タングラム法律事務所

トレント意見照会書の回答期限に間に合わないとき|期限後の対応

トレント意見照会書の回答期限に間に合わないとき|期限後の対応

トレント意見照会書の回答期限に間に合わないとき|期限後の対応

トレント意見照会書の回答期限に間に合わないとき|期限後の対応

トレント意見照会書の回答期限に間に合わないとき|期限後の対応

BitTorrent(トレント)による著作権侵害を理由とする発信者情報開示請求で、プロバイダから意見照会書が届いた。動揺しているうちに日が過ぎ、気づけば回答期限が目前に迫っている——あるいは、すでに過ぎてしまっている。そうした状態でこのページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。

この記事では、回答期限がどのような性質の期限なのか、期限を過ぎると手続の中で何がどう扱われるのか、なお取り得る手立ては何かを、横浜の弁護士が整理します。結論を先に述べると、期限を過ぎた瞬間にすべての選択肢が失われるわけではありません。ただし、時間の経過とともに打てる手が確実に減っていくことも事実です。

意見照会書の回答期限は「法律で決まった期限」ではない

プロバイダが意見照会を行う根拠は、情報流通プラットフォーム対処法(旧・プロバイダ責任制限法)6条1項です。同項は、開示請求を受けた開示関係役務提供者は、発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、開示請求に応じるかどうかについて発信者の意見を聴かなければならない、と定めています。

重要なのは、この条文が「意見を聴かなければならない」というプロバイダ側の義務を定めているだけで、発信者が何日以内に回答すべきかを定めてはいない点です。書面に記載された回答期限は、プロバイダが業務上設定しているものであり、控訴期間のような不変の法定期間ではありません。

もっとも、期限が軽いというわけではありません。プロバイダ各社が準拠する業界のガイドラインでは、意見照会後おおむね2週間を経過しても回答がない場合、発信者は特段の主張を行わないものとして扱う旨が示されています。

ポイント:回答期限は法定期間ではないが、経過すると「発信者から特段の主張がなかった」ものとして手続が進む。この扱いの意味を理解しておくことが大切です。

期限を過ぎると、開示の判断はどう変わるのか

回答がないまま期限が経過すると、プロバイダは著作権者側から提出された資料のみを材料に開示の可否を検討します。判断枠組みは同法5条1項の要件、すなわち権利が侵害されたことが明らかといえるか、開示を受けるべき正当な理由があるか、という点です。

ここで生じる不均衡は明らかです。著作権者側は、監視会社が取得したIPアドレス・発信日時・対象ファイルのハッシュ値といった技術的資料を、自らに有利な形で整えて提出しています。これに対し発信者側からは何も出ていない。プロバイダはその一方的な資料に基づいて判断せざるを得なくなります。

回答書を提出する意味は、この構造にあります。回答書は開示を止める万能の書面ではありませんが、相手方の主張のうち事実に反する部分、証拠が足りない部分、法的評価として争える部分を指摘する手段です。「ダウンロードしただけ」という主張と送信可能化権の関係といった論点も、回答書として提出して初めて検討の俎上に載ります。

間に合わないと分かった時点で、まずすべきこと

1.書面を最後まで読み、期限と発信日時を確認する

意見照会書には、回答期限のほか、問題とされる発信日時、対象著作物の類型、整理番号などが記載されています。発信日時は協定世界時(UTC)で記載されていることがあり、日本標準時(JST)では9時間の差が生じます。「その時刻には自宅にいなかった」といった主張を検討するうえで、この換算の確認は欠かせません。

2.プロバイダに連絡し、事情と回答見込みを伝える

書面記載の連絡先へ、期限内の回答が難しい事情と、いつまでに回答できる見込みかを伝えることを検討します。延長の可否はプロバイダの判断であり、取扱いは各社の運用によって異なりますので、実際の可否は窓口にご確認ください。

3.暫定的にでも「開示に同意しない」意思を示す

詳細な理由を尽くした回答書が間に合わない場合でも、まず開示に同意しない旨を簡潔に示し、理由は追って提出する、という進め方を検討する余地があります。「特段の主張を行わない」状態を回避しておく意義があるためです。ただし、この段階で事実関係を誤って書くと、後の交渉や訴訟で不利な材料になり得ます。

4.早い段階で弁護士に相談する

期限が数日後という段階でのご相談も珍しくありません。BitTorrentの発信者情報開示については、意見照会書が届いた方向けの特設ページで対応の流れと費用をご案内しています。

期限が過ぎてしまった場合でも、なお取り得る対応

すでに期限を過ぎている場合、まず確認すべきは、プロバイダがすでに開示に応じたのか、まだ判断の途中なのかという点です。期限の経過は「主張がなかったものとして扱う」効果を生みますが、その瞬間に自動的に開示が実行されるわけではありません。

段階状況なお取り得る対応
期限経過直後プロバイダが開示の可否を検討中遅れてでも理由回答書を提出し、事実関係・技術的な反論を書面化する
裁判手続に移行裁判所で発信者情報開示命令事件が係属プロバイダに資料・意見を提出し、争う材料として活用してもらう
開示後氏名・住所等が著作権者に開示済み請求内容の妥当性の検討、示談交渉

期限後の回答であっても、プロバイダが開示の可否をまだ判断していなければ考慮される余地があります。総務省の解説でも、プロバイダは提出された発信者の意見を可能な限り尊重して開示請求に対応することが求められる、との整理が示されています。「期限を過ぎたから何を出しても無駄だ」と手を止めるのは適切ではありません。

期限後の手続——発信者は「当事者」ではないという構造

意見照会の段階を過ぎると、争いは裁判所での手続に移ることがあります。BitTorrent事案では、著作権者が同法8条に基づく発信者情報開示命令を申し立て、あわせて15条の提供命令や16条の消去禁止命令を用いて、経由プロバイダの特定とログの保全を図る流れが用いられています。

ここで、発信者にとって決定的に重要な事実があります。発信者情報開示命令事件において、手続の当事者は開示請求者とプロバイダであり、発信者本人は当事者ではありません。裁判所は決定に際して当事者の陳述を聴かなければならないとされていますが、その「当事者」に発信者は含まれないのです。

だからこそ、意見照会への回答は、自らの主張を手続に載せるための数少ない機会だといえます。書面の位置づけや様式は各社で異なりますので、プロバイダごとの書式や運用の違いもあわせて確認しておくとよいでしょう。

期限を過ぎた後に、やってはいけないこと

  • 証拠となり得るデータを削除する——端末内のファイルやクライアントソフトの設定・ログを慌てて消す行為は、自らに有利な事情を裏づける材料まで失わせることがあります。
  • 心当たりがあるのに「身に覚えがない」とだけ回答する——後に事実と異なることが明らかになれば、その回答自体が不利な材料になり得ます。
  • 著作権者側に直接連絡する——自ら発信者であることを認める結果になりかねません。
  • さらに放置を続ける——意見照会書を無視した場合に何が起きるかを踏まえ、いまの段階で何ができるかを考えることが必要です。

よくある質問

意見照会書の回答期限は、法律で決まっているのですか。

回答期限は法律で定められた期間ではなく、プロバイダが業務上設定している期限です。情報流通プラットフォーム対処法6条1項は発信者の意見を聴く義務を課していますが、回答期間までは規定していません。もっとも、業界のガイドラインでは、意見照会後おおむね2週間を経過しても回答がない場合、発信者は特段の主張を行わないものとして扱う旨が示されています。

回答期限の延長をプロバイダにお願いできますか。

延長に応じるかどうかはプロバイダの判断であり、必ず認められるものではありません。ただし、書面記載の連絡先に、期限内の回答が難しい事情と回答できる見込みの時期を伝えておくこと自体は可能です。連絡した事実が記録に残る点で、黙って期限を徒過するよりは望ましい対応といえます。

期限を過ぎてから回答書を出しても意味がありますか。

プロバイダがまだ開示の可否を判断していなければ、期限後の回答でも考慮される余地があります。総務省の解説でも、プロバイダは提出された発信者の意見を可能な限り尊重して対応することが求められるとされています。裁判所での開示命令事件に移行している場合も、プロバイダの主張の材料となり得ます。

期限を過ぎて開示されてしまいました。もう打つ手はないのでしょうか。

開示は著作権者が氏名・住所を知った段階にとどまり、賠償額や責任の範囲が確定したわけではありません。その後の交渉では、侵害の態様・期間・件数といった事実関係の整理と、請求の法的根拠の検討が引き続き重要になります。開示後にご相談いただくケースも少なくありません。

まとめ

意見照会書の回答期限は法定の期間ではありませんが、経過すれば「発信者から特段の主張はなかった」ものとして扱われ、開示の判断は著作権者側の資料のみに基づいて進みます。開示命令事件で発信者本人が当事者とならない以上、意見照会への回答は、自らの言い分を手続に反映させる限られた機会です。

間に合わないと分かった段階では、書面を正確に確認し、プロバイダに事情を伝え、暫定的にでも不同意の意思を示すという手順が考えられます。すでに期限を過ぎていても、プロバイダが判断を終えていなければ、遅れて提出した回答が考慮される余地は残ります。横浜のタングラム法律事務所では、意見照会書への対応について専用の特設ページで流れと費用をご案内しています。

回答期限が迫っている方・過ぎてしまった方へ

タングラム法律事務所では、BitTorrent(トレント)による著作権侵害を理由とする発信者情報開示の意見照会について、回答書の作成から開示後の示談交渉まで一括して対応しています。ITエンジニアの経験を持つ弁護士が、技術的な事実関係も踏まえて方針をご説明します。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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