タングラム法律事務所

業務委託契約と雇用契約の違いとは?フリーランス活用時の法的リスクを弁護士が解説

業務委託契約と雇用契約の違いとは?フリーランス活用時の法的リスクを弁護士が解説

業務委託契約と雇用契約の違いとは?フリーランス活用時の法的リスクを弁護士が解説

業務委託契約と雇用契約の違いとは?フリーランス活用時の法的リスクを弁護士が解説

業務委託契約と雇用契約の違いとは?フリーランス活用時の法的リスクを弁護士が解説

近年、フリーランスや外部専門家を業務委託で活用する中小企業が増えています。社会保険負担が不要で、必要なときだけ依頼できる柔軟性が魅力です。しかし「業務委託契約」という名称を使っていれば必ず安全というわけではありません。実態によっては「偽装請負」と判断され、企業が多額の未払い賃金請求を受けるリスクがあります。本記事では、横浜を拠点とするタングラム法律事務所の弁護士が、両契約の違いとフリーランス活用時の実務ポイントを解説します。

1. 業務委託契約と雇用契約の基本的な違い

雇用契約は民法第623条に基づく契約で、労働者が使用者の指揮命令のもとで労務を提供し、使用者がこれに対して報酬を支払う合意です。雇用関係が成立すると、労働基準法・労働契約法・最低賃金法などの労働法制が全面的に適用されます。使用者は時間外労働の割増賃金(労働基準法第37条)、年次有給休暇の付与(同第39条)、社会保険への加入義務(健康保険法・厚生年金保険法)を負います。

一方、業務委託契約は民法上の「請負」(民法第632条)または「委任・準委任」(民法第643条・第656条)に基づく契約です。委託者と受託者は対等な事業者として、特定の業務・成果物の完成または特定の事務処理の遂行を合意します。受託者は独立した事業者であるため、労働法制の適用はなく、社会保険料の使用者負担も生じません。

項目 雇用契約 業務委託契約
根拠法 民法第623条・労働基準法等 民法第632条(請負)・643条(委任)等
当事者の関係 使用者と労働者(従属関係) 委託者と受託者(対等な事業者)
指揮命令 使用者が業務内容・方法を指示できる 受託者が自律的に業務を遂行
労働法の適用 あり(残業代・有休・解雇規制等) なし(原則)
社会保険 使用者負担あり なし(受託者が自ら加入)

2. 「偽装請負」とは何か?企業が直面するリスク

業務委託契約を締結していても、実態が雇用契約と変わらない場合、「偽装請負」として問題になることがあります。具体的には次のような実態があると危険信号です。

  • 委託者が業務の具体的な手順・時間を細かく指示している
  • 受託者が委託者の事業所に常駐し、従業員と同じ時間帯で働いている
  • 受託者が委託者の機材・設備・システムをそのまま使用している
  • 報酬が成果ではなく、時間(時給・日給換算)で決まっている
  • 受託者が他社の仕事を実質的に断れない状況にある

このような実態がある場合、労働基準監督署や裁判所が「実態は雇用関係に近い」として労働者性を認定することがあります。労働者性が認定されると、企業は過去2〜3年分(民法上は最大5年分)の未払い割増賃金の支払いを求められるおそれがあり、金額が大きくなるケースも少なくありません。

【労働基準法違反のリスク】
労働者性が認定された場合、残業代未払いは労働基準法第37条違反となり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金(同法第119条)が科される可能性があります。また、労働保険(労災・雇用保険)の未加入についても遡及加入・追徴が行われることがあります。

3. 「労働者性」の判断基準

厚生労働省は「労働基準法研究会報告」(1985年)において労働者性の判断基準を示しており、裁判所もこれを参考にしています。主な判断要素は「使用従属性」と「補強要素」の2軸です。

使用従属性の観点からは、業務依頼への応諾義務があるか、業務遂行上の指揮監督があるか、勤務場所・時間の拘束があるか、報酬が時間に比例しているかが問われます。補強要素としては、机・器具などの費用を誰が負担しているか、他社への労務提供が可能かどうか、特定の発注者への専属性の程度などが考慮されます。

横浜の弁護士に相談する企業の中にも、こうしたリスクに気づかずに長年フリーランスを活用してきたというケースがあります。契約書の名称だけでなく、日々の運用実態を定期的に見直すことが重要です。

4. 業務委託契約を適切に運用するための実務ポイント

フリーランス・外部専門家を安全に活用するには、契約内容と運用実態の両面から整備が必要です。

(1)契約書に明記すべき事項

  • 業務の範囲・成果物・納期を具体的に定める
  • 受託者が独立した事業者として自律的に業務を遂行する旨を明示する
  • 報酬は成果・納品に対して支払われるものとして設計する
  • 受託者が他社からも受注できることを明示する(専属禁止条項を設けない)

(2)日常運用上の注意点

  • 「〇時に来てください」「この方法でやってください」といった細かい業務指示をしない
  • 委託者のタイムカードや出退勤管理を受託者に適用しない
  • 受託者専用の社員証・名刺・会社メールアドレスを付与しない
  • 機材・設備費用は受託者が自ら負担する形にする

5. フリーランス保護法(2024年11月施行)との関係

2024年11月に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス保護法)が施行されました。同法は、フリーランスと業務委託者との取引の透明化・適正化を目的としています。主な義務として、業務委託条件の書面・電磁的方法による明示(同法第3条)、報酬の期日内支払い(同法第5条)、ハラスメント対策体制の整備(同法第14条)などが規定されており、中小企業においても対応が必要です。

業務委託契約の運用に際しては、労働者性に関する問題に加えて、このフリーランス保護法の要件も同時に確認するようにしてください。

6. トラブルが発生した場合の対応と相談のタイミング

業務委託先のフリーランスから「自分は労働者だ。未払い残業代を払え」と請求されるケースは近年増加しています。こうしたトラブルが発生した場合、感情的な対応や口頭での約束は避け、まず弁護士に相談することが重要です。過去の契約書・業務指示メール・報酬支払い履歴・勤務実態に関する記録を収集し、事実関係を整理した上で法的対応を検討します。

なお、未払い賃金の請求権は労働基準法第115条により2年(2020年4月以降発生分は当面3年、将来的には5年へ延長予定)で時効消滅しますが、請求を受ける側としては遡及期間が長くなるほど金額が膨らみます。問題が長引く前に早期に対処することが大切です。

7. まとめ:業務委託契約を安全に活用するために

フリーランス・外部パートナーを業務委託で活用することは、中小企業にとって有効な人材戦略です。しかし「業務委託契約」という名称だけでは法的リスクを回避できません。大切なのは、契約内容と日々の運用実態の両方が「独立した事業者同士の取引」として成立していることです。契約書の整備・日常の運用見直し・最新法令への対応を組み合わせて、リスクを最小化しましょう。

タングラム法律事務所では、横浜・神奈川を中心に中小企業・個人事業主の企業法務をサポートしています。業務委託契約の作成・見直し、フリーランス活用に伴うリスク診断など、お気軽にご相談ください。

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※本記事は2026年5月時点の法令・情報に基づいて作成しています。法令は改正される場合があり、個別の事案によって法的判断は異なります。具体的な対応については、弁護士等の専門家にご相談ください。本記事の内容は法的アドバイスを構成するものではありません。

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