タングラム法律事務所

未成年・学生本人に意見照会書が届いたら|トレント開示請求の対応

未成年・学生本人に意見照会書が届いたら|トレント開示請求の対応

未成年・学生本人に意見照会書が届いたら|トレント開示請求の対応

未成年・学生本人に意見照会書が届いたら|トレント開示請求の対応

未成年・学生本人に意見照会書が届いたら|トレント開示請求の対応

下宿先の郵便受けに、自分の名前で分厚い封筒が届いていた——BitTorrent(トレント)による著作権侵害を理由とする発信者情報開示のご相談では、学生ご本人からこうしたお話を伺うことがあります。回線を自分の名義で契約している一人暮らしの学生や、家族とは別に回線を持っている高校生・専門学校生の場合、意見照会書は親ではなく本人あてに届きます。誰にも相談できないまま、記載された回答期限だけが近づいていく、という状況に置かれがちです。

この場面では、成年か未成年かによって、自分だけで決められる範囲が変わります。また、親権者がどこまで巻き込まれるのかも、多くの方が気にされる点です。この記事では、未成年者や学生ご本人に意見照会書が届いた場合について、民法の年齢に関する規律、賠償責任の所在、刑事手続の扱い、回答期限までにすべきことを、横浜で発信者情報開示の事案を扱う弁護士の立場から、条文に沿って整理します。

まず、名義と年齢を確認する

意見照会書は、プロバイダが保有する回線契約者の情報をもとに送付されます。したがって、本人あてに届いたということは、原則として回線契約の名義がご本人になっているということです。ここを取り違えたまま話を進めると、誰が対応すべきかの判断を誤ります。

次に確認するのが年齢です。民法4条は「年齢十八歳をもって、成年とする」と定めています(成年年齢を20歳から18歳に引き下げる改正は2022年4月1日に施行されました)。この一線によって、対応の進め方が次のように分かれます。

年齢民法上の地位意見照会への対応弁護士への委任
18歳・19歳成年本人が単独で判断できる本人のみで委任契約を締結できる
18歳未満未成年者本人名義で意見を述べることは可能だが、親権者の関与が事実上必要民法5条1項により法定代理人の同意が必要

民法5条1項は「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない」と定め、同条2項は「前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる」としています。弁護士との委任契約は法律行為ですから、18歳未満の方が単独で締結しても、後から取り消される可能性が残ります。実務上は、親権者の同意を得たうえで受任するのが通常です。

回線の名義がご本人ではなく親御さんになっている場合は、意見照会書も親御さんあてに届きます。その場合の考え方は、親名義の回線で子どもがトレントを利用していた場合の対応で解説しています。名義人が誰かによって、まず動くべき人が変わります。

18歳・19歳の学生は、自分の判断で進められる

18歳・19歳の方は民法上の成年ですから、意見照会書への回答も、弁護士に依頼するかどうかの判断も、ご本人だけで完結できます。親権者の同意は要りません。ご家族に知られたくないという理由でご相談をためらう方もいらっしゃいますが、少なくとも手続の面では、単独で対応することが可能です。

もっとも、開示された後に損害賠償の請求を受ける段階まで見通すと、支払の原資という現実的な問題が残ります。学生の収入だけで解決できるかどうかは事案によって異なり、結果としてご家族に相談せざるを得ない場面も生じます。誰にどの範囲で伝えるかは、方針を決める最初の段階で一度考えておくほうが、後から慌てずに済みます。開示手続のどの段階で誰に伝わり得るのかについては、トレント開示請求は会社・学校・家族に知られるのかで段階ごとに整理しています。

親権者はどこまで責任を負うのか

未成年の方から必ずといってよいほど聞かれるのが、「親に請求がいくのか」という点です。民法は、未成年者本人の責任と監督義務者の責任を、次のように組み立てています。

本人に責任能力がない場合

民法712条は「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない」と定めています。この場合には、民法714条1項により、責任無能力者を監督する法定の義務を負う者、すなわち通常は親権者が賠償責任を負います。ただし同項但書は、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、または義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでないとしています。

もっとも、責任能力の有無は年齢だけで機械的に決まるものではなく、事案ごとに判断されます。ファイル共有ソフトを自ら設定して利用できる年齢であれば、責任能力が否定されることは考えにくいのが実情です。

本人に責任能力がある場合

本人に責任能力があるときは、本人が民法709条により賠償責任を負います。では親は無関係かというと、そうとも限りません。最高裁昭和49年3月22日第二小法廷判決(民集28巻2号347頁)は、未成年者が責任能力を有する場合であっても、監督義務者の義務違反と当該未成年者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係を認め得るときは、監督義務者について民法709条に基づく不法行為が成立するとしています。

加えて、回線契約の名義が親御さんである場合には、契約者としての立場から事実上の対応を求められる場面もあります。責任の所在は、名義・年齢・実際の利用状況の組み合わせによって変わるとお考えください。

意見照会書の意味と、回答期限

意見照会書は、情報流通プラットフォーム対処法(旧・プロバイダ責任制限法。2024年の改正で題名が改められ、2025年4月1日に施行されました)6条1項に基づく書面です。同項は、開示関係役務提供者は開示の請求を受けたとき、発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、「当該開示の請求に応じるかどうかについて当該発信者の意見(当該開示の請求に応じるべきでない旨の意見である場合には、その理由を含む。)を聴かなければならない」と定めています。

言い換えれば、この書面が届いた時点では、氏名や住所はまだ権利者に開示されていません。開示するかどうかを決める前に、意見を述べる機会が与えられている段階です。同法5条1項は、権利侵害が明らかであること、開示を受けるべき正当な理由があることなどを開示の要件として定めており、この要件を満たすかどうかが判断の対象になります。

回答期限は書面に記載されており、到達からおおむね2週間程度とされていることが多いといえます。学生の方の場合、帰省や実習で不在にしていて開封が遅れた、というご相談も少なくありません。開封が遅れた場合でも、期限を過ぎた時点で回答が無意味になるわけではなく、プロバイダの判断や手続の進行状況によっては、期限後の書面が考慮される余地があります。手続全体の位置づけは、当事務所の意見照会対応の取扱分野ページでも整理しています。

刑事事件・少年事件になるのか

「補導されるのではないか」「進学や就職に響くのではないか」というご不安もよく伺います。前提として、発信者情報開示の手続は民事の手続であり、それ自体が刑事事件に直結するものではありません。著作権法123条1項は、同法119条1項から3項までの罪等について「告訴がなければ公訴を提起することができない」と定めており、権利者の告訴を要するのが原則です(同条2項に例外があります)。

仮に刑事手続が問題となる場合、20歳未満の方は少年法の適用対象となり、事件は家庭裁判所に送致されて保護処分を中心に扱われます。18歳・19歳の方は「特定少年」として、原則逆送対象事件の拡大や推知報道の一部解禁といった特例が設けられました(法務省「少年法が変わります!」。令和4年4月1日施行)。もっとも、これは刑事手続に至った場合の話であり、意見照会書が届いたこと自体から直ちに導かれる帰結ではありません。刑事の扱いについてはトレントで逮捕される可能性はあるのか(著作権法の罰則と親告罪)で詳しく述べています。

回答期限までに、学生本人がすべきこと

  • 封筒ごと保管する。消印や到達日は、期限の起算点を確認する際に必要になることがあります。
  • 書面に記載された発信日時・IPアドレス・作品の情報を書き写しておく。複数の作品が挙げられている場合、日時が異なることがあります。
  • 下宿や寮で回線を共用している場合、その事情を時系列で整理しておく。
  • プロバイダに電話で問い合わせる際、事実関係を口頭で認める発言は慎重に扱う。
  • 18歳未満の場合は、弁護士に相談する前提として親権者に伝える必要があることを理解しておく。

なお、損害賠償請求権は、民法724条1号により被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年で時効消滅し得ますが、開示前の段階では権利者は加害者を知らないため、意見照会を放置していれば時間の経過で解決するという性質のものではありません。当事務所では、意見照会書が届いた方向けにBitTorrent著作権侵害の意見照会対応の特設ページをご用意しています。

よくある質問

18歳の大学生です。親に知らせずに自分だけで対応できますか。

民法4条は「年齢十八歳をもって、成年とする」と定めており、18歳以上であれば単独で有効に法律行為をすることができます。したがって、意見照会書への回答も、弁護士への委任も、ご本人の判断だけで行うことが可能です。もっとも、後に損害賠償の請求を受けた場合、支払の原資をどうするかという現実的な問題が残ります。ご家族に伝えるかどうかは、費用の負担や生活への影響も含めて、方針を決める段階で検討することになります。

高校生の子ども本人あてに意見照会書が届きました。誰が回答するのですか。

18歳未満であれば未成年者であり、民法5条1項により、法律行為をするには法定代理人の同意が必要です。意見照会への回答自体は事実上の意見表明として本人名義で行うことも考えられますが、弁護士に委任する場合の委任契約は法律行為ですから、親権者の同意または親権者による契約が必要になります。実務上は、親権者が関与する形で対応を進めるのが通常です。

子どもに責任能力がなければ、親が責任を負うのですか。

民法712条は、未成年者が自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは賠償の責任を負わないと定めており、この場合には民法714条1項により監督義務者が責任を負うのが原則です。他方、本人に責任能力がある場合でも、最高裁昭和49年3月22日判決は、監督義務者の義務違反と未成年者の不法行為による結果との間に相当因果関係が認められるときは、監督義務者について民法709条の不法行為が成立するとしています。責任能力の有無にかかわらず、親権者が請求を受ける可能性はあります。

学生本人に支払能力がない場合、どうなりますか。

支払能力がないことで請求自体がなくなるわけではありません。もっとも、示談交渉においては、収入や資産の状況、支払方法(分割の可否)を含めて話し合われるのが通常です。請求額は作品の性質や利用の態様、期間、対象とされた件数といった要素を踏まえて主張されるものであり、権利者側の提示額がそのまま妥当な水準であるとは限りません。事実関係と請求の根拠を整理したうえで交渉に臨むことが重要です。

学生の場合、学校や就職先に知られてしまいますか。

発信者情報開示の手続は、プロバイダと権利者、裁判所の間で進むものであり、学校や勤務先に通知される仕組みにはなっていません。開示される情報は回線契約者の氏名・住所・電話番号・メールアドレス等であり、在学先が対象になるわけでもありません。ただし、書面が自宅に郵送されることによって同居のご家族が事実を知る、といった経路は現実にあり得ます。

まとめ

未成年者や学生ご本人に意見照会書が届いた場合、出発点は名義と年齢の確認です。18歳・19歳であれば民法4条により成年ですから、回答も委任もご本人の判断で進められます。18歳未満であれば民法5条1項により法定代理人の同意が必要となり、親権者の関与が避けられません。

親権者の責任についても、本人に責任能力がなければ民法714条1項により監督義務者が責任を負い、責任能力があっても最高裁昭和49年3月22日判決の枠組みにより監督義務者が民法709条の責任を問われ得ます。「未成年だから親が全部」「成年だから本人だけ」と単純に割り切れる問題ではありません。

そして、こうした検討をすべて回答期限までに終える必要があります。学生の方は、書面が届いてから相談先を探すまでに時間がかかりがちで、気づいたときには期限が目前という例が目立ちます。横浜のタングラム法律事務所では、トレントによる著作権侵害を理由とする発信者情報開示について、意見照会の段階から開示後の示談交渉まで一貫してお受けしています。ご本人からのご相談も、親御さんからのご相談もお受けしています。あわせて意見照会書が届いた方向けの特設ページもご参照ください。

未成年・学生ご本人に意見照会書が届いた方へ

タングラム法律事務所では、BitTorrent(トレント)による著作権侵害を理由とする発信者情報開示について、意見照会への回答書の作成から、開示された場合の著作権者との示談交渉まで対応しています。ITエンジニアの経験を持つ弁護士が、技術的な経緯とご本人・ご家族の状況を踏まえて方針をご説明します。回答には期限がありますので、お早めにご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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