身に覚えがないのに意見照会書が届いたら|BitTorrent発信者情報開示への対処法を弁護士が解説
身に覚えがないのに意見照会書が届いたら|BitTorrent発信者情報開示への対処法を弁護士が解説
ある日突然、契約している回線業者(アクセスプロバイダ)から「発信者情報開示請求に係る意見照会書」という書面が届いた。しかし、封を開けてみると、身に覚えがない――このような相談は決して珍しくありません。BitTorrent(トレント)を使った記憶が全くない方、あるいは家族や同居人しか使わない回線であるにもかかわらず、なぜ自分宛てに書面が届くのか、戸惑いと不安を抱える方は少なくないはずです。この記事では、身に覚えがないのに意見照会書が届く理由と、届いた場合に取るべき対応について解説します。
なぜ身に覚えがないのに意見照会書が届くのか
意見照会書は、実際にBitTorrentを利用した本人ではなく、その通信に使われた回線の「契約者」宛てに送付される仕組みになっています。著作権者側は、侵害行為が行われた際のIPアドレスをもとにアクセスプロバイダを特定しますが、この段階で判明するのはあくまで回線契約者の情報であり、実際にパソコンやスマートフォンを操作していた人物そのものではありません。そのため、契約者本人に利用の記憶が一切なくても、次のような事情から意見照会書が届くことがあります。
- 家族(配偶者・子どもなど)が契約者に無断で利用していた
- 同居人やシェアハウスの入居者が同じ回線を利用していた
- 無線LANのパスワード設定が甘く、第三者に利用されていた
- 過去に利用していた機器に、気づかないうちにアプリがインストールされていた
まずは「自分は使っていないから無関係」と即断せず、書面に記載された内容を落ち着いて確認することが重要です。
意見照会書に記載された内容をまず確認する
意見照会書には、著作権を侵害したとされる作品名、侵害が行われたとされる日時、IPアドレスやポート番号などの技術情報、そして回答期限が記載されています。身に覚えがないと感じた場合でも、まずはこれらの情報を一つずつ確認しましょう。
- 記載された日時に、自宅の回線を使用していた人物に心当たりがないか
- 該当する期間に、家族や同居人が新しいアプリやソフトを利用していなかったか
- 無線LANのルーターにパスワードが設定されているか、外部から接続された形跡がないか
回答期限は書面に明記されており、期限内に「同意」「不同意」いずれかの回答を行うことが求められます。身に覚えがないという事情は、この回答内容や今後の対応を検討するうえで重要な要素になります。
「身に覚えがない」と主張しても開示に至るケースがある
身に覚えがないという事情を伝えたとしても、必ず開示が回避されるわけではない点には注意が必要です。回線の契約者には、自らの通信環境を適切に管理する責任があると考えられており、実際に操作した人物が特定できない場合でも、契約者自身に関する情報が発信者情報として開示されるケースがあります。一方で、家族や同居人が利用していたことが客観的な資料等から明らかになった場合には、その事情を踏まえた対応が検討されることもあります。いずれにしても、開示の可否は個別の事情によって判断が分かれるため、断定的な見通しを持たず、専門家に相談したうえで対応方針を決めることをお勧めします。
家族・同居人・公衆Wi-Fiが関係している場合の注意点
意見照会書への回答を検討する際、実際に利用していた可能性のある家族や同居人がいる場合は、事実関係を整理することが対応の第一歩になります。ただし、家族への聞き取りはプライバシーや家庭内の人間関係にも関わるデリケートな問題です。感情的な対立を避けながら、事実関係を丁寧に確認する必要があります。また、公衆Wi-Fiや無線LANのセキュリティが脆弱だったことが原因である可能性も考えられますが、この点についても技術的な事情の整理には専門的な知識が必要となる場合があります。
身に覚えがない場合に取るべき具体的な対応
身に覚えがないまま意見照会書が届いた場合、次のような対応を心がけてください。
- 回答期限を必ず確認し、期限までに何らかの対応を取る(放置しない)
- 書面に記載された日時・作品名等の情報を保管しておく
- 家族や同居人に心当たりがないか、落ち着いて確認する
- 「同意」「不同意」のいずれを選ぶべきか、自己判断で決めず専門家に相談する
特に、意見照会書を放置してしまうと、多くの場合そのまま開示に至る運用がなされているため、身に覚えがないという事情があるからこそ、早めに専門家へ相談し、状況を整理したうえで回答することが望ましいといえます。
回答内容ごとに想定される主な流れ
| 回答内容 | その後の主な流れ |
|---|---|
| 同意 | 開示に同意した旨がプロバイダに伝わり、比較的早い段階で発信者情報が著作権者側に開示される |
| 不同意(身に覚えがない旨を記載) | プロバイダが回答内容を踏まえて対応を検討するが、最終的な開示の可否は発信者情報開示命令の手続等を通じて判断される場合がある |
| 無回答・放置 | 期限経過後、そのまま開示に至る運用がなされることが多い |
なお、近時は知的財産高等裁判所において、BitTorrentの通信の仕組みを踏まえて発信者情報開示請求を認めた裁判例も見られ、実務上、開示に至るケースは少なくないとされています。だからこそ、身に覚えがない場合には、感覚的な判断ではなく、専門家の助言を踏まえて回答を検討することが重要です。
発信者情報が開示された後、損害賠償請求が届いた場合
意見照会書への回答後、発信者情報開示命令の手続等を経て情報が開示された場合、著作権者側から損害賠償(示談金)を求める通知が届くことがあります。この段階になっても、身に覚えがない、あるいは実際に利用していたのは自分ではないという事情がある場合には、その点を踏まえて交渉や対応を進める余地があります。開示された情報だけをもって一方的に不利な内容で示談を進めてしまわないよう、通知を受け取った時点で対応方針を検討することが大切です。
まとめ|一人で抱え込まず専門家に相談を
身に覚えがないのに意見照会書が届くと、大きな不安を感じるのは当然のことです。しかし、書面の内容を正確に読み解き、事実関係を整理したうえで適切に対応すれば、状況を冷静に進めていくことができます。ご自身だけで判断して回答してしまう前に、BitTorrent(トレント)事案の対応経験がある弁護士に相談することで、回答内容の検討や、その後想定される展開への備えについて助言を受けることができます。
身に覚えがない意見照会書でお悩みの方へ
タングラム法律事務所では、BitTorrent(トレント)事案について、豊富な実績を有しております。身に覚えがない場合の対応も含め、状況を丁寧にお伺いしたうえで今後の進め方をご案内いたします。
無料法律相談の予約はこちらより詳しい対応の流れについては、こちらのページもご参照ください。BitTorrent意見照会書対応について詳しくはこちら
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。
※BitTorrent利用による著作権侵害事案に関してアクセスプロバイダから意見照会書が届いた方、発信者情報が開示され、著作権者から損害賠償請求の通知が届いた方を対象に、ビデオ会議アプリ「Google Meet」を用いたオンライン相談限定で20分間の無料法律相談を実施しています。なお、当事務所では、そのたの事案に関する無料法律相談は行っておりません。
タングラム法律事務所(横浜市港北区新横浜3-7-18 SD18ビル7階)