@niftyから意見照会書が届いたら|ニフティのトレント開示請求対応
@niftyから意見照会書が届いたら|ニフティのトレント開示請求対応
ニフティ株式会社から「発信者情報開示に係る意見照会書」と題する書面が届いた——。@niftyは1987年のパソコン通信「NIFTY-Serve」以来の長い歴史をもつプロバイダで、契約から十数年が経ち、いまはメールアドレスくらいしか使っていないという方も少なくありません。それだけに、突然この書面を受け取ると戸惑われることと思います。
@niftyにはもう一つ、特有の分かりにくさがあります。ご自宅で使っている回線が「ドコモ光」や「auひかり」であっても、差出人がニフティ株式会社になることがある、という点です。この記事では、なぜニフティから書面が届くのか、どこを確認すべきか、回答期限を過ぎるとどうなるのかを整理します。横浜のタングラム法律事務所では、BitTorrent(トレント)に関する意見照会への対応を数多く取り扱っており、その実務を踏まえて解説します。
なぜニフティ株式会社から意見照会書が届くのか
BitTorrentは、ファイルを細かな断片に分け、参加者どうしが互いに断片を送り合うP2P方式の技術です。「ダウンロードしていただけ」というご認識でも、受け取った断片が他の参加者へ自動的に送信されるのが通常の挙動で、この送信の側面が公衆送信権・送信可能化権(著作権法23条1項)との関係で問題とされます。
権利者側は、対象作品が流通しているネットワークに参加し、断片を送信してきた相手のIPアドレスと日時を記録します。そのうえで、その日時にIPアドレスを割り当てていた接続事業者に対し、情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)5条に基づいて発信者情報の開示を求めます。請求を受けた事業者は、発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、開示に応じるかどうかについて発信者本人の意見を聴かなければならないとされており(同法6条1項)、この手続のために送られてくるのが意見照会書です。
書面が届いたこと自体で侵害が確定したわけではありません。この段階は、発信者側に意見を述べる機会が与えられている場面です。
回線は「ドコモ光」なのに差出人はニフティ——@nifty特有の分かりにくさ
@niftyは、自社ブランドの光回線だけでなく、他社のアクセス回線と組み合わせたコースを幅広く提供しています。同社が公表するインターネット回線サービス一覧には、@nifty光のほか、@nifty with ドコモ光、@nifty auひかり、@nifty eo光、コミュファ光、フレッツ光(プロバイダーコース)が並び、そのほかにCable@nifty(CATV)、格安SIMのNifMo、@nifty WiMAXなどのモバイル系サービスもあります。
| ご家庭での呼び方 | 実際の構成としてあり得るもの |
|---|---|
| 「ドコモ光を使っている」 | アクセス回線はNTT系、プロバイダは@nifty(@nifty with ドコモ光) |
| 「auひかりを使っている」 | アクセス回線はKDDI、プロバイダは@nifty(@nifty auひかり) |
| 「フレッツ光を使っている」 | アクセス回線はNTT東日本・西日本、プロバイダは@nifty(プロバイダーコース) |
| 「ケーブルテレビ・WiMAX・格安SIM」 | Cable@nifty・@nifty WiMAX・NifMoなど、ニフティ名義の契約 |
「うちはドコモだから、来るとしてもドコモからのはず」という前提は成り立ちません。どの事業者から意見照会が来るかは、回線の呼び名ではなく、その日時にグローバルIPアドレスを割り当て、通信記録を保有しているのが誰かによって決まります。ドコモ系の場合はNTTドコモ・OCNから意見照会書が届いたら、au系の場合はauひかり・KDDIから意見照会書が届いたらで、それぞれ解説しています。
意見照会書が届いたら最初に確認する4点
書面の分量に圧倒されがちですが、最初に押さえるべき情報は限られています。
- 回答期限……いつまでに、どこへ、どの方法で回答するのか
- 発信日時……世界標準時(UTC)で記載されている場合、日本時間は9時間後になります。換算を誤ると無関係な日の行動を思い返して混乱します
- IPアドレス(およびポート番号)……ポート番号まで記載されている場合、複数の契約者が同一のIPアドレスを共有する方式が使われていた可能性があります
- 対象作品と侵害態様……どの作品について、どの権利の侵害が主張されているか
そのうえで、当日その回線を使っていた可能性のある人(ご家族・同居人・来客)、使用していた端末、ファイル共有ソフトの導入歴を整理します。この整理が回答書の内容を決める前提になります。意見照会の段階でどう対応を組み立てるかは、意見照会対応のページにまとめています。
ニフティが公表している手続から読み取れること
ニフティは、@niftyのサービスを通じて流通した情報により権利を侵害された者からの申立てを受け付ける窓口を、会員サポートサイト上に設けています。権利侵害の申立てが定型的な事務として運用されていることがうかがえ、書面の到達をもって「特別に目を付けられた」と受け止める必要はありません。
注意していただきたいのは、同社が「開示等の求めに応じる手続き」として公表している制度との違いです。こちらはご自身の保有個人データについて開示・訂正・利用停止等を求めるためのもので、郵送による申請、所定の申請書と写真付き本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証等)の提出、1回の申請につき3,000円(税込)の手数料が必要とされています。名称は似ていますが、意見照会への回答手段ではなく、権利者側の情報を取得できる制度でもありません。
もう一点、情報流通プラットフォーム対処法6条4項は、開示関係役務提供者が開示請求に応じなかったことにより請求者に生じた損害について、故意又は重大な過失がある場合でなければ賠償責任を負わないと定めています。プロバイダが任意開示に慎重で、発信者の意見を確認したうえで判断しようとするのは、この構造によるところが大きいといえます。発信者にとっては、意見を述べることに意味がある場面だということです。
回答期限と、回答後に起こること
意見照会書は、発信者情報開示関係ガイドライン(情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会)の書式に沿って作成されるのが一般的で、回答期限は「本照会書受領日から二週間以内」とされています。同ガイドラインでは、二週間を経過しても回答がない場合、発信者はその点について特段の主張は行わないものとして扱うとされています。放置しても手続が止まるわけではなく、反論の機会だけを失うことになります。期限を過ぎてしまった場合の考え方は回答期限に間に合わないとき・期限が過ぎてしまったときで整理しています。
開示に同意する旨を回答した場合、氏名・住所等が権利者側に開示され、その後に損害賠償の請求書や通知書が届くことになります。同意しない旨を回答した場合、通常はその時点で任意に開示されることはなく、権利者が発信者情報開示命令(同法8条)の申立てに進むかどうかを判断する段階に移ります。開示関係役務提供者は、開示命令を受けたときは、開示に応じるべきでない旨の意見を述べた発信者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならないとされています(同法6条2項)。費用を含む具体的なご案内は、BitTorrentの意見照会書が届いた方へのご案内にまとめています。
回答書を作るときに注意したいこと
開示するかどうかはプロバイダが法令に従って判断する事柄であり、電話での申入れによって止められる性質のものではありません。意見を述べる方法は、期限内に回答書を提出することに尽きます。回答書は、後の交渉や訴訟で相手方の目に触れることを前提に組み立ててください。
- 事実に反することを書かない。後から覆せば、かえって信用を損ないます
- 聞かれていないことまで書かない。他の作品や過去の利用状況に自ら言及すると、請求の範囲を広げる材料になりえます
- 謝罪や支払いの申出をこの段階で書かない。責任を認めたものとして扱われることがあります
- 家族の誰が使ったかを断定的に書かない。ご家族に矛先が向く可能性があり、事実関係の確認が先です
- 提出方法と期限は、届いた書面の記載に従う。郵送に限られている場合もあり、投函から到達までの日数も見込む必要があります
よくある質問
契約しているのはドコモ光なのに、ニフティ株式会社から意見照会書が届きました。偽物ではありませんか。
偽物とは限りません。@niftyは、@nifty光のほか、@nifty with ドコモ光、@nifty auひかり、フレッツ光のプロバイダーコースなど、他社のアクセス回線と組み合わせたコースを幅広く提供しています。意見照会書の差出人は、回線の呼び名ではなく、問題とされる日時にIPアドレスを割り当てて通信記録を保有している事業者になります。書面の真偽に不安がある場合は、書面に記載された連絡先ではなく、公式サイトに掲載された窓口からご確認ください。
すでに@niftyを解約しています。それでも意見照会書が届くことはありますか。
あり得ます。意見照会は、権利者が主張する発信日時に契約者だった方に対して行われるものであり、その後に解約したかどうかとは別の問題です。通信記録や契約者情報が事業者の保存期間内に残っていれば、解約後に登録住所宛に書面が届くことがあります。転居して住所変更をしていない場合、書面が手元に届かないまま期限を過ぎてしまうこともあります。
ニフティの「開示等の求め」の手続を使えば、請求してきた相手の情報を教えてもらえますか。
その手続は、ご自身の保有個人データについて開示等を求めるためのもので、権利者側の情報を取得するための制度ではありません。ニフティは、この手続について郵送での申請、所定の申請書と写真付き本人確認書類の提出、1回の申請につき3,000円(税込)の手数料を要することを公表しています。意見照会への回答とは別の手続ですので、混同しないようご注意ください。
開示された場合、氏名や住所を相手に悪用されないか心配です。
情報流通プラットフォーム対処法7条は、発信者情報の開示を受けた者は、当該情報をみだりに用いて、不当に発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならないと定めています。もっとも、これは開示後の利用に関する規律であり、開示そのものを防ぐものではありません。開示を争う余地があるかどうかは、意見照会の段階で検討しておく必要があります。
まとめ
ニフティ株式会社から意見照会書が届くのは、問題とされる日時にIPアドレスを割り当てていたのが同社だと権利者側が主張しているからです。@niftyは、ドコモ光・auひかり・フレッツ光・ケーブルテレビ・モバイル回線と、多様なアクセス回線のプロバイダとしてサービスを提供しているため、「うちの回線は別の会社なのに」という違和感が生じやすい事業者だといえます。まずは回線の名称ではなく、プロバイダとして契約しているのがどこかをご確認ください。
そのうえで押さえるべきは、回答期限・発信日時・IPアドレス・対象作品の4点です。回答しないという選択は「争わない」という扱いにつながり、反論の機会を手放すことになりかねません。横浜のタングラム法律事務所では、意見照会の段階からのご依頼を数多くお受けしています。書面が届いてお困りの際は、期限に余裕のあるうちに弁護士にご相談ください。
@niftyから意見照会書が届いた方へ
タングラム法律事務所では、BitTorrent(トレント)に関する発信者情報開示の意見照会について、多数のご依頼をお受けしています。対応内容と費用のご案内はこちら。回答期限が迫っている場合も、まずはご連絡ください。
法律相談の予約はこちら※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。