タングラム法律事務所

チケット転売の開示請求は情プラ法でどう進むのか|条文と手続の流れ

チケット転売の開示請求は情プラ法でどう進むのか|条文と手続の流れ

チケット転売の開示請求は情プラ法でどう進むのか|条文と手続の流れ

チケット転売の開示請求は情プラ法でどう進むのか|条文と手続の流れ

チケット転売の開示請求は情プラ法でどう進むのか|条文と手続の流れ

チケット転売を理由に届いた書面には、「情報流通プラットフォーム対処法に基づき」という一文が入っていることがほとんどです。聞き慣れない法律名に戸惑い、何を根拠に自分の情報が求められているのか分からないまま期限だけが近づく、という状態になりがちです。

この記事では、チケット転売の発信者情報開示が、この法律のどの部分に基づいて、どのような順序で進むのかを弁護士が整理します。手続の全体像が分かれば、自分がどの段階にいて、次に何が起きるのかを把握できます。

情プラ法とは何か

情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)は、これまでプロバイダ責任制限法と呼ばれていた法律です。2025年4月1日に施行された改正により、名称が変わりました。別の法律ができたわけではなく、同じ法律の名前が変わったものです。

そのため、旧法の名称で書かれた解説も、条文番号を読み替えれば基本的に通用します。ただし、発信者情報開示に関する条文の番号は整理されていますので、書面に引用されている条文を確認する際は、現行の条文で見る必要があります。

開示が認められるための要件

発信者情報の開示請求について定めているのが、同法第5条です。開示が認められるためには、大きく次の2つが必要とされています。

  • 権利が侵害されたことが明らかであること:単に「不快だ」「規約違反だ」というだけでは足りず、法的な権利侵害が明白であることが求められます
  • 開示を受けるべき正当な理由があること:損害賠償請求など、開示を求める目的が正当であることです

チケット転売の事案では、前者が主戦場になります。興行主は、転売出品によって自らの営業上の利益が侵害されたと主張します。これに対して出品者の側は、定価以下の譲渡であった、単発の譲渡であったといった事情を述べて、権利侵害が明らかとはいえないと反論することになります。

「権利侵害が明らかか」という判断は、チケット不正転売禁止法の要件を満たすかどうかとは別に行われます。刑事の要件を満たさない場合でも、民事上の権利侵害があると主張されることはあり得るという点に注意が必要です。

なぜ二段階に分かれるのか

チケット転売の開示請求は、必ず二段階で進みます。それぞれ相手方が異なります。

段階相手方求められる情報
一段階目転売サイトの運営会社出品時のIPアドレス・送信日時など、通信の記録
二段階目携帯電話会社・接続業者その回線の契約者の氏名・住所など

転売サイトが保有しているのは通信の記録までで、その回線を誰が契約しているかまでは分かりません。そのため、いったんサイトから記録を取得し、そこから回線を提供している事業者を特定して、あらためて請求するという順序になります。この仕組みの詳細はなぜ匿名のチケット転売出品者が特定されるのかで解説しています。

なお、ログイン時の情報など、一定の要件のもとで開示の対象となる「特定発信者情報」という区分も設けられています。どの情報が開示の対象になり得るかは、同法の施行規則が項目を列挙しています。

裁判所の手続と3つの命令

事業者が任意に開示しない場合、請求者は裁判所の手続を使います。同法は、この段階のために非訟手続を用意しています。

発信者情報開示命令

裁判所が事業者に対して開示を命ずる決定です。訴訟ではなく非訟手続であるため、通常の訴訟より短い期間で判断が示される仕組みになっています。この決定に不服がある当事者は、決定の告知を受けた日から1か月の不変期間内に「異議の訴え」を提起することができます。

提供命令

二段階の手続をつなぐための命令です。裁判所が一段階目の事業者に対し、通信記録から判明した他の事業者の名称等を提供するよう命ずることができるとされています。これにより、請求者は一段階目の結果を待ってから改めて調査する手間を省けます。

消去禁止命令

事件が終わるまでの間、事業者に対して発信者情報を消去してはならないと命ずるものです。「時間が経てば記録が消えるのではないか」という期待が現実的でないのは、この命令があるためです。

サイト側が開示に応じず争った場合に何が起きたかは、チケット流通センター・チケジャムの出品者情報はどこまで開示されるかで実際の経緯を追っています。

発信者が関われる場面

ここまでの手続は、基本的に請求者と事業者の間で進みます。出品者本人が関与できる場面は限られており、そのうち最も重要なのが意見照会です。

同法第6条第1項は、開示請求を受けた事業者に対し、発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、開示するかどうかについて発信者の意見を聴かなければならないと定めています。届いた意見照会書は、この規定に基づくものです。

さらに同条第2項は、事業者が発信者情報開示命令を受けたときは、開示の請求に応じるべきでない旨の意見を述べた発信者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならないと定めています。期限内に不同意の意見を述べておくことが、手続の進行を知る唯一の手がかりになります。

意見照会書が届いた直後にすべきことはチケット転売で意見照会書が届いたらに、インターネット上のトラブル全般の取扱いはインターネット問題のページにまとめています。チケット転売の事案に特化した費用と流れはチケット転売の発信者情報開示請求への対応ページでご案内しています。

よくある質問

プロバイダ責任制限法と情プラ法は別の法律ですか。

同じ法律です。2025年4月1日に施行された改正により、法律の名称が情報流通プラットフォーム対処法に変わりました。発信者情報開示の枠組みは引き継がれていますので、旧法の名称で書かれた説明も、条文番号を読み替えれば基本的に通用します。

なぜ開示請求が二段階に分かれるのですか。

転売サイトが持っているのは通信の記録までで、回線の契約者が誰かまでは分からないためです。まずサイトからIPアドレス等を取得し、次にその回線を提供している事業者に対して契約者の情報を求める、という順序になります。

時間が経てば記録が消えて特定されなくなりますか。

手続が動いている段階では、その期待は現実的ではありません。裁判所は、事件が終わるまで発信者情報を消去してはならないと命ずる消去禁止命令を出すことができるとされています。記録は保全されていると考えるほうが安全です。

発信者は、この手続にどこで関われますか。

事業者から届く意見照会に回答する場面が、最初の関与の機会です。ここで開示に応じるべきでない旨の意見を述べておくと、開示命令が出た場合に通知を受けられます。無回答のままでは、この通知の対象になりません。

まとめ

  • 情プラ法は旧プロバイダ責任制限法と同じ法律で、2025年4月1日に名称が変わった
  • 開示の要件は、権利侵害が明らかであることと、開示を受けるべき正当な理由があること
  • チケット転売では「権利侵害が明らかか」が主戦場となり、価格や回数の事情がここで意味を持つ
  • 手続は、転売サイト→回線事業者という二段階で進む
  • 裁判所には開示命令のほか、提供命令と消去禁止命令があり、記録は保全される前提で考える
  • 発信者が関与できる最大の場面は意見照会であり、期限内の回答が手続を知る手がかりになる

書面に引用された条文が何を意味するのかが分かると、次に何が起きるのかも見通せるようになります。横浜のタングラム法律事務所では、届いた書面の内容を確認したうえで、いまどの段階にいるのか、どこで何を主張できるのかを弁護士が整理してお伝えしています。

開示請求の書面が届いた方へ

タングラム法律事務所(横浜・山下公園)は、チケット転売を理由とする発信者情報開示請求について、意見照会書への回答書の作成・内容確認から、開示後の損害賠償請求への対応・示談交渉まで取り扱っています。オンラインで全国からご相談いただけます。回答期限がある場合は、その日付をお知らせください。

法律相談の予約はこちら

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

発信者情報開示請求・削除請求について見る

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。