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相続人調査はなぜ必要?戸籍の集め方と見落としがちなポイントを弁護士が解説

相続人調査はなぜ必要?戸籍の集め方と見落としがちなポイントを弁護士が解説

相続人調査はなぜ必要?戸籍の集め方と見落としがちなポイントを弁護士が解説

2026/04/29

相続人調査はなぜ必要?戸籍の集め方と見落としがちなポイントを弁護士が解説

「相続手続きを始めようと思ったら、相続人が自分たちだけではなかった」「知らなかった異母兄弟が突然現れて話し合いが複雑になった」——相続の現場では、こうした事態が決して珍しくありません。遺産分割協議は、相続人全員が参加して初めて成立するものです。一人でも漏れがあれば、協議自体が無効となり、せっかくまとめた話し合いをやり直すことになってしまいます。

本記事では、相続人調査がなぜ重要なのか、どのように戸籍謄本を集めればよいのか、そして特に見落としやすい相続人のパターンについて、順を追って解説します。2024年3月に始まった戸籍の広域交付制度など最新の手続き情報も含めてまとめましたので、これから相続手続きを進める方にぜひご一読いただければ幸いです。

相続人調査とは?なぜ必要なのか

相続人調査とは、亡くなった方(被相続人)の戸籍謄本等を収集し、法律上の相続人が誰であるかを正確に確定する作業のことです。相続人の範囲は民法によって定められており(民法第887条・第889条・第890条)、被相続人との続柄に応じて、配偶者・子・直系尊属・兄弟姉妹が相続権を持ちます。

この調査が不可欠な理由は大きく三つあります。第一に、遺産分割協議は相続人全員が参加しなければ法的に無効となるためです(民法第907条)。第二に、2024年4月1日から施行された相続登記の義務化により、不動産の相続登記を怠ると10万円以下の過料が科される可能性があり(不動産登記法第76条の2)、登記申請に際しても相続人を確定する戸籍書類が必要です。第三に、相続人を特定しないまま手続きを進めると、後から別の相続人が名乗り出て遺産分割のやり直しや返還請求トラブルに発展する恐れがあるからです。

相続人調査は単なる書類集めではなく、その後のすべての相続手続きを有効なものとするための根幹となる作業です。

戸籍を集める手順|出生から死亡までの連続した記録が必要

相続人を正確に確定するには、被相続人の「出生から死亡まで連続した」戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本(以下まとめて「戸籍書類」)を収集する必要があります。なぜ出生まで遡るかというと、被相続人が若いころに認知した子や、かつて婚姻・離婚を繰り返した際の子など、現在の戸籍には記載されていない相続人が存在する場合があるためです。

基本的な収集手順は次のとおりです。まず、被相続人の死亡時点の戸籍(死亡届が反映されたもの)を取得し、そこに記載されている「従前戸籍」の情報を手がかりに、順次古い戸籍を遡って収集します。転籍・婚姻・分籍などで本籍地が移っている場合は、各地の市区町村に問い合わせながら連続した記録をつないでいきます。

収集にかかる費用の目安は、戸籍謄本が1通450円、除籍謄本・改製原戸籍謄本が1通750円です。被相続人の生涯を通じて本籍地の移動が多い場合、合計10通以上の書類が必要になることもあります。

2024年3月開始「戸籍の広域交付制度」で手続きが便利に

従来、被相続人の戸籍書類は本籍地のある市区町村ごとに請求する必要があり、各地に郵送申請をしながら数週間〜数か月かかるケースもありました。しかし、2024年3月1日に改正戸籍法が施行され、「戸籍の広域交付制度」が開始されました。

この制度を利用すると、本籍地がどこであっても、全国どこの市区町村の窓口でも被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍書類をまとめて請求・受け取ることができます。最寄りの役所に一度出向くだけで済むようになり、即日交付(窓口での待ち時間は30分〜1時間程度が目安)を受けられる場合があります。

【広域交付制度の主な注意点】
①本人が窓口に出向く必要があり、郵送申請や代理人申請は利用できません。②コンピューター化されていない古い戸籍(一部の市区町村に存在)は対象外で、別途本籍地に請求が必要です。③兄弟姉妹等の傍系親族の戸籍は広域交付の対象外です。

広域交付制度は非常に便利になった一方で、対象外の戸籍が存在することもあるため、収集した戸籍書類に連続性があるかどうかを丁寧に確認することが重要です。

見落としがちな相続人①|代襲相続・数次相続

相続人調査で特に注意が必要なのが、「代襲相続」と「数次相続」のケースです。

代襲相続とは、本来の相続人(被相続人の子など)が被相続人より先に亡くなっていた場合に、その相続人の子(被相続人にとっての孫)が代わりに相続権を引き継ぐ制度です(民法第887条第2項)。さらにその孫も先に亡くなっていれば、曾孫が相続人となる再代襲も起こります。子の代襲相続は何代でも続きますが、兄弟姉妹の代襲は甥・姪の代までに限られます(民法第889条第2項)。

数次相続とは、相続が発生した後に相続人の一人が相続手続きを完了しないまま亡くなってしまい、相続が複数重なる状態を指します。この場合、故人の相続人がさらに故人の遺産の相続人となるため、関係する戸籍書類の量が膨大になることがあります。

代襲相続と数次相続が複合的に発生した場合、数十通の戸籍書類を収集しなければならないケースもあり、専門家でなければ相続関係図の整理だけでも相当な労力を要します。

見落としがちな相続人②|養子・非嫡出子(婚外子)

もう一つ見落とされやすいのが、養子や非嫡出子(婚外子)の存在です。

養子縁組をした養子は、法律上、実子と同等の相続権を持ちます(民法第809条)。再婚相手の連れ子を養子縁組した場合も同様です。ただし、養子縁組前にすでに生まれていた養子の子には、養親との間に代襲相続関係は生じません。一方、養子縁組後に生まれた養子の子には代襲相続権があります。この違いは戸籍書類を精査しなければ判断できず、見落とされやすい点の一つです。

非嫡出子(婚外子)については、被相続人が認知していれば、嫡出子と同様の割合で相続権を持ちます(民法第900条第4号、平成25年最高裁決定・民法改正以降は嫡出子と同等の相続分)。認知の事実は被相続人の戸籍書類に記載されていますが、出生まで遡った戸籍を確認しなければ認知の有無がわからないこともあります。被相続人が生前に誰にも話していなかった場合、相続が発生して初めて判明するケースも少なくありません。

【こんな時は要注意】
被相続人が若い時期に一度も話に出なかった土地・地域に本籍を置いていた、過去に短期間の婚姻歴があったことが判明した、異なる地域に子が認知されているらしい——こうした状況が一つでも当てはまる場合は、相続人が想定外の範囲に及んでいる可能性があります。早めに弁護士に相談することをお勧めします。

法定相続情報証明制度を活用して手続きをスムーズに

相続人を確定したら、各種手続きのたびに大量の戸籍書類を提出する手間を省くために「法定相続情報証明制度」の活用を検討してください。

この制度は、法務局に収集した戸籍書類一式と「法定相続情報一覧図」を提出すると、登記官が内容を確認した上で認証文付きの写し(法定相続情報一覧図の写し)を無料で交付してくれる仕組みです。この写し一枚で、金融機関での預金解約・名義変更、相続登記、相続税の申告など複数の手続きに対応できるため、戸籍書類の束を何度も持ち回る手間が省けます。

特に、相続財産として不動産・預金口座・証券口座などが複数存在する場合には、法定相続情報一覧図を作成しておくと手続き全体が格段にスムーズになります。作成・申請は自分でも行えますが、記載内容に誤りがあると訂正が必要になるため、弁護士や司法書士に依頼することも選択肢の一つです。

相続人調査を弁護士に依頼するメリット

相続人調査は、やるべき手順がわかれば自分で進めることもできます。しかし、代襲相続や養子・非嫡出子が関わるケースでは、戸籍書類の読み解きや相続関係の整理に専門的な知識が求められます。また、相続人調査の結果、初対面の相続人(例えば異母兄弟姉妹)が存在することが判明した場合、その後の遺産分割交渉を円滑に進めるためにも、早い段階で弁護士に関与してもらうことが有効な場合があります。

横浜を中心に相続案件を取り扱う弁護士に依頼すれば、戸籍書類の収集代行から相続関係図の作成、さらには遺産分割交渉・調停・訴訟まで一貫したサポートを受けることができます。相続人調査の段階から弁護士を活用することで、後になってトラブルが発生するリスクを大幅に軽減できる可能性があります。

まとめ|相続人調査こそ相続手続きの出発点

相続手続きのあらゆるステップは、正確な相続人の特定から始まります。戸籍書類の収集は2024年3月からの広域交付制度によって以前より手軽になりましたが、代襲相続・数次相続・養子・非嫡出子といった複雑なケースでは、専門家の助けなしに相続人を正確に把握することは容易ではありません。

特に、相続人調査の段階で漏れが発覚すると、遺産分割協議のやり直しや関係者間の感情的な摩擦が生じることもあります。「まずは自分で調べてみよう」と思う気持ちはよく理解できますが、少しでも不安を感じたら、早めに専門家へ相談することをお勧めします。適切なサポートのもとで手続きを進めることが、最終的に時間・費用・精神的負担の軽減につながる場合があります。

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タングラム法律事務所では、相続や遺留分侵害額請求の事案について豊富な実績を有しております。相続人の特定から遺産分割協議・調停・訴訟まで、横浜の弁護士が一貫してサポートいたします。「相続人が誰かわからない」「知らない相続人が現れた」といったお悩みもお気軽にご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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