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不貞慰謝料の時効を止める方法|完成猶予と更新を弁護士が解説

不貞慰謝料の時効を止める方法|完成猶予と更新を弁護士が解説

不貞慰謝料の時効を止める方法|完成猶予と更新を弁護士が解説

不貞慰謝料の時効を止める方法|完成猶予と更新を弁護士が解説

不貞慰謝料の時効を止める方法|完成猶予と更新を弁護士が解説

「配偶者の不倫を知ってから、気づけば数年が経ってしまった」「相手と話がまとまらないうちに、時効が近づいてきて不安だ」——不貞慰謝料の請求を検討する方から、こうしたご相談をいただくことは少なくありません。不貞慰謝料の請求権には時効があり、原則として不貞の事実と相手を知ったときから3年で消滅します。期限が迫っているのに何もしないでいると、正当な請求ができなくなるおそれがあります。

しかし、時効の完成が近づいていても、あきらめる必要はありません。民法には、時効の完成を一定期間先延ばしにする「完成猶予」と、進行した期間をリセットしてゼロから数え直す「更新」という仕組みがあります。この記事では、不貞慰謝料の時効の基本と、時効を止める具体的な4つの方法・注意点を横浜の弁護士が解説します。

不貞慰謝料の時効は原則「3年」——まず起算点を確認する

不貞行為に基づく慰謝料は、不法行為による損害賠償請求権にあたります。民法724条は、この請求権について、「被害者等が損害及び加害者を知った時から3年間」行使しないとき、または「不法行為の時から20年間」行使しないときに、時効によって消滅すると定めています。

不貞慰謝料の場合、3年の起算点は「不貞行為があったことと、不倫相手が誰であるかの両方を知ったとき」と考えられています。単に浮気を疑った段階ではなく、不貞の事実と相手を具体的に把握したときが出発点です。なお、2020年施行の改正民法により、20年の期間はかつての「除斥期間」ではなく「時効期間」と明確化され、その枠内でも完成猶予や更新が働くと整理されています。

不貞を知ったことによる慰謝料と、不貞が原因で離婚に至った「離婚慰謝料」は起算点が異なります。離婚慰謝料は離婚成立時から3年と考えられており、不貞を知ってからの3年が過ぎても、離婚慰謝料はなお請求できる可能性があります。

時効の起算点や期間の詳しい考え方については、不貞慰謝料の内容証明が届いたときの対応の記事でも触れていますので、あわせてご確認ください。

時効を「止める」2つの仕組み——完成猶予と更新

時効を止める方法の理解に欠かせないのが、「完成猶予」と「更新」という2つの概念です。2020年施行の改正民法では、従来の「時効の停止」が完成猶予に、「時効の中断」が更新に整理し直されました。両者は効果が大きく異なります。

区分効果主な事由
完成猶予一定の期間、時効の完成が先延ばしになる(期間はリセットされない)催告、協議を行う旨の合意、裁判上の請求の申立て 等
更新それまで進行した期間がリセットされ、新たにゼロから時効が進行する確定判決による権利確定、相手方の承認 等

完成猶予は時計を一時停止させるイメージ、更新は時計を巻き戻してゼロから測り直すイメージです。以下、代表的な方法を根拠条文とともに見ていきます。

【方法1】催告(内容証明)による完成猶予(民法150条)

時効が迫った場面でまず検討されるのが「催告」です。催告とは裁判外で相手に支払いを求める意思表示で、実務では配達の記録が残る内容証明郵便が用いられます。民法150条により、催告があったときから6か月を経過するまでの間、時効の完成が猶予されます。

ただし、注意点が2つあります。第一に、催告は「6か月間の一時的な猶予」にすぎず、その間に訴訟の提起など次の手続きに移らなければ、時効が完成してしまいます。第二に、催告を繰り返しても猶予期間は延長されません。最初の催告で時計を止めている6か月の間に、次の一手を打つ必要があります。

内容証明による請求書の作成方法は、不貞慰謝料を自分で請求する訴訟の起こし方の記事でも訴訟との関係で解説しています。

【方法2】協議を行う旨の合意による完成猶予(民法151条)

改正民法で新設されたのが、協議を行う旨の合意による完成猶予です(民法151条)。慰謝料について話し合いを続ける旨を書面で合意すると、時効の完成が猶予されます。訴訟を起こさず交渉を続けたい場合に有用です。

猶予される期間は、原則として次のうちいずれか早い時までとされています。

  • 合意があったときから1年を経過したとき
  • 当事者が1年未満の協議期間を定めたときは、その期間を経過したとき
  • 一方が協議の続行を拒絶する旨を書面で通知したときは、その通知から6か月を経過したとき

重要なのは、この合意を書面(またはメール等の電磁的記録)で残す必要がある点です。口頭で「話し合いを続けましょう」と言い合っただけでは効力が認められません。また、催告による猶予期間中の協議合意も、協議合意による猶予期間中の催告も、それぞれ猶予期間を延長しない点に注意が必要です。

【方法3】裁判上の請求による完成猶予・更新(民法147条)

時効を止め、さらにリセット(更新)する効果まで得られるのが、裁判上の請求です。民法147条により、訴えの提起、支払督促の申立て、民事調停の申立てなどがあると、その手続きが終了するまでの間は時効の完成が猶予されます。そして、確定判決や和解調書・調停調書などによって権利が確定したときは、その時点から時効が更新され、新たに時効期間が進行します。

催告で得た6か月の猶予期間中に訴訟や調停を申し立てれば完成猶予が続き、判決や和解で権利が確定すれば更新に至ります。時効が迫るケースでは「まず内容証明で催告 → 6か月以内に訴訟または調停を提起」という流れが定石です。調停を自分で進める手順は、不貞慰謝料の調停を自分で申し立てる方法もご参照ください。

【方法4】相手の承認による更新(民法152条)

相手方の行動によって時効が更新される場合もあります。民法152条は、権利の「承認」があったときは、そのときから新たに時効が進行すると定めています。承認とは債務者が支払義務の存在を認める行為で、次のようなものが該当し得ます。

  • 慰謝料の一部を支払った(一部弁済)
  • 「支払います」などと支払義務を前提とする書面を差し入れた
  • 支払時期や分割方法についての合意書・示談書に署名した

相手が支払意思を示した場合、それを書面で残すことは後の立証と時効管理の両面で意味を持ちます。もっとも、承認にあたるかは状況により評価が分かれることもあり、慎重な対応が求められます。

時効を止める際に注意すべきポイント

時効を止める手段は複数ありますが、実務上は次の点に注意が必要です。

第一に、催告や協議合意は「猶予」にすぎないため、猶予期間内に次の手続きへ進む期限管理が欠かせません。第二に、時効が完成しても相手が「援用」しない限り権利は消滅したものとして扱われないため、期間が過ぎたように見えても、あきらめる前に請求の可否を検討する価値があります。第三に、証拠の確保です。不貞を裏づける証拠が乏しいと、時効を止めても請求が認められない可能性があります。

これらの判断は、起算点の把握・手段の選択・期限管理の見極めが重要で、時間的な余裕がないほど専門的な対応が求められます。横浜・新横浜で不貞慰謝料のご相談をお受けする弁護士として、時効が近い事案では特に早めのご相談をおすすめしています。

よくあるご質問

内容証明郵便を送れば不貞慰謝料の時効は止まりますか?

催告(内容証明)には、民法150条により催告のときから6か月間、時効の完成を猶予する効果があります。ただし催告だけでは確定的に止まらず、この6か月内に訴訟提起など次の手続きをとらなければ時効が完成します。催告を繰り返しても猶予期間は延長されません。

3年の時効期間が過ぎてしまったら、もう請求できませんか?

時効期間が経過しても、相手が時効を援用しない限り請求自体は可能です。相手が支払義務を認める(承認する)などの事情があれば更新される場合もあります。また、不貞を知ったことによる慰謝料と離婚慰謝料は起算点が異なり、前者の時効が過ぎても後者は請求できる可能性があります。個別の判断は弁護士にご相談ください。

「協議を行う旨の合意」はどのように行えばよいですか?

民法151条の完成猶予を得るには、協議を行う旨の合意を書面(メール等の電磁的記録を含む)で残す必要があります。口頭の合意では効力が認められません。合意により、原則として合意から1年、1年未満の協議期間を定めたときはその期間などのいずれか早い時まで、時効の完成が猶予されます。

相手が慰謝料の一部だけ支払った場合、時効はどうなりますか?

債務の一部弁済は、原則として債務全体を認めた「承認」にあたり、民法152条により時効が更新されます。更新されると、そのときから新たに時効期間が進行します。支払義務を認める書面(債務承認書・示談書など)の差入れも承認となり得ます。

まとめ

不貞慰謝料の請求権は、原則として不貞の事実と相手を知ったときから3年で時効にかかります。しかし、時効の完成が迫っていても、催告・協議合意・裁判上の請求・相手の承認といった方法で、時効の完成を猶予したり進行をリセット(更新)したりできる場合があります。カギは、起算点を正確に把握し、猶予期間内に次の一手を打つ期限管理です。時効が近い事案では判断の遅れが権利の消滅に直結するため、証拠の状況も含めて早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

時効が迫っている不貞慰謝料のご相談は、タングラム法律事務所へ

タングラム法律事務所では、不貞慰謝料請求の事案について豊富な実績を有しております。時効の完成が近い場合でも、催告・協議合意・訴訟提起など状況に応じた最適な手段をご提案し、権利の実現をサポートいたします。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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