タングラム法律事務所

auひかり・KDDIから意見照会書が届いたら|トレント開示請求への対応

auひかり・KDDIから意見照会書が届いたら|トレント開示請求への対応

auひかり・KDDIから意見照会書が届いたら|トレント開示請求への対応

auひかり・KDDIから意見照会書が届いたら|トレント開示請求への対応

auひかり・KDDIから意見照会書が届いたら|トレント開示請求への対応

ある日、封書で「発信者情報開示に係る意見照会書」が届く。BitTorrent(トレント)による著作権侵害を理由とする発信者情報開示請求では、こうした形でご本人に連絡が来ます。auひかりやau one net、au携帯回線をご利用の方からのご相談も少なくありません。多くの方が、まず「なぜ自分のところに来たのか」「どこに何を言えばいいのか」で立ち止まります。

この記事では、au系の回線をご利用中に意見照会書を受け取った方に向けて、KDDIが公表している手続情報をもとに、差出人の見分け方、書面に並ぶ技術的な数値の意味、回答期限と回答後に何が起こるのかを、横浜の弁護士が整理します。とくにKDDIの標準書式には、他社ではあまり見かけないP2P(ファイル共有)専用の定めが置かれており、トレント事案を理解するうえで手がかりになります。

なぜKDDIから意見照会書が届くのか

BitTorrentは、ファイルを細かな断片に分け、参加者どうしが互いに断片を送り合うP2P方式の技術です。「ダウンロードしていただけ」というご認識でも、受け取った断片が他の参加者へ自動的に送信されるのが通常の挙動で、この送信の側面が公衆送信権・送信可能化権(著作権法23条1項)との関係で問題とされます。「ダウンロードしただけ」というご説明が、そのままでは反論として通りにくいのは、この構造によります。

権利者側は、対象作品を配布しているネットワークに参加し、断片を送信してきた相手のIPアドレスと日時を記録します。IPアドレスだけでは個人は分かりませんから、それを割り当てていた通信事業者に契約者情報の開示を求めることになります。これが情報流通プラットフォーム対処法(特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律)5条に基づく発信者情報開示請求で、KDDIも公式サイトで、同法に基づく手続として案内しています。

そして同法6条1項は、開示請求を受けたプロバイダは、発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、開示に応じるべきかどうかについて発信者の意見を聴かなければならないと定めています。お手元の書面は、この法律上の意見聴取義務に基づくものです。あなたを非難する通知ではなく、意見を述べる機会が法律上保障されていることの表れだと捉えてください。

auひかりなのに、差出人がKDDIではない場合がある

au系の回線で最初につまずきやすいのが、ここです。auひかりは、KDDIの光回線に対してプロバイダ(ISP)を選んで契約する仕組みになっており、公式サイトではau one netのほかに次の各社が選択肢として案内されています。

区分該当するサービス・事業者
回線(KDDI)auひかり ホーム(1ギガ・5ギガ・10ギガ)、auひかり マンション各タイプ
プロバイダ(選択制)au one net、BIGLOBE、So-net、@nifty、@T COM、ASAHIネット、DTI
KDDIが直接契約する主なものau one net(auひかり/フレッツ光コース等)、au携帯回線(テザリング利用を含む)

発信者情報を保有し、意見照会を行うのは、原則としてご契約中のプロバイダです。したがって、回線がauひかりであっても、差出人がBIGLOBEやSo-netの社名になることは十分にありえます。逆に、au one netをフレッツ光の回線で使っている方は、NTT東西ではなくKDDIが窓口になります。まずはご契約中のプロバイダ名を確認することが出発点です。

グループ会社でも法人は別です。BIGLOBEやJ:COMはKDDIグループに属しますが、法人としては別会社であり、手続の窓口・書式・運用も各社ごとに定められています。書面の差出人名と問い合わせ先は、必ずお手元の書面に記載されたものをご確認ください。他社の書面との違いはソフトバンク光・Yahoo!BBから意見照会書が届いた場合の対応NTTドコモ・OCNから意見照会書が届いた場合の対応もあわせてご覧ください。

KDDIが公表する手続から読み取れること

KDDIは、権利侵害に関する対応依頼の方法を公式サイトで公表しています。請求する側に向けた案内ですが、請求される側にとっても、何が特定の根拠とされているのかを知る手がかりになります。

手続は郵送のみ。窓口は「ネットセキュリティ担当」

KDDIは、手続について郵送による文書でのみ受け付けるとし、問い合わせは文書または同社のメールフォームからのみ受け付けると案内しています。宛先はKDDI株式会社ネットセキュリティ担当(東京都新宿区西新宿2丁目3-2 KDDIビル26階)とされ、書面はフォントサイズ8ポイント以上・片面印刷、両面印刷やステープラー止めは避けるよう求められています。

つまり、店舗やお客さまセンターに電話をしても、この手続についての実質的な回答は得られないのが通常です。回答は書面で行うことが前提だと考えて準備を進めてください。

標準書式に置かれたP2P専用の定め

注目したいのは、KDDIが公開している発信者情報開示請求標準書式です。この書式の注記には、P2Pによる権利侵害を理由として請求する場合であって、ガイドライン等検討協議会が認定したシステムを用いたときは、当該システムの名称を記載するとともに、発信元ノード(ユーザのPC等)のIPアドレス、ポート番号、ファイルハッシュ値、ファイルサイズ、ダウンロード完了時刻等のメタデータの出力結果を添付することとされています。あわせて、当該システムの特定方法の信頼性等について協議会が認定した技術的範囲に関する技術的資料の添付は不要とされています。

意見照会書に見慣れない英数字の羅列(ハッシュ値)や、バイト単位のファイルサイズ、秒単位の時刻が並んでいるのは、この様式に沿って資料が作られているためです。裏を返せば、これらは照合可能な事実でもあります。記載された時刻に在宅していたか、当該端末が起動していたか、示された作品に心当たりがあるか——書面と記憶を突き合わせる作業には意味があります。

とくに見落とされやすいのが時刻の基準です。海外の監視事業者が作成した記録は協定世界時(UTC)で記載されていることが珍しくなく、日本標準時(JST)との9時間の差が正しく換算されているかは確認する価値があります。心当たりのある時間帯とずれている場合は、書き留めておいてください。

証拠が2部・一部が黒塗りで届く理由

標準書式では、証拠についてプロバイダで使用するものと発信者への意見照会用の2部を添付することとされ、請求者が個人の場合の氏名、権利侵害が明らかであるとする理由、証拠のうち発信者に示したくないものがあるときは、これを示さずに意見照会を行う取扱いが定められています。添付書類の一部が黒塗りになっていても、それは手続上想定された扱いであり、書面が偽物であることを意味しません。

書式の条文引用について。KDDIが公開する標準書式の本文は、法改正前の「プロバイダ責任制限法第4条第1項」を引用した様式のままとなっています(2026年8月時点)。他方、同社の案内本文は現行の情報流通プラットフォーム対処法に基づく手続である旨を明記しています。書式の文言と現行法の条番号のずれが、直ちに請求の効力を左右するものとは考えられませんが、書面を読む際には押さえておくとよいでしょう。

回答期限と、回答後に起こること

意見照会書には回答期限が記載されています。これは法律が定めたものではなく各社の運用として設定されるもので、実務上は書面到達後おおむね2週間程度とされることが多いところです。正確な期限は必ずお手元の書面でご確認ください。郵送でのやり取りが前提となる以上、投函から到達までの日数も見込んで準備する必要があります。

期限内に回答しないと、開示に応じるべきでないという意見が示されないまま手続が進み、プロバイダが自らの判断で開示に応じる余地が生じます。他方、開示に同意しない旨を回答した場合、通常はその時点で任意に開示されることはなく、権利者が裁判所の手続(発信者情報開示命令の申立て等)に進むかどうかを判断する段階に移ります。裁判所が開示を命じたときは、プロバイダは不同意の意見を述べた発信者に遅滞なくその旨を通知しなければならないとされています(同法6条2項)。回答後に音沙汰がないからといって、手続が終わったとは限りません。その後の流れは「開示に同意しない」と回答した後の流れで解説しています。

回答書を作るときに注意したいこと

回答書の内容は、その後の交渉や訴訟で相手方の目に触れることを前提に組み立てる必要があります。

  • 事実に反することを書かない。後から覆せば、かえって信用を損ないます。
  • 争う趣旨と、認める事実を切り分ける。技術的な特定の当否と、実際に利用していたかどうかは別の論点です。
  • 不用意に金額の話をしない。意見照会は開示の可否について意見を述べる手続であり、賠償額を協議する場ではありません。
  • 同居のご家族がいる場合の記載は慎重に。誰が「発信者」にあたるかという評価に直結します(家族・同居人が使っていた場合、発信者性は否認できるか)。

開示後に権利者から求められる金額について、一律の相場をお示しすることはできません。実務上は、作品の性質、送信の態様(規模や継続性)、対象期間、作品数といった要素の組合せで検討されるのが通常で、事案ごとの幅が大きい領域です。当事務所ではBitTorrent著作権侵害の意見照会対応として、回答書の作成から開示後の示談交渉まで一括して取り扱っています。開示請求を受けた側の対応全般についてはインターネット問題(書面が届いた側の対応)の解説ページもご覧ください。

よくある質問

auひかりを使っているのに、意見照会書の差出人がKDDIではなくBIGLOBEやSo-netでした。おかしくないですか。

おかしくありません。auひかりは、KDDIの光回線に対してプロバイダ(ISP)を選んで契約する仕組みで、公式サイトではau one netのほかBIGLOBE・So-net・@nifty・@T COM・ASAHIネット・DTIが選択肢として案内されています。発信者情報を保有し意見照会を行うのは、原則としてご契約中のプロバイダです。したがって、回線がauひかりであっても、差出人がKDDI以外の社名になることは十分にありえます。

意見照会書に「ファイルハッシュ値」や「ファイルサイズ」が書かれているのはなぜですか。

KDDIが公開している発信者情報開示請求標準書式には、P2Pによる権利侵害を理由として請求する場合の定めが置かれており、協議会が認定したシステムを用いたときは、そのシステムの名称を記載するとともに、発信元ノードのIPアドレス・ポート番号・ファイルハッシュ値・ファイルサイズ・ダウンロード完了時刻等のメタデータの出力結果を添付することとされています。書面に技術的な数値が並ぶのは、この様式に沿って資料が作成されているためです。

KDDIに電話で問い合わせることはできますか。

KDDIは、権利侵害に関する手続について「郵送による文書でのみ」受け付け、問い合わせは文書または同社のメールフォームからのみ受け付けると案内しています。窓口はKDDI株式会社ネットセキュリティ担当(東京都新宿区西新宿2丁目3-2 KDDIビル26階)とされています。したがって、店舗やお客さまセンターに電話をしても、この手続についての回答は得られないのが通常です。

au携帯回線のテザリングで利用していた場合も特定されますか。

KDDIの標準書式には、携帯電話端末等からのインターネット接続サービスにより送信されたものについては特定できない場合がある旨の注記が置かれています。もっとも、これは特定されないという意味ではなく、固定回線に比べて特定に必要な情報が増えるということです。現にご本人あてに意見照会書が届いている場合は、その日時の記録がプロバイダ側に存在していると考えるのが自然です。

まとめ

au系の回線で意見照会書を受け取ったときに確認すべき順序は、①差出人はKDDIか、選択したプロバイダか、②特定の根拠とされている日時・IPアドレス・ポート番号・ファイルハッシュ値・作品は何か、③回答期限はいつか、の3点です。手続が郵送のみで進むこと、添付書類の一部が黒塗りであることも、公表されている取扱いに沿ったものです。

もっとも、技術的な特定の当否を検討し、認めるべき事実と争う余地のある事実を切り分けたうえで、後の交渉に不利益を残さない回答書を組み立てる作業には、独力では判断の難しい部分が残ります。開示された場合の示談交渉まで見据えた方針を最初の段階で決められるかどうか——ここが、弁護士に相談する実益のもっとも大きいところです。手続の全体像と費用はBitTorrent著作権侵害の意見照会対応の特設ページにまとめています。

auひかり・KDDIから意見照会書が届いた方へ

横浜のタングラム法律事務所では、BitTorrent(トレント)による著作権侵害を理由とする発信者情報開示請求・意見照会書への対応を継続的に取り扱っており、ITエンジニアの経験を持つ弁護士が技術的背景を踏まえて対応します。ご相談・お打合せはオンラインで完結し、全国からご依頼をお受けしています。回答には期限がありますので、お早めにご連絡ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。なお、プロバイダの受付窓口・書式・運用は変更されることがあります。手続の詳細は各社の公式情報を必ずご確認ください。

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