同性パートナー(同性カップル)の不貞でも慰謝料は請求できる?最高裁判例を横浜の弁護士が解説
同性パートナー(同性カップル)の不貞でも慰謝料は請求できる?最高裁判例を横浜の弁護士が解説
長年連れ添ってきた同性のパートナーが、別の相手と関係を持っていた——。そんな事実を知ったとき、「自分たちは法律上の夫婦ではないから、慰謝料を求めても相手にされないのではないか」と、声をあげること自体をためらってしまう方は少なくありません。同性カップルは婚姻届を出すことができず、法的な保護の枠組みが見えにくいため、不安が一層大きくなりがちです。
しかし近年、同性パートナー間の関係であっても、一定の要件を満たせば法的な保護の対象となり、不貞行為に対する慰謝料請求が認められた最高裁の判断が示されています。この記事では、同性カップルの不貞慰謝料について、請求が認められるための要件、判例の考え方、慰謝料の目安、証拠のポイント、不貞相手への請求の可否までを、横浜の弁護士の視点からできるだけわかりやすく整理します。
同性カップルの不貞と慰謝料|法律はどう扱っているか
不貞行為に対する慰謝料は、民法709条の不法行為に基づく損害賠償として請求されるのが一般的です。異性間の婚姻関係や内縁(事実婚)関係では、配偶者やパートナーが第三者と性的関係を持つことで「婚姻共同生活の平和」が侵害されたとして、慰謝料が認められる傾向があります。
では、戸籍上の婚姻ができない同性カップルはどうなるのでしょうか。ここで重要になるのが、「婚姻に準ずる関係(内縁・準婚関係)」として法的保護を受けられるかという視点です。判例は、同性同士であることだけを理由に保護を一律に否定するのではなく、二人の関係の実質を見て判断する方向にあります。つまり、同性であるか異性であるかという形式ではなく、共同生活の実態があるかどうかが鍵になると考えられています。
同性カップルの不貞慰謝料を認めた最高裁の判断
この問題を考えるうえで欠かせないのが、同性カップルの一方が不貞行為を行ったケースについて、慰謝料の支払いを認めた一連の裁判です。
事案は、約7年間にわたり共同生活を送り、海外で婚姻に相当する手続きをとっていた女性同士のカップルの一方が、別の相手と関係を持ったというものでした。一審の宇都宮地方裁判所真岡支部(令和元年9月18日判決)は、二人の関係を婚姻に準ずる関係と評価し、慰謝料などとして110万円の支払いを命じました。続く東京高等裁判所(令和2年3月4日判決)も、海外で結婚証明を得ていたことや、社会通念上夫婦と同様の関係にあったことを重視し、不法行為に関する民法の保護を受けられると判断して、双方の控訴を退けました。
さらに最高裁判所第二小法廷(令和3年3月17日決定)は、不貞行為をした側の上告を退け、この判断を確定させました。同性カップルの関係に一定の法的保護を認め、不貞行為に対する損害賠償請求を認める判断が最高裁レベルで確定したのは、初めてとみられています。
慰謝料が認められるために重視される要素
同性カップルの不貞慰謝料が問題になる場面では、「二人の関係が、婚姻に準ずる共同生活といえるか」が出発点になります。裁判例の考え方を踏まえると、次のような事情が総合的に考慮される傾向があります。
| 考慮される要素 | 具体例 |
|---|---|
| 共同生活の有無・期間 | 同居して家計を共にしていた、長期間にわたり生活を共にしていた |
| 関係を公にする意思 | パートナーシップ制度の利用、海外での婚姻手続き、結婚式・披露の場を設けた |
| 周囲からの認識 | 家族・友人・職場などに夫婦・パートナーとして認識されていた |
| 関係の継続性・誠実性 | 互いに貞操を守る関係であると合理的に期待できる状況にあった |
| 不貞の態様 | 関係の期間・回数、相手との親密さの程度 |
逆に、交際はしていても同居の実態がなく、関係を公にする意思も乏しかったような場合には、「婚姻に準ずる関係」とまでは評価されにくく、請求のハードルが上がる傾向があります。どこまでの事情が認められるかは事案ごとに異なるため、画一的な結論を出すことは難しいのが実情です。
慰謝料の相場の目安はどのくらいか
同性カップルの不貞慰謝料についても、基本的な考え方は異性間の不貞慰謝料と大きく変わるものではありません。慰謝料額は、関係の深さや継続期間、不貞の悪質性、関係に与えた影響などを踏まえて個別に判断されます。
異性間の不貞慰謝料では、関係を継続する場合でおおむね数十万円~100万円台、関係が破綻に至った場合で100万円台~300万円程度が一つの目安とされる傾向があります。前述の確定した事案で認められた金額が110万円であった点も、こうした相場感の中に位置づけられるものといえます。もっとも、これらはあくまで過去の傾向にもとづく目安であり、具体的な金額は事案ごとに幅をもって判断される点に留意が必要です。
不貞の相手方(第三者)にも請求できるのか
不貞慰謝料は、不貞をしたパートナー本人だけでなく、その相手方となった第三者に対しても請求できる場合があります。異性間の不貞と同様に、第三者が「二人が婚姻に準ずる関係にあること」を知り、または不注意で知らずに関係を持った(故意または過失がある)といえる場合には、共同不法行為として責任を問われ得ると考えられます。
もっとも、相手方が「二人がパートナー関係にあるとは知らなかった」と主張してくることもあります。その場合には、相手方が関係を知り得る状況にあったかどうかが争点となり、立証の難易度が上がることがあります。請求の相手を本人だけにするか、第三者も含めるかは、証拠の状況や今後の関係も踏まえて慎重に検討することが望ましいでしょう。
証拠のポイントと請求の進め方
同性カップルの不貞慰謝料で特に重要になるのは、(1)二人が婚姻に準ずる関係にあったことを示す証拠と、(2)不貞行為があったことを示す証拠の、二つをそろえる点です。
関係性を示す証拠
同居の事実がわかる書類(賃貸契約・住民票など)、生計を共にしていたことがわかる記録、パートナーシップ宣誓の受領証、結婚式や記念の写真、家族や友人とのやり取りなどが、関係の実態を裏づける手がかりになります。
不貞行為を示す証拠
性的関係をうかがわせるメッセージ(LINE等)のやり取り、宿泊を伴う外出の記録、写真などが典型例です。一つひとつは決定的でなくても、複数の事情を積み重ねることで、関係の存在が推認される場合があります。
証拠が整ったら、内容証明郵便による請求、示談交渉、調停、訴訟といった手段を、状況に応じて選択していくことになります。交渉の段階で示談がまとまることもあれば、相手が関係や事実を否認して訴訟に進むこともあります。
まとめ|同性カップルの不貞こそ専門家の視点が重要
同性カップルの不貞慰謝料は、「そもそも法的に保護されるのか」という入口の論点が、異性間の事案以上に大きな意味を持ちます。最高裁レベルで法的保護が認められた事案が出てきたとはいえ、実際に慰謝料が認められるかは、二人の関係の実態をどこまで証拠で示せるかにかかっている面があります。判断には専門的な検討が欠かせません。
「自分たちの関係は保護されるのか」「どんな証拠を残しておけばよいのか」「いくらくらい請求できるのか」——こうした疑問を抱えたときは、早い段階で弁護士に相談し、見通しと方針を整理しておくことが、納得のいく解決につながりやすいといえます。横浜で不貞慰謝料の問題にお悩みの方は、ご自身の状況に即した具体的な検討をおすすめします。
同性パートナーの不貞慰謝料でお悩みの方へ
タングラム法律事務所では、不貞慰謝料請求の事案について豊富な実績を有しております。同性カップルの関係性の立証や、相手方への請求方針について、ご事情をうかがいながら最適な進め方をご提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。
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