者に対して「求償権」を行使できると考えられています。つまり、不倫相手に支払わせた金額の一部が、後から配偶者を通じて家計から出ていく可能性があるということです。再構築を望む家庭にとっては本末転倒になりかねません。これを防ぐため、示談の際に不倫相手に「求償権を放棄する」旨を定めてもらう対応が実務ではよく用いられます。
再発を防ぐ「誓約書」の役割
再構築において慰謝料と並んで重要になるのが、不貞をした配偶者や不倫相手に作成させる「誓約書」です。誓約書には大きく二つの役割があります。
一つは証拠としての役割です。不貞の事実を認める内容を書面に残しておけば、万が一その後に再発したり、離婚に発展したりした場合に、有力な証拠として機能します。もう一つは再発の抑止としての役割です。「今後一切不貞行為をしない」「不倫相手と連絡・接触をしない」といった約束を明文化することで、心理的な歯止めをかける効果が期待できます。
再構築を目的とする誓約書に盛り込むことが多い条項としては、次のようなものが挙げられます。
- 不貞の事実を認める旨(相手方・時期などを特定)
- 今後一切の不貞行為・不誠実な行為をしないこと
- 不倫相手と連絡・接触をしないこと(接触禁止条項)
- 約束に違反した場合の違約金の定め
- 違反が判明した場合は離婚に応じる旨(配偶者に作成させる場合)
誓約書・違約金条項の作り方と無効になる注意点
誓約書は、当事者が自由な意思で合意すれば法的な効力をもち得ます。もっとも、作り方を誤ると効力が争われたり、いざという時に使えなかったりするため、次の点に注意が必要です。
違約金は「高すぎる」と無効になる場合がある
再発の抑止として、「再び不貞をした場合は違約金として◯◯円を支払う」という条項を設けることがあります。実務では、接触禁止に違反した場合で10万〜50万円程度、再び不貞関係に至った場合で100万円程度、条項全体としては100万〜500万円の範囲で定める例が多いとされています。ただし、あまりに高額な違約金は、公序良俗に反する(民法90条)として全部または一部が無効と判断される可能性があります。過去の裁判例でも、著しく過大な違約金の定めについて、相当な範囲に限って有効とされたものがあります。抑止力を意図するあまり非現実的な金額を設定すると、かえって条項自体の信頼性を損なうおそれがある点に留意しましょう。
自由な意思に基づく合意であること
強迫や著しい心理的圧迫のもとで無理やり署名させた誓約書は、後から効力を争われる余地があります。感情が高ぶる場面ではありますが、脅迫的な言動や監禁的な状況での作成は避け、相手が内容を理解したうえで署名する形を整えることが、結果的に誓約書の有効性を守ることにつながります。
強制執行や公正証書の活用
違約金や慰謝料の分割払いを確実にしたい場合は、単なる私的な誓約書にとどめず、強制執行認諾文言を付した公正証書にしておく方法があります。公正証書にしておけば、支払いが滞ったときに裁判を経ずに強制執行へ進める可能性があり、実効性を高められます。
再構築に向けた話し合いを進めるときの心構え
再構築は、慰謝料や誓約書といった法的な手当てだけで完結するものではなく、夫婦間の信頼を時間をかけて取り戻していく過程でもあります。感情的なしこりが残ったまま金銭や書面の話だけが先行すると、かえって関係の修復を難しくしてしまうこともあります。
一方で、「けじめをつけたい」「同じことを繰り返させたくない」という思いを、あいまいなまま流してしまうのも後悔につながりかねません。法的に有効な形で慰謝料や誓約書を整えておくことは、感情の整理と、将来の安心の両面で意味をもちます。何をどこまで求めるべきか判断に迷うときは、第三者である弁護士に相談することで、冷静に選択肢を整理できる場合があります。
まとめ|再構築の場合こそ専門家への相談を
離婚せず夫婦の再構築を選ぶ場合でも、不貞慰謝料の請求は可能です。もっとも、再構築のケースでは、慰謝料の金額だけでなく、求償権への配慮、二重取りの回避、そして再発を防ぐ誓約書・違約金条項の設計など、離婚するケースとは異なる細やかな注意が求められます。違約金が高すぎて無効とされたり、誓約書がいざという時に使えなかったりすれば、せっかくの取り決めが意味を失いかねません。
横浜のタングラム法律事務所では、再構築を前提とした慰謝料請求や誓約書の作成について、ご相談者のお気持ちとご家庭の事情を丁寧に伺いながら対応しています。将来の安心につながる形を一緒に検討したいとお考えの方は、お早めに弁護士へご相談ください。
再構築を前提とした慰謝料請求・誓約書作成のご相談はタングラム法律事務所へ
タングラム法律事務所では、不貞慰謝料請求の事案について豊富な実績を有しております。離婚せず再構築を選ぶ場合の慰謝料の考え方や、再発を防ぐ誓約書の作成まで、横浜の弁護士がご事情に応じてサポートいたします。
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