転職口コミサイト(OpenWork・転職会議)の誹謗中傷を削除する方法|発信者情報開示・投稿者特定を弁護士が解説
転職口コミサイト(OpenWork・転職会議)の誹謗中傷を削除する方法|発信者情報開示・投稿者特定を弁護士が解説
「OpenWorkに事実と全く異なる口コミを書かれた」「転職会議に退職した元従業員から誹謗中傷の投稿をされた」——こうした相談が近年、企業の担当者や経営者の方から多く寄せられています。転職口コミサイトは求職者が企業を選ぶ際の重要な情報源となっており、そこに書かれた内容は採用活動や企業ブランドに直接的な影響を与えます。悪意ある投稿や虚偽の口コミに対し、泣き寝入りせず適切な法的対処をとることが重要です。
本記事では、OpenWork(旧Vorkers)や転職会議をはじめとする転職口コミサイトに書かれた誹謗中傷・虚偽口コミへの対処法として、各サイトへの削除申請方法から、仮処分・発信者情報開示請求による投稿者特定・損害賠償請求までの流れを、弁護士がわかりやすく解説します。
転職口コミサイトの口コミは削除できるか——削除の可否を左右する基準
まず重要な前提として、転職口コミサイトに書かれた内容であっても、すべてが削除されるわけではありません。口コミが投稿者個人の主観的な評価や感想にとどまる場合は、表現の自由の範囲として削除が認められないことがあります。
一方で、以下のような内容は法的に問題のある投稿として削除を求める根拠になりえます。
- 虚偽の事実を含む投稿——実際とは異なる事実を断言し、企業の名誉・信用を傷つけるもの(名誉毀損・信用毀損)
- 誹謗中傷・侮辱的な表現——根拠なく会社や特定の役員・社員を貶める表現(侮辱罪相当)
- 特定個人の個人情報を含む投稿——氏名・住所・連絡先など個人を特定できる情報(プライバシー侵害)
- 業務を妨害する目的の虚偽投稿——競合他社や悪意ある者による偽計業務妨害に該当するもの
逆に、従業員が実体験に基づいて「残業が多い」「上司の指示が不明確だった」などと記述した場合は、事実に基づく正当な批判として削除が困難なケースが多くあります。まずは投稿内容を精査し、削除の法的根拠があるかを見極めることが対処の第一歩です。
OpenWork(旧Vorkers)への削除申請方法
OpenWork(オープンワーク株式会社が運営)は、企業に在籍または在籍していた社員のみが口コミを投稿できる仕組みをとっています。削除申請を行う際の手順は次のとおりです。
申請窓口と提出方法
OpenWorkへの削除依頼は、「侵害情報の通知書 兼 送信防止措置依頼書」等の必要書類をそろえたうえで、メール(contents_csr@openwork.co.jp)に添付して送付します。
必要書類
- 侵害情報の通知書 兼 送信防止措置依頼書(代表者印または法人の実印を押印したもの)
- 印鑑登録証明書(発行から3か月以内のもの)
- 登記簿謄本(発行から3か月以内のもの)
- 代理人が申請する場合は委任状
- 口コミ内容が「事実と異なる」ことを証明できる客観的資料(給与明細、就業規則、業務記録など)
転職会議(jobtalk.jp)への削除申請方法
転職会議は株式会社リブセンスが運営する転職口コミサイトです。削除申請は、サイト内の「企業への口コミに関するお問い合わせフォーム」から行います。
申請の流れ
転職会議では、「事実でない情報の削除申請」「誹謗中傷に当たる口コミの削除申請」「個人情報が含まれる口コミの削除申請」といった種別を選択し、削除を求める口コミのURLと理由を記入して申請します。企業側からは問題のある口コミをピンポイントで報告できる仕組みが設けられています。
転職会議の削除基準
転職会議のガイドラインでは、特定個人への攻撃・誹謗中傷を意図した内容、不確かな情報・検証が困難な内容、公序良俗に反する表現を含む口コミは削除対象としています。ただし、申請が通らない場合や、問題のある表現部分のみが「***」などに置き換えられる対応にとどまることもあります。
Glassdoor・エン・ライトハウスなど他の転職口コミサイトへの対応
Glassdoor(Recruit Holdingsが出資する米国発のサービス)は英語ベースですが、日本企業に関する投稿も多く存在します。削除申請は「Flag as Inappropriate(不適切として報告)」機能を通じて行います。ただし、海外事業者のため日本の情プラ法・プロバイダ責任制限法に基づく対応には制限が伴います。
エン・ライトハウス(エン・ジャパン株式会社運営)は、「不適切なコンテンツの報告」機能から削除依頼が可能です。各社とも、書類を整えて申請しても対応が不十分な場合や、削除申請自体を受け付けてもらえないケースがあるため、法的手段の検討が必要になることがあります。
削除申請が通らない場合——仮処分と法的手段
サイト運営会社への任意申請で削除に応じてもらえない場合は、裁判所を通じた法的手段を検討します。
削除の仮処分(民事保全手続)
裁判所に対し、名誉毀損・信用毀損・プライバシー侵害などを被保全権利として仮処分を申し立てることで、裁判所が運営事業者に対して投稿の削除を命じる決定を出すことができます。通常の本案訴訟と異なり、「一応確からしい」程度の疎明で足りるため、比較的迅速に対応できます(申立てから審尋・決定まで概ね1〜2か月程度)。
情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)に基づく申請
2025年4月1日に施行された情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)では、国内の月間アクティブユーザー数が1,000万人を超える事業者が「大規模特定電気通信役務提供者」として指定を受け、削除申請に対し原則7日以内に対応する義務を負います。OpenWork・転職会議は現時点ではこの指定を受けていない可能性が高いものの、情プラ法の施行により削除申請の透明性・スピードへの社会的要請が高まっており、各社の対応改善が期待されます。
投稿者を特定して損害賠償請求する——発信者情報開示請求の流れ
悪質な口コミを削除するだけでなく、投稿者を特定して損害賠償を求めたい場合は、発信者情報開示請求(非訟手続)を活用します。
Step 1:転職口コミサイト運営会社への開示命令申立て
裁判所を通じて、OpenWork・転職会議などのサイト運営会社に対し、問題の投稿に係るIPアドレスおよびタイムスタンプの開示を求めます(「開示命令」申立て)。
Step 2:インターネットサービスプロバイダへの開示命令申立て
取得したIPアドレスとタイムスタンプをもとに、投稿者が利用したアクセスプロバイダを特定し、そのプロバイダに対してアカウントの契約者情報(氏名・住所)の開示を求めます。
Step 3:投稿者特定・損害賠償請求
契約者情報が開示されれば、内容証明郵便による通知、示談交渉、または民事訴訟による損害賠償請求へと進むことができます。損害賠償の内容としては、企業の名誉・信用毀損に対する慰謝料、採用機会の逸失による損害、弁護士費用などが請求対象となります。
| 手続き | 目的 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 任意削除申請 | 各サイトへの削除依頼 | 1〜4週間程度 |
| 削除の仮処分 | 裁判所による削除命令 | 1〜2か月程度 |
| 開示命令(サイト運営会社) | IPアドレス・ログ取得 | 1〜3か月程度 |
| 開示命令(プロバイダ) | 契約者情報(氏名・住所)取得 | 1〜3か月程度 |
| 損害賠償請求・訴訟 | 金銭賠償・謝罪 | 示談なら数か月、訴訟なら半年〜1年以上 |
ログ保存期間に注意——早期対応が不可欠な理由
転職口コミサイトへの発信者情報開示請求で最も重要なのが「時間」です。アクセスプロバイダが保有するIPアドレスのログ(接続記録)は、一般的に3か月〜6か月程度で削除されます。ログが消えてしまうと、どれだけ開示命令を取得しても、技術的に投稿者を特定することができなくなります。
問題のある口コミに気づいたら、まず証拠としてスクリーンショットを保存し、速やかに弁護士に相談することが重要です。「しばらく様子を見てから」と判断を先延ばしにすることが、投稿者特定の可能性を大きく狭める原因となります。
まとめ——転職口コミサイトの誹謗中傷対処は早期の専門家相談が鍵
転職口コミサイトへの誹謗中傷・虚偽投稿への対処は、①各サービスへの任意削除申請、②仮処分による削除、③発信者情報開示請求による投稿者特定・損害賠償という段階で進めます。いずれのステップでも、法的根拠の選択・証拠収集・書面作成など専門的知識が必要になります。
特に、ログ保存期間という時間的制約があるため、「まず自社で対応してから」という対応では手遅れになるケースも少なくありません。口コミ被害に気づいた段階で、インターネット誹謗中傷に精通した弁護士に相談されることをお勧めします。
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