タングラム法律事務所

スクショで晒されたら著作権侵害?Xの投稿の無断転載と対処法

スクショで晒されたら著作権侵害?Xの投稿の無断転載と対処法

スクショで晒されたら著作権侵害?Xの投稿の無断転載と対処法

スクショで晒されたら著作権侵害?Xの投稿の無断転載と対処法

スクショで晒されたら著作権侵害?Xの投稿の無断転載と対処法

執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年10月8日 最終更新日:2026年10月8日

自分のX(旧Twitter)の投稿がスクリーンショット(スクショ)で撮られ、批判的なコメントとともに拡散されてしまった。「引用ポストではなくスクショなのだから無断転載で、著作権侵害ではないか」と考え、削除や投稿者の特定を求めたいと思う方は少なくありません。

この記事では、スクショによる「晒し」が著作権侵害になるのかを、著作権法の引用の要件と実際の裁判例をもとに整理し、著作権だけでは難しい場合に名誉毀損やプライバシー侵害などでどのように対処を組み立てるかを、横浜の弁護士が解説します。

結論として、投稿のスクショを添付されただけでは、著作権侵害が認められるとは限りません。知財高裁令和5年4月13日判決は、スクショを添付する方法も著作権法上の「公正な慣行」に当たり得るとして、批評目的の添付を引用に当たる(又は当たる可能性がある)と判断し、発信者情報開示請求を棄却しました。スクショ晒しに対しては、著作権に加えて名誉毀損・名誉感情侵害・プライバシー侵害など、どの権利が侵害されているかを見極めて対処することが重要です。

スクショ晒しで問題になり得る権利

著作権だけに注目されがちですが、実際には次のような複数の権利が問題になり得ます。

権利問題になる場面
著作権(複製権・公衆送信権)創作性のある投稿文・イラスト・写真が、そのまま画像として転載された場合
名誉権スクショに「この人は詐欺師」など、社会的評価を下げる事実を添えて拡散された場合
名誉感情スクショとともに、社会通念上許される限度を超える侮辱的な言葉を投げかけられた場合
プライバシーDMや鍵アカウントの投稿など、公開を予定していない内容を晒された場合
肖像権アイコンや投稿画像に写った本人の顔が、そのまま拡散された場合

顔写真が写り込んでいる場合の考え方は「肖像権侵害とは?顔写真を無断掲載された時の対処法」で詳しく解説しています。

投稿のスクショは著作権侵害になるか|著作物性と引用の要件

前提:投稿が「著作物」に当たるか

著作権侵害を主張するには、まず投稿が思想又は感情を創作的に表現した「著作物」である必要があります。文字数の限られた短い投稿や、ありふれた表現・事実を伝えるだけの投稿は、創作性が否定されやすい傾向にあります。一方で、表現に工夫が凝らされた投稿や、イラスト・写真を含む投稿は、著作物と認められる可能性が高まります。

著作権法32条1項の「引用」

著作物に当たる場合でも、著作権法32条1項は「公表された著作物は、引用して利用することができる」と定めています。そのうえで、その引用は「公正な慣行に合致するもの」であり、かつ「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内」で行われなければならないとしています。

実務上は、批評などの目的があるか、引用部分と本文が明確に区別されているか、必要な範囲にとどまっているか、出所が分かるか、といった点が検討されます。

裁判例:スクショ添付は「引用」に当たり得る

ある投稿者が、自身のツイートのスクショを添付して批判的に投稿されたことについて、著作権侵害を理由に携帯電話会社に発信者情報の開示を求めた事件で、東京地裁(令和3年12月の判決)は、Twitterの規約が定める引用ツイート機能を使わずにスクショで複製したことは「公正な慣行」に合致しないなどとして、開示を命じました。

しかし、その控訴審である知財高裁令和5年4月13日判決(令和4年(ネ)第10060号)は原判決を取り消し、請求を棄却しました。同判決は、規約はサービス提供者と利用者との約定であって直ちに著作権法上の「公正な慣行」の内容になるものではないとし、スクショを添付する方法も引用ツイート機能の代わりとして多数行われており公正な慣行に当たり得ると判断しました。そのうえで、引用部分と本文が明確に区別され、批評の趣旨からみて引用の範囲も相当であるとして、各投稿は引用に当たるか、当たる可能性があり、著作権侵害が明らかとはいえないと結論づけています。

発信者情報開示請求では、情報流通プラットフォーム対処法5条1項により、権利が侵害されたことが「明らか」であることが求められます。引用が成立する可能性が残るだけでも、開示は認められにくくなる点に注意が必要です。

なお、最高裁令和2年7月21日判決(民集74巻4号1407頁)は、写真がリツイートで表示された際に著作者名が表示されなくなったことについて氏名表示権の侵害を認めており、写真やイラストの投稿は文章とは異なる考慮が働く場合があります。

著作権侵害が認められやすいケース・認められにくいケース

認められやすい方向に働く事情認められにくい方向に働く事情
自作のイラスト・写真・長文の創作的な文章がそのまま転載されている短文・定型的な表現で、著作物性が乏しい
コメントがほとんどなく、スクショが投稿の主たる部分を占めているスクショに対する批評・反論が本文に書かれている
多数の投稿を一覧的に転載するなど、引用の目的を超えている引用部分と本文が明確に区別され、必要な範囲にとどまる
DMなど公表されていない文章が転載されている公開アカウントの投稿で、出所が明示されている

引用の規定は「公表された著作物」が対象のため、DMなど公開を予定していない文章は引用による正当化が難しいと考えられます。もっとも、DMの晒しはプライバシー侵害の問題として検討することが多いといえます。

スクショ晒しへの対処法|証拠保全から削除・開示請求まで

1. 証拠を保全する

まずは、晒した投稿のURL・投稿日時・アカウント名が分かる形で証拠を残します。保全の方法は「誹謗中傷の証拠保全|スクリーンショットの正しい撮り方と注意点」をご覧ください。

2. Xへの報告・削除申出

Xには著作権侵害の報告窓口があり、著作権ポリシーでは報告を受けたコンテンツの表示が制限されることがあるとされています。また、Xは情報流通プラットフォーム対処法に基づく日本向けの権利侵害の申出フォームを設けています。虚偽の報告は問題になり得るため、根拠とする権利を整理したうえで行うのが安全です。

3. 削除請求・発信者情報開示請求

任意の対応で削除されない場合は、裁判所の手続による削除請求や、投稿者を特定するための発信者情報開示請求を検討します。Xの場合の具体的な流れは「X(旧Twitter)の誹謗中傷で投稿者を特定する方法」で解説しています。手続の全体像や弁護士に依頼した場合の進め方は、発信者情報開示請求・削除請求のページをご覧ください。X以外の掲示板・SNSごとの対応は掲示板・SNS別の削除・投稿者特定のページにまとめています。

著作権だけに頼らない|名誉毀損・プライバシーとの組み立て

批評目的のスクショ添付は、著作権侵害を理由としても開示が認められない場合があります。そこで実務では、スクショに添えられた文章に着目し、次のような権利侵害として構成できないかを検討します。

  • 「この人は〇〇をしている」など、具体的な事実を摘示して社会的評価を下げている(名誉毀損)
  • 人格を否定するような侮辱的な表現が繰り返されている(名誉感情侵害)
  • DMや鍵アカウントの内容、本名・勤務先など、知られたくない情報を晒している(プライバシー侵害)

どの権利を根拠にするかによって、主張すべき事実や必要な証拠は変わります。SNSでの晒しや誹謗中傷全般については、SNSなりすまし・誹謗中傷への対応の特設ページもあわせてご覧ください。

よくある質問

自分のポストをスクショされただけで著作権侵害になりますか?

直ちに著作権侵害になるわけではありません。投稿に創作性(著作物性)が必要で、批評や反論のために区別して添付している場合は、著作権法32条1項の引用として適法とされる可能性があります。

引用ツイート(引用ポスト)機能を使っていないスクショは違法ですか?

それだけで違法になるとは限りません。知財高裁令和5年4月13日判決は、スクリーンショットを添付する方法も著作権法上の「公正な慣行」に当たり得ると判断しています。

DMのやり取りをスクショで公開された場合はどうなりますか?

公開を予定していないDMは引用による正当化が難しいと考えられますが、短いメッセージは著作物性が否定されやすいため、実務ではプライバシー侵害として検討することが多いといえます。

スクショで晒した投稿者を特定することはできますか?

権利侵害が明らかであれば、発信者情報開示請求により特定できる可能性があります。引用が成立し得る場合は明白性が否定されるため、根拠とする権利の見極めが重要です。

まとめ

  • スクショ晒しは、著作権のほか名誉権・名誉感情・プライバシー・肖像権が問題になり得る
  • 著作権侵害には投稿の著作物性が必要で、批評目的の添付は著作権法32条1項の引用に当たる可能性がある
  • 知財高裁令和5年4月13日判決は、スクショ添付も「公正な慣行」に当たり得るとして開示請求を棄却した
  • DMなど公表されていない内容の晒しは、プライバシー侵害として検討することが多い
  • 削除・開示請求では、どの権利を根拠にするかの選択が結果を左右する

スクショ晒しへの対応は、「著作権で行けるか」「名誉毀損やプライバシーで構成すべきか」の見極めが最初の分かれ道です。根拠の選び方を誤ると、時間と費用をかけても開示が認められないおそれがあります。横浜をはじめ神奈川県内の方も、ネット上の権利侵害に詳しい弁護士に早めに相談し、証拠をもとに見通しを確認することをおすすめします。

スクショで晒されてお困りの方へ

タングラム法律事務所では、SNSの誹謗中傷に関する削除請求や発信者情報開示請求について、豊富な取扱い実績を有しております。晒された投稿の内容を確認し、著作権・名誉毀損・プライバシーのいずれで構成すべきかを含めて、とり得る手段をご提案します。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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