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相続の寄与分調停を自分で申し立てる方法|申立書・費用を弁護士が解説

相続の寄与分調停を自分で申し立てる方法|申立書・費用を弁護士が解説

相続の寄与分調停を自分で申し立てる方法|申立書・費用を弁護士が解説

相続の寄与分調停を自分で申し立てる方法|申立書・費用を弁護士が解説

相続の寄与分調停を自分で申し立てる方法|申立書・費用を弁護士が解説

執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年10月23日 最終更新日:2026年10月23日

「長年、親の介護を一人で担ってきたのに、兄弟は法定相続分どおりに分けるべきだと譲らない」。相続の場面では、このような思いから寄与分を主張したいと考える方が少なくありません。話し合いで折り合いがつかない場合、家庭裁判所の「寄与分を定める処分調停」を利用することができます。

この記事では、寄与分を定める処分調停を弁護士に依頼せず自分で申し立てる場合を想定して、申立先・費用・必要書類、申立書や証拠の準備の仕方、遺産分割調停との関係、見落としやすい期間制限までを順に解説します。

結論として、寄与分を定める処分調停は、収入印紙1,200円と郵便切手、戸籍類などを用意すれば本人でも申し立てることができます。ただし、寄与分は遺産分割の中で考慮される制度であるため、遺産分割調停とあわせて申し立てるのが基本であり、相続開始から10年の期間制限にも注意が必要です。寄与分が認められるかどうかは「特別の寄与」を資料で示せるかにかかっているため、申立て前の証拠の整理が最も重要です。

寄与分を定める処分調停とは?遺産分割調停との関係

寄与分とは、共同相続人のうち、被相続人の事業に関する労務の提供、財産上の給付、療養看護などの方法により、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした人に、法定相続分とは別に認められる取り分です(民法904条の2第1項)。寄与分は、まず相続人間の協議で定めますが、協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、寄与をした人の請求により家庭裁判所が定めます(同条2項)。

この家庭裁判所の手続が「寄与分を定める処分」の調停・審判であり、家事事件手続法の別表第二に掲げられた事件として、調停で話し合いをすることができます。ここで注意したいのは、寄与分の請求は、遺産分割の請求があった場合などにすることができるとされている点です(民法904条の2第4項)。寄与分は、遺産分割の中で各相続人の取り分を修正する仕組みだからです。

そのため、寄与分を定める処分調停は、通常は遺産分割調停と併合して進められます(家事事件手続法192条参照)。裁判所の案内でも、調停が不成立となって審判に移行した際、遺産分割審判の申立てがなければ寄与分の審判の申立ては不適法として却下されるとされています。遺産分割調停の申立て方法そのものについては、遺産分割調停を自分で申し立てる方法で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

申立て前に確認したい寄与分の要件と主な類型

寄与分は、相続人が被相続人のために何かをすれば当然に認められるものではありません。親族の間では、もともと扶養や協力をすることが期待されています。寄与分が認められるには、そうした通常期待される程度を超える「特別の寄与」があり、その結果として被相続人の財産が維持・増加したことが必要です。実務上は、無償またはそれに近い形で行われたか、一定期間継続していたか、片手間ではなくかなりの負担を伴うものだったか、といった点が考慮される傾向があります。

主な類型典型例主な証拠の例
家業従事型被相続人の農業・商店などを無給または低額の報酬で手伝った確定申告書、給与の支払状況、取引先とのやり取り
金銭等出資型被相続人の住宅購入資金や借金の返済資金を出した振込記録、契約書、通帳
療養看護型介護が必要な被相続人を自宅で長期間介護した要介護認定の資料、介護日誌、診断書、ケアプラン
扶養型収入のない被相続人の生活費を継続的に負担した送金記録、家計の資料

なお、寄与分の額は、相続開始時の財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができません(民法904条の2第3項)。介護を理由とする寄与分の考え方や限界については、親の介護をした相続人は多くもらえる?寄与分の主張方法と限界で詳しく取り上げています。

寄与分調停の申立人・相手方・申立先(管轄)

裁判所の手続案内によれば、寄与分を定める処分調停の当事者と申立先は次のとおりです。

項目内容
申立人被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした相続人
相手方申立人以外の共同相続人全員
申立先相手方のうちの1人の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所(家事事件手続法245条1項)。遺産分割事件が係属している場合は、その事件が係属している家庭裁判所

寄与分調停の費用と必要書類

費用

  • 収入印紙:申立人1人につき1,200円分
  • 連絡用の郵便切手:裁判所ごとに金額・内訳が異なります(たとえば東京家庭裁判所の案内では1,000円分とされています)。申立先の家庭裁判所の案内で確認してください

必要書類

  • 申立書(裁判所用のほか、相手方の人数分の写し)
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本と、住民票または戸籍附票
  • 相続人に兄弟姉妹や代襲相続人が含まれる場合は、その関係を示す戸籍
  • 遺産に関する資料(不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金通帳の写しや残高証明書など)
  • 進行に関する照会回答書、送達場所等の届出書(裁判所の書式)

戸籍謄本等は発行から3か月以内のものを求める裁判所が多くあります。また、遺産分割事件がすでに係属している場合は、戸籍類などの添付書類は不要とされています。書式と記載例は裁判所ウェブサイト等で入手できます。

申立書の書き方と主張・証拠の準備

申立書は相手方に送付されることが法律で定められているため、感情的な表現は避け、事実を時系列で淡々と記載することが大切です。民法904条の2第2項は、家庭裁判所が寄与の時期、方法および程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して寄与分を定めるとしています。申立書や主張書面では、少なくとも次の点を具体的に整理しておきましょう。

  • いつからいつまで、どのような寄与をしたか(期間・頻度・内容)
  • その寄与が無償またはそれに近いものであったこと
  • 寄与によって被相続人の財産がどのように維持・増加したか(例:介護サービス費用や人件費の支出を免れた)
  • 求める寄与分の額または割合と、その算定の根拠

「大変だった」という説明だけでは足りず、前記の表のような類型に応じた客観的資料による裏付けが重視されます。提出資料は他の当事者の人数分の写しも用意し、相手方に知られたくない住所などはマスキングするか「非開示の希望に関する申出書」を添付します。

申立て後の流れと注意すべき期間制限

調停では、調停委員会が双方から事情を聴きながら合意を目指します。寄与分は、相続人や遺産の範囲・評価を確認したうえで、特別受益とあわせて検討されるのが一般的です。調停が不成立になると審判手続に移行し、裁判官が寄与分と遺産の分け方を判断します(家事事件手続法272条4項)。

期間について、特に注意したい点は次の2つです。

  • 申立期間の指定:遺産分割の審判手続では、家庭裁判所が寄与分を定める処分の審判の申立てをすべき期間を定めることができ、その期間を過ぎた申立ては却下されることがあります(家事事件手続法193条)。主張する予定があれば、早めに申し立てることが大切です。
  • 10年の期間制限:相続開始の時から10年を経過した後にする遺産分割では、原則として寄与分は考慮されません(民法904条の3)。10年が経過する前に相続人が家庭裁判所に遺産分割の請求をした場合などは例外とされています。令和5年4月1日より前に開始した相続には経過措置があり、施行日から5年(令和10年3月31日)と相続開始から10年のいずれか遅い時までの猶予があります。詳しくは遺産分割の10年ルールをご覧ください。

また、相続税の申告が必要な場合、申告期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です(相続税法27条1項)。寄与分の争いで遺産分割がまとまらなくても期限は延びないため、未分割での申告などを検討することになります。相続税の具体的な取扱いについては、税理士または税務署にご確認ください。

自分で申し立てる場合の限界と弁護士に依頼する違い

寄与分を定める処分調停は書式が整っており、本人で申し立てることも十分に可能です。一方で、実務上、寄与分は主張されても認められないか、主張額よりも大幅に低い額にとどまることが少なくない争点とされています。自分で進める場合には、次のような限界があります。

  • どの事実が「特別の寄与」として評価され、どの事実が親族として通常の協力にとどまるのかの見極めが難しい
  • 寄与分の額の算定方法(介護であれば介護報酬相当額を基準にする考え方など)を踏まえた主張の組み立てが難しい
  • 相手方から特別受益の主張や使途不明金の問題を持ち出されると、争点が広がり対応の負担が大きくなる

弁護士に依頼した場合は、証拠から認められる見込みのある寄与分の範囲を見極めたうえで、遺産分割全体の見通しの中で主張の強弱をつけ、調停委員に伝わる主張書面を作成して期日にも同席します。横浜をはじめ神奈川県内で遺産分割の紛争にお悩みの方は、遺言・相続の取扱分野のページもご覧ください。

寄与分調停に関するよくある質問

寄与分を定める処分調停だけを単独で申し立てることはできますか?

調停の申立て自体は可能ですが、寄与分は遺産分割の中で考慮されるものです。調停が不成立となって審判に移行した場合、遺産分割審判の申立てがなければ寄与分の審判の申立ては不適法として却下されます(民法904条の2第4項)。実務上は遺産分割調停とあわせて申し立てるのが一般的です。

親の介護をしていれば、必ず寄与分が認められますか?

必ず認められるわけではありません。寄与分は、親族として通常期待される程度を超える「特別の寄与」があり、それによって被相続人の財産が維持・増加した場合に認められるものです。介護の期間・頻度・内容や、介護費用の支出を免れたことなどを資料で示す必要があります。

相続開始から10年を過ぎても寄与分を主張できますか?

相続開始から10年を経過した後の遺産分割では、原則として寄与分は考慮されません(民法904条の3)。ただし、10年が経過する前に相続人が家庭裁判所に遺産分割の請求をした場合などは例外とされています。令和5年4月1日より前に開始した相続には経過措置があります。

まとめ:寄与分調停は証拠の整理と申立ての時期が重要

寄与分を定める処分調停は、収入印紙1,200円と郵便切手、戸籍類などをそろえれば自分で申し立てることができます。ただし、寄与分は遺産分割の中で考慮される制度であるため遺産分割調停とあわせて進めるのが基本であり、審判での申立期間の指定や相続開始から10年の期間制限にも注意が必要です。

寄与分が認められるかどうかは、「特別の寄与」と財産の維持・増加を客観的な資料でどこまで示せるかにかかっています。見通しが立たない場合や相手方に弁護士がついている場合は、横浜の当事務所をはじめ、早めに弁護士へ相談し、証拠の整理と主張の方針を確認しておくことをおすすめします。

寄与分の主張・遺産分割調停でお悩みの方へ

タングラム法律事務所では、遺産分割・遺留分侵害額請求など、相続人間で争いのある相続事件を数多く取り扱っております。介護や家業への貢献を遺産分割で適切に評価してもらいたい方は、お早めにご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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